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本編
落ちていたもの
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人気の無い校舎を出て暫く無言で歩く。
顔を洗ってサッパリした筈なのに、何だか眠い。
雅と手を繋ぎというよりも手をひかれ歩いてる感じだ。
「あっ」
ふいに何かに躓いて、ガクンと体が揺れた。
「大丈夫か?」
「うん、ごめんね。ぼーっとしてた、石にでも……あれ?」
躓いたのは石じゃなく物だった。
記憶にあるそれに思わずしゃがみこむ。
ライオンが学園の制服を着ている絵の、なんだろ?
「ハル、どうした」
「これ、雅がグッズになってた。狼と同じ?」
拾って確信した、これあのくじの中にあるラバーキーホルダーだ。
擬人化したライオンは谷崎様の分。
でもどうしてここに落ちてるの?
「壊れてないのに落ちる?」
なんだろ、何か引っかかる。
あれ? 僕はこれが落ちた、ううん。投げられた所を見ている?
「ハル」
「雅、どうしよう。僕おかしいかも」
ぐらぐらと視界が揺れる。
大声を上げながら歩く木村君、見てはいけない何か。
思い出しちゃ駄目だ、裸の二人。一人は誰?
「雅、助けて」
視界が揺れる。
幼い僕に触れる手。
嫌だと叫ぶのに助けは来ない。
僕を指差し、お仕置きだと嗤うのは主人公。
モブはモブでしかないのだと、最後に幸せになるのは主人公である自分だと嗤う。
「ハル、何もおかしくない。そんな物は捨ててしまえ、ハルが俺以外の物に触れるなんて我慢出来ない」
「凄い束縛だね」
はぁはぁと荒くなる呼吸の中、雅の発言に少し笑うことが出来た。
「当たり前だろ、束縛なんてしまくるさ。ハルは俺の妻になるんだ。誰かを気にするなんて許さない。ハルは俺の事だけを考えていればいいんだよ」
重すぎる執着、だけどそんな言葉を嬉しいと感じてしまう。
僕を束縛して欲しい。
雅以外の事を考えられなくなる位、束縛されたら僕は何も怖くなくなるんだ。
「僕の旦那様は横暴だね。僕を閉じ込めるつもり?」
「ああ」
「酷いなあ」
くすくすと笑いながら、雅に抱きついた。
ライオンのラバーキーホルダーはぽとりと地面に落ちた。
「僕がおかしくなっても、雅は僕を離さずにいてくれる?」
「離れるなんて許さないよ。ハルは俺の小姓だろ」
「うん。雅ありがと」
不安が消えないけれど、雅が僕の側にいるだけで不思議と安心しちゃうんだ。
「雅、離さないでね。僕を」
僕は何を忘れているんだろう。
忘れているという自覚はあるのに、思い出せない。
「ハルが嫌だといっても、俺はハルの側にいる」
不安を打ち消すように、雅は僕を抱き締めてくれたんだ。
顔を洗ってサッパリした筈なのに、何だか眠い。
雅と手を繋ぎというよりも手をひかれ歩いてる感じだ。
「あっ」
ふいに何かに躓いて、ガクンと体が揺れた。
「大丈夫か?」
「うん、ごめんね。ぼーっとしてた、石にでも……あれ?」
躓いたのは石じゃなく物だった。
記憶にあるそれに思わずしゃがみこむ。
ライオンが学園の制服を着ている絵の、なんだろ?
「ハル、どうした」
「これ、雅がグッズになってた。狼と同じ?」
拾って確信した、これあのくじの中にあるラバーキーホルダーだ。
擬人化したライオンは谷崎様の分。
でもどうしてここに落ちてるの?
「壊れてないのに落ちる?」
なんだろ、何か引っかかる。
あれ? 僕はこれが落ちた、ううん。投げられた所を見ている?
「ハル」
「雅、どうしよう。僕おかしいかも」
ぐらぐらと視界が揺れる。
大声を上げながら歩く木村君、見てはいけない何か。
思い出しちゃ駄目だ、裸の二人。一人は誰?
「雅、助けて」
視界が揺れる。
幼い僕に触れる手。
嫌だと叫ぶのに助けは来ない。
僕を指差し、お仕置きだと嗤うのは主人公。
モブはモブでしかないのだと、最後に幸せになるのは主人公である自分だと嗤う。
「ハル、何もおかしくない。そんな物は捨ててしまえ、ハルが俺以外の物に触れるなんて我慢出来ない」
「凄い束縛だね」
はぁはぁと荒くなる呼吸の中、雅の発言に少し笑うことが出来た。
「当たり前だろ、束縛なんてしまくるさ。ハルは俺の妻になるんだ。誰かを気にするなんて許さない。ハルは俺の事だけを考えていればいいんだよ」
重すぎる執着、だけどそんな言葉を嬉しいと感じてしまう。
僕を束縛して欲しい。
雅以外の事を考えられなくなる位、束縛されたら僕は何も怖くなくなるんだ。
「僕の旦那様は横暴だね。僕を閉じ込めるつもり?」
「ああ」
「酷いなあ」
くすくすと笑いながら、雅に抱きついた。
ライオンのラバーキーホルダーはぽとりと地面に落ちた。
「僕がおかしくなっても、雅は僕を離さずにいてくれる?」
「離れるなんて許さないよ。ハルは俺の小姓だろ」
「うん。雅ありがと」
不安が消えないけれど、雅が僕の側にいるだけで不思議と安心しちゃうんだ。
「雅、離さないでね。僕を」
僕は何を忘れているんだろう。
忘れているという自覚はあるのに、思い出せない。
「ハルが嫌だといっても、俺はハルの側にいる」
不安を打ち消すように、雅は僕を抱き締めてくれたんだ。
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