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第二章 未知の世界への移住
博物館とは違うね
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「これって、何の声だ?」
「は?」
サトルに言われて、俺達は一斉に耳を澄ませてみた。
すると、確かに何か声のような……
「どこから聞こえてくるんだ?」
「え、上じゃない?」
「上になるとって……何だあれは!?」
ハロルドは上を向いたまま叫ぶとそのまま仰け反って、後ろに倒れた。
俺達も上を見上げると、そこには何か空を飛ぶ物体のような……まさか?
「鳥なのか……」
「トリ?」
「教科書で見たことあるだろ!? 自由に空を飛び回る翼を持つ動物だよ!」
「待て、デタラメばっかり言うな!」
「デタラメじゃない!」
「動物がこの世にいるわけねえだろ! とっくの昔に、人類以外は絶滅したってそれこそ教科書に書いてあるだろ!」
俺の見立てに、文句をつけてきたのは望だった。
確かに、人類以外が絶滅しているってことは小学生の時に習う最大の常識だ。
「けど、これで教科書なんて、当てにならないってことがわかったな」
しかし、俺達の口喧嘩はアランという意外すぎる人物によって止められた。
「ああ? それはどうゆう意味だ、この不良野郎が!」
「望、お前は……!!」
「……あれを見てみろ」
本当に誰にでも噛み付く望はアランにまで噛み付いたが、アランはそんなこと興味ないという顔で上を指差した。
「鳥の群れだ……」
見事な隊列を組みながら、決してそれを崩さずに飛ぶ鳥の群れ。
海を渡って行く姿が、そこにあった。
「あれ? 昴、あれも動物?」
「え? どれが……」
ゾーイに言われ、俺は空から視線をゾーイの指差す方に移す。
そこには、白い毛で長い耳らしきものを持つ赤い目の動物と、茶色い毛でフサフサのしっぽと黒い丸い目をした動物。
どっちも授業でやったぞ、確か……
「多分、うさぎと狸かな?」
「どっちがどっち?」
「白い方がうさぎで、茶色いのが狸だと思う」
「へー! 昴、何でそんなに自然のこととかに詳しいの?」
「あー、環境学科だからだよ。今に至るまでの環境の歴史とかは、一からやる感じかな?」
「正直、環境学科って何の勉強をしてるのかピンと来なかったんだけど、これで納得したわ」
そう言ったゾーイに、俺は苦笑をするしかなかった。
実はナサニエルの入学試験で、唯一合格したのが環境学科だったってだけのオチなんだけど……
まさか、こんな形で環境学科だってことが役に立つとはな。
「あれが動物か……生きてるし、博物館とかで見る化石なんかより、めっちゃ可愛いじゃん!」
「確かに、モコモコしているよな」
「よし、捕まえよう」
「え?」
すると、気付かないうちに海から上がって靴を履いていたらしいゾーイ。
うさぎと狸はゾーイの思考を読んだかのように森の中へと消え、それをゾーイは追いかけて行く。
「え!? 君は本当に……待ちたまえ!」
それをハロルド、アランは心底嫌気がさしたという顔で追いかける。
「望! 早くしろ!」
「弟くん、少し急いで! 見失う!」
「うるっせえ!! あの女、俺のことを海に入れておいて、変な動物追いかけて俺を置いて行くとはいい度胸だ!!」
「文句はいいから、早く靴履け!」
さすがに今回の望の怒りは最もだとは思う。
けど、頼むから一刻も早く足を拭いて靴を履いてほしいんだよな!
そして、望が靴を履くのを確認した俺とサトルはダッシュで森の中に入る。
「待て待て待て待てえええ!!!!」
幸いなことにゾーイが叫びながらうさぎと狸を追いかけ回していたから、そのゾーイの声のする方に進めば、はぐれることはなかった。
その道中にも木には果物、岩場には湧き水など、たくさんの発見があった。
今までの当たり前が崩れていく音が俺の中に響いた。
「あー、こりゃ完全にうさぎと狸を見失っちゃったわ」
「最初からどうでもいいことだ、そんなことは!」
「……付き合ってられないな」
どれくらい走り続けたのか、ようやくゾーイは止まってくれた。
これでもかと睨みながら、罵詈雑言を望とアランはゾーイに浴びせるが通常通りだ、聞いているわけがなかった。
「ま……くれ……きゅ、休憩を……」
「ハロルド、よく頑張ったよ」
「ゾーイって、体力お化けかもね……」
一方で、ハロルドは今にも死にそうな勢いだった。
俺とサトルで背中をさすったり、水を飲ませてやる。
恐ろしいことに、俺、サトル、望、アランも肩で息をしているくらいなのにゾーイは涼しい顔のまま。
本当にどうなっているんだろうか……
「ねえ! ちょっと、こっち来てよ!」
「ま、またなの……?」
そして、ろくに休んでもいないのにゾーイは俺達を急かして、こっちに来いと呼ぶ。
俺とサトルはハロルドを立たせ、さらに支えながら呼ばれた方に向かう。
そして、森を抜けると、そこはまた空島とも森とも似つかない光景だった。
「次は荒廃都市か……」
「は?」
サトルに言われて、俺達は一斉に耳を澄ませてみた。
すると、確かに何か声のような……
「どこから聞こえてくるんだ?」
「え、上じゃない?」
「上になるとって……何だあれは!?」
ハロルドは上を向いたまま叫ぶとそのまま仰け反って、後ろに倒れた。
俺達も上を見上げると、そこには何か空を飛ぶ物体のような……まさか?
「鳥なのか……」
「トリ?」
「教科書で見たことあるだろ!? 自由に空を飛び回る翼を持つ動物だよ!」
「待て、デタラメばっかり言うな!」
「デタラメじゃない!」
「動物がこの世にいるわけねえだろ! とっくの昔に、人類以外は絶滅したってそれこそ教科書に書いてあるだろ!」
俺の見立てに、文句をつけてきたのは望だった。
確かに、人類以外が絶滅しているってことは小学生の時に習う最大の常識だ。
「けど、これで教科書なんて、当てにならないってことがわかったな」
しかし、俺達の口喧嘩はアランという意外すぎる人物によって止められた。
「ああ? それはどうゆう意味だ、この不良野郎が!」
「望、お前は……!!」
「……あれを見てみろ」
本当に誰にでも噛み付く望はアランにまで噛み付いたが、アランはそんなこと興味ないという顔で上を指差した。
「鳥の群れだ……」
見事な隊列を組みながら、決してそれを崩さずに飛ぶ鳥の群れ。
海を渡って行く姿が、そこにあった。
「あれ? 昴、あれも動物?」
「え? どれが……」
ゾーイに言われ、俺は空から視線をゾーイの指差す方に移す。
そこには、白い毛で長い耳らしきものを持つ赤い目の動物と、茶色い毛でフサフサのしっぽと黒い丸い目をした動物。
どっちも授業でやったぞ、確か……
「多分、うさぎと狸かな?」
「どっちがどっち?」
「白い方がうさぎで、茶色いのが狸だと思う」
「へー! 昴、何でそんなに自然のこととかに詳しいの?」
「あー、環境学科だからだよ。今に至るまでの環境の歴史とかは、一からやる感じかな?」
「正直、環境学科って何の勉強をしてるのかピンと来なかったんだけど、これで納得したわ」
そう言ったゾーイに、俺は苦笑をするしかなかった。
実はナサニエルの入学試験で、唯一合格したのが環境学科だったってだけのオチなんだけど……
まさか、こんな形で環境学科だってことが役に立つとはな。
「あれが動物か……生きてるし、博物館とかで見る化石なんかより、めっちゃ可愛いじゃん!」
「確かに、モコモコしているよな」
「よし、捕まえよう」
「え?」
すると、気付かないうちに海から上がって靴を履いていたらしいゾーイ。
うさぎと狸はゾーイの思考を読んだかのように森の中へと消え、それをゾーイは追いかけて行く。
「え!? 君は本当に……待ちたまえ!」
それをハロルド、アランは心底嫌気がさしたという顔で追いかける。
「望! 早くしろ!」
「弟くん、少し急いで! 見失う!」
「うるっせえ!! あの女、俺のことを海に入れておいて、変な動物追いかけて俺を置いて行くとはいい度胸だ!!」
「文句はいいから、早く靴履け!」
さすがに今回の望の怒りは最もだとは思う。
けど、頼むから一刻も早く足を拭いて靴を履いてほしいんだよな!
そして、望が靴を履くのを確認した俺とサトルはダッシュで森の中に入る。
「待て待て待て待てえええ!!!!」
幸いなことにゾーイが叫びながらうさぎと狸を追いかけ回していたから、そのゾーイの声のする方に進めば、はぐれることはなかった。
その道中にも木には果物、岩場には湧き水など、たくさんの発見があった。
今までの当たり前が崩れていく音が俺の中に響いた。
「あー、こりゃ完全にうさぎと狸を見失っちゃったわ」
「最初からどうでもいいことだ、そんなことは!」
「……付き合ってられないな」
どれくらい走り続けたのか、ようやくゾーイは止まってくれた。
これでもかと睨みながら、罵詈雑言を望とアランはゾーイに浴びせるが通常通りだ、聞いているわけがなかった。
「ま……くれ……きゅ、休憩を……」
「ハロルド、よく頑張ったよ」
「ゾーイって、体力お化けかもね……」
一方で、ハロルドは今にも死にそうな勢いだった。
俺とサトルで背中をさすったり、水を飲ませてやる。
恐ろしいことに、俺、サトル、望、アランも肩で息をしているくらいなのにゾーイは涼しい顔のまま。
本当にどうなっているんだろうか……
「ねえ! ちょっと、こっち来てよ!」
「ま、またなの……?」
そして、ろくに休んでもいないのにゾーイは俺達を急かして、こっちに来いと呼ぶ。
俺とサトルはハロルドを立たせ、さらに支えながら呼ばれた方に向かう。
そして、森を抜けると、そこはまた空島とも森とも似つかない光景だった。
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