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第四章-⑴ 良い子は謎解きの時間だよ
巨大な鉄の鳥を飛ばそう
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「ここって……空港?」
「そう、羽田空港、正式名称は東京国際空港よ!」
俺の零れ落ちた呟きに、ゾーイはテンション高めに答える。
自分が運転するというゾーイの意見をどうにか男五人がかりで宥め、シンの安全運転で、自動車を約三十分走らせてやって来たのは、地上時代に使われていたと思われる空港だった。
「よし、行こう! ゴー! ゴー!」
「え? ちょっと、ゾーイ!?」
「むやみやたらに騒ぐな! あちこち脆くなってるんだからな!?」
縦にも横にも大規模な施設、そこにゾーイは臆することもなく、サトルの制止の声も、望の注意する声も、聞き入れることなく、どんどん先に進んでそのまま中に入って行ってしまう。
俺達は顔を見合せるが、そもそもここに連れて来たのはゾーイだしで、仕方なく、俺、望、サトル、アラン、シン、ローレンさんの六人はそのままゾーイの後を追って施設に入った。
「何してるの? 全員まとめて、置いて行くわよ~?」
「いや、何ていうか、もうちょっと慎重さを、俺は求めてる!」
「警戒心とかないのか、お前は」
「はあ? 慎重さも警戒心も、ここにはあたし達以外に誰も来ないわよ!」
中に入ってみると、そこには想像以上の開放感溢れる空間が広がっていた。
その少し先で、ゾーイはブンブン手を振りながら、俺達に呆れた声を漏らす。
それを受けて、ほとんどシンは手を上げて懇願するように叫び、アランは淡々と吐き捨てる。
まあ、そんな二人の意見を、ゾーイは真正面から跳ね除けていくわけだけど。
確かに、ゾーイの言う通りに、ここには誰も用はないかもな……
約千年前の施設だからしょうがないけれど、高すぎる天井は崩れ落ちており、土産屋だったであろう場所は荒らされまくっていた。
暗く静かな広すぎるその空間は、すごく不気味なものだった。
「シャノン、よかった。さっきより、マシな顔色になったわね?」
「え? ええ……ありがとう」
「どういたしまして」
俺達がゾーイに追いつくと、ゾーイはまっすぐにローレンさんを気にかけた。
振り返ると、確かにローレンさんは先ほどまでとは比べものにならないほど、平常心を取り戻しているなと思った。
まあ、いつもより挙動不審で、何かに怯えてるなって印象は変わらないけど。
「それより、ゾーイさん。何で、そんな迷うことなく、進めるのかしら……?」
「ああ、十日間の日本一周擬きツアーの時に、偶然見つけたのよ」
「そうだったの……」
「うん。だから、目的地は決まってるのよね! さっさと、行くわよ?」
すると、今度はローレンさんが、ゾーイに質問を投げかける。
確かにと思っていると、ゾーイは淡々と答える。
それであんなに、どんどん警戒心もなく空港の中に入って行ったわけか……
本当に事前説明とかないよなと、俺が呆れていると、またゾーイは歩き出す。
こうなったゾーイを止めることは不可能なので、俺達は大人しくゾーイの後を追うことにした。
「は? うわあ、何だこれ……!?」
「何だこの、バカ広い敷地面積……」
そして、そのままゾーイは空港の外に俺達を連れ出した。
そこには、思わず、シンと望が声を上げて興奮するほど、海まで続く広大な土地が広がっていたのだ。
「これが地上ってことか……」
「空島じゃ、まずこんな光景は、一生拝めないよな?」
俺の呟きに答えたサトルの言葉に俺は大きく頷いた。
空島の土地には限りがあり、それはここ地上とは比べものにもならないほど狭くて、窮屈なものだ。
空島の土地の半分ぐらいは、ここに収まるんじゃなかろうか?
空島にも空港はあるし、何なら空島間同士の移動は百パーセント飛行機だ。
しかし、それは地上時代の滑走路を使わなければ飛び立てないような大人数を乗せられる飛行機とは違って、ほとんど助走なしで飛べる小型の飛行機だ。
空港の規模も、地上の駅などとさほど変わらない規模のもの。
俺は改めて、地上の雄大さとその可能性に感動を覚えていた……本当に俺達の先祖は、なぜ、こんな素晴らしいものを壊すようなもったいないことをしたのだろうか。
「さて、それじゃあ、今日は、出血大サービスね? どれでも、好きな飛行機を選んでいいわよ!」
しかし、ゾーイの一言であっという間に俺達は現実に……無慈悲な現実に、引き戻されることになった。
というより、全然ゾーイの言ってる意味がわからないんだけど……?
「選ぶ? 俺達が好きな飛行機とやらを選んで、何の得があるんだ。コレクションでもしろってか」
「え? 別にコレクションしたいなら否定はしないけどさ……どこ置くのよ?」
「どうして、お前が呆れてる」
すかさず、アランがまるで出会った頃のようなとんでもなく凶悪な顔で、ゾーイを睨みつけながら、そう問いかける。
けど、あいかわらず、ゾーイはそんなことなんて気にもせずに、アランと大昔の地上時代の今度のようなやり取りを繰り広げる。
本当にゾーイにかかると、何もシリアスにならないよな……
「まあ、冗談はさて置き、そんなの、空島に帰るために決まってるじゃん?」
けど、今回ばかりは、どうやら早々に話を元に戻すことに決めたようだ。
「アラン、シン、望、サトル。あんた達四人で、この千年前の鉄の鳥を動くようにして?」
本当に俺達は君の思考を先回りすることなんて、一生できそうもないや。
「そう、羽田空港、正式名称は東京国際空港よ!」
俺の零れ落ちた呟きに、ゾーイはテンション高めに答える。
自分が運転するというゾーイの意見をどうにか男五人がかりで宥め、シンの安全運転で、自動車を約三十分走らせてやって来たのは、地上時代に使われていたと思われる空港だった。
「よし、行こう! ゴー! ゴー!」
「え? ちょっと、ゾーイ!?」
「むやみやたらに騒ぐな! あちこち脆くなってるんだからな!?」
縦にも横にも大規模な施設、そこにゾーイは臆することもなく、サトルの制止の声も、望の注意する声も、聞き入れることなく、どんどん先に進んでそのまま中に入って行ってしまう。
俺達は顔を見合せるが、そもそもここに連れて来たのはゾーイだしで、仕方なく、俺、望、サトル、アラン、シン、ローレンさんの六人はそのままゾーイの後を追って施設に入った。
「何してるの? 全員まとめて、置いて行くわよ~?」
「いや、何ていうか、もうちょっと慎重さを、俺は求めてる!」
「警戒心とかないのか、お前は」
「はあ? 慎重さも警戒心も、ここにはあたし達以外に誰も来ないわよ!」
中に入ってみると、そこには想像以上の開放感溢れる空間が広がっていた。
その少し先で、ゾーイはブンブン手を振りながら、俺達に呆れた声を漏らす。
それを受けて、ほとんどシンは手を上げて懇願するように叫び、アランは淡々と吐き捨てる。
まあ、そんな二人の意見を、ゾーイは真正面から跳ね除けていくわけだけど。
確かに、ゾーイの言う通りに、ここには誰も用はないかもな……
約千年前の施設だからしょうがないけれど、高すぎる天井は崩れ落ちており、土産屋だったであろう場所は荒らされまくっていた。
暗く静かな広すぎるその空間は、すごく不気味なものだった。
「シャノン、よかった。さっきより、マシな顔色になったわね?」
「え? ええ……ありがとう」
「どういたしまして」
俺達がゾーイに追いつくと、ゾーイはまっすぐにローレンさんを気にかけた。
振り返ると、確かにローレンさんは先ほどまでとは比べものにならないほど、平常心を取り戻しているなと思った。
まあ、いつもより挙動不審で、何かに怯えてるなって印象は変わらないけど。
「それより、ゾーイさん。何で、そんな迷うことなく、進めるのかしら……?」
「ああ、十日間の日本一周擬きツアーの時に、偶然見つけたのよ」
「そうだったの……」
「うん。だから、目的地は決まってるのよね! さっさと、行くわよ?」
すると、今度はローレンさんが、ゾーイに質問を投げかける。
確かにと思っていると、ゾーイは淡々と答える。
それであんなに、どんどん警戒心もなく空港の中に入って行ったわけか……
本当に事前説明とかないよなと、俺が呆れていると、またゾーイは歩き出す。
こうなったゾーイを止めることは不可能なので、俺達は大人しくゾーイの後を追うことにした。
「は? うわあ、何だこれ……!?」
「何だこの、バカ広い敷地面積……」
そして、そのままゾーイは空港の外に俺達を連れ出した。
そこには、思わず、シンと望が声を上げて興奮するほど、海まで続く広大な土地が広がっていたのだ。
「これが地上ってことか……」
「空島じゃ、まずこんな光景は、一生拝めないよな?」
俺の呟きに答えたサトルの言葉に俺は大きく頷いた。
空島の土地には限りがあり、それはここ地上とは比べものにもならないほど狭くて、窮屈なものだ。
空島の土地の半分ぐらいは、ここに収まるんじゃなかろうか?
空島にも空港はあるし、何なら空島間同士の移動は百パーセント飛行機だ。
しかし、それは地上時代の滑走路を使わなければ飛び立てないような大人数を乗せられる飛行機とは違って、ほとんど助走なしで飛べる小型の飛行機だ。
空港の規模も、地上の駅などとさほど変わらない規模のもの。
俺は改めて、地上の雄大さとその可能性に感動を覚えていた……本当に俺達の先祖は、なぜ、こんな素晴らしいものを壊すようなもったいないことをしたのだろうか。
「さて、それじゃあ、今日は、出血大サービスね? どれでも、好きな飛行機を選んでいいわよ!」
しかし、ゾーイの一言であっという間に俺達は現実に……無慈悲な現実に、引き戻されることになった。
というより、全然ゾーイの言ってる意味がわからないんだけど……?
「選ぶ? 俺達が好きな飛行機とやらを選んで、何の得があるんだ。コレクションでもしろってか」
「え? 別にコレクションしたいなら否定はしないけどさ……どこ置くのよ?」
「どうして、お前が呆れてる」
すかさず、アランがまるで出会った頃のようなとんでもなく凶悪な顔で、ゾーイを睨みつけながら、そう問いかける。
けど、あいかわらず、ゾーイはそんなことなんて気にもせずに、アランと大昔の地上時代の今度のようなやり取りを繰り広げる。
本当にゾーイにかかると、何もシリアスにならないよな……
「まあ、冗談はさて置き、そんなの、空島に帰るために決まってるじゃん?」
けど、今回ばかりは、どうやら早々に話を元に戻すことに決めたようだ。
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