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第九十九話 イメージ
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「ここに何か思いついた動物の名前書いて」
「動物の名前?」
緊張していたところに突然「動物の名前を書け」と言われたビブリスは一気に肩の力が抜けた。セシリヤが書いていた術式は分からないが、とりあえず動物の名前を書けばいいのだろうか。疑問が尽きないまま彼は頭に浮かんだ動物の名前を書いた。
「こ、これでいいのか?」
「……うん。まあ、なんというか……普通ね」
「うるさいな! いきなり言われてパッと思いついたのがそれだったんだからしょうがないだろ⁉」
羊皮紙を受け取ったセシリヤが文字を目で追いながら鼻で笑う。それに反応したビブリスがやや顔を赤くしながら声を荒げた。彼の言葉を流してセシリヤは次の指示を相手へ送る。
「はいはい。んで、次は書いた動物の姿をイメージして」
「ぐっ……、わかったよ! イメージすればいいんだろ!」
半ばやけくそ気味にビブリスは目を閉じて脳内で先ほど書いた動物の姿をイメージした。彼が書いた動物の名前は“鳩”だ。先ほどから噴水の周りに集まり呑気に歩いている。それを脳内に浮かべた。羊皮紙が仄かに光り噴水から水を集め始める。それは徐々に形を成していき、
「あ!」
「わぁ! すごーい!」
視界が閉ざされているビブリスの耳が子供たちの声を拾う。目を開けた男は自分の目を疑った。彼の視界に水で出来た鳩……に似た動物が形成されていた。
「うーん、まあ。なんとか形になってるかな?」
「ちょっとへん~!」
「へん~!」
笑い声を上げている子供たちにビブリスは顔を真っ赤にしながらも照れたような、くすぐったそうに笑う。そんな彼の表情を見ながらセシリヤは満足そうにしていた。
「よし、それじゃあ二人にも同じことをしてもらおうかな」
少女たちが互いに顔を見合わせて大きな瞳を何度か瞬いて勢いよくセシリヤの方を見た。自分たちもビブリスと同じことが出来るという期待が瞳に宿っている。羊皮紙二枚を噴水の縁に置き、同じ術式を刻んでいく。羽ペンを渡された少女は少し悩んだ後、自分が思い描いた動物を各々書きだした。脳内でイメージして瞳を開ければ、目の前に自分が創った水の動物。感嘆の声を上げて喜びを表現する二人にセシリヤはそっと安堵の息を吐いた。正直言えばビブリスは魔力を有していたため出来る確信はあったが、魔力を有していない少女たちが出来るかは実際にやってみなければ分からなかった。出来なかった時には術式を少しずつ改良していけばいいだけなのだが、純粋に期待していた子供たちの想いを挫いてしまうのは心苦しい。
「……この人よりも上手く出来てるんじゃない?」
「……うるさい。突然、説明もなくやれと言われたんだ。仕方ないだろ⁉ おい、笑うな! そこの子供も笑うな!」
ニヤニヤしながら言うセシリヤに赤面しながら反論するビブリスを見ながら少女たちも笑う。さらに顔を真っ赤にしながら子供たちに声を荒げていた。
「動物の名前?」
緊張していたところに突然「動物の名前を書け」と言われたビブリスは一気に肩の力が抜けた。セシリヤが書いていた術式は分からないが、とりあえず動物の名前を書けばいいのだろうか。疑問が尽きないまま彼は頭に浮かんだ動物の名前を書いた。
「こ、これでいいのか?」
「……うん。まあ、なんというか……普通ね」
「うるさいな! いきなり言われてパッと思いついたのがそれだったんだからしょうがないだろ⁉」
羊皮紙を受け取ったセシリヤが文字を目で追いながら鼻で笑う。それに反応したビブリスがやや顔を赤くしながら声を荒げた。彼の言葉を流してセシリヤは次の指示を相手へ送る。
「はいはい。んで、次は書いた動物の姿をイメージして」
「ぐっ……、わかったよ! イメージすればいいんだろ!」
半ばやけくそ気味にビブリスは目を閉じて脳内で先ほど書いた動物の姿をイメージした。彼が書いた動物の名前は“鳩”だ。先ほどから噴水の周りに集まり呑気に歩いている。それを脳内に浮かべた。羊皮紙が仄かに光り噴水から水を集め始める。それは徐々に形を成していき、
「あ!」
「わぁ! すごーい!」
視界が閉ざされているビブリスの耳が子供たちの声を拾う。目を開けた男は自分の目を疑った。彼の視界に水で出来た鳩……に似た動物が形成されていた。
「うーん、まあ。なんとか形になってるかな?」
「ちょっとへん~!」
「へん~!」
笑い声を上げている子供たちにビブリスは顔を真っ赤にしながらも照れたような、くすぐったそうに笑う。そんな彼の表情を見ながらセシリヤは満足そうにしていた。
「よし、それじゃあ二人にも同じことをしてもらおうかな」
少女たちが互いに顔を見合わせて大きな瞳を何度か瞬いて勢いよくセシリヤの方を見た。自分たちもビブリスと同じことが出来るという期待が瞳に宿っている。羊皮紙二枚を噴水の縁に置き、同じ術式を刻んでいく。羽ペンを渡された少女は少し悩んだ後、自分が思い描いた動物を各々書きだした。脳内でイメージして瞳を開ければ、目の前に自分が創った水の動物。感嘆の声を上げて喜びを表現する二人にセシリヤはそっと安堵の息を吐いた。正直言えばビブリスは魔力を有していたため出来る確信はあったが、魔力を有していない少女たちが出来るかは実際にやってみなければ分からなかった。出来なかった時には術式を少しずつ改良していけばいいだけなのだが、純粋に期待していた子供たちの想いを挫いてしまうのは心苦しい。
「……この人よりも上手く出来てるんじゃない?」
「……うるさい。突然、説明もなくやれと言われたんだ。仕方ないだろ⁉ おい、笑うな! そこの子供も笑うな!」
ニヤニヤしながら言うセシリヤに赤面しながら反論するビブリスを見ながら少女たちも笑う。さらに顔を真っ赤にしながら子供たちに声を荒げていた。
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