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出会い
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(これから、どうしようかしら。)
そんなことを考えながら、荷物をまとめる。
この家が、私に相応しくないというのなら。
出て行こうと思う。
…これ以上この家の名誉を傷つけないためにも。
荷物がまとめ終わったので、家を出たいと思う。
これから、どうなるのだろうか。
きっと、「王家を追い出された元王女」とでも噂されるのだろう。
私が、もっと努力していれば…もしくは、天才であれば。
きっと追い出されなかったのは分かっている。…けれど、少し悲しくなってしまう。
私は、未練を残しながら、家を出た。
見送りなど、一人もいない。
玄関に向かっている途中で使用人にあったが、見向きもされなかった。
(とりあえず、街に出よう。)
街に出れば、何かと情報は集まるだろう。
これから、生きるためのお金、食料などが必要になってくる。
だから、私は働かなくてはならない。
…正直「元王女」なんて雇ってくれるのか分からないけれど。
街にはたくさんの人がいた。
私が家を追い出されたという話は…、既に広がっていたみたいね。
街を歩けば歩くほど、「あの噂は本当だったんだ」や「見ろよ、元王女が歩いてるぜ…!」なんて言葉を言われる。
…まぁ、本当のことだから反論のしようがないんだけど。
突然、私の正面に、人が立った。
「貴方、アンジュ様で合っていますか?」
私は急に話しかけられた。
(…誰?)
容姿が中世的で分からないけれど、声を聞いた限りでは、男性っぽい。
服装を見た感じ、貴族ではなさそうだけれど。
ここで安易に「合っている」などと言うと危険かもしれないわね。
「…貴方の名前を名乗ってください。」
と私が言うと、男ははっとしたように喋りだした。
「失礼いたしました。
私はカルファ・ローレンと申します。
是非、カルファとお呼びください。」
「分かった。カルファ。
貴方は一体何者?そして目的は?」
「私は、従者でございます。
…ギルベール様、というお方なのですが、知っておられますか?」
…!
聞いたことがあるかもしれない。
名前を思い出していると…一つ耳にした話があった。
「…確か、『冷血騎士』と呼ばれていた人…?」
私がそう言うと、カルファは苦笑しながら、
「その通りです。
『冷血騎士』、であるギルベール様の従者です。」
…そんな人が私に何の用で…??
「貴方達の、目的は?」
「…それは、
貴方様…アンジュ様に、私の主であるギルベール様と婚約をしてほしいのです!!」
…っえぇ!?今、この人婚約してほしいって言った?
私はあくまでも冷静に、聞いた。
「…何故、私に?」
そう私が聞くと、カルファは
「失礼な話ですが、何カ月か前からアンジュ様の動向を探らせて頂いておりました。
今日も探っていると、なんと家を追い出されたと言うではないですか。」
「…で?」
妙に苛々させる喋り方ね。なんとなくだけど。
「今のアンジュ様は、ギルベール様と婚約するに最適な条件が揃っています。」
…正直な話、婚約は私としてもしておきたい。
これから生きていける保証もないし、なんせ、婚約をするとなれば毎日美味しいご飯が確定するのだ!
それだったら婚約は、とてもしたい。
…だけれど、ギルベール様となれば、超エリートだ。
いくら『冷血騎士』だとしても、婚約したいと思う女性はたくさんいるであろう。
何故、その中から選ばないのか。
「…でも、わざわざ私に声をかけるということは、何かあるんでしょう?」
「…実は、」
「ギルベール様は、超がつくほどの女嫌いなんです…!!」
カルファは叫んで言った。
そんなことを考えながら、荷物をまとめる。
この家が、私に相応しくないというのなら。
出て行こうと思う。
…これ以上この家の名誉を傷つけないためにも。
荷物がまとめ終わったので、家を出たいと思う。
これから、どうなるのだろうか。
きっと、「王家を追い出された元王女」とでも噂されるのだろう。
私が、もっと努力していれば…もしくは、天才であれば。
きっと追い出されなかったのは分かっている。…けれど、少し悲しくなってしまう。
私は、未練を残しながら、家を出た。
見送りなど、一人もいない。
玄関に向かっている途中で使用人にあったが、見向きもされなかった。
(とりあえず、街に出よう。)
街に出れば、何かと情報は集まるだろう。
これから、生きるためのお金、食料などが必要になってくる。
だから、私は働かなくてはならない。
…正直「元王女」なんて雇ってくれるのか分からないけれど。
街にはたくさんの人がいた。
私が家を追い出されたという話は…、既に広がっていたみたいね。
街を歩けば歩くほど、「あの噂は本当だったんだ」や「見ろよ、元王女が歩いてるぜ…!」なんて言葉を言われる。
…まぁ、本当のことだから反論のしようがないんだけど。
突然、私の正面に、人が立った。
「貴方、アンジュ様で合っていますか?」
私は急に話しかけられた。
(…誰?)
容姿が中世的で分からないけれど、声を聞いた限りでは、男性っぽい。
服装を見た感じ、貴族ではなさそうだけれど。
ここで安易に「合っている」などと言うと危険かもしれないわね。
「…貴方の名前を名乗ってください。」
と私が言うと、男ははっとしたように喋りだした。
「失礼いたしました。
私はカルファ・ローレンと申します。
是非、カルファとお呼びください。」
「分かった。カルファ。
貴方は一体何者?そして目的は?」
「私は、従者でございます。
…ギルベール様、というお方なのですが、知っておられますか?」
…!
聞いたことがあるかもしれない。
名前を思い出していると…一つ耳にした話があった。
「…確か、『冷血騎士』と呼ばれていた人…?」
私がそう言うと、カルファは苦笑しながら、
「その通りです。
『冷血騎士』、であるギルベール様の従者です。」
…そんな人が私に何の用で…??
「貴方達の、目的は?」
「…それは、
貴方様…アンジュ様に、私の主であるギルベール様と婚約をしてほしいのです!!」
…っえぇ!?今、この人婚約してほしいって言った?
私はあくまでも冷静に、聞いた。
「…何故、私に?」
そう私が聞くと、カルファは
「失礼な話ですが、何カ月か前からアンジュ様の動向を探らせて頂いておりました。
今日も探っていると、なんと家を追い出されたと言うではないですか。」
「…で?」
妙に苛々させる喋り方ね。なんとなくだけど。
「今のアンジュ様は、ギルベール様と婚約するに最適な条件が揃っています。」
…正直な話、婚約は私としてもしておきたい。
これから生きていける保証もないし、なんせ、婚約をするとなれば毎日美味しいご飯が確定するのだ!
それだったら婚約は、とてもしたい。
…だけれど、ギルベール様となれば、超エリートだ。
いくら『冷血騎士』だとしても、婚約したいと思う女性はたくさんいるであろう。
何故、その中から選ばないのか。
「…でも、わざわざ私に声をかけるということは、何かあるんでしょう?」
「…実は、」
「ギルベール様は、超がつくほどの女嫌いなんです…!!」
カルファは叫んで言った。
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