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第三章-⑷ アランとシンとレオとモカ
カメレオンになってみた
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「意外に気付かないもんなのね。これが灯台もと暗しってやつか」
二日間、必死に王国の総動員で捜しまくっても見つからなかったアラン。
そんな張本人の、まさかの登場という急展開にその場の空気は固まる。
そんな中で、ゾーイはズレた観点での納得を一人でしていた。
待って、本当に待って、木? 今のアラン、木から……
「アラン……無事でよかったよ。それであの、その格好は……」
真っ先に立ち直ったサトルが、困惑を隠せないままアランに問う。
そう、何より気になるアランの格好。
体中に葉っぱや花を貼り付けて、今のアランは完全に自然と同化していた。
いや、もうこうなると葉っぱを着てると言った方がいいかもしれないレベル。
そんな奇天烈な格好なのに、いつも通りの無表情だから何だかギャップでおかしなことになっている。
「自分の匂いを消すためでしょ?」
「匂いをって……ああ! 犬族と猫族の追跡から逃れるためってこと?」
「ジェームズ、ご名答!」
すると、そんな疑問に答えたのはアラン本人ではなく、ゾーイ。
そのゾーイの答えをわかり易く理由を補足するように、ジェームズが続けて質問する。
その質問に、ゾーイは楽しそうにその通りだと答えていた。
あれ、それもそうかもだけど……
「けど、ゾーイ! 本来の犬や猫の嗅覚の鋭さを、この程度のことで欺けるとは思えないんだけど……」
俺は環境学科の授業での記憶を探り出しながら、素直に思った疑問と懸念点をゾーイに投げかける。
動物の嗅覚というものは、人間とは比べものにならないものだ。
特に犬の嗅覚は人間の約百万倍、猫は犬より劣るが、それでも人間の二十万倍程度だったと授業でやったと思う。
そんな匂いに敏感な犬族と猫族が、単純に葉っぱや花を体中にまとった程度で追跡が困難になるだろうか……
「さすが、昴ね? 目の付け所が環境学科って感じ」
「あ、ありがとう……?」
すると、俺に視線を移して、ゾーイは面白そうに笑って答える。
一応、お礼は言うけど……それって褒めてるの?
そんな俺の怪しむような視線なんかをゾーイが感じるわけもなく……
「まあ、これはあくまであたしの仮説だけど、何らかの理由で人間に近い進化を遂げたと同時に、謎に嗅覚までも人間に近くなった……つまり、退化したって考えるのが自然だと思うのよね?」
少し頭を捻りながら、ゾーイは俺に答えた。
まあ、確かに……現にアランは今まで見つからなかったわけだしな……
「それはそうだとして……何で、ゾーイはアランがこの木に隠れているってわかったの?」
そして、今度はレオがゾーイに質問を投げかけた。
その疑問は誰もが思っていたと思う。
「簡単よ。アランの性格上、必ず全体が見えるところで、こっち側の動向をチェックするでしょ? そうなると、一番見晴らしがいいのはって考えた時に、最高の場所がこの木ってわけよ」
けど、ゾーイはサラッとまた俺達の予想の上をいく答えを返すのだ。
本当にどうやったら、そんな風に先回りした考えができるのだろうか……
アランが特に何も言わないとこを見ると、多分正解なんだろうし……
「さて、じゃあ、アランくん? あの夜の、骨バッキバキ事件の日に一体何があったのか話してちょうだいな」
「……お前が話せ」
すると、ゾーイは気を取り直すようにアランに本来の話を振った。
関係ないけど、骨バキバキってワードどうにかならないのかな……
アランはそれに対して、ゾーイに話せとそこそこの圧をかける。
葉っぱまみれだけど、アランの迫力は健在だ。
息をするのも忘れるほどに……
「は? バカなの? そんなの無理に決まってんでしょ? あたしは、その時その場にいなかったんだから。あ、まさかとは思うけど、こんな大勢の前で話すことに緊張してる? わお、その怖い顔に似合わず、可愛いとこも……」
「今すぐその口閉じろ」
まあ、そんな迫力に屈するゾーイなわけもなく……またまた通常運転。
そんなゾーイに、アランはすぐさま無表情でそう吐き捨てる。
何だろうな……ゾーイの鈍感と我が道を行くその姿勢は評価に値するよ。
「……面倒だから、単刀直入に話す」
そう言うと、アランは体中の葉っぱと花を処刑台の上に払い落とす。
そして、いつもの見慣れている姿に戻ったところで、アランは重症を負わせた六人を睨みつけると……
「そこのクソどもが、俺達人類のことを嵌めようとしてた」
二日間、必死に王国の総動員で捜しまくっても見つからなかったアラン。
そんな張本人の、まさかの登場という急展開にその場の空気は固まる。
そんな中で、ゾーイはズレた観点での納得を一人でしていた。
待って、本当に待って、木? 今のアラン、木から……
「アラン……無事でよかったよ。それであの、その格好は……」
真っ先に立ち直ったサトルが、困惑を隠せないままアランに問う。
そう、何より気になるアランの格好。
体中に葉っぱや花を貼り付けて、今のアランは完全に自然と同化していた。
いや、もうこうなると葉っぱを着てると言った方がいいかもしれないレベル。
そんな奇天烈な格好なのに、いつも通りの無表情だから何だかギャップでおかしなことになっている。
「自分の匂いを消すためでしょ?」
「匂いをって……ああ! 犬族と猫族の追跡から逃れるためってこと?」
「ジェームズ、ご名答!」
すると、そんな疑問に答えたのはアラン本人ではなく、ゾーイ。
そのゾーイの答えをわかり易く理由を補足するように、ジェームズが続けて質問する。
その質問に、ゾーイは楽しそうにその通りだと答えていた。
あれ、それもそうかもだけど……
「けど、ゾーイ! 本来の犬や猫の嗅覚の鋭さを、この程度のことで欺けるとは思えないんだけど……」
俺は環境学科の授業での記憶を探り出しながら、素直に思った疑問と懸念点をゾーイに投げかける。
動物の嗅覚というものは、人間とは比べものにならないものだ。
特に犬の嗅覚は人間の約百万倍、猫は犬より劣るが、それでも人間の二十万倍程度だったと授業でやったと思う。
そんな匂いに敏感な犬族と猫族が、単純に葉っぱや花を体中にまとった程度で追跡が困難になるだろうか……
「さすが、昴ね? 目の付け所が環境学科って感じ」
「あ、ありがとう……?」
すると、俺に視線を移して、ゾーイは面白そうに笑って答える。
一応、お礼は言うけど……それって褒めてるの?
そんな俺の怪しむような視線なんかをゾーイが感じるわけもなく……
「まあ、これはあくまであたしの仮説だけど、何らかの理由で人間に近い進化を遂げたと同時に、謎に嗅覚までも人間に近くなった……つまり、退化したって考えるのが自然だと思うのよね?」
少し頭を捻りながら、ゾーイは俺に答えた。
まあ、確かに……現にアランは今まで見つからなかったわけだしな……
「それはそうだとして……何で、ゾーイはアランがこの木に隠れているってわかったの?」
そして、今度はレオがゾーイに質問を投げかけた。
その疑問は誰もが思っていたと思う。
「簡単よ。アランの性格上、必ず全体が見えるところで、こっち側の動向をチェックするでしょ? そうなると、一番見晴らしがいいのはって考えた時に、最高の場所がこの木ってわけよ」
けど、ゾーイはサラッとまた俺達の予想の上をいく答えを返すのだ。
本当にどうやったら、そんな風に先回りした考えができるのだろうか……
アランが特に何も言わないとこを見ると、多分正解なんだろうし……
「さて、じゃあ、アランくん? あの夜の、骨バッキバキ事件の日に一体何があったのか話してちょうだいな」
「……お前が話せ」
すると、ゾーイは気を取り直すようにアランに本来の話を振った。
関係ないけど、骨バキバキってワードどうにかならないのかな……
アランはそれに対して、ゾーイに話せとそこそこの圧をかける。
葉っぱまみれだけど、アランの迫力は健在だ。
息をするのも忘れるほどに……
「は? バカなの? そんなの無理に決まってんでしょ? あたしは、その時その場にいなかったんだから。あ、まさかとは思うけど、こんな大勢の前で話すことに緊張してる? わお、その怖い顔に似合わず、可愛いとこも……」
「今すぐその口閉じろ」
まあ、そんな迫力に屈するゾーイなわけもなく……またまた通常運転。
そんなゾーイに、アランはすぐさま無表情でそう吐き捨てる。
何だろうな……ゾーイの鈍感と我が道を行くその姿勢は評価に値するよ。
「……面倒だから、単刀直入に話す」
そう言うと、アランは体中の葉っぱと花を処刑台の上に払い落とす。
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