ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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まさかの展開!?

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「中庭をお散歩して来てはいかがですか?」

「そうだね!行こう、ジョシュア君!」


エマさんに言われ、私はジョシュア君と手を繋いで中庭へ向かった。


中庭は、流石にお城なだけあってとっても広い。

緑々しい芝生が一面に広がり、その端にある立派な花壇には色とりどりの花が咲き誇っている。


私はこの中庭が気に入っていて、エマさんとの散歩でもよくここへ足を運んでいるのだ。


綺麗な花をバックにして見るジョシュア君は最高に可愛くて、思わず溜息が出る程だった。


「……はぁ、可愛い。」

「はい。どの花壇の花達も、本当に可愛いですね。」


ーーおっといけない。心の声が漏れてた。

お花も可愛いんですけどね、そのどの花達よりも、ジョシュア君のが可愛いですよ。

まったく、男の子なのに羨ましいよ。

ジョシュア君の可愛さが私にほんのちょっとでもあったなら……もう少し自信を持ってサイラスの横に居られたのかな。


今の私には、王子様になったサイラスがとっても遠くに感じちゃって、時々寂しくて、ふと泣きたくなってしまう。


「どうかしましたか?」


ジョシュア君を見つめてボーッとしていた私を、ジョシュア君が心配そうに覗き込む。

私は慌てて首を横に振った。


「ううん。なんでもない。もっとあっちに行ってみよう?あ、それから私に敬語なんていらないから、普通に話してね。」

「でも…………」

「ね?お願い!」

「分かりま……わ、分かった。」


ありがとう、と、私がニッコリ笑えば、耳まで真っ赤にしてはにかむジョシュア君。


手を繋いで中庭を散歩している間に、ジョシュア君とは沢山お話しが出来た。


ジョシュア君は2人兄妹で、2歳になるミアちゃんとはとっても仲良しなんだって。

今日もジョシュア君だけお城に来ることになっていたから、家を出る時はミアちゃんがジョシュア君と一緒に来たがって大変だったらしい。

一緒に来てくれたら良かったのに。

私がミアちゃんにも会いたかったなぁ、って言ったら、ジョシュア君は顔を綻ばせながら「今度連れてくるね」と、約束してくれた。

ーー可愛い。

そして、話していて一番驚いた事が一つ。

私がずっと"犬"に変身すると思っていたクレイブさんが、なんとなんと、実は"熊"さんだったということ!!

なんかクレイブさんって元気なワンコ系イケメンだったから、私が勝手に、変身するなら犬かなって思い込んでたんだけど。


そっかぁ、熊さんかぁ。

…………モフモフさせてくれないかなぁ。


そんなことを考えていたら、また口に出しちゃってたみたいで。

キョトンと目を丸くしたジョシュア君にクスクスと笑われてしまった。


「いいよ。今はまだ変身トレーニング中の身だから駄目だけど、それが終わったらユーカに変身姿を見せに来るから。だから、その時にね。」


もうすぐトレーニングも完了するからと、一頻り笑った後、ジョシュア君が私に約束してくれた。


そういえば、サイラスも今はトレーニング中なんだよね。

サイラスは、あとどれくらいトレーニングしなくちゃいけないのかな。

最近、サイラスは勉強とトレーニングで超忙しくって、私は寝る時にしかサイラスの側にいられない。


「……サイラスのトレーニングも、早く終わらないかなぁ。」

「サイラス?サイラスって王子様のこと?」


あれ。また声に出しちゃってた。


「うん、そう。お城に来る前はサイラスとずっと一緒にいたんだけど最近サイラスが忙しくってさ。全然一緒にいられないんだよね。今もトレーニング中だし……」

「ふーん……ってあれ?……ねえユーカ、なんか向こうの方から凄い勢いで人がこっちに来てるんだけど。」

「え?」


ジョシュア君が首を傾げながら見つめている方へ目を向けると、猛ダッシュでこっちへ来る人の姿が。

ビックリしているうちに私の目の前にやって来たその人は、私とジョシュア君が繋いでいた手をグイッと引き離して、私を抱き上げた。


「何で知らない子と手なんか繋いでるの?駄目でしょ。」

「サイラス!!」


思いがけない人物の登場に、ビックリやら嬉しいやらで一気にテンションが上がる。

嬉しくって、ぎゅーっとサイラスの首にしがみ付くと、サイラスもギュッと抱き締めてくれた。


「どうして中庭に?トレーニングは?」

「今日は早く終わったんだ。ユーカに会いに行ったら、ここだって言われて。ユーカに1秒でも早く会いたかったから、全速力で走って来た。」


そう言いながらぎゅーっと抱き締めてくれるサイラスに、胸がドキンと高鳴る。


やっぱりサイラス、カッコいいなぁ。


「ユーカは?俺に会えて嬉しい?」

「当たり前じゃん!!嬉しいに決まってるでしょ!!」


私の頬を優しく撫でるサイラスの手に、私もスリスリと頬を寄せて甘えてみた。


だって、いいでしょ?

久しぶりなんだもん。


「フフッ。……うん、知ってたけどね。」


甘える私を、サイラスが目を細めて愛しそうに見つめてくる。

その瞳がとっても綺麗で、ちゃんと見つめ返すことが出来なくて、なんだかモジモジしてしまう。

そんな私を見てクスクス笑うサイラスが、私の額にチュッチュッと何度もキスを落とす。


「ユーカ、可愛い。」


ーー甘~い!!


王子様になっても、やっぱりサイラスはサイラスで。

その変わらないサイラスの態度が嬉しくて、私は胸がキュン、と、熱くなった。








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