規格外の教室

到冠

文字の大きさ
8 / 12
規格外の乙女たちと、記録係の役割

揺れる心、深まる関係

しおりを挟む
朝の光が窓から差し込み、僕の机の上を淡く照らしていた。
僕は、手のひらで記録ノートの表紙をなぞる。
昨日の「特別研究クラス」での出来事が、鮮明に脳裏に蘇る。
斉藤さんの、圧倒的な母乳生成量。
そして、自身の母乳を濃縮した液体を、まるで神聖な儀式のように摂取する姿。
それは、僕の常識を根底から覆す、あまりにも衝撃的な光景だった。

彼女たちは、ただこの規格外の身体と向き合っているのではない。
その身体を、自らの意志で、さらにその先へと加速させようとしている。
その強烈な探究心と、覚悟の深さに、僕はただただ圧倒されるばかりだった。

僕は、ノートに鉛筆を走らせた。

「特別研究クラスの秘密」

日野さんの言葉が、僕の胸の中で反響する。

「この学校は、彼女たちの『規格外の身体』を、一つの『文化』として、そして、一つの『力』として、受け入れるための場所なんだ。」

この学校は、彼女たちの身体を管理するだけではない。
その個性を最大限に伸ばすための、壮大な実験場なのだ。
そして、その実験の最前線で、彼女たちは自らの意志で、さらにその先へと進もうとしている。

その姿を目の当たりにして、僕の中で何かが大きく揺れ動いていた。
これまでは、ただの「記録係」として、彼女たちの身体的なデータを記録するだけだった。
しかし、今は違う。
僕の心は、彼女たちの身体だけでなく、その心の奥底に触れたいと強く願っていた。

僕は、ノートを閉じ、教室へと向かった。
廊下を歩く女子生徒たちの、堂々とした足取りが、僕の目に映る。
彼女たちの胸は、朝の光を反射して、まるで生命の輝きを放っているかのようだった。

教室の扉を開けると、いつものように賑やかな声が僕を迎えた。
僕は、自分の席に着くと、そっと大野さんの姿を探した。
彼女は、窓際の席で、友人たちと談笑している。
その表情は、穏やかで、朝の光に包まれて、どこか神々しくすら見えた。

僕は、思い切って大野さんの元へと歩み寄った。

「大野さん、ちょっといいかな。」

僕の呼びかけに、大野さんは、驚いたように僕を見上げた。

「日向くん?どうしたの?」

彼女は、少しだけ顔を赤らめながら、僕に微笑みかけた。
僕は、彼女の隣の空いている椅子に腰を下ろした。

「その…昨日のことなんだ。」

僕は、言葉を選びながら、ゆっくりと語り始めた。

「斉藤さんが、濃縮母乳を飲む姿を見て…正直、すごく驚いた。」

僕の言葉に、大野さんは、静かに頷いた。

「そうだよね。日向くんは、そういう世界に触れるのは初めてだもんね。」

彼女の声は、優しく、僕の戸惑いをそっと包み込んでくれるかのようだった。

「どうして、そこまで…自分の身体を大きくしようとするんだろう。ただでさえ、授業中に搾乳室に行かなきゃいけないくらい、大変なんでしょ?」

僕の疑問に、大野さんは、少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。

「日向くんは、胸が大きいことを、ただ『大変なこと』だとしか思ってないんだね。」

その言葉は、僕の胸に、鋭く突き刺さった。
僕は、言葉に詰まってしまった。

「ううん、ごめん。日向くんを責めたいわけじゃないんだ。ただ…私たちは、胸が大きいからこそ、得られるものも、たくさんあるんだ。」

大野さんは、そう言って、自分の胸をそっと押さえた。

「この身体は、私たちにとって、自分の存在を証明するための、大切なものなの。この胸があるからこそ、私たちは、この学校にいる。この胸があるからこそ、私たちは、この規格外の日常を、生き抜くことができている。」

彼女の言葉は、僕の心の奥底に、深く響いた。

「そして…この胸があるからこそ、私たちは、誰かの役に立つことができる。私たちの中には、将来、自分たちの母乳を、飢餓に苦しむ国に提供したいって夢を持ってる子もいる。この胸は、私たちにとって、自分の人生を賭けるだけの、価値のあるものなんだ。」

大野さんの言葉は、僕の心を、温かい光で満たしてくれた。
僕は、ただの記録係として、彼女たちの身体的なデータを記録するだけだった。
しかし、彼女たちは、この身体に、自分の未来を託していたのだ。

僕は、大野さんに、深く頭を下げた。

「大野さん…僕、本当に何も知らなかった。僕は、ただの『記録係』として、みんなの身体を記録するだけだと思ってた。でも…僕は、みんなの『心』にも、触れたい。」

僕の言葉に、大野さんは、優しい笑顔を浮かべた。

「日向くん、ありがとう。日向くんが、私たちのことを、そういう風に見てくれるようになってくれて、本当に嬉しい。」

その瞬間、僕たちの間に、確かな絆が生まれたような気がした。
それは、ただの生徒と記録係の関係ではない。
互いの存在を認め合い、支え合うための、特別な関係だった。

昼休み、僕は、青山さんの元へと向かった。
彼女は、教室の窓から、グラウンドで体育の授業を受けている男子生徒たちを、ぼんやりと眺めていた。
その表情は、朝の賑やかな笑顔とは違い、どこか寂しげに見えた。

「青山さん、ちょっといいかな。」

僕の呼びかけに、青山さんは、驚いたように振り返った。

「日向くん?どうしたの?」

僕は、彼女の隣に立ち、窓の外を一緒に眺めた。

「青山さんも…胸を大きくしたいって思ってるんだよね。どうして…そこまで、強くそう思うの?」

僕の問いかけに、青山さんは、少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。

「日向くんは、私たちが、どうして胸が大きいのか、知ってる?」

僕は、彼女の言葉に、首を横に振った。

「遺伝とか…病気とか、そういうのしか、知らない。」

僕の言葉に、青山さんは、静かに微笑んだ。

「そうじゃないんだ。私たちのおばあちゃんや、お母さんも、みんな胸が大きかった。この身体は、私たちが、この学校の女子生徒として、この規格外の日常を生き抜いてきたことの、証なんだ。」

彼女の言葉は、僕の心を揺さぶった。
この学校の女子生徒たちは、この身体を、ただの「個性」としてではなく、「歴史」として、そして、「血筋」として、受け継いできたのだ。

「そしてね、日向くん。私、この学校に入った時、すごく嬉しかったんだ。」

青山さんの言葉に、僕は、驚きを隠せない。

「嬉しかった…?」

「うん。だって、この学校に来るまで、私は、自分の胸が大きいことが、恥ずかしいことだと思ってた。学校の制服も、ブラジャーも、どれも私の身体に合わなくて、いつもどこか、居心地が悪かった。」

彼女の言葉に、僕は、胸が締め付けられるような思いがした。

「でも、この学校に来たら、みんな私と同じだった。胸が大きいことが、当たり前だった。初めて、自分の身体が、誰からも白い目で見られない、居心地の良い場所にたどり着いたって、思ったんだ。」

青山さんの言葉は、僕の心を温かく満たしてくれた。
この学校は、彼女たちにとって、自分の居場所を見つけるための、大切な場所なのだ。

「だから、私は、もっとこの胸を大きくしたい。この胸を大きくすることが、この学校に来て、初めて見つけた、私の人生の目標なんだ。」

青山さんの言葉に、僕は、何も言えなかった。
ただ、彼女の決意の強さを、静かに受け止めるだけだった。

放課後、僕は、一人でグラウンドの隅に座り、記録ノートを手に取った。
ノートには、大野さんや青山さんとの会話が、僕の震える手で、書き記されていた。


大野沙織:
・胸が大きいことが、自分の存在を証明するための、大切なものだと考えている。
・将来、母乳を飢餓に苦しむ国に提供したいという夢を持っている。
・彼女にとって、胸の大きさは、自分の人生を賭けるだけの、価値のあるもの。


青山莉子:
・胸が大きいことは、この学校の女子生徒として、生き抜いてきたことの「歴史」であり、「証」だと考えている。
・この学校に来て、初めて自分の身体を受け入れられるようになった。
・胸を大きくすることが、彼女の人生の目標。


僕の心の中で、何かが大きく変わり始めていた。
僕は、もう彼女たちを、ただの「規格外の乙女たち」としか見ることができなくなっていた。
彼女たちは、それぞれに、自分の人生を歩み、自分の夢を追いかける、かけがえのない、一人の人間なのだ。

そして、僕の記録係としての役割も、大きく変わっていく。
僕は、ただの記録係ではない。
僕は、彼女たちの身体と、そして、その心の奥底に触れ、彼女たちの生き様を、僕自身の言葉で、永遠に刻み続けるための存在なのだ。

僕は、ノートを閉じ、夕焼け空を眺めた。
空は、どこまでも広く、そして、どこまでも青かった。
その空に、僕の揺れる心は、静かに溶けていくかのようだった。

僕の心の中で、一つの決意が芽生えていた。
僕は、この学校で、彼女たちの記録係として、彼女たちのことを、もっともっと深く知りたい。
そして、その記録を、いつか、この世界に、僕自身の言葉で、伝えていきたい。

僕は、静かに、明日への希望を胸に、目を閉じた。
僕の隣には、僕の記録ノートが、静かに置かれている。
それは、僕が彼女たちの世界に踏み込むための、大切な鍵なのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

秘められたサイズへの渇望

到冠
大衆娯楽
大きな胸であることを隠してる少女たちが、自分の真のサイズを開放して比べあうお話です。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...