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魔法を使えるのは何故
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「お嬢様は家庭教師であった子爵婦人に虐待されていたと伺いました。言葉だけでなく体罰もあったと」
「それとミルフィの魔法は関係ないだろう」
ガスパール先生の話に戸惑っているのは、私も両親も同じだ。
子爵婦人は確かに幼いミルフィに体罰を行っていた。
私が愚かだから体罰をされても仕方が無いのだと思い込まされて、私は生きていた。
私は自分が出来の悪い娘だと知っていた。
子爵婦人に私は出来の悪い愚かな娘だとそう思い込まされて、でも上位貴族の娘なのだから私は偉いのだとも同時に思い込まされていた。
だからこそ出来の悪い自分を知られるのは恥でしかなく、常に虚勢を張っていたのだ。
兄様が亡くなって、両親が陰でどうせ子を失うなら兄様ではなく私が死ねば良かったのにと言っているのを知って、その思いは益々強くなった。
今の私がそこまで酷い感情を持っていないのは、三歳まで生きたミルフィの心があるからだろう。
今回の私はまだ両親から愛情を向けられている。
私が授業を受けたくなかった理由に気が付いたから、私の酷い行動を子爵婦人から告げられていたのは嘘だったと分かったからこそ、私は両親に見捨てられなかったからだ。
あのまま子爵婦人の授業を受け続けていたら、きっとその内前回の様に両親に呆れられて見捨てられただろう。
「体罰は当たり前のように行われていたようだ。それを私達は知らず。子爵婦人が言うミルフィの我儘を私達は愚かにも信じていた」
お父様が懺悔の様にそう言うのを、私は不思議な気持ちで聞いていた。
ミルフィが我儘な子供だったのは事実だと思う。その原因は子爵夫人の虐待だったかもしれない。
三歳という低年齢で分別が付かなかったとはいえ、私はパティにもジョゼットにも我儘気儘を通し自分の思い通りにならなければ家族にすら癇癪を起こした。
授業を受けたくなかった理由は子爵夫人が理由だとしても、その他の我儘は私自身の行いだからお父様が悪いわけではないのだ。
「ガスパール先生、ミルフィは、私の娘は自分が馬鹿だと謝罪させられ、生まれたことすら罪だと謝罪していたのですよ。侯爵家の娘が、そんな風に謝罪するのが当たり前だと思い込まされていたのです」
「子爵婦人は何故そんな愚行を」
「あの女は、愚かにも私の妻になれると思っていた様なのです。私の妻は政略で私に嫁いできましたが、私は妻との関係は婚約してからずっと良好ですし他の女性に目を向けたこともありません。ですが子爵婦人は自分こそが私に相応しいと思っていた様です」
両親の仲は前回も良かったと思う。
私と夫は政略での繋がりでしかありませんでしたが、両親は違っていた。
「愚かですな」
「全くです。愚かな考えを持った挙げ句ミルフィを苦しめ続けたのですから」
「体罰もあったと?」
「私が授業の様子を見た時には定規でミルフィの膝を叩いていましたし、胸元を掴み罵声を浴びせてもいました」
「ミルフィお嬢様はまだ三つですぞ! それを定規で叩くなど、躾ですらありません」
躾用の鞭は存在する。
音だけが大きく出て、傷が出来にくいものだ。
それを使い使用人を躾ける貴族はいるのだと、前回の私は知っている。けれどあの鞭は子供に使うものではないし、子爵夫人が使っていたのはその躾用の鞭ですらない。硬い定規で、何度も何度も叩くのだ、私が泣いても止めるどころか泣けば泣くだけ叩かれる。
「侯爵、試してみてもいいでしょうか」
「試す?」
「お嬢様が魔法を無意識に使っていた理由ですよ」
「何か試しを行えば理由が分かるのですか。ならばお願いします」
「分かりました。ミルフィお嬢様、怖くも痛くもありませんから、私に両腕を見せてくれませんか」
ガスパール先生が何をしようとしているのか分からないけれど、この人は私に悪意を持っていないと知っているから私は言われるままに両腕を先生に見せた。
「慈しみ優しき神よ、この者の体の記憶を呼び覚まし給え……」
私の服の袖をまくり上げ行うガスパール先生の詠唱に、私は目を見開いた。
私の記憶違いでなければ、これは体の再生の魔法じゃなかった? 上級魔法で膨大な魔力を使うはずの魔法をなぜ今使うのか分からない。
「これは」
「そんなっ」
「やはりそうでしたか」
両親の悲鳴の様な反応に、ガスパール先生は小さく頷いた。
先生の詠唱の後幼い私の細く柔らかい両腕に現れたのは、むごたらしい沢山の傷だったのだ。
「それとミルフィの魔法は関係ないだろう」
ガスパール先生の話に戸惑っているのは、私も両親も同じだ。
子爵婦人は確かに幼いミルフィに体罰を行っていた。
私が愚かだから体罰をされても仕方が無いのだと思い込まされて、私は生きていた。
私は自分が出来の悪い娘だと知っていた。
子爵婦人に私は出来の悪い愚かな娘だとそう思い込まされて、でも上位貴族の娘なのだから私は偉いのだとも同時に思い込まされていた。
だからこそ出来の悪い自分を知られるのは恥でしかなく、常に虚勢を張っていたのだ。
兄様が亡くなって、両親が陰でどうせ子を失うなら兄様ではなく私が死ねば良かったのにと言っているのを知って、その思いは益々強くなった。
今の私がそこまで酷い感情を持っていないのは、三歳まで生きたミルフィの心があるからだろう。
今回の私はまだ両親から愛情を向けられている。
私が授業を受けたくなかった理由に気が付いたから、私の酷い行動を子爵婦人から告げられていたのは嘘だったと分かったからこそ、私は両親に見捨てられなかったからだ。
あのまま子爵婦人の授業を受け続けていたら、きっとその内前回の様に両親に呆れられて見捨てられただろう。
「体罰は当たり前のように行われていたようだ。それを私達は知らず。子爵婦人が言うミルフィの我儘を私達は愚かにも信じていた」
お父様が懺悔の様にそう言うのを、私は不思議な気持ちで聞いていた。
ミルフィが我儘な子供だったのは事実だと思う。その原因は子爵夫人の虐待だったかもしれない。
三歳という低年齢で分別が付かなかったとはいえ、私はパティにもジョゼットにも我儘気儘を通し自分の思い通りにならなければ家族にすら癇癪を起こした。
授業を受けたくなかった理由は子爵夫人が理由だとしても、その他の我儘は私自身の行いだからお父様が悪いわけではないのだ。
「ガスパール先生、ミルフィは、私の娘は自分が馬鹿だと謝罪させられ、生まれたことすら罪だと謝罪していたのですよ。侯爵家の娘が、そんな風に謝罪するのが当たり前だと思い込まされていたのです」
「子爵婦人は何故そんな愚行を」
「あの女は、愚かにも私の妻になれると思っていた様なのです。私の妻は政略で私に嫁いできましたが、私は妻との関係は婚約してからずっと良好ですし他の女性に目を向けたこともありません。ですが子爵婦人は自分こそが私に相応しいと思っていた様です」
両親の仲は前回も良かったと思う。
私と夫は政略での繋がりでしかありませんでしたが、両親は違っていた。
「愚かですな」
「全くです。愚かな考えを持った挙げ句ミルフィを苦しめ続けたのですから」
「体罰もあったと?」
「私が授業の様子を見た時には定規でミルフィの膝を叩いていましたし、胸元を掴み罵声を浴びせてもいました」
「ミルフィお嬢様はまだ三つですぞ! それを定規で叩くなど、躾ですらありません」
躾用の鞭は存在する。
音だけが大きく出て、傷が出来にくいものだ。
それを使い使用人を躾ける貴族はいるのだと、前回の私は知っている。けれどあの鞭は子供に使うものではないし、子爵夫人が使っていたのはその躾用の鞭ですらない。硬い定規で、何度も何度も叩くのだ、私が泣いても止めるどころか泣けば泣くだけ叩かれる。
「侯爵、試してみてもいいでしょうか」
「試す?」
「お嬢様が魔法を無意識に使っていた理由ですよ」
「何か試しを行えば理由が分かるのですか。ならばお願いします」
「分かりました。ミルフィお嬢様、怖くも痛くもありませんから、私に両腕を見せてくれませんか」
ガスパール先生が何をしようとしているのか分からないけれど、この人は私に悪意を持っていないと知っているから私は言われるままに両腕を先生に見せた。
「慈しみ優しき神よ、この者の体の記憶を呼び覚まし給え……」
私の服の袖をまくり上げ行うガスパール先生の詠唱に、私は目を見開いた。
私の記憶違いでなければ、これは体の再生の魔法じゃなかった? 上級魔法で膨大な魔力を使うはずの魔法をなぜ今使うのか分からない。
「これは」
「そんなっ」
「やはりそうでしたか」
両親の悲鳴の様な反応に、ガスパール先生は小さく頷いた。
先生の詠唱の後幼い私の細く柔らかい両腕に現れたのは、むごたらしい沢山の傷だったのだ。
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