【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香

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番外編

IF テスター千晴は恋をする1

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これは没ネタを諦めきれずに投稿したものです。
本編が本当にゲームの世界だったという、そういう前提に作った話なので、そう言った世界観が苦手な方は閲覧はおやめ下さい。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「千晴さん、鈴森千晴さん」

 僕を呼ぶ声がする。
 誰だろう、知っているような知らないような声。

「はい……あれ?」
「ご気分は如何ですか?」

 目を開けた僕の顔を覗き込んでいたのは、グレーのスーツを着た見覚えがあるような無いような? な男性だった。

「ええと、大丈夫? です」

 体を起して下半身の違和感にギョッとして、完全に目が覚めた。

「頭痛や吐き気、倦怠感はありませんか」
「ありません。少し、ぼおっとしていますけど、それだけです」

 体調不良は無いけれど、感じる紙おむつの感覚に特殊プレイをしてるわけじゃないのに恥ずかしくなってしまう。

「良かったです。あ、お茶か何か飲まれますか? 5時間程眠っていた様なものですし、喉渇いていませんか? いだっ」
「あ、ありがとうございます?」

 にこやかに飲み物を勧める男性に戸惑っていると、後ろに立っていた三十代後半位の男性が、ばこっとグレーのスーツの男性の頭をファイルで叩いた。

「痛いです。なんですか!」
「なんですかじゃない。謝罪が先だろうが」

 謝罪? 僕が首を傾げていると男性二人が頭を下げた。

「申し訳ありません。鈴森さん。実はあなたに今回体験頂いたゲームなんですが、説明していました十八禁ゲームではなく、手違いで二十五禁ゲームの方を体験頂いてしまいました」
「え」
「エンドはこちらで操作して前年齢のハッピーエンドに変更しましたが、それ以前はすべて二十五禁になっていまして」
「あの、僕十九歳なんですが、それ大丈夫ですか?」
「大丈夫ではないんです。申し訳ございません」
「あの、僕のバイト代は……」

 どうしよう。破格のバイト代だからとこの仕事受けたのにもしかしてバイト代貰えなかったりするのかな。
 お金、明後日まで用意出来ないと本当に困るんだけど。

「未成年に年齢以上のゲームの体験をさせたとバレると、当社にペナルティがついてしまうんです。鈴森さんには大変申し訳ありませんが、二十五禁のゲームのテスターをしたという事を内密にいただけないでしょうか。勿論その分、バイト代は十倍お支払い致しますので」
「十倍ですか?」

 このテストで得られるバイト代は、三十五万円だ。十倍ということは三百五十万円? それが貰えるなら授業料が卒業分まで支払える。

「はい。バイト代として三百五十万円。その他、精神的苦痛の賠償として二百万円お支払い致します。ただ、本日即金でお支払い出来るのが百万円で残りは後日受取りに頂きたいのですが」
「それで大丈夫です。本当にそんなに頂いていいんでしょうか」
「はい。こちらにサイン頂ければ確実にお支払い致します」
「サインします。僕の体に問題があるわけではないですよね? 成人前だとなにか問題がでるとか、そういうのは?」

 問題が出るとか。そう言った途端二人の視線が宙を泳いだ気がする。

「ええと。多分問題無いかと思います。ただ、その」
「ただ?」
「二十五禁というのはそれだけ刺激が強いゲームということです。それを途中で無理矢理修正したので、それによって欲求不満というかそういうのが起きるかもしれないです」
「え」
「あの、出したいのに出し切れていないというか。逝きたいのにそうなれていないというか」

 言われて、想像して顔が熱くなって涙目になってしまう。
 それって、え? 何、そういうこと?

「鈴森さん」
「あの、大丈夫です。そういう感じありませんから、大丈夫です」

 大丈夫じゃない気がするけれど、多分大丈夫。
 だってあるのは、欲求不満的な感情じゃなく。喪失感だ。

「では、私達はお支払いの準備をしてきます。鈴森さんは、あちらのお部屋でシャワーと着替えをすませて下さい。終わったらこちらの部屋に戻ってアンケートに回答下さい」
「はい」
「アンケート回答が完了したら、こちらのベルを押して下さい。担当が参ります」
「はい」
「では、ご協力ありがとうございました」

 ぺこぺとと頭を下げてから、男性二人は部屋を出て行ったから僕はため息をついてベッドから降りると教えて貰ったドアを開け簡易服と紙おむつを脱いでシャワーを浴び始めたのだった。
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