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お父様からの手紙
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「フィリエ伯爵が実際どの様な考えを持っているのか、それだけでも分かるといいのだけれど」
「どの様なって?」
「王妃様との不貞を陛下が知ってしまえば伯爵家だって無事にすむとは思えないわ。陛下は王妃様を寵愛されているもの。でも知られなければ伯爵は陛下の寵愛する妃の義兄よ。王妃様がお願いすれば何かの大臣の椅子も宰相の地位も伯爵の望むまま与えられた可能性もあるのよ」
この国は幸い陛下といえども一夫一婦制で、側妃も妾妃も禁止されていますが、他国には後宮というところで沢山の妃を持つ制度があるところも無いわけではありません。
王家の血を絶さないを目的とするためと、臣下や他国から妃として娶ることで繋がりを強くする目的があるそうです。
ですが、陛下も一人の人間で好みは当然あり、王妃だけを愛する方もいれば側妃の一人だけを寵愛する方もいて、そうなると寵妃の家族はやはり何かにつけ、目をかけられる様になるそうです。
家の繁栄と自分の繁栄の為に、後宮に入った妃達は寵愛を争うのだと聞いた時はため息しか出ませんでした。
他国の後宮の話より、この国の現状として陛下の唯一の妃である王妃様の発言力はとても大きなものです。
伯爵に野心があるなら王妃様を足掛かりとして宮廷での地位や権力を求めそうなものですが、伯爵はお父様の様に何かの役についているわけではありません。
領主として領地経営のみを行う貴族は少なくありませんが、それが王妃様の実家となると少し違和感を覚えます。
「おばあ様のお話では、前伯爵は野心家だったのよね。そして陛下の目に止まる可能性がある美しい娘を養女にした」
「そうだな」
「それなら目的は伯爵家の繁栄の筈、でも現在の伯爵家は?」
思い付く限りの要職に伯爵家の血筋の者は誰も就いていません。
王妃様が輿入れの際、実家である伯爵家に領地を賜ったという話も無かった筈です。
目立った特産物もなく、さほど広くもない領地を治めるだけの一、伯爵家のままなのです。
「先代伯爵が亡くなったから?」
「それもあるだろうが、王妃様が義兄である伯爵を目立たせない為なんじゃないか?」
「目立つ?」
「そう。伯爵が昔と変わらなければ周囲の貴族は警戒しないだろ。足を引っ張るための粗探しもしない。王妃様は嫁いですぐに王子を産んで、陛下との仲も良く、王太子殿下もすでに成人され子もいらっしゃる。王妃様が嫁いですぐに伯爵やその血筋が優遇されていたらここまで円滑には進まなかったんじゃないか?」
フィリップ殿下の婚約は兎も角、他の方々の婚約はあっさりと決まっていったのだと聞いています。
陛下と殿下方の希望を叶えた形で、王妃様が口を挟むことは無かったそうです。
つまり王妃様が子供の婚約に口を出したのは、フィリップ殿下のみということです。
それはフィリップ殿下だけが父親が違うから、なのでしょうか。
「王妃様は伯爵とフィリップ殿下だけが大切。そういうことなのかしら」
けれど、それが理解できたとして何が私達に出来るというのでしょう。
自分の不甲斐なさにため息を付いた瞬間、魔道具の反応を感じた私は取り付けられた魔石に魔力を流しました。
「フローリア?」
「お父様から手紙が来たの」
届いた手紙の封を開け中身に目を通しました。
「フィリップ殿下が謹慎、婚約破棄は公表された。……エミリアさんが怪我?屋敷に火を放とうとしていた?」
「なんだって?」
お父様乗る手紙に書かれていた内容は、私の理解を越えていたのです。
「どの様なって?」
「王妃様との不貞を陛下が知ってしまえば伯爵家だって無事にすむとは思えないわ。陛下は王妃様を寵愛されているもの。でも知られなければ伯爵は陛下の寵愛する妃の義兄よ。王妃様がお願いすれば何かの大臣の椅子も宰相の地位も伯爵の望むまま与えられた可能性もあるのよ」
この国は幸い陛下といえども一夫一婦制で、側妃も妾妃も禁止されていますが、他国には後宮というところで沢山の妃を持つ制度があるところも無いわけではありません。
王家の血を絶さないを目的とするためと、臣下や他国から妃として娶ることで繋がりを強くする目的があるそうです。
ですが、陛下も一人の人間で好みは当然あり、王妃だけを愛する方もいれば側妃の一人だけを寵愛する方もいて、そうなると寵妃の家族はやはり何かにつけ、目をかけられる様になるそうです。
家の繁栄と自分の繁栄の為に、後宮に入った妃達は寵愛を争うのだと聞いた時はため息しか出ませんでした。
他国の後宮の話より、この国の現状として陛下の唯一の妃である王妃様の発言力はとても大きなものです。
伯爵に野心があるなら王妃様を足掛かりとして宮廷での地位や権力を求めそうなものですが、伯爵はお父様の様に何かの役についているわけではありません。
領主として領地経営のみを行う貴族は少なくありませんが、それが王妃様の実家となると少し違和感を覚えます。
「おばあ様のお話では、前伯爵は野心家だったのよね。そして陛下の目に止まる可能性がある美しい娘を養女にした」
「そうだな」
「それなら目的は伯爵家の繁栄の筈、でも現在の伯爵家は?」
思い付く限りの要職に伯爵家の血筋の者は誰も就いていません。
王妃様が輿入れの際、実家である伯爵家に領地を賜ったという話も無かった筈です。
目立った特産物もなく、さほど広くもない領地を治めるだけの一、伯爵家のままなのです。
「先代伯爵が亡くなったから?」
「それもあるだろうが、王妃様が義兄である伯爵を目立たせない為なんじゃないか?」
「目立つ?」
「そう。伯爵が昔と変わらなければ周囲の貴族は警戒しないだろ。足を引っ張るための粗探しもしない。王妃様は嫁いですぐに王子を産んで、陛下との仲も良く、王太子殿下もすでに成人され子もいらっしゃる。王妃様が嫁いですぐに伯爵やその血筋が優遇されていたらここまで円滑には進まなかったんじゃないか?」
フィリップ殿下の婚約は兎も角、他の方々の婚約はあっさりと決まっていったのだと聞いています。
陛下と殿下方の希望を叶えた形で、王妃様が口を挟むことは無かったそうです。
つまり王妃様が子供の婚約に口を出したのは、フィリップ殿下のみということです。
それはフィリップ殿下だけが父親が違うから、なのでしょうか。
「王妃様は伯爵とフィリップ殿下だけが大切。そういうことなのかしら」
けれど、それが理解できたとして何が私達に出来るというのでしょう。
自分の不甲斐なさにため息を付いた瞬間、魔道具の反応を感じた私は取り付けられた魔石に魔力を流しました。
「フローリア?」
「お父様から手紙が来たの」
届いた手紙の封を開け中身に目を通しました。
「フィリップ殿下が謹慎、婚約破棄は公表された。……エミリアさんが怪我?屋敷に火を放とうとしていた?」
「なんだって?」
お父様乗る手紙に書かれていた内容は、私の理解を越えていたのです。
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