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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
脱線し続ける乙女たち
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「謝罪文が必要なくなった、ね。そもそも、ギーシャ王子なら内容暗記してるでしょ? なのにわざわざ処分するってことは何か心境の変化でもあってスピーチ内容を変更したってことじゃない?」
「心境の変化ですか? 確かに、さっきギーシャの顔つきが変わりましたけど、何が?」
「知らないわよ。一緒にいたの貴女でしょ」
羨ましいという気持ちが滲んだ表情でマリス嬢にジト目で睨まれた。
「ギーシャ王子は他になんて?」
「えーっと、あ、会場の方を見て視野が狭いなって」
質問に答えるとリンス嬢は、ギーシャの行動をなぞるように会場に視線を向けた。
「・・・・・・」
「うーん? 皆、普通ですよね? 特に変わったとこもありませんし──お二人はどう思います?」
三人で会場内を覗きながら考える。
会場は相変わらずざわついていて皆、パーティーが始まるのを今か今かと待っている様子だった。
レイセン王国の人間ってお祭りとか、パーティーとか大好きだからなー。
おかげで話が過度に深刻にならずに済みそうだし。
「んんん? 何かしら? 視野って。そもそも、王族とかの要人って万が一に備えて空間把握能力とか鍛えてるんじゃないの?」
「ギーシャは周囲の把握とか昔から早いですよ。おかげでちっちゃい頃は王宮で迷子にならずに済みました」
今でも一人だと無理だけどね。この間も迷ってテルファ様にエンカウントしたし。多分、蕾宮攻略は一生無理だと思う。
「そう。なら、何のことなのかしら?」
「・・・・・・なんか、分かったかもしれないわ」
「!!」
「ええっ!?」
マリス嬢と顔を突き合わせて考えている間に、最初に結論を出したのはリンス嬢だった。
「何よ。本当に分かった訳? 聞こうじゃない」
「マリス嬢、何故喧嘩腰・・・・・・」
「受けて立つ」
「立たんでよろしい! 解説! 解説を!」
ギーシャの心中を自分より先にリンス嬢が理解したのが悔しいのか、マリス嬢の声がやけに刺々しい。
・・・・・・そして、リンス嬢──貴女もしかしなくてもバトルマニア属性ありますね?
ひょっとして、この組み合わせって導火線の長さがお情け程度の爆弾なんじゃあ・・・・・・。
むしろ、今までキャットファイトに発展しなかったのが奇跡だったのかもしれない。
話が進まなくなりそうだったので、多少なりとも強引にリンス嬢に促したが、リンス嬢は困ったように首を傾げた。
「えっと、分かったというか、分かった気がするっていうのがより正確かもしれないわ。けど、ちょっと何て言ったらいいか・・・・・・」
「何よそれ。本当に分かってるの?」
「だから、そうこの──ブラックボックスに手を突っ込んで、中身を掴んで、感触に覚えはあるものの、名前が出てこなくてヤキモキするような──あああ、もやもやする!」
ぐにゃぐにゃと空気を揉むように指を動かしてリンス嬢が唸る。
「あれですか? 喉元まで出かかってる感じ?」
「いえ、少し違う」
「もどかしさの表現法はいいのよ。もう箇条書きみたいになってもいいから、とりあえず言ってみなさいよ」
「はっ! ふわ~、しゅん。ふわふわ」
「誰がそこまでアバウトに言えと言った!?」
流石に擬音のみだと訳が分からない。分かりやすいようにとの配慮なのか、リンス嬢は擬音に合わせて、ジェスチャーをしてくれたけど、返って分からなくなった。
マリス嬢がすかさずツッコミを入れた、と思われたが、
「まさか、脳みそフルマッスルで語彙力が死んでる・・・・・・?」
「おいこら? 流石にそれは悪口だと分かるわよ?」
リンス嬢がマリス嬢が時折見せる黒オーラとはまた違った怪しいオーラを漂わせる。
「え? 何? ボケボケワールドでも展開されてるんですか? それとも新手の精神攻撃か何かです? 三人寄れば文殊の知恵どころか漫才コンテストじゃないですか」
「「ごめんなさい」」
思わずすんっと真顔で突っ込んでしまったが、怒っていると勘違いされたのか二人が素直に謝った。
「別に怒ってはいませんよ」
「貴女、基本顔の筋肉が溶けたアイスくらい緩いから急に真顔になられるとびっくりするのよ」
「喜怒哀楽がはっきり顔に出る人の方が表情固まった時の思考が読めなくて反応に困るんですよね」
「え、私、そんな分かりやすいですか?」
「「かなり」」
おおう。貴族ならポーカーフェイスくらい出来なきゃいけないとは思うけど、私はそういうの向いていないのだろうか?
公爵令嬢とはいえ、特に政治的な立場もなければ、交渉のテーブルに着く機会もないだろうけど。まだ学生だし。
「あれね、ババ抜きで最後の二人になって、ジョーカーが回ってくると詰むタイプよね」
「ダウトとかも弱そう」
RPGに出てくるスライムくらいの強さ判定を受けると流石に悔しい。なので、私はこんな提案をしてみた。
「ぐぐぐ・・・・・・確かにその手のゲームの負け率高めですけど、ここまで雑魚扱いされると腹が立ってきますね。よし! なら、今度のラフィンの件の作戦会議でババ抜きしましょう! 最下位は鬼畜悶絶地獄観光スープイッキ飲みの罰ゲームつきで!」
「きちく? じごく? 何?」
「王都で一番不味いって言われているスープ。ある店の店主が酔っ払った時に作って味見で一嘗めしただけでひっくり返って病院に担ぎ込まれた曰くつき──って、よく知ってたわね」
「はい。噂通りすっごい不味いですよ! 罰ゲームにぴったり!」
「既に飲んでる!?」
「あれ、店の裏メニューになってるんですよね。一部のゲテモノ愛好家の間では密かに有名ですよ。ああ、大丈夫ですよ。提供されるのはちゃんと気絶寸前まで改良されたバージョンなので、泡は吹きません! でも、改良前のはガチで気を失います!」
噂を訊いて、アルクお兄様にお願いして連れてってもらったんだよねー。いやー、ちょっと脳の処理が追いつかない不味さだった。味蕾がバグった。アルクお兄様は一口目でテーブルに額を打ち付けた。
なので、仕方なく私が二杯完飲したんだよねぇ。それで改良前のが気になって無理して作ってもらったら、ちょっと記憶が飛んで気づいたらカルム先生に介抱されてたっけ。味は覚えていない。記憶にすら残らない不味さだったんだろうなぁ。
「店も店で不味いと分かってて何故提供する・・・・・・てゆーか、言い方からして初期のも飲んでるわね!? そういえばジャイアントモンスターだ二頭百足だの言ってたわね」
「ゲテモノ好きなんですか?」
「ゲテモノ関わらず、食べ歩きは数少ない私の趣味ですよ!」
一番の趣味は人間観察だけど。
ゲテモノ系だけでなく、珍しいものとかあったらとりあえず食べちゃう私です。
「やっぱ趣味嗜好は前世に依存しますよね」
「・・・・・・まぁ、そうね」
「・・・・・・確かに。忌々しいですけど、瓦を割ったり、チューブ引きすると落ち着きますね。忌々しいですけど」
また雲行きが怪しく。
どうにも前世の話題は三点リーダーが増えてしまう。
私としても今まで誰にも言えなかった反動でついつい前世という言葉を多用してしまってるからなぁ。
知らず知らずに前世を隠すことにストレスが蓄積されてたのかな。
「ま。ババ抜きはしてもいいけど」
「いいんですか!」
おお!断られると思ってたのに、マリス嬢が乗ってくれたぞ?
「ええ。多分貴女が最下位だろうし。特に被害も出ないでしょうし」
「辛辣ぅ・・・・・・ちなみにリンス嬢は?」
「別に私も構いませんが」
「こっちも乗り気。して、自信の程は? カードゲームとかよくやります?」
手をグーマイクにして、インタビュアーみたいにリンス嬢の口元へ持っていく。
「時々する程度ですね。前世ではオーソドックスなものは一通り。今世でも嗜み程度にポーカーとかを教えられましたから。そして、やるからには勝つわ」
「望むところよ。あ、なら二位にも罰ゲームを用意した方がいいわね。最下位が王都一不味いスープなら、二位は王都一臭いスープにしましょう。洗濯ばさみと防煙眼鏡を用意しておきなさい」
「構わないわ。貴女こそ、口臭スプレーのカタログでも眺めているといいわ」
二人の間に火花が散る。
が、一言よろしいですか?
「ちょっとちょっとちょっと! どうして既に一対一みたいな構造になってるんですか!? 私の最下位決定してるんですか!? 三人でするんですからね! 後、のたうち回ってヘヴンズゲートスープは洗濯ばさみと防煙眼鏡じゃ防げませんよ!」
「「そっちも攻略済みか!」」
「てゆーか、ギーシャ王子の話してたんでしょ?」
「そうですよ! あれ、何で罰ゲーム?」
「その女がミリア嬢がババ抜き弱そうって言ったから」
「この女が貴女がダウト弱そうって言ったから」
「どーせ、私は心理戦は無理ですよおおおおお! もー! そうですよ! ギーシャの心理が分からないので、やっぱ直接聞きます!」
「それがいいんじゃない? 正直、この女の擬音説明じゃ要領得ないし」
「事実とはいえ、貴女に言われると腹立つわね」
リンス嬢がマリス嬢を横目で睨む。が、そんなのはお構い無しに私は言った。
「じゃあ、行きますよ! お二人とも構えて!」
「「は?」」
きょとんとする二人。
「じゃ──────ぁんけん!」
「「え? え?」」
訳も分からず、けど掛け声に反応して拳を握る二人。
「ぽぉん!」
「「ぽん!」」
判定。
マリス・リアルビー:チョキ。
リンス・シュナイザー:パー。
WINNER! マリス・リアルビー!
「おめでとうございます! マリス嬢! じゃ、ギーシャに訊いてきてください!」
「・・・・・・は?」
「心境の変化ですか? 確かに、さっきギーシャの顔つきが変わりましたけど、何が?」
「知らないわよ。一緒にいたの貴女でしょ」
羨ましいという気持ちが滲んだ表情でマリス嬢にジト目で睨まれた。
「ギーシャ王子は他になんて?」
「えーっと、あ、会場の方を見て視野が狭いなって」
質問に答えるとリンス嬢は、ギーシャの行動をなぞるように会場に視線を向けた。
「・・・・・・」
「うーん? 皆、普通ですよね? 特に変わったとこもありませんし──お二人はどう思います?」
三人で会場内を覗きながら考える。
会場は相変わらずざわついていて皆、パーティーが始まるのを今か今かと待っている様子だった。
レイセン王国の人間ってお祭りとか、パーティーとか大好きだからなー。
おかげで話が過度に深刻にならずに済みそうだし。
「んんん? 何かしら? 視野って。そもそも、王族とかの要人って万が一に備えて空間把握能力とか鍛えてるんじゃないの?」
「ギーシャは周囲の把握とか昔から早いですよ。おかげでちっちゃい頃は王宮で迷子にならずに済みました」
今でも一人だと無理だけどね。この間も迷ってテルファ様にエンカウントしたし。多分、蕾宮攻略は一生無理だと思う。
「そう。なら、何のことなのかしら?」
「・・・・・・なんか、分かったかもしれないわ」
「!!」
「ええっ!?」
マリス嬢と顔を突き合わせて考えている間に、最初に結論を出したのはリンス嬢だった。
「何よ。本当に分かった訳? 聞こうじゃない」
「マリス嬢、何故喧嘩腰・・・・・・」
「受けて立つ」
「立たんでよろしい! 解説! 解説を!」
ギーシャの心中を自分より先にリンス嬢が理解したのが悔しいのか、マリス嬢の声がやけに刺々しい。
・・・・・・そして、リンス嬢──貴女もしかしなくてもバトルマニア属性ありますね?
ひょっとして、この組み合わせって導火線の長さがお情け程度の爆弾なんじゃあ・・・・・・。
むしろ、今までキャットファイトに発展しなかったのが奇跡だったのかもしれない。
話が進まなくなりそうだったので、多少なりとも強引にリンス嬢に促したが、リンス嬢は困ったように首を傾げた。
「えっと、分かったというか、分かった気がするっていうのがより正確かもしれないわ。けど、ちょっと何て言ったらいいか・・・・・・」
「何よそれ。本当に分かってるの?」
「だから、そうこの──ブラックボックスに手を突っ込んで、中身を掴んで、感触に覚えはあるものの、名前が出てこなくてヤキモキするような──あああ、もやもやする!」
ぐにゃぐにゃと空気を揉むように指を動かしてリンス嬢が唸る。
「あれですか? 喉元まで出かかってる感じ?」
「いえ、少し違う」
「もどかしさの表現法はいいのよ。もう箇条書きみたいになってもいいから、とりあえず言ってみなさいよ」
「はっ! ふわ~、しゅん。ふわふわ」
「誰がそこまでアバウトに言えと言った!?」
流石に擬音のみだと訳が分からない。分かりやすいようにとの配慮なのか、リンス嬢は擬音に合わせて、ジェスチャーをしてくれたけど、返って分からなくなった。
マリス嬢がすかさずツッコミを入れた、と思われたが、
「まさか、脳みそフルマッスルで語彙力が死んでる・・・・・・?」
「おいこら? 流石にそれは悪口だと分かるわよ?」
リンス嬢がマリス嬢が時折見せる黒オーラとはまた違った怪しいオーラを漂わせる。
「え? 何? ボケボケワールドでも展開されてるんですか? それとも新手の精神攻撃か何かです? 三人寄れば文殊の知恵どころか漫才コンテストじゃないですか」
「「ごめんなさい」」
思わずすんっと真顔で突っ込んでしまったが、怒っていると勘違いされたのか二人が素直に謝った。
「別に怒ってはいませんよ」
「貴女、基本顔の筋肉が溶けたアイスくらい緩いから急に真顔になられるとびっくりするのよ」
「喜怒哀楽がはっきり顔に出る人の方が表情固まった時の思考が読めなくて反応に困るんですよね」
「え、私、そんな分かりやすいですか?」
「「かなり」」
おおう。貴族ならポーカーフェイスくらい出来なきゃいけないとは思うけど、私はそういうの向いていないのだろうか?
公爵令嬢とはいえ、特に政治的な立場もなければ、交渉のテーブルに着く機会もないだろうけど。まだ学生だし。
「あれね、ババ抜きで最後の二人になって、ジョーカーが回ってくると詰むタイプよね」
「ダウトとかも弱そう」
RPGに出てくるスライムくらいの強さ判定を受けると流石に悔しい。なので、私はこんな提案をしてみた。
「ぐぐぐ・・・・・・確かにその手のゲームの負け率高めですけど、ここまで雑魚扱いされると腹が立ってきますね。よし! なら、今度のラフィンの件の作戦会議でババ抜きしましょう! 最下位は鬼畜悶絶地獄観光スープイッキ飲みの罰ゲームつきで!」
「きちく? じごく? 何?」
「王都で一番不味いって言われているスープ。ある店の店主が酔っ払った時に作って味見で一嘗めしただけでひっくり返って病院に担ぎ込まれた曰くつき──って、よく知ってたわね」
「はい。噂通りすっごい不味いですよ! 罰ゲームにぴったり!」
「既に飲んでる!?」
「あれ、店の裏メニューになってるんですよね。一部のゲテモノ愛好家の間では密かに有名ですよ。ああ、大丈夫ですよ。提供されるのはちゃんと気絶寸前まで改良されたバージョンなので、泡は吹きません! でも、改良前のはガチで気を失います!」
噂を訊いて、アルクお兄様にお願いして連れてってもらったんだよねー。いやー、ちょっと脳の処理が追いつかない不味さだった。味蕾がバグった。アルクお兄様は一口目でテーブルに額を打ち付けた。
なので、仕方なく私が二杯完飲したんだよねぇ。それで改良前のが気になって無理して作ってもらったら、ちょっと記憶が飛んで気づいたらカルム先生に介抱されてたっけ。味は覚えていない。記憶にすら残らない不味さだったんだろうなぁ。
「店も店で不味いと分かってて何故提供する・・・・・・てゆーか、言い方からして初期のも飲んでるわね!? そういえばジャイアントモンスターだ二頭百足だの言ってたわね」
「ゲテモノ好きなんですか?」
「ゲテモノ関わらず、食べ歩きは数少ない私の趣味ですよ!」
一番の趣味は人間観察だけど。
ゲテモノ系だけでなく、珍しいものとかあったらとりあえず食べちゃう私です。
「やっぱ趣味嗜好は前世に依存しますよね」
「・・・・・・まぁ、そうね」
「・・・・・・確かに。忌々しいですけど、瓦を割ったり、チューブ引きすると落ち着きますね。忌々しいですけど」
また雲行きが怪しく。
どうにも前世の話題は三点リーダーが増えてしまう。
私としても今まで誰にも言えなかった反動でついつい前世という言葉を多用してしまってるからなぁ。
知らず知らずに前世を隠すことにストレスが蓄積されてたのかな。
「ま。ババ抜きはしてもいいけど」
「いいんですか!」
おお!断られると思ってたのに、マリス嬢が乗ってくれたぞ?
「ええ。多分貴女が最下位だろうし。特に被害も出ないでしょうし」
「辛辣ぅ・・・・・・ちなみにリンス嬢は?」
「別に私も構いませんが」
「こっちも乗り気。して、自信の程は? カードゲームとかよくやります?」
手をグーマイクにして、インタビュアーみたいにリンス嬢の口元へ持っていく。
「時々する程度ですね。前世ではオーソドックスなものは一通り。今世でも嗜み程度にポーカーとかを教えられましたから。そして、やるからには勝つわ」
「望むところよ。あ、なら二位にも罰ゲームを用意した方がいいわね。最下位が王都一不味いスープなら、二位は王都一臭いスープにしましょう。洗濯ばさみと防煙眼鏡を用意しておきなさい」
「構わないわ。貴女こそ、口臭スプレーのカタログでも眺めているといいわ」
二人の間に火花が散る。
が、一言よろしいですか?
「ちょっとちょっとちょっと! どうして既に一対一みたいな構造になってるんですか!? 私の最下位決定してるんですか!? 三人でするんですからね! 後、のたうち回ってヘヴンズゲートスープは洗濯ばさみと防煙眼鏡じゃ防げませんよ!」
「「そっちも攻略済みか!」」
「てゆーか、ギーシャ王子の話してたんでしょ?」
「そうですよ! あれ、何で罰ゲーム?」
「その女がミリア嬢がババ抜き弱そうって言ったから」
「この女が貴女がダウト弱そうって言ったから」
「どーせ、私は心理戦は無理ですよおおおおお! もー! そうですよ! ギーシャの心理が分からないので、やっぱ直接聞きます!」
「それがいいんじゃない? 正直、この女の擬音説明じゃ要領得ないし」
「事実とはいえ、貴女に言われると腹立つわね」
リンス嬢がマリス嬢を横目で睨む。が、そんなのはお構い無しに私は言った。
「じゃあ、行きますよ! お二人とも構えて!」
「「は?」」
きょとんとする二人。
「じゃ──────ぁんけん!」
「「え? え?」」
訳も分からず、けど掛け声に反応して拳を握る二人。
「ぽぉん!」
「「ぽん!」」
判定。
マリス・リアルビー:チョキ。
リンス・シュナイザー:パー。
WINNER! マリス・リアルビー!
「おめでとうございます! マリス嬢! じゃ、ギーシャに訊いてきてください!」
「・・・・・・は?」
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