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魔国は夢の国!?
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魔王への挨拶も無事に済んだところで、サミュエルさんから魔国を案内してくれるとの申し出があった。
クロの故郷だから色々と見て回りたかった私は嬉々としてその提案に飛びついたんだけど、キリナムさんは魔王と話があるからと留まる事になった。
そういえば、魔国に来る前にもそんな事言ってたもんね。大事な話なのかな。
「少し前から3国の境目に何やら不穏な空気を感じてな。今それを魔国と共同で調べているのだ。大事になる前に我々で原因を突き止めて解決するから問題ない。」
…………私、そんなに聴きたそうな顔してました?
「だからお前はすぐに顔に出るって言ってるだろ?」
ニッと意地悪く笑うクロに、みんながウンウンと頷いて同意している。
「私もその話し合いに参加させていただきたいのですが、よろしいですか?」
「侯爵殿も?」
「はい。及ばずながら、私も人間の国の政治に少なからず関わらせていただいております。世界の情勢についても、お2人から学ばせていただきたい。」
頭を下げる父様の後ろから、セディも手を挙げ前に出る。
「はい!僕も是非ご一緒させていただきたいです。皆さんの話されている端に居させてくださるだけで構いません。僕にも勉強させて下さい。」
お願いしますと頭を下げるセディは、2人から同席する許可をもらうと、ホッと胸を撫で下ろした。
「セディは行かないの?」
「うん。魔国とエルフの国のトップが揃う場に僕がいるなんて、そうそう無いシチュエーションだろうからね。僕の知らない世界の事を色々学びたいんだ。」
「そっかぁ。」
一緒に行けたら良かったんだけどなぁ。
いつもニコニコ笑って何を考えてるか分からないようなセディも、ちゃんと王太子として考えてるんだね。
「フフッ。僕がいないと寂しい?」
「なっ……!ち、違うもん!行こうサミュエルさんっ!!」
クスクスと笑うセディに見送られながら、私はきっと真っ赤になっているであろう顔を手で覆い隠して部屋を後にした。
結局、サミュエルさんの案内で魔国巡りをするのは私とアーク兄様とクロだけだった。
マリアも私達の荷を解くからとお留守番。
サミュエルさんは部屋を出て広い中庭らしき所に私達を連れてきた。
「サミュエルさん?外へ行かないの?」
「うん、行くけどね。エリーヌ達はずっと馬車移動だっただろうから、馬車じゃない乗りモノの方がいいと思って。」
後ろを振り返り私達にフワリと優しく微笑むと、周りにザッと風が吹き…………サミュエルさんが今まで立っていた場所に、真っ白くて綺麗な1匹のペガサスが現れた。
「僕の背中に乗って。」
うひょー!?ヤバイ!!ペガサスじゃん!!
まさしく、前世で読んだ絵本や小説の中に出てくるような姿で私のテンションMAXだよ。
額には角が生えていて、胴体には体と同じ色の真っ白で大きな翼がついている。
サラサラで触り心地の良さそうな鬣は太陽に照らされてキラキラと輝いて見えた。
潤んだ黒目は睫毛も長くてとっても妖艶だ。
ーー結論。イケメンは馬……いやペガサスになってもイケメンでした。
「……エリーヌ、お前メチャクチャ喜んでないか?」
「だってペガサスだよ!メチャカッコイイ!!興奮しない方がおかしいでしょ!!」
「確かにこれは僕も興奮するよ。でも魔物の姿って兄弟でも全然違うんだね。ちょっと驚いたな。」
「本当にねー。クロなんていつも私の首に巻き付いてるくらい小ちゃいもんね。」
「……チビで悪かったな。」
私とアーク兄様が感想を述べ合っていると、クロが口を尖らせてプイッと顔を逸らした。
ーーあらやだ、クロがまたまた可愛い。
今日のクロ、可愛すぎなんですけど。
「も~っ!クロは小さくて口が悪いけどモフモフだからいいんだよ。モフモフは私の癒し!モフモフ最高っ!」
「……エリーヌ。それってフォローになってるのかな?」
「お前、俺のことディスってるだろ。」
「え~?」
こんな私達のやり取りをサミュエルさんはクスクスと面白そうに笑って見ていた。
「そろそろ行こうか。」
サミュエルさんに促され、アーク兄様、私、クロの順番でサミュエルさんの背中に乗る。
鬣は予想通りサラサラで触り心地が良くて、サミュエルさんの背中は私達3人が乗ってもまだ少し余裕があるくらい大きかった。
「行くよ。」
サミュエルさんの掛け声を合図にバサッと翼が動き、フワリと宙に浮く。
そして一気にお城を見下ろせる位の高さまで上がると、風を切りそのまま前に飛び進んだ。
「すごーい!!」
私ってば空飛んじゃってるじゃん!!
しかもペガサスに乗って!!!
何これー!?本当にヤバイ!!!!
まさに夢のシチュエーション!!!!!
クロの故郷だから色々と見て回りたかった私は嬉々としてその提案に飛びついたんだけど、キリナムさんは魔王と話があるからと留まる事になった。
そういえば、魔国に来る前にもそんな事言ってたもんね。大事な話なのかな。
「少し前から3国の境目に何やら不穏な空気を感じてな。今それを魔国と共同で調べているのだ。大事になる前に我々で原因を突き止めて解決するから問題ない。」
…………私、そんなに聴きたそうな顔してました?
「だからお前はすぐに顔に出るって言ってるだろ?」
ニッと意地悪く笑うクロに、みんながウンウンと頷いて同意している。
「私もその話し合いに参加させていただきたいのですが、よろしいですか?」
「侯爵殿も?」
「はい。及ばずながら、私も人間の国の政治に少なからず関わらせていただいております。世界の情勢についても、お2人から学ばせていただきたい。」
頭を下げる父様の後ろから、セディも手を挙げ前に出る。
「はい!僕も是非ご一緒させていただきたいです。皆さんの話されている端に居させてくださるだけで構いません。僕にも勉強させて下さい。」
お願いしますと頭を下げるセディは、2人から同席する許可をもらうと、ホッと胸を撫で下ろした。
「セディは行かないの?」
「うん。魔国とエルフの国のトップが揃う場に僕がいるなんて、そうそう無いシチュエーションだろうからね。僕の知らない世界の事を色々学びたいんだ。」
「そっかぁ。」
一緒に行けたら良かったんだけどなぁ。
いつもニコニコ笑って何を考えてるか分からないようなセディも、ちゃんと王太子として考えてるんだね。
「フフッ。僕がいないと寂しい?」
「なっ……!ち、違うもん!行こうサミュエルさんっ!!」
クスクスと笑うセディに見送られながら、私はきっと真っ赤になっているであろう顔を手で覆い隠して部屋を後にした。
結局、サミュエルさんの案内で魔国巡りをするのは私とアーク兄様とクロだけだった。
マリアも私達の荷を解くからとお留守番。
サミュエルさんは部屋を出て広い中庭らしき所に私達を連れてきた。
「サミュエルさん?外へ行かないの?」
「うん、行くけどね。エリーヌ達はずっと馬車移動だっただろうから、馬車じゃない乗りモノの方がいいと思って。」
後ろを振り返り私達にフワリと優しく微笑むと、周りにザッと風が吹き…………サミュエルさんが今まで立っていた場所に、真っ白くて綺麗な1匹のペガサスが現れた。
「僕の背中に乗って。」
うひょー!?ヤバイ!!ペガサスじゃん!!
まさしく、前世で読んだ絵本や小説の中に出てくるような姿で私のテンションMAXだよ。
額には角が生えていて、胴体には体と同じ色の真っ白で大きな翼がついている。
サラサラで触り心地の良さそうな鬣は太陽に照らされてキラキラと輝いて見えた。
潤んだ黒目は睫毛も長くてとっても妖艶だ。
ーー結論。イケメンは馬……いやペガサスになってもイケメンでした。
「……エリーヌ、お前メチャクチャ喜んでないか?」
「だってペガサスだよ!メチャカッコイイ!!興奮しない方がおかしいでしょ!!」
「確かにこれは僕も興奮するよ。でも魔物の姿って兄弟でも全然違うんだね。ちょっと驚いたな。」
「本当にねー。クロなんていつも私の首に巻き付いてるくらい小ちゃいもんね。」
「……チビで悪かったな。」
私とアーク兄様が感想を述べ合っていると、クロが口を尖らせてプイッと顔を逸らした。
ーーあらやだ、クロがまたまた可愛い。
今日のクロ、可愛すぎなんですけど。
「も~っ!クロは小さくて口が悪いけどモフモフだからいいんだよ。モフモフは私の癒し!モフモフ最高っ!」
「……エリーヌ。それってフォローになってるのかな?」
「お前、俺のことディスってるだろ。」
「え~?」
こんな私達のやり取りをサミュエルさんはクスクスと面白そうに笑って見ていた。
「そろそろ行こうか。」
サミュエルさんに促され、アーク兄様、私、クロの順番でサミュエルさんの背中に乗る。
鬣は予想通りサラサラで触り心地が良くて、サミュエルさんの背中は私達3人が乗ってもまだ少し余裕があるくらい大きかった。
「行くよ。」
サミュエルさんの掛け声を合図にバサッと翼が動き、フワリと宙に浮く。
そして一気にお城を見下ろせる位の高さまで上がると、風を切りそのまま前に飛び進んだ。
「すごーい!!」
私ってば空飛んじゃってるじゃん!!
しかもペガサスに乗って!!!
何これー!?本当にヤバイ!!!!
まさに夢のシチュエーション!!!!!
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