~死霊術師と死神騎士~

みずもCOLD

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禁断の秘術

~4~

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出し抜かれた怒りが、髑髏面の眼窩から赤い炎となって激しく噴き出す。
死神騎士は馬首を返し、すぐさま後を追おうとするが、死霊術師が再び掲げたランタンがそれを阻んだ。

再び放たれる、禍々しき紅の稲妻。
隠し通路の手前に積んであった骨の山が、光を浴びてたちまち組み上がっていく……。
新たに出現した巨大で異様な白骨の巨兵が二体、通路を塞ぐ門衛として死神の前に立ちはだかった。

様々な生物の骨を繋ぎ合わせて造られた骨のゴーレムは、頭部には弧を描く角を持った動物の頭蓋が用いられ、手には体の大きさに見合う長柄の戦斧が握られていた。
遠い昔にこの地を襲い、住民を河の向うへ追い払った森の蛮族が振るっていたと思われるその年代物の戦斧は、多少の錆が浮きつつも、未だ凶器として十分な威力を保っていそうだった。

合わせ鏡のように並び立つ彼らは、骨が軋む足音を立てながら、創造主の逃亡を助けんと眼前の黒き騎士に襲い掛かった。
馬に乗った騎士すらも眼下にするほどの巨体を誇る骨の巨兵たちは、分厚い鉄の刃を馬ごと両断せんと騎士に振り下ろす。
だが、死神の騎馬は鉄塊を軽やかに回避。祈りの間には、床石が砕ける音だけが轟いた。

死神と骨の魔兵の凄烈な死闘が、ここに幕を開ける。
死霊術師は背負い袋とランタンを大事に抱えたまま、激闘の響きを背後に長年使った研究室から嘲笑だけを残して闇の中へと消え去った。

この骨ゴーレムは、死霊術師の研究成果の賜物なのだろう。

双子の兄弟にも見える門番たちは巨体ゆえに動きに鈍重さが残るものの、息の合った連携には一点の隙も無かった。
右からの一振りを防げば、左からも斧が同時に振り下ろされる。
片方が正面で攻撃を受け止めれば、もう片方が背後へ回り込み、死角から斬撃を浴びせてくる。
その膂力も相まって、並の戦士ならば、たとえ集団であっても瞬く間に圧殺されていたに違いない。

しかし、死神騎士の強さもまた並ではない。
戦闘の技量は骨の巨兵たちを遥かに凌駕し、二対一という状況を全く苦にしてはいなかった。
前後左右から繰り出される連携を馬上で軽々と捌いては、鋭い反撃を繰り出していく。
人馬一体となったその一撃が放たれるたび、ゴーレムを構成する骨が砕けて虚空に飛び散った。

……だが、骨の魔兵たちは不死そのものであった。

周囲に散らばる別の骨が磁力で引き寄せられるがごとく破損箇所へと集まり、瞬く間に再生されていく。
ここは墓場ゆえに、いくらでも材料になる骨は転がっているのだ。

死の権化と不死身。
相反する存在同士の戦いは、終わりなき泥沼の様相を呈し始めていた。
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