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痛いくらいに激しく抱いて⑧
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「ごめんなさい・・・」
絞り出すような明成の声に心臓をグッと掴まれる。どうして明成が謝るのか全く理解出来なかった。
「あの時は、近藤さんが他の男と一緒にいてカーッとなってそれで・・・あっ、あんな事をしてしまってごめんなさい。でも僕、近藤さんが好きなんだ。もし、許してくれるなら・・・」
無理だ・・・
心の中で俺はそう思う。明成のことは好きだ。でも自分でも分かってる。自分は普通に体を繋げるだけじゃ満足できない。だから、ここで明成の申し出を受け入れてもまた上手くいかなくなる。それが目に見えている。
こんな自分を受け入れてくれ、あんな醜態を晒した自分を今でも好きだと言ってれる明成を心の底から愛おしいと思う。でも、だからこそ自分がこの男を繋ぎ止めておくべきではないということもわかっていた。
「山本くんとの関係はあの時に終わらせたつもりだ。悪いが人の目もあるし、帰ってくれないか?」
敢えて明成ではなく苗字で呼んだ。すると明成は顔を歪ませて傷ついた顔をする。
その顔を見ると自分の決心が揺るぎそうでできるだけ顔を見ないように明成の前を通り過ぎると、鍵を開け自宅へと足を踏み入れる。
明成は何かを耐えるようにずっと俯いて立ち尽くしていた。
早く、早く、ドアを閉めたい。こんな顔を明成に見せちゃダメだ。
今顔を見られたら、自分の気持ちがバレてしまいそうで急いでドアを閉めようとする。
その時・・・ガンっ!
何かが挟まって上手くドアを閉めることが出来なかった。よく見るとそれは明成の足だった。明成は出来た隙間に手を差し込むと思いっきりドアを開いた。
その行為に驚いて目を見開く俺を明成が強く抱きしめた。
「嫌だ。別れない。」
その言葉にグッと胸が苦しくなる。
「ダメだ。お前とは付き合えない・・・」
絞り出すように言うと、ゆっくりと明成の手が上に上がってくる。そしてその手が肩をガシッと掴んだ。
「だったらなんで・・・」
震える声で明成が言う。
「だったらなんでそんな顔するんだよ!」
そう言われて、自分の気持ちを隠し通せていない事に気づいた。
「何でそんな顔で、そんな苦しそうな顔で僕を見るんですか!そんな顔して別れを切り出されても僕は納得できないですよ・・」
「お前には・・・」
声が震えていたが、明成の言葉に何か答えようと口を開く。
「もっといい相手がいるよ。俺なんかやめといた方がいい。お前も言ってただろ?・・・変態だって。否定はできない。俺は普通に抱かれても満足できないから・・・それが原因でお前を傷つけてしまったし。今更そのことを無しにして普通に付き合うことはできない。」
明成の顔を見ると、決心が鈍りそうなので出来るだけ俯いて早口で話す。そして、
「もう帰ってくれ。」
と小さい声で付け足した。
「嫌だ・・・」
絞り出すように明成が言う。
「何でっ・・・」
「勝手に傷ついて勝手に終わらそうとするな!」
明成の怒鳴り声に俺はビクッと体を震わせた。それぐらいの剣幕だった。襟元をグッと掴んで詰め寄ってくる。
「僕は貴方がそういう性癖だって別に構わない。でもそれをきちんと僕に伝えて欲しかった。本当の気持ちも伝えられないのに僕たちは付き合ってたって言えるの?寧ろお互いのことがわかった今、ちゃんと付き合うべきなんじゃないの?」
畳み掛けるように言う明成に俺は言葉を返す事が出来なかった。
「僕だって、本当はそんなに優しくなんてないんだ。でも、近藤さんに嫌われたくなくて・・・だから大切にしてたのに・・・」
最後の方は俺に頭を預け縋り付くように明成は話した。
「でも、お前俺のこと軽蔑した目で見てただろ?」
「あれは、別の男と一緒にいたから本当に腹が立って。でも、自分の言葉や行為に素直に反応してくれる近藤さんの姿が僕は嬉しかったんです。だから最後の方は怒りというより、貴方の反応に自我を失ってたっていう方が正しいです。」
明成の言葉に息を呑む。
「次の日起きたら、近藤さんはいなくなってるし連絡も全然くれないからもう俺のこと好きじゃないのかと思ったら居ても立っても居られなくなって。」
その明成の言葉に俺は脱力し、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。
絞り出すような明成の声に心臓をグッと掴まれる。どうして明成が謝るのか全く理解出来なかった。
「あの時は、近藤さんが他の男と一緒にいてカーッとなってそれで・・・あっ、あんな事をしてしまってごめんなさい。でも僕、近藤さんが好きなんだ。もし、許してくれるなら・・・」
無理だ・・・
心の中で俺はそう思う。明成のことは好きだ。でも自分でも分かってる。自分は普通に体を繋げるだけじゃ満足できない。だから、ここで明成の申し出を受け入れてもまた上手くいかなくなる。それが目に見えている。
こんな自分を受け入れてくれ、あんな醜態を晒した自分を今でも好きだと言ってれる明成を心の底から愛おしいと思う。でも、だからこそ自分がこの男を繋ぎ止めておくべきではないということもわかっていた。
「山本くんとの関係はあの時に終わらせたつもりだ。悪いが人の目もあるし、帰ってくれないか?」
敢えて明成ではなく苗字で呼んだ。すると明成は顔を歪ませて傷ついた顔をする。
その顔を見ると自分の決心が揺るぎそうでできるだけ顔を見ないように明成の前を通り過ぎると、鍵を開け自宅へと足を踏み入れる。
明成は何かを耐えるようにずっと俯いて立ち尽くしていた。
早く、早く、ドアを閉めたい。こんな顔を明成に見せちゃダメだ。
今顔を見られたら、自分の気持ちがバレてしまいそうで急いでドアを閉めようとする。
その時・・・ガンっ!
何かが挟まって上手くドアを閉めることが出来なかった。よく見るとそれは明成の足だった。明成は出来た隙間に手を差し込むと思いっきりドアを開いた。
その行為に驚いて目を見開く俺を明成が強く抱きしめた。
「嫌だ。別れない。」
その言葉にグッと胸が苦しくなる。
「ダメだ。お前とは付き合えない・・・」
絞り出すように言うと、ゆっくりと明成の手が上に上がってくる。そしてその手が肩をガシッと掴んだ。
「だったらなんで・・・」
震える声で明成が言う。
「だったらなんでそんな顔するんだよ!」
そう言われて、自分の気持ちを隠し通せていない事に気づいた。
「何でそんな顔で、そんな苦しそうな顔で僕を見るんですか!そんな顔して別れを切り出されても僕は納得できないですよ・・」
「お前には・・・」
声が震えていたが、明成の言葉に何か答えようと口を開く。
「もっといい相手がいるよ。俺なんかやめといた方がいい。お前も言ってただろ?・・・変態だって。否定はできない。俺は普通に抱かれても満足できないから・・・それが原因でお前を傷つけてしまったし。今更そのことを無しにして普通に付き合うことはできない。」
明成の顔を見ると、決心が鈍りそうなので出来るだけ俯いて早口で話す。そして、
「もう帰ってくれ。」
と小さい声で付け足した。
「嫌だ・・・」
絞り出すように明成が言う。
「何でっ・・・」
「勝手に傷ついて勝手に終わらそうとするな!」
明成の怒鳴り声に俺はビクッと体を震わせた。それぐらいの剣幕だった。襟元をグッと掴んで詰め寄ってくる。
「僕は貴方がそういう性癖だって別に構わない。でもそれをきちんと僕に伝えて欲しかった。本当の気持ちも伝えられないのに僕たちは付き合ってたって言えるの?寧ろお互いのことがわかった今、ちゃんと付き合うべきなんじゃないの?」
畳み掛けるように言う明成に俺は言葉を返す事が出来なかった。
「僕だって、本当はそんなに優しくなんてないんだ。でも、近藤さんに嫌われたくなくて・・・だから大切にしてたのに・・・」
最後の方は俺に頭を預け縋り付くように明成は話した。
「でも、お前俺のこと軽蔑した目で見てただろ?」
「あれは、別の男と一緒にいたから本当に腹が立って。でも、自分の言葉や行為に素直に反応してくれる近藤さんの姿が僕は嬉しかったんです。だから最後の方は怒りというより、貴方の反応に自我を失ってたっていう方が正しいです。」
明成の言葉に息を呑む。
「次の日起きたら、近藤さんはいなくなってるし連絡も全然くれないからもう俺のこと好きじゃないのかと思ったら居ても立っても居られなくなって。」
その明成の言葉に俺は脱力し、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。
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