ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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ネーミングセンスは抜群ですけど?

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『待っておったぞ。』


約束した一週間後。

裏庭への扉を開いた私達に、フータが声をかける。

けれど、声はしてもフータの姿が見えない。

キョロキョロしていたら、宿り木から光を放つ球体が飛び出してきた。

それは、入口に立つ私達の目の前で止まると、ピカッと光り、大きな鳥に姿を変える。

大きな鳥は、体全体が青白く光り、眩しい……というか神々しい。

前に動物園で見た孔雀に似ているけど、こっちの鳥の方がちょっと……いや、かなりデカイかな?


とっても綺麗で、ずっと見ていられる。



『ユーカよ、久しいな。』

「フータ、久しぶり!凄ーい!!本当にカッコイイね!!」

『そうだろう、そうだろう。』


目を細めて満足そうに頷くフータは、私の周りを見て、更に目を細めた。


『ところでユーカよ。我の思っていたより、ちと外野が多いのだが?』

「えー?そう?」


私が首を傾げていると、フータはやれやれと言ったようにハァ、と息を吐いた。


『我は国王と王子だけだと思っていたからな。』



そう。

私の横には、私と手を繋いでいるサイラスと、その横に国王様。

そして、後ろにメイソンさんとクレイブさん、更にエマさんが立っている。


「だってさぁ、獣人じゃない私が国王様とサイラスと"伝説の不死鳥"から話しを聞くなんて、なんか申し訳ないじゃん?」

『クックックッ。伝説とな?我は逃げも隠れもせず、ずっとここにおったのだが。』


フータが尚も可笑しそうに笑い続ける様子を見て、サイラス以外の皆は、ちょっと困り顔になっていた。

「……裏庭には足を踏み入れる事が出来ませんでしたし、ここ何百年もの間、不死鳥を見た者はいませんでしたので……」

「俺はてっきりお伽噺かなんかだと思ってましたよ。」

「私もです。」


メイソンさんに続いて、クレイブさん、エマさんが頷きながら言う。

フータが皆を一瞥すると、私とサイラスを交互に見て目を細めた。


『確かに、この数百年間で、裏庭に通じるそこの扉を開けた者は、ユーカとその王子だけだのう。扉の取っ手に触れる者すらもおらなんだわ。』

「でもでも、裏庭に入れないって分かってたら、そうなっちゃうのは仕方ないよ!」

『ほう、ユーカと王子はそれが分かっていて来たのではないのか?』

「う、ぐ……そ、それはそうだけど……」


私は慌ててフォローしようとするも、意地悪く笑うフータに一蹴されてしまう。

言葉に詰まる私を見て面白そうに笑うフータを、私はジロリと睨んだ。


「意地悪なフータはカッコ良くない……」

『なんと!我は本当の事を言っておるだけではないかっ!』


目を見開いて抗議するフータに、私も顔をフータからプイッと背けて抗議する。

話を聞く前から、なんだかフータと気不味い雰囲気になってしまった。


暫く重たい沈黙が流れたけれど、それを破ったのは、クレイブさんだった。


「……あの、さっきから気になってたんですけど"フータ"って、もしかして不死鳥……様のお名前ですか?」

「そうだよっ!名前を付けてほしいって言われたから、私が考えたの!可愛いでしょ?」


エヘンと、得意げに胸を張る私を、サイラスとフータを除いた4人が生暖かい目で見守る。


え?何?可愛いでしょ?可愛いよね?


「その、可愛いというか、なんというか……あ、いや、可愛いは可愛いのだが……」

「不死鳥の威厳もへったくれもないですね。」

「ええー?なんでー!?」


国王様がなるべく私を傷つけないように、言葉を選びながらしどろもどろになっているところへ、メイソンさんがズバッと容赦無く言い放った。


良い名前が付けられたと満足していた私は、ショックを隠せない。

と、私の横からサイラスが、そして目の前からはフータがグイッと身を乗り出す。


「なんだよ。いい名前じゃないか!ユーカは名前を付けるセンスもあるんだね。」

『そうだぞ。我もとても気に入っておるからな!』

「でしょでしょ~?」


「「「「…………」」」」




ウンウンと頷き合う私達を、4人は残念な子を見るような目で見つめ、苦笑していた。

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