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番外編
兄の寵愛弟の思惑85
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「呪いなんて、大袈裟な」
唾を飲み込み、真顔で自分を見ているジョバンニ叔父上に微笑もうとするけれど上手くいかない。
呪いの様だと思ったことはない、でも少しおかしいのではないかと思ったことは幾度もある。
兄上が私を思う気持ちは、弟への愛。それは確かだし、そこに歪んだ感情がないのは分かっている。
兄上の気持ちに欲があればさすがに気が付く、でもそんなものを感じたことはない。
向けられているのは、常に私の幸いを望む心だ。
幼い頃、「デルロイが笑ってくれているだけで、僕の心は陽の光に照らされた様に温度を持つ。どうかずっとそうして笑っていて、デルロイの幸せが僕の幸せだ」と言っていた。
あの言葉に嘘を感じた事はない、兄上は本気で私の幸せこそが自分の幸せだと信じている。
「大袈裟、確かにそうなのかもしれません。でも、それは王族に対する他の者の心にも言えると私は密かに考えています」
「他の者?」
「第二王子殿下には自分へ異常に執着する者はいませんか? 私には自分にそういった感情を向ける者が数名いるのを知っていますよ」
異常に執着と聞いて、幾人もの顔が思い浮かぶ。
学校の生徒会長のように、執着なのか何か分からないおかしな感情を自分に向けている者がいる。あれは話が通じないし常軌を逸したように感じるところがある。
荒れに比べると、自分の従者レモ、友人のエベラルドとテレンス、護衛騎士のロイこの辺りはまだ常識的な範囲の好意を私に向けていると思うが、時折敬意とも好意とも言えない妄信的な感情の片鱗が見える気がする時がある。
だが、王子宮で昔から私の身近にいる者達は、レモ達に近いところがあるからどこからがおかしくてどこまでがまともなのかどうか、よく分からない。
だがよくよく考えて見ると、弟や妹達の配下は彼らにそれほどでもない気がする。
「思い当たる節がおありですね」
「あるというか、今気がつきましたが私の配下の殆どはそうかもしれない、友人も親しいと私が思っている者は、それに……」
「王太子殿下がその筆頭ですね」
苦笑するジョバンニ叔父上に、渋々頷く。
「そう嫌がらないでください。王太子殿下は本当に第二王子殿下を大切にしていらっしゃる。あなたが健やかでいられることが王太子殿下のお心の支えだと言っても良い」
ジョバンニ叔父上が何を思いそう言っているのか分からないけれど、兄上が私に「私はこの幼い弟を心から愛し守るために生まれたのだと」と告白してきた時の真剣なまなざしを思い出す。
兄上は私と兄上の関係が兄弟で良かったと、兄弟として生まれたことを神に感謝したいと。誰にもこの立場を奪われずデルロイの唯一の存在でいられると。そう言っていた。
「心の支え何て、私はそんな大層な存在ではありません」
「いいえ、第二王子殿下、あなたは王太子殿下の唯一であり、心の支えでもあります。成人前のあなたはまだ王家の秘密を教えられていませんが、陛下からあなたへ話をするよう承りました」
「王家の秘密ですか」
「はい。その内のいくつかだけですが」
ジョバンニ叔父上の話というのはエマニュエラについてのことだと思っていた、でも違うのだろうか。
「王家には言い伝えがあります。王の血筋に乱れが起きた後、災いの子が生まれ乙女は魔に喰われ、聖なる乙女は光と闇を一つにして新たな時代が始まるというものです」
「血筋に乱れが起き、災いの子が生まれ魔に喰われる? それはまさか、エマニュエラのことなのですか」
血筋の乱れ、王家ですら一夫一婦制のこの国で、正式な夫婦の子ではなく生まれたエマニュエラはそれに該当する気がする。だが、エマニュエラが災いの子で彼女が魔に喰われる?
「分かりませんが、エマニュエラが生まれた時私達はそう考えました」
「では聖なる乙女というのは」
光と闇というのは何だろう、何かの比喩なのかそれとも魔法の属性なのか。
「災いの子がエマニュエラなのだとしたら、聖なる乙女はボナクララなのではないかと考えたことはありました」
「ボナクララが聖なる乙女」
「ええ、でもその考えを変えなければならない出来事が起きました」
「考えを変える? それは一体」
「第二王子殿下とボナクララの子、もしくはその子供の子が災いの子か聖なる乙女のどちらかかもしれないのです」
あまりの事に私は頭を何かで殴られた様な衝撃を受けたのだった。
唾を飲み込み、真顔で自分を見ているジョバンニ叔父上に微笑もうとするけれど上手くいかない。
呪いの様だと思ったことはない、でも少しおかしいのではないかと思ったことは幾度もある。
兄上が私を思う気持ちは、弟への愛。それは確かだし、そこに歪んだ感情がないのは分かっている。
兄上の気持ちに欲があればさすがに気が付く、でもそんなものを感じたことはない。
向けられているのは、常に私の幸いを望む心だ。
幼い頃、「デルロイが笑ってくれているだけで、僕の心は陽の光に照らされた様に温度を持つ。どうかずっとそうして笑っていて、デルロイの幸せが僕の幸せだ」と言っていた。
あの言葉に嘘を感じた事はない、兄上は本気で私の幸せこそが自分の幸せだと信じている。
「大袈裟、確かにそうなのかもしれません。でも、それは王族に対する他の者の心にも言えると私は密かに考えています」
「他の者?」
「第二王子殿下には自分へ異常に執着する者はいませんか? 私には自分にそういった感情を向ける者が数名いるのを知っていますよ」
異常に執着と聞いて、幾人もの顔が思い浮かぶ。
学校の生徒会長のように、執着なのか何か分からないおかしな感情を自分に向けている者がいる。あれは話が通じないし常軌を逸したように感じるところがある。
荒れに比べると、自分の従者レモ、友人のエベラルドとテレンス、護衛騎士のロイこの辺りはまだ常識的な範囲の好意を私に向けていると思うが、時折敬意とも好意とも言えない妄信的な感情の片鱗が見える気がする時がある。
だが、王子宮で昔から私の身近にいる者達は、レモ達に近いところがあるからどこからがおかしくてどこまでがまともなのかどうか、よく分からない。
だがよくよく考えて見ると、弟や妹達の配下は彼らにそれほどでもない気がする。
「思い当たる節がおありですね」
「あるというか、今気がつきましたが私の配下の殆どはそうかもしれない、友人も親しいと私が思っている者は、それに……」
「王太子殿下がその筆頭ですね」
苦笑するジョバンニ叔父上に、渋々頷く。
「そう嫌がらないでください。王太子殿下は本当に第二王子殿下を大切にしていらっしゃる。あなたが健やかでいられることが王太子殿下のお心の支えだと言っても良い」
ジョバンニ叔父上が何を思いそう言っているのか分からないけれど、兄上が私に「私はこの幼い弟を心から愛し守るために生まれたのだと」と告白してきた時の真剣なまなざしを思い出す。
兄上は私と兄上の関係が兄弟で良かったと、兄弟として生まれたことを神に感謝したいと。誰にもこの立場を奪われずデルロイの唯一の存在でいられると。そう言っていた。
「心の支え何て、私はそんな大層な存在ではありません」
「いいえ、第二王子殿下、あなたは王太子殿下の唯一であり、心の支えでもあります。成人前のあなたはまだ王家の秘密を教えられていませんが、陛下からあなたへ話をするよう承りました」
「王家の秘密ですか」
「はい。その内のいくつかだけですが」
ジョバンニ叔父上の話というのはエマニュエラについてのことだと思っていた、でも違うのだろうか。
「王家には言い伝えがあります。王の血筋に乱れが起きた後、災いの子が生まれ乙女は魔に喰われ、聖なる乙女は光と闇を一つにして新たな時代が始まるというものです」
「血筋に乱れが起き、災いの子が生まれ魔に喰われる? それはまさか、エマニュエラのことなのですか」
血筋の乱れ、王家ですら一夫一婦制のこの国で、正式な夫婦の子ではなく生まれたエマニュエラはそれに該当する気がする。だが、エマニュエラが災いの子で彼女が魔に喰われる?
「分かりませんが、エマニュエラが生まれた時私達はそう考えました」
「では聖なる乙女というのは」
光と闇というのは何だろう、何かの比喩なのかそれとも魔法の属性なのか。
「災いの子がエマニュエラなのだとしたら、聖なる乙女はボナクララなのではないかと考えたことはありました」
「ボナクララが聖なる乙女」
「ええ、でもその考えを変えなければならない出来事が起きました」
「考えを変える? それは一体」
「第二王子殿下とボナクララの子、もしくはその子供の子が災いの子か聖なる乙女のどちらかかもしれないのです」
あまりの事に私は頭を何かで殴られた様な衝撃を受けたのだった。
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