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番外編
それはまるで夢か幻1(ディーン視点)
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「お前を探すのは簡単でいい。教室と寮以外は図書館か練習場にいるからな」
授業が終わった後図書館のほぼ指定席と化している窓辺の席に座っていた私は、突然声を掛けられて驚きながら振り返った。
入学してからというもの、私は放課後の殆どの時間をここか練習場で過ごしていた。
それなりに仲のいい者はいたけれど、深く付き合う者はいなかった。
自分が今迄生きてきたネルツ侯爵家の環境と、級友達が話す家族像が違いすぎて、私の様な者が友人の顔で付き合ってはいけないのではないかと尻込みしてしまっていたのが原因だった。
「ウィンストン様? 私に何かご用でしょうか」
そこに立っていたのは、天の御使いか何かと見間違う程の美丈夫ニール・ウィンストン公爵令息だった。
挨拶程度しか話したことが無い彼は私の反応をどう取ったのか、テーブルを挟んだ向かいの椅子では無く何故か隣にある椅子に腰を下ろし私が読んでいた本を覗き込んだ。
「何を読んでいる」
「上級魔法陣の応用です」
中級までの魔法陣は難なく描けるものの、上級となると三回に一回は失敗して魔法が発動しない。
細かい線を上手く描けていないのか、それともそこまでの能力が私に無いのか分からないが、失敗続きに嫌気がさして何か改善出来る方法は無いかと探していたら、それ以上の収穫がこの本にあった。
「魔法陣、お前は騎士になるのでは無いのか。お前魔法陣の授業等取っていなっただろう」
何故仲が良いわけでもない者の選択授業等把握しているのだろう、確かに魔法陣の授業を取ってはいない。
母が良い顔をしないと分かっているから、選べなった。
でも興味はあったから、独学で知識を蓄えていた。
「今のところ騎士になるつもりはありません。魔法陣の授業は取っていませんので独学です」
「独学ね。お前は能力もある上、魔法も剣術も努力を欠かさない。剣術はかなりのものだというのに、騎士を目指してはいないというのか」
何をどう頑張っても勝てない相手であるニール・ウィンストン公爵令息に能力があると言われても、素直には喜べない。
嫌味では無いのは分かるが、出来ない事は無いのではないかと思う程勉強も魔法も剣術も秀でている方なのだ。
何せ学年一位の座を入学してから誰にも譲らず守り続けているのだ。
しかも筆記試験は毎回失点無しだというのだから、いくらその次の順位が常に私だとしても、到底喜ぶ気にはなれなかった。
「私は次男ですし、卒業後の進路は早く考えておくべきなのでしょう。確かに騎士になり騎士爵を頂ける様精進する道はありますが、今はそれよりも魔法陣を描く腕を磨きたい。来年度は魔法陣の授業も受けてみようかと考えてはいるんですよ。流石に上級は独学では厳しいと思い始めまたし」
大抵の場合選択授業は初級、中級、上級と難易度を自分で選び受講できる。
今は魔法陣の授業を受けていないが、試験を受けて教師に実力を認められれば初級から学ぶ必要は無いと聞いたことがある。
私は中級までの内容は十分に学んでいるつもりだし中級の本に描かれている魔法陣はすべて記憶し描くことが出来るから、上級の授業を希望するつもりだった。
知れば母の機嫌は悪くなるかもしれないが、入学してから今まで母から何か連絡が来たことはないのだから、選択授業くらい自分の好きにさせて貰ってもいいのではないかと思い始めていた。
兄はすでに卒業し、王宮の文官として勤め始めている。
卒業した兄へ母が考えているのは、母が気に入る兄の妻だろう。
結婚の決定権は父にあるとしても、母が口を出すのは分かり切っていた。
「魔法陣か」
「ウィンストン様は、魔法陣には興味はありませんか」
興味深げに本を見ている彼は、王弟殿下であるウィンストン公爵の息子で確か王位継承位が四番目だった筈だ。
第一王子、第二王子、その次がウィンストン公爵、そして彼だ。
ほんの少し野心を見せれば、彼の父か彼が王になる未来もある。
王子達はまだ幼いから、万が一という場合中継ぎの王にウィンストン公爵がなるだろうし、そうなった場合その父の後を継ぐのは王子では無く彼になるだろう。
候爵家に生まれてはいても、次男の私は兄が家を継いだ時点で平民になる。
あの母が、私にいい婿入り先を望むわけがないから多分そうなるのだろう。
それついて抵抗する気持ちも気力もありはしない。
隣に座る彼と私では、何もかにもが違うのだ。
王になるかもしれない彼から、こんなに気安く話し掛けられる立場に私はいないというのに、彼は何を考えているのだろう。
「それなりに知識があればいいという程度だな。それよりもニールだ」
「え」
「私の名前を知らないか」
「いいえ、存じています。では私はディーンと」
彼が、何故急にそんな事を言い出したのか分からない。
彼の周囲にはいつも人が絶えないが、親しく名前を呼んでいる者などいただろうか。
疑問を感じながらもそう答えると、ニール様は満足気に頷いた。
※※※※※※
番外編アップした筈なのに、何故か手違いで消えてしまいました。
アップしたのが夜中なので見た方少ないと思いますが、混乱させてしまい申し訳ありません。
メンテ中にアプリの方を操作したのが理由の様なんですが、誤字を修正していた話も元に戻っていて涙目です。
こちらの話はリクエストで頂いた「ニールお兄様とディーンの学生時代の話とダニエラとピータの結婚式で一目惚れしたディーンの話」をひとまとめにした物です。
リクエストは先着三名様と考えています。
もうひとつリクエスト頂いたので、残り一名様です。
仕方ない、リクエストしてやるかと思った方いらっしゃいましたら、是非お早目にどうぞ。
ディーンは、自己肯定感底辺、ニールは俺様演出、ディーンには反応が見たくてわざとお前と言っていたりしています。まだ十代の若者なので、青いねと思いつつ読んで頂けたら嬉しいです。
授業が終わった後図書館のほぼ指定席と化している窓辺の席に座っていた私は、突然声を掛けられて驚きながら振り返った。
入学してからというもの、私は放課後の殆どの時間をここか練習場で過ごしていた。
それなりに仲のいい者はいたけれど、深く付き合う者はいなかった。
自分が今迄生きてきたネルツ侯爵家の環境と、級友達が話す家族像が違いすぎて、私の様な者が友人の顔で付き合ってはいけないのではないかと尻込みしてしまっていたのが原因だった。
「ウィンストン様? 私に何かご用でしょうか」
そこに立っていたのは、天の御使いか何かと見間違う程の美丈夫ニール・ウィンストン公爵令息だった。
挨拶程度しか話したことが無い彼は私の反応をどう取ったのか、テーブルを挟んだ向かいの椅子では無く何故か隣にある椅子に腰を下ろし私が読んでいた本を覗き込んだ。
「何を読んでいる」
「上級魔法陣の応用です」
中級までの魔法陣は難なく描けるものの、上級となると三回に一回は失敗して魔法が発動しない。
細かい線を上手く描けていないのか、それともそこまでの能力が私に無いのか分からないが、失敗続きに嫌気がさして何か改善出来る方法は無いかと探していたら、それ以上の収穫がこの本にあった。
「魔法陣、お前は騎士になるのでは無いのか。お前魔法陣の授業等取っていなっただろう」
何故仲が良いわけでもない者の選択授業等把握しているのだろう、確かに魔法陣の授業を取ってはいない。
母が良い顔をしないと分かっているから、選べなった。
でも興味はあったから、独学で知識を蓄えていた。
「今のところ騎士になるつもりはありません。魔法陣の授業は取っていませんので独学です」
「独学ね。お前は能力もある上、魔法も剣術も努力を欠かさない。剣術はかなりのものだというのに、騎士を目指してはいないというのか」
何をどう頑張っても勝てない相手であるニール・ウィンストン公爵令息に能力があると言われても、素直には喜べない。
嫌味では無いのは分かるが、出来ない事は無いのではないかと思う程勉強も魔法も剣術も秀でている方なのだ。
何せ学年一位の座を入学してから誰にも譲らず守り続けているのだ。
しかも筆記試験は毎回失点無しだというのだから、いくらその次の順位が常に私だとしても、到底喜ぶ気にはなれなかった。
「私は次男ですし、卒業後の進路は早く考えておくべきなのでしょう。確かに騎士になり騎士爵を頂ける様精進する道はありますが、今はそれよりも魔法陣を描く腕を磨きたい。来年度は魔法陣の授業も受けてみようかと考えてはいるんですよ。流石に上級は独学では厳しいと思い始めまたし」
大抵の場合選択授業は初級、中級、上級と難易度を自分で選び受講できる。
今は魔法陣の授業を受けていないが、試験を受けて教師に実力を認められれば初級から学ぶ必要は無いと聞いたことがある。
私は中級までの内容は十分に学んでいるつもりだし中級の本に描かれている魔法陣はすべて記憶し描くことが出来るから、上級の授業を希望するつもりだった。
知れば母の機嫌は悪くなるかもしれないが、入学してから今まで母から何か連絡が来たことはないのだから、選択授業くらい自分の好きにさせて貰ってもいいのではないかと思い始めていた。
兄はすでに卒業し、王宮の文官として勤め始めている。
卒業した兄へ母が考えているのは、母が気に入る兄の妻だろう。
結婚の決定権は父にあるとしても、母が口を出すのは分かり切っていた。
「魔法陣か」
「ウィンストン様は、魔法陣には興味はありませんか」
興味深げに本を見ている彼は、王弟殿下であるウィンストン公爵の息子で確か王位継承位が四番目だった筈だ。
第一王子、第二王子、その次がウィンストン公爵、そして彼だ。
ほんの少し野心を見せれば、彼の父か彼が王になる未来もある。
王子達はまだ幼いから、万が一という場合中継ぎの王にウィンストン公爵がなるだろうし、そうなった場合その父の後を継ぐのは王子では無く彼になるだろう。
候爵家に生まれてはいても、次男の私は兄が家を継いだ時点で平民になる。
あの母が、私にいい婿入り先を望むわけがないから多分そうなるのだろう。
それついて抵抗する気持ちも気力もありはしない。
隣に座る彼と私では、何もかにもが違うのだ。
王になるかもしれない彼から、こんなに気安く話し掛けられる立場に私はいないというのに、彼は何を考えているのだろう。
「それなりに知識があればいいという程度だな。それよりもニールだ」
「え」
「私の名前を知らないか」
「いいえ、存じています。では私はディーンと」
彼が、何故急にそんな事を言い出したのか分からない。
彼の周囲にはいつも人が絶えないが、親しく名前を呼んでいる者などいただろうか。
疑問を感じながらもそう答えると、ニール様は満足気に頷いた。
※※※※※※
番外編アップした筈なのに、何故か手違いで消えてしまいました。
アップしたのが夜中なので見た方少ないと思いますが、混乱させてしまい申し訳ありません。
メンテ中にアプリの方を操作したのが理由の様なんですが、誤字を修正していた話も元に戻っていて涙目です。
こちらの話はリクエストで頂いた「ニールお兄様とディーンの学生時代の話とダニエラとピータの結婚式で一目惚れしたディーンの話」をひとまとめにした物です。
リクエストは先着三名様と考えています。
もうひとつリクエスト頂いたので、残り一名様です。
仕方ない、リクエストしてやるかと思った方いらっしゃいましたら、是非お早目にどうぞ。
ディーンは、自己肯定感底辺、ニールは俺様演出、ディーンには反応が見たくてわざとお前と言っていたりしています。まだ十代の若者なので、青いねと思いつつ読んで頂けたら嬉しいです。
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