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第三章-⑵ デルタとソニア
デリカシーはお菓子じゃないよ
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「デルタって前はタオルを巻いて隠しておく派なんだ? 誰もいないのに、意外と小心者だったの?」
今唯一正確な情報は、ゾーイにはデリカシーも何もあったものじゃないということだけである。
「なっ、ななな……!?」
「おっと、デルタ? 今は叫ばない方が身のためよ?」
「何で、ここに……」
「あ、声低いね! それが地声なの?」
そろそろ、本当にデルタが気の毒になってくるレベルだ。
「って……ストーーーップ!!!!」
「うおっ!? 昴、どうしたの!?」
「どうしたもこうしたもないよ!? 俺が叫んだ理由ぐらいわかるだろ!?」
「……さあ?」
「そんな風に、本気でわかりませんけど何かみたいな顔はやめてくれー!!」
思わず、俺はゾーイのキョトン顔を前にするとその場で膝をついて天井に向かって叫んでいた。
そして、リアルに頭を抱えるなんて漫画みたいな体勢になる。
暗闇で攻撃された相手はソニアで?
女子だと思っていたデルタには、巨乳どころかたくましい胸板があって?
ゾーイはそんな驚く二人と、まったく状況についていけない俺を置いて淡々と話を進めて?
どうなってるんだ!? え、これ本当にどうなってるんだよおおお!?
「す、昴? 落ち着いて?」
「あれ、ソニア!? 何で、急にそんなに冷静になれちゃうの!?」
「いや、自分より取り乱す人間がいると逆に冷静になるって言うけど、昴を見て本当にそうだなって……」
「つまり、俺の取り乱し様に、現在進行形で引いてるってわけだね!?」
ソニアのこんな引きつった顔は、かれこれ三か月とか、寝食を共にしてるのに初めて見た気がする。
きっと、それほどまで、今の俺の取り乱し様はひどいのだろう。
「とりあえず、デルタは何よりも先に温泉から上がって服を着たら?」
「は? この状況で、それ正気?」
「正気に決まってるでしょ? ここには飲んだらあっという間に治る薬や、最新の医療技術はないのよ? 風邪でも致命傷になるわよ?」
そして、完全に周りの状況などに無視を決め込んで、冷静にゾーイはデルタにそう忠告するのだった。
確かにな? ゾーイの言ってることは正しすぎるけど……けどさ!?
ほら、デルタなんて不信感と困惑の感情がごちゃごちゃしちゃって、せっかく整ってる顔が歪みまくってるよ。
というか、今のデルタは多分まったく化粧をしていない状態だけど……
改めて見るとデルタは、個人的に顔が整っていると思う望、サトル、アランとはまた違った中性的で、男にしてはすごく綺麗な顔立ちをしていた。
この顔に化粧だと、今まで気付かなかったのも納得なのかもな……
「さて、それじゃ、あたしと昴は外で待ってるから、急いで来てよ?」
そして、俺とゾーイは温泉施設の外でレイモンド姉妹……兄妹のことを待つことになった。
「てか、昴は顔洗ってくれば?」
「え?」
「やっぱり、念のため傷口は洗った方がよくない?」
「あ、あー! そういう……いや、とりあえずは、教会に帰ってから医務室に寄ってみるよ」
「了解。必ず行くのよ?」
「わかってるよ……ねえ、ゾーイ?」
君と一緒に過ごしていると、俺は君のことがどんどんわからなくなっていく。
血も涙もないことを言ったり、無茶苦茶に周りを振り回したかと思えば、君は突然誰かを救う。
俺の問いかけに、松明の明かりの中に浮かぶゾーイの顔は不思議そうに、首を傾げている。
「君はどこまで未来が見えてるの?」
その質問に、ゾーイから答えが返ってくることはなかった。
しばらくの沈黙の後で、レイモンド兄妹が出て来たからである。
デルタは先ほどまでの男としての面影はなくなっており、いつも通りの妖艶なデルタに戻っていた。
「ねえ、ゾーイ、あたしと兄貴のことをどうする気なの……?」
すると、ソニアが不安でたまらないと書いてあるような顔で、デルタの手を握りながら、ゾーイに問いかける。
そのゾーイをデルタは睨むようにして見ていた。
ゾーイ、何て答えるつもりなんだ……
「そうね、まずは広場にあんたら二人を吊し上げてから……って、別に何もするわけないでしょ?」
「え?」
「はあ?」
「そんなこと手間がかかるだけで、あたしに何の得があんのよ」
あっけらかんとしたゾーイのその答えに対して、レイモンド兄妹は怪訝な顔を隠せずにいた。
そうもなるだろ……
それじゃ、どうしてゾーイはこんなことをしたのか説明がつかないんだよな。
まあ、手間がかかるとか、得とか、そこはゾーイらしいけど……
「とにかく、今日は遅いから、話は明日の夜にしよ? レオかモカに家借りておくからさ」
「え? 何で、わざわざ家を?」
「だって、この二人はこのことに関して誰にも知られたくないんでしょ?」
俺の質問に、ゾーイは当然だろというようにレイモンド兄妹に問いかける。
ソニアは突然自分達に話題を振られたことで、少し心配になるスピードでコクコクと首を縦に振り続けていた。
一方で、デルタはゾーイの心理を探るような目を向けていた。
「何もしないから、バカな考えだけは起こさないでよね?」
今唯一正確な情報は、ゾーイにはデリカシーも何もあったものじゃないということだけである。
「なっ、ななな……!?」
「おっと、デルタ? 今は叫ばない方が身のためよ?」
「何で、ここに……」
「あ、声低いね! それが地声なの?」
そろそろ、本当にデルタが気の毒になってくるレベルだ。
「って……ストーーーップ!!!!」
「うおっ!? 昴、どうしたの!?」
「どうしたもこうしたもないよ!? 俺が叫んだ理由ぐらいわかるだろ!?」
「……さあ?」
「そんな風に、本気でわかりませんけど何かみたいな顔はやめてくれー!!」
思わず、俺はゾーイのキョトン顔を前にするとその場で膝をついて天井に向かって叫んでいた。
そして、リアルに頭を抱えるなんて漫画みたいな体勢になる。
暗闇で攻撃された相手はソニアで?
女子だと思っていたデルタには、巨乳どころかたくましい胸板があって?
ゾーイはそんな驚く二人と、まったく状況についていけない俺を置いて淡々と話を進めて?
どうなってるんだ!? え、これ本当にどうなってるんだよおおお!?
「す、昴? 落ち着いて?」
「あれ、ソニア!? 何で、急にそんなに冷静になれちゃうの!?」
「いや、自分より取り乱す人間がいると逆に冷静になるって言うけど、昴を見て本当にそうだなって……」
「つまり、俺の取り乱し様に、現在進行形で引いてるってわけだね!?」
ソニアのこんな引きつった顔は、かれこれ三か月とか、寝食を共にしてるのに初めて見た気がする。
きっと、それほどまで、今の俺の取り乱し様はひどいのだろう。
「とりあえず、デルタは何よりも先に温泉から上がって服を着たら?」
「は? この状況で、それ正気?」
「正気に決まってるでしょ? ここには飲んだらあっという間に治る薬や、最新の医療技術はないのよ? 風邪でも致命傷になるわよ?」
そして、完全に周りの状況などに無視を決め込んで、冷静にゾーイはデルタにそう忠告するのだった。
確かにな? ゾーイの言ってることは正しすぎるけど……けどさ!?
ほら、デルタなんて不信感と困惑の感情がごちゃごちゃしちゃって、せっかく整ってる顔が歪みまくってるよ。
というか、今のデルタは多分まったく化粧をしていない状態だけど……
改めて見るとデルタは、個人的に顔が整っていると思う望、サトル、アランとはまた違った中性的で、男にしてはすごく綺麗な顔立ちをしていた。
この顔に化粧だと、今まで気付かなかったのも納得なのかもな……
「さて、それじゃ、あたしと昴は外で待ってるから、急いで来てよ?」
そして、俺とゾーイは温泉施設の外でレイモンド姉妹……兄妹のことを待つことになった。
「てか、昴は顔洗ってくれば?」
「え?」
「やっぱり、念のため傷口は洗った方がよくない?」
「あ、あー! そういう……いや、とりあえずは、教会に帰ってから医務室に寄ってみるよ」
「了解。必ず行くのよ?」
「わかってるよ……ねえ、ゾーイ?」
君と一緒に過ごしていると、俺は君のことがどんどんわからなくなっていく。
血も涙もないことを言ったり、無茶苦茶に周りを振り回したかと思えば、君は突然誰かを救う。
俺の問いかけに、松明の明かりの中に浮かぶゾーイの顔は不思議そうに、首を傾げている。
「君はどこまで未来が見えてるの?」
その質問に、ゾーイから答えが返ってくることはなかった。
しばらくの沈黙の後で、レイモンド兄妹が出て来たからである。
デルタは先ほどまでの男としての面影はなくなっており、いつも通りの妖艶なデルタに戻っていた。
「ねえ、ゾーイ、あたしと兄貴のことをどうする気なの……?」
すると、ソニアが不安でたまらないと書いてあるような顔で、デルタの手を握りながら、ゾーイに問いかける。
そのゾーイをデルタは睨むようにして見ていた。
ゾーイ、何て答えるつもりなんだ……
「そうね、まずは広場にあんたら二人を吊し上げてから……って、別に何もするわけないでしょ?」
「え?」
「はあ?」
「そんなこと手間がかかるだけで、あたしに何の得があんのよ」
あっけらかんとしたゾーイのその答えに対して、レイモンド兄妹は怪訝な顔を隠せずにいた。
そうもなるだろ……
それじゃ、どうしてゾーイはこんなことをしたのか説明がつかないんだよな。
まあ、手間がかかるとか、得とか、そこはゾーイらしいけど……
「とにかく、今日は遅いから、話は明日の夜にしよ? レオかモカに家借りておくからさ」
「え? 何で、わざわざ家を?」
「だって、この二人はこのことに関して誰にも知られたくないんでしょ?」
俺の質問に、ゾーイは当然だろというようにレイモンド兄妹に問いかける。
ソニアは突然自分達に話題を振られたことで、少し心配になるスピードでコクコクと首を縦に振り続けていた。
一方で、デルタはゾーイの心理を探るような目を向けていた。
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