131 / 183
第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
派閥
しおりを挟む
「うちの大臣ども──ランカータ、パラメラ、ラグウィンなんだけど、彼らがそれぞれ違う思想を掲げてるってのは言うまでもないわよね」
「国民に寄り添うラグウィン、国家第一のパラメラ、そして、魔法崇拝者ランカータですね」
「そう。持論が異なるから仲が悪いし、基本的に不干渉状態ね。三夫人制度と同じよ。あ、あれはもう機能してないか」
「それはいい。で、ランカータ一派が割れてるというのは」
レヴェルは人払いをしてる分を埋めるように、風魔法で書類を操り、次々と目を通しては書類を捌いていく。
ベルクもそれに続いて自身の作業を会話と平行して行う。
「誰が言ったか、不可侵派と探求派って呼ばれてるわ」
「不可侵と探求?」
二つの派閥名にレヴェルは思考を巡らせた。
不可侵と探求。正反対の言葉だ。ランカータの派閥であれば魔法絡みだろうが。
「簡単に説明するとね、魔法が大好きだからその源である源泉に近づきたいっていうのが探求派。魔法が大好きだから、源泉を神聖不可侵のものとする不可侵派ね」
「・・・・・・どっちも魔法好きですね」
「ランカータだからね~。要は好きだから付き合いたいって思うのと、「ヤバい! 尊い! マジ無理!」ってくらいの違いね」
「あー。源泉を片想いしている同級生か、追っかけしている人気の俳優として捉えてるかって違いですか?」
「そうそう! それ! あー、なんかちょーしっくり来たー。ぶっちゃけ、私もランカータの思想むてよく分かんなかったし。次からはその説明パクっていい?」
「どうぞ」
「誉めて遣わす」
「光栄の至り」
「お前ら、仲いいな・・・・・・というか、やっぱり疲れてるな。ノリがおかしい」
そもそも、疲れてる人間しか今はいなかった。全員若干徹夜ハイになっている状況だ。多少ノリがおかしくなるのは無理からぬことであった。
「つまり、ランカータに源泉に近づこうと考えるものが? 聖女として鉄拳案件じゃないか?」
「別にー。源泉にいける訳なんてないんだから、放置してたのよ。多分、切っ掛けはうちの弟子だろうけど」
「聖女様が指導している白の魔力保有者ですね」
「ああ。ミリアを潰した小娘か・・・・・・シャーロット、お前は一体何を指導してるんだ?」
「魔法指導だけど? 淑女教育は専門外です」
「ああ。お前サボりまくってたからな」
「将来的に軟禁生活送ることになるって知ってて、無駄に厳しい教育受けたくなかったんだもの」
シャーロットは幼少期から聖女として見出だされ、正式な聖女になるまでは王宮暮らしだった。その為、当時からレヴェルとの交流があり、互いの昔のことは大体知っているし、知られている。元々、魔法においては国王と聖女はその権威を二分する存在だ。王太子であったレヴェルと聖女見習いのシャーロットが王家と魔法管理局の友好のために引き合わされるのは道理だった。そのため、二人の仲は悪くないが、逆に遠慮もなく喧嘩に発展しやすくもあった。
レヴェルとシャーロットの機嫌がそれぞれ低下していくのを見て、これは不味いと思ったベルクは上擦った声でシャーロットに先を促す。
「白の魔力保有者は少ないですが、今までもいたはず。何故、今なのですか?」
「国民に寄り添うラグウィン、国家第一のパラメラ、そして、魔法崇拝者ランカータですね」
「そう。持論が異なるから仲が悪いし、基本的に不干渉状態ね。三夫人制度と同じよ。あ、あれはもう機能してないか」
「それはいい。で、ランカータ一派が割れてるというのは」
レヴェルは人払いをしてる分を埋めるように、風魔法で書類を操り、次々と目を通しては書類を捌いていく。
ベルクもそれに続いて自身の作業を会話と平行して行う。
「誰が言ったか、不可侵派と探求派って呼ばれてるわ」
「不可侵と探求?」
二つの派閥名にレヴェルは思考を巡らせた。
不可侵と探求。正反対の言葉だ。ランカータの派閥であれば魔法絡みだろうが。
「簡単に説明するとね、魔法が大好きだからその源である源泉に近づきたいっていうのが探求派。魔法が大好きだから、源泉を神聖不可侵のものとする不可侵派ね」
「・・・・・・どっちも魔法好きですね」
「ランカータだからね~。要は好きだから付き合いたいって思うのと、「ヤバい! 尊い! マジ無理!」ってくらいの違いね」
「あー。源泉を片想いしている同級生か、追っかけしている人気の俳優として捉えてるかって違いですか?」
「そうそう! それ! あー、なんかちょーしっくり来たー。ぶっちゃけ、私もランカータの思想むてよく分かんなかったし。次からはその説明パクっていい?」
「どうぞ」
「誉めて遣わす」
「光栄の至り」
「お前ら、仲いいな・・・・・・というか、やっぱり疲れてるな。ノリがおかしい」
そもそも、疲れてる人間しか今はいなかった。全員若干徹夜ハイになっている状況だ。多少ノリがおかしくなるのは無理からぬことであった。
「つまり、ランカータに源泉に近づこうと考えるものが? 聖女として鉄拳案件じゃないか?」
「別にー。源泉にいける訳なんてないんだから、放置してたのよ。多分、切っ掛けはうちの弟子だろうけど」
「聖女様が指導している白の魔力保有者ですね」
「ああ。ミリアを潰した小娘か・・・・・・シャーロット、お前は一体何を指導してるんだ?」
「魔法指導だけど? 淑女教育は専門外です」
「ああ。お前サボりまくってたからな」
「将来的に軟禁生活送ることになるって知ってて、無駄に厳しい教育受けたくなかったんだもの」
シャーロットは幼少期から聖女として見出だされ、正式な聖女になるまでは王宮暮らしだった。その為、当時からレヴェルとの交流があり、互いの昔のことは大体知っているし、知られている。元々、魔法においては国王と聖女はその権威を二分する存在だ。王太子であったレヴェルと聖女見習いのシャーロットが王家と魔法管理局の友好のために引き合わされるのは道理だった。そのため、二人の仲は悪くないが、逆に遠慮もなく喧嘩に発展しやすくもあった。
レヴェルとシャーロットの機嫌がそれぞれ低下していくのを見て、これは不味いと思ったベルクは上擦った声でシャーロットに先を促す。
「白の魔力保有者は少ないですが、今までもいたはず。何故、今なのですか?」
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった
神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。
全3話完結
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
【完結】貴方をお慕いしておりました。婚約を解消してください。
暮田呉子
恋愛
公爵家の次男であるエルドは、伯爵家の次女リアーナと婚約していた。
リアーナは何かとエルドを苛立たせ、ある日「二度と顔を見せるな」と言ってしまった。
その翌日、二人の婚約は解消されることになった。
急な展開に困惑したエルドはリアーナに会おうとするが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる