ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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サイラスが機嫌を損ねると……可愛いけど、ツライ

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私を抱きかかえて、サイラスが黙々と廊下を歩く。


フータと別れてサイラスの所へ戻ると、サイラスがメッチャ怒ってて。

ほっぺたがプクッとしていたサイラスが可愛かったのに、じっくり眺める間もなくサイラスに抱き上げられて。

そのまま、部屋へ強制連行された。


ボスン、とベッドに下ろされ、今はベッドの上で正座をさせられている。


サイラスはベッドの脇に立ち、私と向かい合って仁王立ちだ。

私を見下ろすサイラスからは、怒りオーラがビシビシと伝わってくる。


これは……ほっぺたプックリのサイラスが可愛かったなんて、絶対に言ったらダメなやつだ……。


サイラスを見上げ、えへへ、と笑ってみても、サイラスの仏頂面はピクリとも動かない。


…………うわぁ……本気で怒ってる。


「サイラス……」

「なんで一人で行ったの?俺、戻ろうって言ったよね?」

「…………うん……言ってた。」



…………うぅ。私を見下ろすサイラスの目が怖いよ~……。



「誰も入れない裏庭で、もし何かあったらどうするつもりだったの?」

「…………うん、ごめんなさい。」


シュンとする私を見下ろしていたサイラスが、暫くしてからハァ、と深い溜息を吐いた。


「…………もういいよ。そろそろ寝ないと、朝起きれないから。」


そう言って、サイラスはベッドに上るとゴソゴソと布団に入って横になる。

私もサイラスの横でゴロンと寝ころんだんだけど。

サイラスが、私に背を向けて寝ている。

いつもは、私の方を向いて、ギュッて抱き締めて寝てくれるのに。


ーーこんなに怒ってるサイラスは初めてだ。

それだけ心配させちゃったんだよね、私。



「ふぇ……サイラス、ごめんなさい……」


ぶわっと涙が込み上げて、私はボロボロと泣きながらサイラスに謝った。

それでもサイラスは背中を向けたまま、こっちを見てくれない。


「…………ユーカが裏庭に入ってる間、俺は不安で不安でたまらなかった。ユーカに何かあったらどうしよう…………ユーカがこのまま俺の前からいなくなったらどうしようって…………」



言いながら、サイラスの肩が震えている。


「ごめんなさい……」


私はサイラスの背中にピタッとくっ付いて、何度も、何度も謝った。

サイラスがモゾモゾと動き、体を私の方へ向き直してくれた。

サイラスの目からも、涙がポロポロと溢れ落ちている。


「ユーカがいない世界なんて、もう考えられないよ。考えたくもない。…………どこにも行かないで…………お願いだから、ずっとずっと、俺の側にいて…………」


後から後から流れ出る涙がサイラスの顔を伝い、ジワジワと枕を濡らす。

なんとかサイラスの涙を止めたくて、サイラスの顔に手を伸ばしてゴシゴシと涙を拭った。


「どこにも行かないよ~。だから、泣かないで~!」

「フフッ、痛いよユーカ。あのさ、泣かないでって言ってるけど、ユーカも今、泣いてるからね?」

「私はいいの~!」

「なんでだよそれ」



クスクス笑うサイラスにホッとし、ギュッと抱きついた。

サイラスも笑いながら、私の背中に手を回して抱き締めてくれる。

サイラスを見上げると今度は優しく私を見つめてくれていて。

それが嬉しくて、胸がキュッと痛くて、また涙が出てきてしまう。


「サイラス……本当にごめんなさい。…………大好き。」

「うん。俺も大好きだよ。」


目を細め、私の涙を拭いながら、サイラスが私の頭にキスの雨を降り注ぐ。

くすぐったくて身を捩るけど、サイラスは構わずキスをし続けるから、最後らへんは、もう、されるがままになっていた。

でも、されっぱなしもなんだか悔しい?から、私も何度かサイラスの頬にチュッチュッとキスをしたんだけど…………サイラスが、とっても幸せそうな、トロンと蕩けそうな表情で見つめてくるから…………キスした私の方がドキドキしちゃうし、顔が真っ赤になっちゃうしで、更に悔しくなるだけだった。


けど、まあこれはこれでサイラスの機嫌が良くなったんならいいかぁ、と考え直して、またサイラスにギュッと抱きつく。

サイラスはクスクスと笑い、私を受け止めて包み込んでくれた。


サイラスの機嫌が直って良かったと、つくづく思いながら、サイラスの温かな腕の中で微睡む。


ウトウトしている私の頭を、サイラスは私が眠るまで、ずっと撫でてくれていた。
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