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【2】現れたのは
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従兄妹達の衝撃の事実を知ってしまったティティアは、ショックのあまり暫し呆然としていたが、我に返るとすぐに頭を抱えた。
(ええー!? 嘘でしょぉ? パーゼスとカティスって・・・・・・色々最悪なんだけど・・・・・・)
何せ、どちらも血縁である。気まずいどころの騒ぎではない。
(これ、どうしたらいいのよ・・・・・・)
途方に暮れて動くに動けずにいると、耳元でついさっき聞いた低い声がした。
「うわー。パーゼスの奴、やりやがったな」
「おわ────っ!!!?」
悲鳴を上げそうになり、結局口から出ることは止められなかったが、パーゼス達に気づかれない位の音量に落とす事は出来たティティアは、心臓をばくばくさせながら、気づいたら隣で一緒に逢瀬を見ていたレノルドの方を向く。
「びっくりさせないでよ!」
「悪い悪い」
全く悪びれてない謝罪を口にするレノルドをティティアは横目で睨む。
「てゆうか、何でここにいるの?」
「花摘み終わったから、戻ろうとしたら宴会場に向かった筈のティティアがこんな所で屈み込んでるから、何かあったのかと思ったんだよ」
そしたらこれだ、と呆れ顔で視線を戻すレノルドに、ティティアも「あぁ・・・・・・」となって、溜息を吐き出した。
「おにい様、夜になったら私、街へ行きたいです」
「可愛いカティスのお願いは叶えてあげたいけれど、今日は親族が揃っているし、それは無理じゃないかな?」
「大丈夫ですよぉ。だって、毎年新年会は夜になるとみぃんな酔っ払っちゃって、後の事なんて覚えてないんですから。ちょっと、抜け出して朝に戻ってもバレませんよ! カティス、今年初めての夜はパーゼスおにい様と二人っきりで過ごしたいなぁ」
「なるほど! カティスは賢いなぁ。まぁ、どうせ酒の飲めないレノルドとティティアは大人達が乱痴気騒ぎを始める前には寝室へ向かうしな。せっかくの年始めだ。目一杯羽を伸ばすとしよう」
「やったぁ!」
まさかティティア達が近くにいるとは思いもしない二人は、楽しげに夜に抜け出す話をしている。
それを聞いてティティアはしょっぱい顔になった。
「どうするんだ? アレ」
さして興味のなさそうな顔で、レノルドが二人を指差して訊ねる。
「どうもこうも・・・・・・この後すぐに宴じゃない。流石に一族総出の祝いの席に水差すような真似はしたくないわ。夜にでもお父様達に相談する」
「そうか。まぁ、俺も見ちゃったし、何かあったら相談しろよ」
「うん。ありがとう」
とりあえず、この件は一旦保留にして、二人に気づかれないようにこの場から退散しようとした。
「貴方達! こんな所で何をしているの!?」
びくっとティティアとレノルドの背中が跳ね上がり、振り返る。
するとそこには顔を真っ青にしたパーゼスとカティス。そして、眉を吊り上げ、怒りを迸らせている妙齢の女性がいた。
「あちゃー・・・・・・」
「最悪の展開ね」
厄介な事になったと言いたげに眉間を押さえるレノルドに、ティティアも眉尻を下げて首を振った。
雷鳴の様な声と共に現れたのは、レノルドの母であるシューノイン公爵夫人だった。
(ええー!? 嘘でしょぉ? パーゼスとカティスって・・・・・・色々最悪なんだけど・・・・・・)
何せ、どちらも血縁である。気まずいどころの騒ぎではない。
(これ、どうしたらいいのよ・・・・・・)
途方に暮れて動くに動けずにいると、耳元でついさっき聞いた低い声がした。
「うわー。パーゼスの奴、やりやがったな」
「おわ────っ!!!?」
悲鳴を上げそうになり、結局口から出ることは止められなかったが、パーゼス達に気づかれない位の音量に落とす事は出来たティティアは、心臓をばくばくさせながら、気づいたら隣で一緒に逢瀬を見ていたレノルドの方を向く。
「びっくりさせないでよ!」
「悪い悪い」
全く悪びれてない謝罪を口にするレノルドをティティアは横目で睨む。
「てゆうか、何でここにいるの?」
「花摘み終わったから、戻ろうとしたら宴会場に向かった筈のティティアがこんな所で屈み込んでるから、何かあったのかと思ったんだよ」
そしたらこれだ、と呆れ顔で視線を戻すレノルドに、ティティアも「あぁ・・・・・・」となって、溜息を吐き出した。
「おにい様、夜になったら私、街へ行きたいです」
「可愛いカティスのお願いは叶えてあげたいけれど、今日は親族が揃っているし、それは無理じゃないかな?」
「大丈夫ですよぉ。だって、毎年新年会は夜になるとみぃんな酔っ払っちゃって、後の事なんて覚えてないんですから。ちょっと、抜け出して朝に戻ってもバレませんよ! カティス、今年初めての夜はパーゼスおにい様と二人っきりで過ごしたいなぁ」
「なるほど! カティスは賢いなぁ。まぁ、どうせ酒の飲めないレノルドとティティアは大人達が乱痴気騒ぎを始める前には寝室へ向かうしな。せっかくの年始めだ。目一杯羽を伸ばすとしよう」
「やったぁ!」
まさかティティア達が近くにいるとは思いもしない二人は、楽しげに夜に抜け出す話をしている。
それを聞いてティティアはしょっぱい顔になった。
「どうするんだ? アレ」
さして興味のなさそうな顔で、レノルドが二人を指差して訊ねる。
「どうもこうも・・・・・・この後すぐに宴じゃない。流石に一族総出の祝いの席に水差すような真似はしたくないわ。夜にでもお父様達に相談する」
「そうか。まぁ、俺も見ちゃったし、何かあったら相談しろよ」
「うん。ありがとう」
とりあえず、この件は一旦保留にして、二人に気づかれないようにこの場から退散しようとした。
「貴方達! こんな所で何をしているの!?」
びくっとティティアとレノルドの背中が跳ね上がり、振り返る。
するとそこには顔を真っ青にしたパーゼスとカティス。そして、眉を吊り上げ、怒りを迸らせている妙齢の女性がいた。
「あちゃー・・・・・・」
「最悪の展開ね」
厄介な事になったと言いたげに眉間を押さえるレノルドに、ティティアも眉尻を下げて首を振った。
雷鳴の様な声と共に現れたのは、レノルドの母であるシューノイン公爵夫人だった。
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