乙藤のBL短編集

乙藤 詩

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痛いくらいに激しく抱いて⑤

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あれから、ホテルに一緒に入ろうとしていた男を明成は無理やり引き剥がすと、強引に俺を引き摺る。
「なんだよ。散々気をもたせやがって!」
後ろから男の捨て台詞が聞こえてきた。しかしそんな事よりも俺をホテルへ連れ込もうとする明成が気になって仕方なかった。先程の声音も、今の雰囲気もまるで別人の様だ。
「ぐっ!」
部屋に着くなり、ベットに乱暴に放り投げられる。
そして限りなく冷たい目で明成は俺を見下ろした。
嫌な汗が背中をつたう。
「明成・・・あの、これは・・・」
何か言わなければと焦るほど、明成にかける言葉が見つからなかった。
「言い訳ですか?」
底冷えするような声色に心臓が跳ねる。
だんだんと近寄ってくる明成にはっきりと恐怖を覚えた。
「待ってくれ。俺の話を•••痛っ!」
弁解しようとしたそばから、明成が髪の毛を掴んできて、そのまま俺の頭をうつ伏せにしてベッドに押し付ける。
「言っときますけど弁解の余地はないですよ。最近俺とはしたくなかったようですし。もう好きじゃなくなったんでしょ?」
「違う・・・」
押し付けられた顔の隙間から何とか否定の言葉を紡ぐ。しかし、それは今の明成には逆効果だったようで、押さえつけている腕の力が増す。
「くっ、苦しいから・・・離してくれ。」
息がしづらくてそう懇願する。
「少し優しくしすぎましたかね?」
そう言うと明成は俺のズボンと下着を一気にずらした。
「⁉︎」
いつもとあまりに違いすぎる明成の態度に息を呑む。
「あれっ?どうしたんですか?この前は反応しなかったのに、今は勃ってますよ。」
侮蔑を含んだその言葉にカーッと顔に熱が集まるのが分かった。
「久しぶりだからですか?それとも•••」
そう言うと明成は俺の耳元に口を近づける。
「乱暴にされると興奮するんですか?」
自分でも認めたくなかったが、さっきから冷たい言葉を投げかけられるたびに背中がゾクゾクした。それと同時に体も疼き始める。
こんな性癖を明成だけには知られたくなかったのに•••
「近藤さんってこんな見た目なのにマゾだったんですね。だから俺との行為が物足りなくて、他の奴のを突っ込んでもらおうと思ったんですか?」
あまりにも酷い明成の言葉に一瞬耳を疑う。
「いいですよ。近藤さんが好きなプレイをしてあげますよ。痛くて、激しくて、壊れてしまうほどにめちゃくちゃにしてあげます。」
こいつは誰だ?
ニコッと微笑む明成の顔に怖気がはしる。弾かれたように逃げようとすると、自身を強めに握られた。
「っ!」
途端に体から力が抜ける。何度か抵抗しようと試みるが、その都度敏感な部分を刺激され段々と明成の為すがままになっていった。
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