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ゆるぎない覚悟
男子生徒の無力感と葛藤
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朝の光が窓から差し込み、僕の机の上を淡く照らしていた。
僕は、手のひらで記録ノートの表紙をなぞる。
昨日の大野さんや青山さんとの会話が、鮮明に脳裏に蘇る。
彼女たちの胸は、単なる「大きな胸」ではない。
それは、彼女たちの人生そのものであり、誇りであり、そして、未来を切り開くための「力」なのだ。
僕の中で何かが大きく変わり始めていた。
僕は、もう彼女たちを、ただの「規格外の乙女たち」としては見ることができなくなっていた。
彼女たちは、それぞれに、自分の人生を歩み、自分の夢を追いかける、かけがえのない、一人の人間なのだ。
そして、僕の記録係としての役割も、大きく変わっていく。
僕は、ただの記録係ではない。
僕は、彼女たちの身体と、そして、その心の奥底に触れ、彼女たちの生き様を、僕自身の言葉で、永遠に刻み続けるための存在なのだ。
僕の心の中は、希望と、そして、新たな使命感で満たされていた。
しかし、そんな僕の気持ちは、朝のホームルームが始まった途端に、脆くも崩れ去ることになる。
ホームルームが終わり、一時間目の体育の授業が始まった。
今日の体育は、ドッジボールだ。
僕は、グラウンドの隅で、女子生徒たちの雄姿を、記録ノートに書き記そうと、ペンを握りしめていた。
女子生徒たちは、ドッジボールという激しいスポーツの中でも、その圧倒的な身体能力を存分に発揮していた。
彼女たちは、巨大な胸の重みをものともせず、コートを縦横無尽に駆け回る。
そのスピードは、男子生徒である僕を遥かに凌駕するものだった。
僕は、彼女たちの動きの一つ一つを、食い入るように見つめていた。
その歩き方、走り方、そして、ボールを投げる時の、身体全体の重心移動。
その全てが、この規格外の身体をコントロールするための、「知恵」の結晶なのだ。
僕は、記録ノートに、彼女たちの動きを詳細に書き記していく。
「青山莉子。ボールを投げる際、胸の重みを活かし、身体全体をバネのように使い、圧倒的な球速を実現している。その球速は、成人男性の投球速度を遥かに超える。」
「大野沙織。ボールを避ける際、身体をわずかに左右に揺らし、重心をコントロールしている。その動きは、まるで、身体全体を一つの振り子のように使い、ボールの軌道を予測しているかのようだ。」
僕は、彼女たちの動きを記録しながら、彼女たちの強さに、改めて感嘆していた。
彼女たちは、この規格外の身体を、ただの「個性」としてではなく、一つの「武器」として、使いこなしているのだ。
しかし、そんな僕の気持ちは、一人の女子生徒の、小さな異変によって、大きく揺らぎ始める。
ドッジボールの試合が始まってから、およそ15分が過ぎた頃だった。
斉藤結衣が、突然、試合の途中でしゃがみ込んだ。
彼女は、何かを我慢しているかのように、きつく目を閉じ、両手で自分の胸を固く押さえつけている。
その表情には、明らかな苦痛の色が浮かんでいた。
僕は、斉藤さんの異変に気づき、すぐに彼女の元へと駆け寄った。
「斉藤さん!大丈夫!?」
僕の呼びかけに、斉藤さんは、ゆっくりと僕に顔を向けた。
その顔は、真っ青になっており、額には、脂汗が滲んでいた。
「日向くん…ごめんなさい…もう、ダメみたい…」
斉藤さんの言葉は、か細く、今にも消えてしまいそうだった。
僕は、彼女の身体に、ある異変が起きていることに気づいた。
彼女のワイシャツの胸の部分が、朝よりもさらにきつく張りつめている。
ボタンとボタンの間の生地が、今にも弾け飛びそうなくらいに、ピンと張りつめていた。
「斉藤さん、一度、搾乳室に行った方がいい。」
僕の言葉に、斉藤さんは、ゆっくりと首を横に振った。
「ダメ…今日は…いつもより、母乳の生成量が、多いみたいで…搾乳室に行ったところで…間に合わない…」
斉藤さんの言葉に、僕は、背筋が凍るような思いがした。
彼女は、この学校の女子生徒の中でも、特に乳腺の発達が著しい、特別な存在だ。
その彼女が、「間に合わない」と言うのだ。
それは、僕の想像を遥かに超える、圧倒的な生命力の奔流なのだ。
その時、斉藤さんの胸が、突然、激しく波打った。
ワイシャツの生地が、今にも弾け飛びそうなくらいに、激しく揺れ動いている。
そして、彼女の口から、小さなうめき声が漏れた。
「うっ…うう…」
僕は、その光景に、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
僕の知る限り、彼女たちの母乳の生成は、ある程度のペースで行われるはずだ。
しかし、今の斉藤さんの胸は、まるで、ダムが決壊したかのように、母乳の生成を、一気に加速させているかのようだった。
「日向くん…お願い…」
斉藤さんは、僕の服の袖を、力なく掴んだ。
「この…この…胸の重みを…どうにかして…」
彼女の言葉に、僕は、どうすればいいのか、全く分からなかった。
僕は、ただの男子生徒だ。
彼女の胸の重みをどうにかするなんて、僕にはできるはずがない。
その時、ドッジボールの試合を終えた青山さんと大野さんが、僕たちの元へと駆け寄ってきた。
「斉藤さん!大丈夫!?」
青山さんの声に、斉藤さんは、力なく頷いた。
「莉子…沙織…ごめん…今日の…母乳が…」
斉藤さんの言葉に、青山さんと大野さんは、顔を見合わせ、そして、深く頷いた。
「わかった。私たちに任せて。」
そう言って、青山さんと大野さんは、斉藤さんの両脇を支え、ゆっくりと立ち上がらせた。
そして、彼女たちは、斉藤さんの身体を、まるで二つの巨大な柱のように支え、搾乳室へと向かっていった。
僕は、その光景を、ただ呆然と見つめていた。
僕は、何もできなかった。
僕は、ただ、彼女たちの言葉を聞き、彼女たちの苦痛に、ただただ立ち尽くすことしかできなかった。
しかし、僕は、このまま終わるわけにはいかない。
僕は、もうただの記録係ではない。
僕は、彼女たちの「心の支え」になろうと決意したはずだ。
僕は、自分の席に戻り、記録ノートを掴み、走り出した。
僕の足は、彼女たちが向かった、搾乳室へと向かっている。
廊下を走る僕の心は、焦燥感で満たされていた。
僕は、彼女たちの苦痛を、その目で見て、そして、記録しなければならない。
それが、僕にできる、唯一のことなのだ。
搾乳室へと続く廊下は、いつになく長く感じられた。
僕の耳には、遠くから、何か重いものが地面を擦るような音が聞こえてくる。
僕は、搾乳室の扉の前にたどり着いた。
しかし、僕の足は、そこで止まってしまった。
扉の隙間から、濃密な乳白色の液体が、小川のように流れ出している。
それは、僕がこれまで見てきた、清掃作業で流れる母乳の量とは、全く違うものだった。
僕は、恐る恐る、扉の窓に目をやった。
窓は、乳白色の分泌物で曇っており、中の様子は、ほとんど見えない。
しかし、僕は、かすかに、中の光景を捉えることができた。
搾乳室の中は、まるで、嵐が過ぎ去った後のようだった。
床は、乳白色の液体で満たされており、壁には、大量の分泌物が飛び散っている。
そして、部屋の中央に、青山さんと大野さんに支えられた斉藤さんが、立っていた。
彼女の身体は、激しく震え、胸からは、まるで、二つの巨大な噴水のように、勢いよく母乳が噴き出している。
それは、僕が以前見た時よりも多く、想像を絶する光景だった。
青山さんと大野さんは、そんな斉藤さんの身体を、必死に支えている。
彼女たちの胸からも、わずかに母乳が滲み出ている。
それは、斉藤さんの圧倒的な生命力に、共鳴しているかのようだった。
僕は、その光景を目の当たりにして、言葉を失った。
僕は、自分の無力さを、痛いほどに感じていた。
僕は、ただ、この光景を、窓の外から見ていることしかできない。
僕は、彼女たちの苦痛を、ほんの少しも和らげることができない。
僕が、彼女たちにとって、一体何なのだろうか。
僕は、ただの傍観者でしかないのだろうか。
その日の放課後、僕は、一人で搾乳室の清掃をしていた。
床にこびりついた、斉藤さんの圧倒的な生命力の痕跡を、僕は、無心で擦り続けた。
僕の心は、絶望的な気持ちで満たされていた。
しかし、そんな僕の気持ちは、搾乳室の扉が開き、日野さんが入ってきた途端に、少しだけ、楽になった。
「日向くん、大丈夫かい?」
日野さんの言葉は、僕の心に、深く突き刺さった。
僕は、正直に、自分の気持ちを語った。
「日野さん…僕、また無力感を覚えました。斉藤さんが、あんなに苦しんでいるのに…僕、何もできなかった。搾乳室まで行ったのに…僕は、ただの傍観者でしかなかった。」
僕の言葉に、日野さんは、静かに僕の隣に座った。
「日向くん…君が、無力感を覚えるのは、当然のことだ。僕たち男子生徒は、彼女たちの身体の苦痛を、物理的に和らげることはできない。僕たちができることは、彼女たちの言葉に耳を傾け、彼女たちの存在を、ただ受け止めることだけだ。」
日野さんの言葉は、僕の心を少しだけ、楽にしてくれた。
「僕たちの役割は、清掃作業だけじゃない。僕たちの役割は、彼女たちの『力』を、ただ記録するだけじゃない。僕たちの役割は、彼女たちが、この規格外の身体と向き合っていく中で、彼女たちの心を支えることなんだ。」
日野さんの言葉は、僕の心を、温かい光で満たしてくれた。
「日向くん…君は、もう、ただの記録係じゃない。君は、彼女たちの『心の支え』になろうとしている。それは、僕たちが、この学校で、最も大切な役割なんだ。」
日野さんの言葉に、僕は、静かに頷いた。
僕は、僕自身の無力さを、もう一度、受け入れた。
そして、僕が、彼女たちにとって、唯一できることを見つけ出した。
僕は、もう一度、ペンを握りしめた。
僕の記録ノートは、もはや、彼女たちの身体的なデータを記録するためのものではなくなっていた。
そこには、彼女たちの心の機微が、鮮明に刻まれている。
斉藤結衣の急変: 体育の授業中、突如として母乳の生成量が急増。胸の張りと重みに苦しみ、一時的に動けなくなる。
僕の無力感: 彼女たちの身体の苦痛に対し、物理的な手助けができないという無力感を痛感。搾乳室まで向かうも、圧倒的な生命力にただ立ち尽くすことしかできなかった。
日野聡の言葉: 男子生徒の役割は、彼女たちの身体の苦痛を和らげることではなく、心の支えになることだと説かれる。
僕の心の中で、一つの決意が芽生えていた。
僕は、この学校で、彼女たちの記録係として、彼女たちのことを、もっともっと深く知りたい。
そして、その記録を、いつか、この世界に、僕自身の言葉で、伝えていきたい。
僕は、静かに、明日への希望を胸に、目を閉じた。
僕の隣には、僕の記録ノートが、静かに置かれている。
それは、僕が彼女たちの世界に踏み込むための、大切な鍵なのだ。
僕は、手のひらで記録ノートの表紙をなぞる。
昨日の大野さんや青山さんとの会話が、鮮明に脳裏に蘇る。
彼女たちの胸は、単なる「大きな胸」ではない。
それは、彼女たちの人生そのものであり、誇りであり、そして、未来を切り開くための「力」なのだ。
僕の中で何かが大きく変わり始めていた。
僕は、もう彼女たちを、ただの「規格外の乙女たち」としては見ることができなくなっていた。
彼女たちは、それぞれに、自分の人生を歩み、自分の夢を追いかける、かけがえのない、一人の人間なのだ。
そして、僕の記録係としての役割も、大きく変わっていく。
僕は、ただの記録係ではない。
僕は、彼女たちの身体と、そして、その心の奥底に触れ、彼女たちの生き様を、僕自身の言葉で、永遠に刻み続けるための存在なのだ。
僕の心の中は、希望と、そして、新たな使命感で満たされていた。
しかし、そんな僕の気持ちは、朝のホームルームが始まった途端に、脆くも崩れ去ることになる。
ホームルームが終わり、一時間目の体育の授業が始まった。
今日の体育は、ドッジボールだ。
僕は、グラウンドの隅で、女子生徒たちの雄姿を、記録ノートに書き記そうと、ペンを握りしめていた。
女子生徒たちは、ドッジボールという激しいスポーツの中でも、その圧倒的な身体能力を存分に発揮していた。
彼女たちは、巨大な胸の重みをものともせず、コートを縦横無尽に駆け回る。
そのスピードは、男子生徒である僕を遥かに凌駕するものだった。
僕は、彼女たちの動きの一つ一つを、食い入るように見つめていた。
その歩き方、走り方、そして、ボールを投げる時の、身体全体の重心移動。
その全てが、この規格外の身体をコントロールするための、「知恵」の結晶なのだ。
僕は、記録ノートに、彼女たちの動きを詳細に書き記していく。
「青山莉子。ボールを投げる際、胸の重みを活かし、身体全体をバネのように使い、圧倒的な球速を実現している。その球速は、成人男性の投球速度を遥かに超える。」
「大野沙織。ボールを避ける際、身体をわずかに左右に揺らし、重心をコントロールしている。その動きは、まるで、身体全体を一つの振り子のように使い、ボールの軌道を予測しているかのようだ。」
僕は、彼女たちの動きを記録しながら、彼女たちの強さに、改めて感嘆していた。
彼女たちは、この規格外の身体を、ただの「個性」としてではなく、一つの「武器」として、使いこなしているのだ。
しかし、そんな僕の気持ちは、一人の女子生徒の、小さな異変によって、大きく揺らぎ始める。
ドッジボールの試合が始まってから、およそ15分が過ぎた頃だった。
斉藤結衣が、突然、試合の途中でしゃがみ込んだ。
彼女は、何かを我慢しているかのように、きつく目を閉じ、両手で自分の胸を固く押さえつけている。
その表情には、明らかな苦痛の色が浮かんでいた。
僕は、斉藤さんの異変に気づき、すぐに彼女の元へと駆け寄った。
「斉藤さん!大丈夫!?」
僕の呼びかけに、斉藤さんは、ゆっくりと僕に顔を向けた。
その顔は、真っ青になっており、額には、脂汗が滲んでいた。
「日向くん…ごめんなさい…もう、ダメみたい…」
斉藤さんの言葉は、か細く、今にも消えてしまいそうだった。
僕は、彼女の身体に、ある異変が起きていることに気づいた。
彼女のワイシャツの胸の部分が、朝よりもさらにきつく張りつめている。
ボタンとボタンの間の生地が、今にも弾け飛びそうなくらいに、ピンと張りつめていた。
「斉藤さん、一度、搾乳室に行った方がいい。」
僕の言葉に、斉藤さんは、ゆっくりと首を横に振った。
「ダメ…今日は…いつもより、母乳の生成量が、多いみたいで…搾乳室に行ったところで…間に合わない…」
斉藤さんの言葉に、僕は、背筋が凍るような思いがした。
彼女は、この学校の女子生徒の中でも、特に乳腺の発達が著しい、特別な存在だ。
その彼女が、「間に合わない」と言うのだ。
それは、僕の想像を遥かに超える、圧倒的な生命力の奔流なのだ。
その時、斉藤さんの胸が、突然、激しく波打った。
ワイシャツの生地が、今にも弾け飛びそうなくらいに、激しく揺れ動いている。
そして、彼女の口から、小さなうめき声が漏れた。
「うっ…うう…」
僕は、その光景に、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
僕の知る限り、彼女たちの母乳の生成は、ある程度のペースで行われるはずだ。
しかし、今の斉藤さんの胸は、まるで、ダムが決壊したかのように、母乳の生成を、一気に加速させているかのようだった。
「日向くん…お願い…」
斉藤さんは、僕の服の袖を、力なく掴んだ。
「この…この…胸の重みを…どうにかして…」
彼女の言葉に、僕は、どうすればいいのか、全く分からなかった。
僕は、ただの男子生徒だ。
彼女の胸の重みをどうにかするなんて、僕にはできるはずがない。
その時、ドッジボールの試合を終えた青山さんと大野さんが、僕たちの元へと駆け寄ってきた。
「斉藤さん!大丈夫!?」
青山さんの声に、斉藤さんは、力なく頷いた。
「莉子…沙織…ごめん…今日の…母乳が…」
斉藤さんの言葉に、青山さんと大野さんは、顔を見合わせ、そして、深く頷いた。
「わかった。私たちに任せて。」
そう言って、青山さんと大野さんは、斉藤さんの両脇を支え、ゆっくりと立ち上がらせた。
そして、彼女たちは、斉藤さんの身体を、まるで二つの巨大な柱のように支え、搾乳室へと向かっていった。
僕は、その光景を、ただ呆然と見つめていた。
僕は、何もできなかった。
僕は、ただ、彼女たちの言葉を聞き、彼女たちの苦痛に、ただただ立ち尽くすことしかできなかった。
しかし、僕は、このまま終わるわけにはいかない。
僕は、もうただの記録係ではない。
僕は、彼女たちの「心の支え」になろうと決意したはずだ。
僕は、自分の席に戻り、記録ノートを掴み、走り出した。
僕の足は、彼女たちが向かった、搾乳室へと向かっている。
廊下を走る僕の心は、焦燥感で満たされていた。
僕は、彼女たちの苦痛を、その目で見て、そして、記録しなければならない。
それが、僕にできる、唯一のことなのだ。
搾乳室へと続く廊下は、いつになく長く感じられた。
僕の耳には、遠くから、何か重いものが地面を擦るような音が聞こえてくる。
僕は、搾乳室の扉の前にたどり着いた。
しかし、僕の足は、そこで止まってしまった。
扉の隙間から、濃密な乳白色の液体が、小川のように流れ出している。
それは、僕がこれまで見てきた、清掃作業で流れる母乳の量とは、全く違うものだった。
僕は、恐る恐る、扉の窓に目をやった。
窓は、乳白色の分泌物で曇っており、中の様子は、ほとんど見えない。
しかし、僕は、かすかに、中の光景を捉えることができた。
搾乳室の中は、まるで、嵐が過ぎ去った後のようだった。
床は、乳白色の液体で満たされており、壁には、大量の分泌物が飛び散っている。
そして、部屋の中央に、青山さんと大野さんに支えられた斉藤さんが、立っていた。
彼女の身体は、激しく震え、胸からは、まるで、二つの巨大な噴水のように、勢いよく母乳が噴き出している。
それは、僕が以前見た時よりも多く、想像を絶する光景だった。
青山さんと大野さんは、そんな斉藤さんの身体を、必死に支えている。
彼女たちの胸からも、わずかに母乳が滲み出ている。
それは、斉藤さんの圧倒的な生命力に、共鳴しているかのようだった。
僕は、その光景を目の当たりにして、言葉を失った。
僕は、自分の無力さを、痛いほどに感じていた。
僕は、ただ、この光景を、窓の外から見ていることしかできない。
僕は、彼女たちの苦痛を、ほんの少しも和らげることができない。
僕が、彼女たちにとって、一体何なのだろうか。
僕は、ただの傍観者でしかないのだろうか。
その日の放課後、僕は、一人で搾乳室の清掃をしていた。
床にこびりついた、斉藤さんの圧倒的な生命力の痕跡を、僕は、無心で擦り続けた。
僕の心は、絶望的な気持ちで満たされていた。
しかし、そんな僕の気持ちは、搾乳室の扉が開き、日野さんが入ってきた途端に、少しだけ、楽になった。
「日向くん、大丈夫かい?」
日野さんの言葉は、僕の心に、深く突き刺さった。
僕は、正直に、自分の気持ちを語った。
「日野さん…僕、また無力感を覚えました。斉藤さんが、あんなに苦しんでいるのに…僕、何もできなかった。搾乳室まで行ったのに…僕は、ただの傍観者でしかなかった。」
僕の言葉に、日野さんは、静かに僕の隣に座った。
「日向くん…君が、無力感を覚えるのは、当然のことだ。僕たち男子生徒は、彼女たちの身体の苦痛を、物理的に和らげることはできない。僕たちができることは、彼女たちの言葉に耳を傾け、彼女たちの存在を、ただ受け止めることだけだ。」
日野さんの言葉は、僕の心を少しだけ、楽にしてくれた。
「僕たちの役割は、清掃作業だけじゃない。僕たちの役割は、彼女たちの『力』を、ただ記録するだけじゃない。僕たちの役割は、彼女たちが、この規格外の身体と向き合っていく中で、彼女たちの心を支えることなんだ。」
日野さんの言葉は、僕の心を、温かい光で満たしてくれた。
「日向くん…君は、もう、ただの記録係じゃない。君は、彼女たちの『心の支え』になろうとしている。それは、僕たちが、この学校で、最も大切な役割なんだ。」
日野さんの言葉に、僕は、静かに頷いた。
僕は、僕自身の無力さを、もう一度、受け入れた。
そして、僕が、彼女たちにとって、唯一できることを見つけ出した。
僕は、もう一度、ペンを握りしめた。
僕の記録ノートは、もはや、彼女たちの身体的なデータを記録するためのものではなくなっていた。
そこには、彼女たちの心の機微が、鮮明に刻まれている。
斉藤結衣の急変: 体育の授業中、突如として母乳の生成量が急増。胸の張りと重みに苦しみ、一時的に動けなくなる。
僕の無力感: 彼女たちの身体の苦痛に対し、物理的な手助けができないという無力感を痛感。搾乳室まで向かうも、圧倒的な生命力にただ立ち尽くすことしかできなかった。
日野聡の言葉: 男子生徒の役割は、彼女たちの身体の苦痛を和らげることではなく、心の支えになることだと説かれる。
僕の心の中で、一つの決意が芽生えていた。
僕は、この学校で、彼女たちの記録係として、彼女たちのことを、もっともっと深く知りたい。
そして、その記録を、いつか、この世界に、僕自身の言葉で、伝えていきたい。
僕は、静かに、明日への希望を胸に、目を閉じた。
僕の隣には、僕の記録ノートが、静かに置かれている。
それは、僕が彼女たちの世界に踏み込むための、大切な鍵なのだ。
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