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お母様の教え3
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「そうね、力は同じ神力から来ているのだと思うけど、そもそも祖国とこちらの国では祀っている神が違うから、私の考えだけで、どちらがどうとは言えないわねぇ」
「そういえばあちらは、精霊信仰されているのでしたか?」
精霊信仰というのは、我が国には伝わっていないものなので全く分かりませんし、今までお母様に教わった記憶もありません。
というのも、お母様から祖国の話を殆どされないのです。
「ええ、そうよ。この国はイシュル神を信仰しているでしょう? お仕えする神様が異なるのだから聖女が同じとは言えないと思わなくて?」
「そうですね。でもお母様は崇める神様が変わって戸惑いはなかったのですか」
イシュル神様は、金色の髪をした男性神だと伝えられています。
神殿にはイシュル神の像が置かれて、日々人々が祈りを捧げています。
「そうね、私は信仰に特に思い入れなく生きてきたから、何を祈りの対象にするかなんてこだわりはないの。だから精霊神からイシュル神に祈りの対象が変わるのもすぐに受け入れられたわ」
「そ、そうなのですか」
信仰ってそういうものでしょうか、もし私が今他国に嫁ぐことになってその国で祀られている神がイシュル神で無かったとしたら、戸惑うだけでは終われず心からの祈りを捧げることは出来ないかもしれません。
「ええ、そうよ。幼い頃聖女の力を授けて欲しいと何度も何度も私は精霊神に祈ったのよ。ずっとずっと祈り続けて来たのに、精霊神が私に与えたのは戦う力だったわ」
戦う力、それは私とお父様にもありますが、カレンにあるのは人を癒す力です。
カレンは攻撃魔法をどうしても覚えられず、それでも自分の得意な魔法で私達や領民を守ろうと努力して治療院で働けるまでになりました。そして、それだけで満足せずに努力し続けて、とんでもないまじないが付いたお守りや神殿の浄化まで出来るようになってしまいました。
「精霊神の教えはね、常に優しく誠実であれ。たったこれだけなのよ。あの国の王家の女性は誠実そのものなの、身内に優しく、それ以上に他人に優しい。それなのに私は男性と同じく戦いに明け暮れる力しかなかったわ」
幼い私に魔物の狩り方を教えてくれたのは、両親でした。
特にお母様は私が魔物を狩る練習をしている間は、私に付きっきりになって指導してくれました。
魔物を見据えるお母様の、厳しく凛々しい目は、私の憧れでした。
普段はおっとりとした美しい貴族女性だというのに、魔物を狩る場では違うのですから見惚れるなと言う方が無理な話でした。
美しく強いお母様、私の憧れの理想の女性。
だというのに、今のお母様は戦える力はいらなかったとばかりに悲しそうなのです。
「お母様は魔物を狩る力はいらなかったのですか」
「そうではないわ。今はこの力があることを誇らしいと思っていますよ。私に聖女の力があったら、きっとこの国に嫁ぐのを許されなかったでしょうからね」
「それでも昔は違った?」
「昔はね、私の見た目で両親も兄弟も聖女の力があるものと思っていたし、私もそうでしたからね」
お母様の生まれた環境で、お母様の外見が聖女の力を持つものとされているなら、そう思われて当然です。
それなのに、望んでいた力と違うものしか持てなかったのは辛かったでしょう。
「そういえばあちらは、精霊信仰されているのでしたか?」
精霊信仰というのは、我が国には伝わっていないものなので全く分かりませんし、今までお母様に教わった記憶もありません。
というのも、お母様から祖国の話を殆どされないのです。
「ええ、そうよ。この国はイシュル神を信仰しているでしょう? お仕えする神様が異なるのだから聖女が同じとは言えないと思わなくて?」
「そうですね。でもお母様は崇める神様が変わって戸惑いはなかったのですか」
イシュル神様は、金色の髪をした男性神だと伝えられています。
神殿にはイシュル神の像が置かれて、日々人々が祈りを捧げています。
「そうね、私は信仰に特に思い入れなく生きてきたから、何を祈りの対象にするかなんてこだわりはないの。だから精霊神からイシュル神に祈りの対象が変わるのもすぐに受け入れられたわ」
「そ、そうなのですか」
信仰ってそういうものでしょうか、もし私が今他国に嫁ぐことになってその国で祀られている神がイシュル神で無かったとしたら、戸惑うだけでは終われず心からの祈りを捧げることは出来ないかもしれません。
「ええ、そうよ。幼い頃聖女の力を授けて欲しいと何度も何度も私は精霊神に祈ったのよ。ずっとずっと祈り続けて来たのに、精霊神が私に与えたのは戦う力だったわ」
戦う力、それは私とお父様にもありますが、カレンにあるのは人を癒す力です。
カレンは攻撃魔法をどうしても覚えられず、それでも自分の得意な魔法で私達や領民を守ろうと努力して治療院で働けるまでになりました。そして、それだけで満足せずに努力し続けて、とんでもないまじないが付いたお守りや神殿の浄化まで出来るようになってしまいました。
「精霊神の教えはね、常に優しく誠実であれ。たったこれだけなのよ。あの国の王家の女性は誠実そのものなの、身内に優しく、それ以上に他人に優しい。それなのに私は男性と同じく戦いに明け暮れる力しかなかったわ」
幼い私に魔物の狩り方を教えてくれたのは、両親でした。
特にお母様は私が魔物を狩る練習をしている間は、私に付きっきりになって指導してくれました。
魔物を見据えるお母様の、厳しく凛々しい目は、私の憧れでした。
普段はおっとりとした美しい貴族女性だというのに、魔物を狩る場では違うのですから見惚れるなと言う方が無理な話でした。
美しく強いお母様、私の憧れの理想の女性。
だというのに、今のお母様は戦える力はいらなかったとばかりに悲しそうなのです。
「お母様は魔物を狩る力はいらなかったのですか」
「そうではないわ。今はこの力があることを誇らしいと思っていますよ。私に聖女の力があったら、きっとこの国に嫁ぐのを許されなかったでしょうからね」
「それでも昔は違った?」
「昔はね、私の見た目で両親も兄弟も聖女の力があるものと思っていたし、私もそうでしたからね」
お母様の生まれた環境で、お母様の外見が聖女の力を持つものとされているなら、そう思われて当然です。
それなのに、望んでいた力と違うものしか持てなかったのは辛かったでしょう。
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