196 / 310
番外編
おまけ 兄の寵愛弟の思惑19 (デルロイ視点)
しおりを挟む
魔物と戦う者の剣か、確かに彼の剣は私達が日頃鍛錬し身に着けたものとは違う気がする。
彼は自分で必要な素材を得るために魔物を狩ってきた、その経験が彼の剣の強さに繋がっているのだろう。
私のように己を守る為だけの剣、何者かから襲われた時逃げる機会を得るため、助けがくるまでの間身を守る為の術として剣の腕を鍛えているのとは違う、戦う者の剣だ。
「私も彼と戦ってみたいが、多分彼の方が実力は上だ。今の私では悔しいがまともに戦えないだろう」
エベラルドが悔しそうに拳を握りしめる。
日頃騎士達と訓練している彼は、同年代には負けたりしないと豪語しているがその彼が剣を合わせる前からこんな風に言うとは意外過ぎた。
「そうなのか?」
「残念ながら今の私では力不足です。彼の剣は鍛錬しているだけの者とは違う、どこからどう攻撃されても防御と反撃が出来る様に瞬時に動いている様に見えました。対して私は一対一の、あえて言うなら行儀の良い戦い方をする剣です。そして私には圧倒的に実戦経験が足りません」
エベラルドは自分を鍛える事に熱心で、だからこそ彼と自分との実力の差を見ただけで理解したのかもしれない。
「父は、そろそろ私も魔物を狩る経験をした方が良いと言っていましたが、私は人も魔物も変わらないと考えていたので、それは不要だと拒否していました。でも、父の言う通り魔物を狩る経験も必要なのかもしれません」
エベラルドの家の領地、ブレガ領は海に面したところだ。
大きな港があり、海を挟んだ向こうの国からの攻撃より、海賊対策を常に考え動いている。
海に住む魔物もいるが、それは地元を拠点にしている冒険者が対応しているから、エベラルドが今後慣れなければいけないのはやはり人と戦う事だと思う。
でも実戦経験として、魔物を狩ることも必要なのかもしれない。
「確かに旅をしていれば魔物に襲われることもあるだろう。騎士と共に旅をしていたとしても自分が戦えるかどうかで生存率は変わると思うが、そういうことをエベラルドにもそういう経験が必要ということか」
王領地に向かう際、私は騎士達が守る馬車に乗り移動する。
旅の途中魔物が出る事は勿論あるが、それは騎士達によって駆除されて私は戦う様子すら目にすることはない。
ベルガ侯爵の言う経験というのは、そういう事を想定しているのだろうか。
「それもありますが、冒険者の様に自ら野に出て魔物を探し狩る。または迷宮に入り魔物を狩るのです。王宮の騎士団や魔法師団は王宮の森で魔物を狩る訓練をするそうですが、一般貴族家は王宮の森には入れませんので、そうして経験を積むのです」
エベラルドの言っている王宮の森というのは王の森とも言われている場所で、王宮の敷地のすぐ裏にある大きな大きな森の事だ。
あの森だけで小さな男爵領程度の大きさがあるらしいが、本当の大きさはそれ以上だと言う。あの森こそが迷宮になっていて、見た目以上に大きいのだそうだ。
迷宮というのは定期的に魔物を狩らないと大量に魔物が発生して魔物が氾濫を起こす。
だから騎士団と魔法師団の訓練を兼ねて魔物を狩っているが、それでも森の奥までは行くことができない。
王宮の森の最奥には大魔女郎蜘蛛の巣があり、大量の大魔女郎蜘蛛がいるという。その蜘蛛の中に大魔女郎蜘蛛の長とも言える巨大な大魔女郎蜘蛛がいて、それに出会った者は生きて森から出られないとも言われている。
その他に古代竜や魔狼等の災害級の魔物がいるらしいと言われているが、その王宮の森から魔物が出て来ない様に抑えているのも、国境を守る魔法陣と同じものだと言われている。
「それではエベラルドも迷宮に入るのか?」
先生と話をしている留学生を視界の端で気にしながら、エベラルドの話に耳を傾ける。
冒険者と魔物との戦いは、幼い頃兄上が読んで下さった物語に出て来た。
冒険者が竜と戦うその勇ましさは、幼い私の心を掴んで離さずいつか本物の冒険者を見てみたいと思ったものだ。
彼はその冒険者の様に魔物を狩り、必要な素材を得ている。それだけでなく、彼は薬師で錬金術師、他国の薬師と話をする機会など今までなかった。彼ならばもしかすると私が求めている知識を持っているかもしれない。
そう思うと、公には難しいだろうが彼と話せる機会が欲しくなる。
「はい。長期休みに領地に戻り迷宮に入り経験を積んでまいります」
「そうか、エベラルドはもっともっと強くなるのだな。テレンスもそういう計画があるのか?」
私とエベラルドの話を黙って聞いているテレンスは「私は入学前に一度、初級の迷宮に入りましたが狩ったのは小鬼程度の弱い魔物でございます」と教えてくれた。
「小鬼は弱いのか?」
「冒険者になりたての者では狩れないそうですが、少し経験を積んでいれば遅れをとることはないとか」
「……それでもテレンスはすでに魔物を狩っているのか。くぅっ、このエベラルド・ブレガは己の慢心に恥じ入るばかりです。まだまだ訓練が足りませんっ」
エベラルドは相変わらず暑苦しい。
私が魔物を狩るなんて兄上が許さないだろうが、少しだけ憧れがある。
私は守られる者で、自ら危険な場に己を連れて行ってはいけないと分かっていても、そう思う。
「エベラルド、経験等これから積めばいいだけだ。慢心などでは無いと私は思うよ。テレンス、今度迷宮の話を聞かせて欲しい。私はあまりそういう知識が無いのだ」
「畏まりました。では殿下のご都合の良い時にでも」
「で、殿下。何とお優しい言葉を! テレンス私にも迷宮について教えて欲しい!」
エベラルドは暑苦しいが、素直なところは美点なのかもしれない。
「テレンス、エベラルドも一緒でいいか」
「はい、私の経験等細やかなものですが、それでもよろしければ」
私の頼みを快諾してくれたテレンスに、にっこりと微笑むと彼は少し頬を染めながら「殿下のお望みであれば私が否ということはございません」と言ってくれた。
彼は自分で必要な素材を得るために魔物を狩ってきた、その経験が彼の剣の強さに繋がっているのだろう。
私のように己を守る為だけの剣、何者かから襲われた時逃げる機会を得るため、助けがくるまでの間身を守る為の術として剣の腕を鍛えているのとは違う、戦う者の剣だ。
「私も彼と戦ってみたいが、多分彼の方が実力は上だ。今の私では悔しいがまともに戦えないだろう」
エベラルドが悔しそうに拳を握りしめる。
日頃騎士達と訓練している彼は、同年代には負けたりしないと豪語しているがその彼が剣を合わせる前からこんな風に言うとは意外過ぎた。
「そうなのか?」
「残念ながら今の私では力不足です。彼の剣は鍛錬しているだけの者とは違う、どこからどう攻撃されても防御と反撃が出来る様に瞬時に動いている様に見えました。対して私は一対一の、あえて言うなら行儀の良い戦い方をする剣です。そして私には圧倒的に実戦経験が足りません」
エベラルドは自分を鍛える事に熱心で、だからこそ彼と自分との実力の差を見ただけで理解したのかもしれない。
「父は、そろそろ私も魔物を狩る経験をした方が良いと言っていましたが、私は人も魔物も変わらないと考えていたので、それは不要だと拒否していました。でも、父の言う通り魔物を狩る経験も必要なのかもしれません」
エベラルドの家の領地、ブレガ領は海に面したところだ。
大きな港があり、海を挟んだ向こうの国からの攻撃より、海賊対策を常に考え動いている。
海に住む魔物もいるが、それは地元を拠点にしている冒険者が対応しているから、エベラルドが今後慣れなければいけないのはやはり人と戦う事だと思う。
でも実戦経験として、魔物を狩ることも必要なのかもしれない。
「確かに旅をしていれば魔物に襲われることもあるだろう。騎士と共に旅をしていたとしても自分が戦えるかどうかで生存率は変わると思うが、そういうことをエベラルドにもそういう経験が必要ということか」
王領地に向かう際、私は騎士達が守る馬車に乗り移動する。
旅の途中魔物が出る事は勿論あるが、それは騎士達によって駆除されて私は戦う様子すら目にすることはない。
ベルガ侯爵の言う経験というのは、そういう事を想定しているのだろうか。
「それもありますが、冒険者の様に自ら野に出て魔物を探し狩る。または迷宮に入り魔物を狩るのです。王宮の騎士団や魔法師団は王宮の森で魔物を狩る訓練をするそうですが、一般貴族家は王宮の森には入れませんので、そうして経験を積むのです」
エベラルドの言っている王宮の森というのは王の森とも言われている場所で、王宮の敷地のすぐ裏にある大きな大きな森の事だ。
あの森だけで小さな男爵領程度の大きさがあるらしいが、本当の大きさはそれ以上だと言う。あの森こそが迷宮になっていて、見た目以上に大きいのだそうだ。
迷宮というのは定期的に魔物を狩らないと大量に魔物が発生して魔物が氾濫を起こす。
だから騎士団と魔法師団の訓練を兼ねて魔物を狩っているが、それでも森の奥までは行くことができない。
王宮の森の最奥には大魔女郎蜘蛛の巣があり、大量の大魔女郎蜘蛛がいるという。その蜘蛛の中に大魔女郎蜘蛛の長とも言える巨大な大魔女郎蜘蛛がいて、それに出会った者は生きて森から出られないとも言われている。
その他に古代竜や魔狼等の災害級の魔物がいるらしいと言われているが、その王宮の森から魔物が出て来ない様に抑えているのも、国境を守る魔法陣と同じものだと言われている。
「それではエベラルドも迷宮に入るのか?」
先生と話をしている留学生を視界の端で気にしながら、エベラルドの話に耳を傾ける。
冒険者と魔物との戦いは、幼い頃兄上が読んで下さった物語に出て来た。
冒険者が竜と戦うその勇ましさは、幼い私の心を掴んで離さずいつか本物の冒険者を見てみたいと思ったものだ。
彼はその冒険者の様に魔物を狩り、必要な素材を得ている。それだけでなく、彼は薬師で錬金術師、他国の薬師と話をする機会など今までなかった。彼ならばもしかすると私が求めている知識を持っているかもしれない。
そう思うと、公には難しいだろうが彼と話せる機会が欲しくなる。
「はい。長期休みに領地に戻り迷宮に入り経験を積んでまいります」
「そうか、エベラルドはもっともっと強くなるのだな。テレンスもそういう計画があるのか?」
私とエベラルドの話を黙って聞いているテレンスは「私は入学前に一度、初級の迷宮に入りましたが狩ったのは小鬼程度の弱い魔物でございます」と教えてくれた。
「小鬼は弱いのか?」
「冒険者になりたての者では狩れないそうですが、少し経験を積んでいれば遅れをとることはないとか」
「……それでもテレンスはすでに魔物を狩っているのか。くぅっ、このエベラルド・ブレガは己の慢心に恥じ入るばかりです。まだまだ訓練が足りませんっ」
エベラルドは相変わらず暑苦しい。
私が魔物を狩るなんて兄上が許さないだろうが、少しだけ憧れがある。
私は守られる者で、自ら危険な場に己を連れて行ってはいけないと分かっていても、そう思う。
「エベラルド、経験等これから積めばいいだけだ。慢心などでは無いと私は思うよ。テレンス、今度迷宮の話を聞かせて欲しい。私はあまりそういう知識が無いのだ」
「畏まりました。では殿下のご都合の良い時にでも」
「で、殿下。何とお優しい言葉を! テレンス私にも迷宮について教えて欲しい!」
エベラルドは暑苦しいが、素直なところは美点なのかもしれない。
「テレンス、エベラルドも一緒でいいか」
「はい、私の経験等細やかなものですが、それでもよろしければ」
私の頼みを快諾してくれたテレンスに、にっこりと微笑むと彼は少し頬を染めながら「殿下のお望みであれば私が否ということはございません」と言ってくれた。
30
あなたにおすすめの小説
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
転生したので前世の大切な人に会いに行きます!
本見りん
恋愛
魔法大国と呼ばれるレーベン王国。
家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。
……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。
自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。
……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。
『小説家になろう』様にも投稿しています。
『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』
でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる