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永遠なる誓い1
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「神が人を愛するように、神が人を守るように、今日この時互いを愛し慈しみ続けると誓うや」
厳かな大神官の声に、私ははっとして目の前に立つ人の顔を見上げました。
「生涯愛し続けると誓います」
「し、生涯愛し続けると……誓います」
呆然としながら、これは夢なのだと思い誓いの言葉を呟きました。
「ここに新たな絆は誕生した。神は二人の愛を見届け幸いを喜び祝す」
大神官の声が神殿に響いた後、大神官の背後に安置されている神の像から光が放たれたのです。
「祝福だ、神の祝福だ。おめでとうございます!」
沢山の人が神殿の中にいたのだと、初めて気が付きました。
夢とはいえ、私は大勢の人々に祝福されてこの日を迎えたのでしょう。
「スクテラリア」
「お兄様」
先導する神官の後を、お兄様の差し出す左腕に私の手を掛けて歩きながら、夢でもお兄様の妻になれたのなら幸せだと感じていました。
それにしても死んでからも夢は見るのでしょうか、魔神はどこに行ってしまったのでしょうか。
「魔神の孤独を癒そうとしてくれたのは嬉しいが、それでも私からお前の記憶を奪おうとするのは悲しいな」
「え、お兄様何を言って」
記憶を消して欲しいと、私は確かに魔神にお願いしました。
自信過剰かもしれませんが、そうしないとお兄様は幸せになれないと思ったからです。
「でも、魔神の妻にならないと言ってくれたのは嬉しかった。私にとって妻はスクテラリア一人だけだし、スクテラリアにとって夫は私一人だろう?」
「え、それは勿論」
これは夢、なのよね。
こんな会話、まるでお兄様が私が魔神に告げたことを知っているかのような会話、どうしてなのでしょう。
説明できないような不思議なところがあるからこそ、夢なのでしょうか。
「話は後でゆっくりしよう。笑ってスクテラリア、民達が外で私達を待っている」
ゆっくりと歩きながら、神殿の大きな扉が神官達の手によって開かれ、私達は笑顔を浮かべ外へと出ました。
人、人、人。
神殿前の大きな広場を埋め尽くす程の人々が、私達が出てくるのを今や遅しとばかりに待っていたのです。
これは本当に夢なのでしょうか。
でも、私は確かに命を落とし魔神と……。
まさか。
「これは、現実?」
思わず振り返ると見えた神殿の中に立っている両親の顔に、ハッとしてお兄様の方を見るとかすかに頷きました。
何故さっき気が付かなかったのでしょう。
「話は後で、さあ皆が私達の結婚を祝っている、応えてあげなさい」
「は、はい」
お兄様に言われて、私は笑顔で手を顔の辺りに上げて手を振りました。
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
人々の熱気に驚きながら、これは本当に現実なのかもしれないと思いました。
でも、現実ならどうして私がお兄様と結婚を?
お兄様の姿は、白地に金の刺繍の上下に同じく白のマントにふわふわした毛皮の縁取りがされています。
そして、頭上には。
「王冠」
まさか、魔神はお兄様を本当に王にしたのでしょうか。
そんな、馬鹿な。
「お兄様、まさか」
「スクテラリアの考えている通り、私はこの国の王で君は私の妻、つまり王妃になった」
突然私を抱きしめたお兄様の行動に、広場の声は一層大きくなったのです。
「失礼致します」
湯浴みを済ませ、メイド達に落ち着かない薄絹とレースを重ねて出来た物に着替えさせられた私は一人ベッドの端に座っていました。
婚姻を祝う晩餐会を終え重く豪奢なドレスを脱いだことで体は楽になりましたが、気持ちは重いままです。
晩餐会の席にはスィートピーの姿はありませんでした。
前国王と前王妃らしいお父様とお母様は、私達へ祝の言葉を告げたものの、多くは語らず微笑むだけ。
他人の目が多い場所で尋ねられるものでは無いと諦めていれば、お母様から「後日ゆっくり話しましょうね。スティ。あなたをまたこう呼べるのは幸せなことだたわ」と耳打ちされ、お母様にも記憶が残っているのだと分かりました。
スティと呼んだのは、私の本当の両親です。
スクテラリアという名前は、幼かったワタシには難しく自分のことをそう呼び始めたことがきっかけです。
でもその呼び方は殿下にみっともないと言われ禁止されていたのです。
「ここは、私が魔神に望んだ世界なの?」
夢でないのなら、そうなのでしょう。
でも、お兄様を王にして私は魔神と共にいると言ったのです。
それなのに何故。
「そうだよ、ここはスクテラリアが望んだ世界だ。違うのは私と両親ともう一人には記憶があり、スクテラリアが私の妻になったということ」
私の疑問についての答えを言いながら、お兄様が部屋に入ってきたのです。
厳かな大神官の声に、私ははっとして目の前に立つ人の顔を見上げました。
「生涯愛し続けると誓います」
「し、生涯愛し続けると……誓います」
呆然としながら、これは夢なのだと思い誓いの言葉を呟きました。
「ここに新たな絆は誕生した。神は二人の愛を見届け幸いを喜び祝す」
大神官の声が神殿に響いた後、大神官の背後に安置されている神の像から光が放たれたのです。
「祝福だ、神の祝福だ。おめでとうございます!」
沢山の人が神殿の中にいたのだと、初めて気が付きました。
夢とはいえ、私は大勢の人々に祝福されてこの日を迎えたのでしょう。
「スクテラリア」
「お兄様」
先導する神官の後を、お兄様の差し出す左腕に私の手を掛けて歩きながら、夢でもお兄様の妻になれたのなら幸せだと感じていました。
それにしても死んでからも夢は見るのでしょうか、魔神はどこに行ってしまったのでしょうか。
「魔神の孤独を癒そうとしてくれたのは嬉しいが、それでも私からお前の記憶を奪おうとするのは悲しいな」
「え、お兄様何を言って」
記憶を消して欲しいと、私は確かに魔神にお願いしました。
自信過剰かもしれませんが、そうしないとお兄様は幸せになれないと思ったからです。
「でも、魔神の妻にならないと言ってくれたのは嬉しかった。私にとって妻はスクテラリア一人だけだし、スクテラリアにとって夫は私一人だろう?」
「え、それは勿論」
これは夢、なのよね。
こんな会話、まるでお兄様が私が魔神に告げたことを知っているかのような会話、どうしてなのでしょう。
説明できないような不思議なところがあるからこそ、夢なのでしょうか。
「話は後でゆっくりしよう。笑ってスクテラリア、民達が外で私達を待っている」
ゆっくりと歩きながら、神殿の大きな扉が神官達の手によって開かれ、私達は笑顔を浮かべ外へと出ました。
人、人、人。
神殿前の大きな広場を埋め尽くす程の人々が、私達が出てくるのを今や遅しとばかりに待っていたのです。
これは本当に夢なのでしょうか。
でも、私は確かに命を落とし魔神と……。
まさか。
「これは、現実?」
思わず振り返ると見えた神殿の中に立っている両親の顔に、ハッとしてお兄様の方を見るとかすかに頷きました。
何故さっき気が付かなかったのでしょう。
「話は後で、さあ皆が私達の結婚を祝っている、応えてあげなさい」
「は、はい」
お兄様に言われて、私は笑顔で手を顔の辺りに上げて手を振りました。
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
人々の熱気に驚きながら、これは本当に現実なのかもしれないと思いました。
でも、現実ならどうして私がお兄様と結婚を?
お兄様の姿は、白地に金の刺繍の上下に同じく白のマントにふわふわした毛皮の縁取りがされています。
そして、頭上には。
「王冠」
まさか、魔神はお兄様を本当に王にしたのでしょうか。
そんな、馬鹿な。
「お兄様、まさか」
「スクテラリアの考えている通り、私はこの国の王で君は私の妻、つまり王妃になった」
突然私を抱きしめたお兄様の行動に、広場の声は一層大きくなったのです。
「失礼致します」
湯浴みを済ませ、メイド達に落ち着かない薄絹とレースを重ねて出来た物に着替えさせられた私は一人ベッドの端に座っていました。
婚姻を祝う晩餐会を終え重く豪奢なドレスを脱いだことで体は楽になりましたが、気持ちは重いままです。
晩餐会の席にはスィートピーの姿はありませんでした。
前国王と前王妃らしいお父様とお母様は、私達へ祝の言葉を告げたものの、多くは語らず微笑むだけ。
他人の目が多い場所で尋ねられるものでは無いと諦めていれば、お母様から「後日ゆっくり話しましょうね。スティ。あなたをまたこう呼べるのは幸せなことだたわ」と耳打ちされ、お母様にも記憶が残っているのだと分かりました。
スティと呼んだのは、私の本当の両親です。
スクテラリアという名前は、幼かったワタシには難しく自分のことをそう呼び始めたことがきっかけです。
でもその呼び方は殿下にみっともないと言われ禁止されていたのです。
「ここは、私が魔神に望んだ世界なの?」
夢でないのなら、そうなのでしょう。
でも、お兄様を王にして私は魔神と共にいると言ったのです。
それなのに何故。
「そうだよ、ここはスクテラリアが望んだ世界だ。違うのは私と両親ともう一人には記憶があり、スクテラリアが私の妻になったということ」
私の疑問についての答えを言いながら、お兄様が部屋に入ってきたのです。
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※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
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