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第三章-⑸ クレアとハロルド
ギスギスは息が詰まるよね
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「ねえ、昴! クレアとアラン、それにハロルドも変だし、何があったの!?」
「だからさ、本人とか……あとは、ゾーイも事情を知ってるから、そこら辺に聞けって……」
現在、俺は収穫した野菜達をレオの家に届けようとしている道すがら、真由に捕まって詰め寄られていた。
クレアがアランに振られ、ハロルドがクレアにキレられ、夜通しでハロルドとゾーイと語り合ったあの日から、もう五日が経とうとしていた。
俺の嫌な予想通り、クレアはアランとハロルドのことを避けまくり、心ここに在らずという状態。
アランはクレアのことを気にしつつあまり変わらない様子だったけど、一方でハロルドのわかりやすさと動揺っぷりは頭を抱えるレベルだった。
そんな三人のただならぬ雰囲気を察知して、みんなはソワソワしっぱなし……
最終的にゾーイにどうしたのかと相談をしたサトルの一言にゾーイは、昴が全部知ってるからと俺に丸投げする一言を発したのだ。
そのおかげで、俺は四六時中誰かに詰め寄られる日々を送ることになった……
この真由とのやり取りさえ、何度目かわからなくなっている始末だ。
「クレアとアランに聞いてたって、大丈夫ってはぐらかされたわよ! ハロルドに関しては、もうずっと吃りまくってて話にならないし!」
「そこで、ゾーイだろ?」
「……昴? あのゾーイに、口で勝てると思ってるの? 全員で束になってかかっても負けるのが目に見えてるわよ」
真由は深いため息をつきながら、それぐらいわからないのかというような顔で俺に吐き捨てる。
十人以上対一で、全員に口で勝つとかどんな奴だよと普通だったならば言いたくなるが、ゾーイが相手ではそうだよなと俺は開きかけた口を閉じた。
「けど、俺の口から軽々しくこんなこと言えないんだって……わかってくれ」
「それは……そうかもだけど、このままじゃ、どんどん空気っていうか、悪くなっちゃうばっかりだと思って……」
「まあ、そうだよな……全員、そろそろ限界だろうし」
当たり前に、みんなの気持ちは痛いほどわかってはいる。
けど、さすがに誰が振られた、誰がキレられたなんて……そんなことが他人の口から知れ渡るなんて、最低なことだ。
恋愛事ほど、自分で動いて解決をしなきゃいけない問題もないと、俺はここ最近で本当に学んだんだ。
それでも真由が言う通り、今の俺達の空気がギスギスしてるのは確かで……
「……やっぱり、本人同士がしっかりと話し合うのが一番だと思うんだよな」
「まあ、確かにね……けどさ、その前に一度、私達に話したいことぶつけて、気持ちの整理をしてから話し合った方が良くない!?」
「あー、それもそうだな」
「そうでしょ!? じゃあ、女子全員でクレアから話を聞くから、男子全員でアランとハロルドのことお願いね?」
真由はそう言うと、それがもう決定事項のように俺に強く訴えてくる。
もうやるのかと、一瞬狼狽えてしまう俺だが……けど、こういうことは時間が経てば経ってしまうほど、気まずくなるよなと思い直して、俺は覚悟を決めた。
「早い方がいいもんな……わかった、サトル達にも話しとく」
「ありがとう! よし、そうと決まればクレアを……あ、タイミング最高!」
俺の返事にどこか安心したように、真由はほっと一息つく。
そして、この後の行動を計画しようとしていた時に、真由は視線の先で何かを見つけたようだった。
俺も真由のその視線を辿ると、そこには大きな木にもたれかかって、空を見上げているクレアがいた。
「クレア~! クレアってば~!」
真由はすぐに、大声でクレアの名前を呼んでいたが、クレアはボーッとしてるようで、気付かなか……待てよ、あの木って、まさか……!?
「あれ、全然、クレア気付かない? ごめん、昴! 私、ちょっとクレアのとこ行ってくる!」
そう言って、真由はすぐにクレアのところに走り出そうとする。
「待て、真由ッ!!!!」
けど、俺は無我夢中で、真由の左腕を掴んで引き止めた。
「だからさ、本人とか……あとは、ゾーイも事情を知ってるから、そこら辺に聞けって……」
現在、俺は収穫した野菜達をレオの家に届けようとしている道すがら、真由に捕まって詰め寄られていた。
クレアがアランに振られ、ハロルドがクレアにキレられ、夜通しでハロルドとゾーイと語り合ったあの日から、もう五日が経とうとしていた。
俺の嫌な予想通り、クレアはアランとハロルドのことを避けまくり、心ここに在らずという状態。
アランはクレアのことを気にしつつあまり変わらない様子だったけど、一方でハロルドのわかりやすさと動揺っぷりは頭を抱えるレベルだった。
そんな三人のただならぬ雰囲気を察知して、みんなはソワソワしっぱなし……
最終的にゾーイにどうしたのかと相談をしたサトルの一言にゾーイは、昴が全部知ってるからと俺に丸投げする一言を発したのだ。
そのおかげで、俺は四六時中誰かに詰め寄られる日々を送ることになった……
この真由とのやり取りさえ、何度目かわからなくなっている始末だ。
「クレアとアランに聞いてたって、大丈夫ってはぐらかされたわよ! ハロルドに関しては、もうずっと吃りまくってて話にならないし!」
「そこで、ゾーイだろ?」
「……昴? あのゾーイに、口で勝てると思ってるの? 全員で束になってかかっても負けるのが目に見えてるわよ」
真由は深いため息をつきながら、それぐらいわからないのかというような顔で俺に吐き捨てる。
十人以上対一で、全員に口で勝つとかどんな奴だよと普通だったならば言いたくなるが、ゾーイが相手ではそうだよなと俺は開きかけた口を閉じた。
「けど、俺の口から軽々しくこんなこと言えないんだって……わかってくれ」
「それは……そうかもだけど、このままじゃ、どんどん空気っていうか、悪くなっちゃうばっかりだと思って……」
「まあ、そうだよな……全員、そろそろ限界だろうし」
当たり前に、みんなの気持ちは痛いほどわかってはいる。
けど、さすがに誰が振られた、誰がキレられたなんて……そんなことが他人の口から知れ渡るなんて、最低なことだ。
恋愛事ほど、自分で動いて解決をしなきゃいけない問題もないと、俺はここ最近で本当に学んだんだ。
それでも真由が言う通り、今の俺達の空気がギスギスしてるのは確かで……
「……やっぱり、本人同士がしっかりと話し合うのが一番だと思うんだよな」
「まあ、確かにね……けどさ、その前に一度、私達に話したいことぶつけて、気持ちの整理をしてから話し合った方が良くない!?」
「あー、それもそうだな」
「そうでしょ!? じゃあ、女子全員でクレアから話を聞くから、男子全員でアランとハロルドのことお願いね?」
真由はそう言うと、それがもう決定事項のように俺に強く訴えてくる。
もうやるのかと、一瞬狼狽えてしまう俺だが……けど、こういうことは時間が経てば経ってしまうほど、気まずくなるよなと思い直して、俺は覚悟を決めた。
「早い方がいいもんな……わかった、サトル達にも話しとく」
「ありがとう! よし、そうと決まればクレアを……あ、タイミング最高!」
俺の返事にどこか安心したように、真由はほっと一息つく。
そして、この後の行動を計画しようとしていた時に、真由は視線の先で何かを見つけたようだった。
俺も真由のその視線を辿ると、そこには大きな木にもたれかかって、空を見上げているクレアがいた。
「クレア~! クレアってば~!」
真由はすぐに、大声でクレアの名前を呼んでいたが、クレアはボーッとしてるようで、気付かなか……待てよ、あの木って、まさか……!?
「あれ、全然、クレア気付かない? ごめん、昴! 私、ちょっとクレアのとこ行ってくる!」
そう言って、真由はすぐにクレアのところに走り出そうとする。
「待て、真由ッ!!!!」
けど、俺は無我夢中で、真由の左腕を掴んで引き止めた。
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