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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
この世界の魔力
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魔力。
それはファンタジーでよくある魔法を使うために必要とされる力。
『祝愛のマナ』でも説明されていたけど、転生して私自身が本当に魔法を使える様になったことと、魔法に関する教育を受けたことから、魔法については理解している。
魔法とは大地の下にある『源泉』と呼ばれる所から生まれるものだ。源泉の魔力はとても純度が高い。質で言えば、ギルハード様の魔力が近いかな。
魔力は源泉から大陸中に川のように流れており、見えない川と呼ばれている。これは源泉の魔力は透明とされていることからついた名前だそうだ。
流れる魔力はそのまま広がり、海や大気にも溶けている。
そのため、大地の上で生きる人間は大地や大気からの魔力を自然に体内に──命に取り込んでいるのだ。
とはいえ、魔力を取り込む量は人や土地による。
エーデルグラン帝国に魔法を使える人間が少ないのも、魔力の流れの影響によるものらしい。
逆に、レイセン王国の人間が皆、魔力を持っているのは、その源泉の上にあるのがこの国だからだ。
だから、レイセン王国の人間は魔力が高く、また強く命に馴染んでいる。
「──とまぁ、こんな感じかな?」
「ほうほう。てことは、ひょっとして魔力食べるのってかなりヤバい?」
一通り魔力について説明すると、イクスは理解したようで興味深そうに頷いた。そして、さっき自分がしようとしていたことがヤバいことと気づいたようだ。
「まぁね。魔力の高い人間が魔力を全部失ったら、九割の確率で死ぬって言われてるからやばかったね」
私が。
「へー、なんかごめんね?」
なんか、気の抜けた謝罪をされた。
「その通り! 源泉こそ、神の領域! 魔力の根源にして、我らの恩恵の全て! 神秘の在処! レイセンの地で生きる者は源泉に選ばれ、魔法の神秘を守る責任があるのだ!」
また、テロール子爵が荒ぶってる。
源泉に選ばれたって──レイセン王国の歴史上、そう呼べるのはただ一人だろうに。
私たちは魔法の恩恵を受けて生きているけど、魔法のために生きているわけではない。魔法は生きるための手段。
レイセン王国は魔法と国境にある竜鱗壁によって帝国の支配もはね除けて存続し続けてきた国だから、魔法を尊ぶ気持ちは分からないでもないけど、ここまで必死にはなれないや。
やっぱり、この辺は考え方が違うようだ。
「とりあえず、生成石は回収させてもらうわよ。それからここからが問題なんだけど、誰に報告したらいいかしら? イシュアン卿は論外として、他の大臣二人も厄介な性格してるのよね」
そう言えば、魔法管理局の三人の大臣も派閥争いみたいなのあるんだっけ?
「だったら、門外漢のバラットに頼んだらいいんじゃない?」
「わっ! へ? 天幻鳥!? なんでこんなところに・・・・・・というか、天幻鳥って喋ったっけ?」
突然頭上から声がして、顔を上げるとカモくらいの大きさの半透明な白く美しい鳥が羽ばたいていた。
天幻鳥と呼ばれる幻獣の一種だ。普通、こんなところにいない筈なんだけど。それに幻獣とはいえ、人語を介するのはほんの僅かだし。
「ミリアちゃん、おはよう」
「え? おはようございます」
「大きくなったわねぇ。それに元気に育ってるみたいで何より。成人の儀が楽しみだわ」
楽しげな声に全く心当たりがなくて困惑する。うーん、女の人って言うのは分かる。多分、魔法を使って天幻鳥を介して語りかけているっていうのも。ただ、誰かは分かんない。
ん? でも、姿を見せない。ここは魔法管理局。なんかピースが繋がりそう。
「な・・・・・・な・・・・・・」
テロール子爵が驚きに目を見開いている。その目には畏怖すら見えた。
「来るならもっと早めに来て頂きたかったですね。師匠。ひょっとして寝てました?」
「寝てない。寝てないわよ! ちょっとうとうとしていただけ!」
それは半分は寝ていたのでは?
マリス嬢言ったの師匠という言葉が気になる。
「しょうがないじゃない! 基本的に眠れる職じゃないんだら! 明け方にさー、ちょっとうとうとしちゃっても! もう、この役職ってレイセン王国二番目のブラックな仕事なのよ」
「二番目? 一番目は何ですか?」
関係ないが、気になって訊いてしまった。
「どこぞのブラコンキングよ」
「陛下!?」
「そうそう。あれは自分からブラックやってるものだけどね。ほっといたらこなしてもこなしても減らない仕事が終わるまで、絶対休まない奴だもん。まぁ、ナルク様のおかげで最低限の睡眠はちゃんと取ってるみたいだけど」
魔法管理局で王様に対してここまで言うことが出来て、基本的に眠れない仕事をしてる。尚且つ、姿を見せない人と言えば──。
「聖女様?」
「ピンポーン♪」
それはファンタジーでよくある魔法を使うために必要とされる力。
『祝愛のマナ』でも説明されていたけど、転生して私自身が本当に魔法を使える様になったことと、魔法に関する教育を受けたことから、魔法については理解している。
魔法とは大地の下にある『源泉』と呼ばれる所から生まれるものだ。源泉の魔力はとても純度が高い。質で言えば、ギルハード様の魔力が近いかな。
魔力は源泉から大陸中に川のように流れており、見えない川と呼ばれている。これは源泉の魔力は透明とされていることからついた名前だそうだ。
流れる魔力はそのまま広がり、海や大気にも溶けている。
そのため、大地の上で生きる人間は大地や大気からの魔力を自然に体内に──命に取り込んでいるのだ。
とはいえ、魔力を取り込む量は人や土地による。
エーデルグラン帝国に魔法を使える人間が少ないのも、魔力の流れの影響によるものらしい。
逆に、レイセン王国の人間が皆、魔力を持っているのは、その源泉の上にあるのがこの国だからだ。
だから、レイセン王国の人間は魔力が高く、また強く命に馴染んでいる。
「──とまぁ、こんな感じかな?」
「ほうほう。てことは、ひょっとして魔力食べるのってかなりヤバい?」
一通り魔力について説明すると、イクスは理解したようで興味深そうに頷いた。そして、さっき自分がしようとしていたことがヤバいことと気づいたようだ。
「まぁね。魔力の高い人間が魔力を全部失ったら、九割の確率で死ぬって言われてるからやばかったね」
私が。
「へー、なんかごめんね?」
なんか、気の抜けた謝罪をされた。
「その通り! 源泉こそ、神の領域! 魔力の根源にして、我らの恩恵の全て! 神秘の在処! レイセンの地で生きる者は源泉に選ばれ、魔法の神秘を守る責任があるのだ!」
また、テロール子爵が荒ぶってる。
源泉に選ばれたって──レイセン王国の歴史上、そう呼べるのはただ一人だろうに。
私たちは魔法の恩恵を受けて生きているけど、魔法のために生きているわけではない。魔法は生きるための手段。
レイセン王国は魔法と国境にある竜鱗壁によって帝国の支配もはね除けて存続し続けてきた国だから、魔法を尊ぶ気持ちは分からないでもないけど、ここまで必死にはなれないや。
やっぱり、この辺は考え方が違うようだ。
「とりあえず、生成石は回収させてもらうわよ。それからここからが問題なんだけど、誰に報告したらいいかしら? イシュアン卿は論外として、他の大臣二人も厄介な性格してるのよね」
そう言えば、魔法管理局の三人の大臣も派閥争いみたいなのあるんだっけ?
「だったら、門外漢のバラットに頼んだらいいんじゃない?」
「わっ! へ? 天幻鳥!? なんでこんなところに・・・・・・というか、天幻鳥って喋ったっけ?」
突然頭上から声がして、顔を上げるとカモくらいの大きさの半透明な白く美しい鳥が羽ばたいていた。
天幻鳥と呼ばれる幻獣の一種だ。普通、こんなところにいない筈なんだけど。それに幻獣とはいえ、人語を介するのはほんの僅かだし。
「ミリアちゃん、おはよう」
「え? おはようございます」
「大きくなったわねぇ。それに元気に育ってるみたいで何より。成人の儀が楽しみだわ」
楽しげな声に全く心当たりがなくて困惑する。うーん、女の人って言うのは分かる。多分、魔法を使って天幻鳥を介して語りかけているっていうのも。ただ、誰かは分かんない。
ん? でも、姿を見せない。ここは魔法管理局。なんかピースが繋がりそう。
「な・・・・・・な・・・・・・」
テロール子爵が驚きに目を見開いている。その目には畏怖すら見えた。
「来るならもっと早めに来て頂きたかったですね。師匠。ひょっとして寝てました?」
「寝てない。寝てないわよ! ちょっとうとうとしていただけ!」
それは半分は寝ていたのでは?
マリス嬢言ったの師匠という言葉が気になる。
「しょうがないじゃない! 基本的に眠れる職じゃないんだら! 明け方にさー、ちょっとうとうとしちゃっても! もう、この役職ってレイセン王国二番目のブラックな仕事なのよ」
「二番目? 一番目は何ですか?」
関係ないが、気になって訊いてしまった。
「どこぞのブラコンキングよ」
「陛下!?」
「そうそう。あれは自分からブラックやってるものだけどね。ほっといたらこなしてもこなしても減らない仕事が終わるまで、絶対休まない奴だもん。まぁ、ナルク様のおかげで最低限の睡眠はちゃんと取ってるみたいだけど」
魔法管理局で王様に対してここまで言うことが出来て、基本的に眠れない仕事をしてる。尚且つ、姿を見せない人と言えば──。
「聖女様?」
「ピンポーン♪」
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