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第五章 ゾーイ・エマーソンの正体
エピローグ後みたいな話
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首相一家の長年の闇、消えたエリート学校の真相、生徒全員奇跡の生還、空島の葬られた真の歴史。
どこのメディアを見ても、そんな見出しのニュースが飛び交うばかり……
「はあ……まあ、文字通り歴史的な大スクープだもんな」
そう感情もなく呟いて、俺はいまだに見慣れない天井を見上げた。
ゾーイがマイルズの罪を暴いた伝説の電波ジャックから、早いもので十日が経とうとしていた。
あれから、ゾーイを除いた俺達空島帰還組は、極度の緊張状態からの解放と安堵からなのか、丸二日もただただ眠り続けていたのだとか……
目覚めた時には、俺と望の手を握り締めて眠っている母がいた。
柄にもなく、十か月ぶりの再会を果たした俺達家族は、三人で抱き合って泣き続けた。
その時に抱き寄せた母の肩が、十か月前よりも明らかに痩せてしまっていたことに、またより一層泣いてしまった。
どれだけ心配をさせたか、どれだけ苦しい思いをさせたか……ずっと、母は信じていた、おかえりと、何度も何度も俺と望に繰り返した。
その時に、思った……ああ、ようやく俺は帰って来たのだと。
目まぐるしく時が過ぎて、ほとんどまともに覚えてはいないが、とにかく事態は進展ばかりだった。
あの後、ゾーイは駆け付けた警察にマイルズを引き渡し、そのままこれまでの諸々の事情と真実を説明するために、空島警察本部へと、同行して行った。
そして、俺が目覚めた時には、すでに空島総出で、地上へ残るナサニエルの生徒達の救出作戦が組まれていた。
ほどなくして、その大規模な救出作戦は実行され、続々と残りの生徒達の空島帰還の速報が飛び交った。
どうなっているのかと警察の人に事情を聞いたら、あまり口外できないと釘を刺されたのだが、関係者だからと特別に教えてくれた。
けど、俺はもう、その内容に絶句するしかなかった……簡単にまとめると、何とゾーイが救出作戦に関する航路や地上の地形関係に関して、全面的にバックアップしたと言う。
さらには、首相が不在の今の空島の最高責任者である官房長官に、地上へ必要以上の詮索はしないこと、両者にとって最高の選択が思いつかない限りは干渉を禁ずるという同意書に、どうやったのかは聞きたくもないが、判を押させたのだとか。
まあ、十日経った今も、地上に関するニュースは、俺が知る限りはなかったと思うから、犬族と猫族へのトラブルはなさそうだし……
おそらく、残りの生徒も全員が無事に救出されたことだろうが……
「本当にどこまで我らが女王様は、たくましいやら、頭が上がらないやら……」
執務室で十日前に見送ったその背中を思い出すだけで、俺に頭痛が襲った。
一方で、俺達は無事に保護され、そのまま全員が空島総合医療機関という、設備が一番整っている病院に搬送された。
俺や望、デルタやソニアといった身内以外は、基本的に個室があてがわれ、そして丸二日の睡眠を経て、待っていたのは長い事情聴取と検査の日々。
何なら、それに関しては、十日経った今でも続くもので、まだ家には帰れそうにはなかった。
けど、目が覚めた仲間達とは、全員同じ階に病室があるということもあり、無事に再会することができた。
またそこでも俺達は泣いた、よくやり遂げた、悪魔に勝ったぞと、ひたすら泣き続けていたと思う。
そして、落ち着いた頃に、俺と望で改めて執務室で何があったのかを詳しく説明したのだが……わかってはいたが、そこにローレンさんの姿はなかった。
警察の人の話では、ローレン一族は全員が更生施設に送られ、洗脳が解けたと判断されたら刑務所に入るのだとか。
しかし、シャノン・ローレンに関しては、ほとんど洗脳は解けていたとの専門家の見解もあり、近いうちに裁判が開かれるようだ。
「はあ……とにかく、終わったけど、これからが大変だよな……」
大人達は、俺達に今は心身ともに休めと言うが、その後には想像もできない現実が待つだけだ。
とにかく、十か月分の授業の遅れを取り戻さないとだし、卒業の時期も確実にズレるよな……
あとは、これだけ注目されてるし、各メディアに追い回される覚悟も、一応はしとかないとな……
今までの状況が特殊だっただけで、俺達にとっては学業が本業であり、それが現実だ。
わかっていても気が重いというのが本音だが、そんな時に思い出すのは、俺達をずっと導いてくれた君の背中だった。
ゾーイは……この先、どういう風に生きていくのだろうか?
何の気なしに、そう思った時だ……
「おっすー、元気してる?」
今まさに、頭の中に思い浮かべていた本人が、ケロッとした様子で俺の目の前に現れたのだ。
「ゾーイ!? え、は、何でいるの!?」
「まあ、一段落ついて、あたしも病人の仲間入りしたから、その挨拶?」
俺は突然の来訪と、実に十日ぶりの再会という二重の意味で驚き、病院ということも忘れて叫んでしまった。
慌てて口を塞ぐが、ゾーイは気にした様子もないし、いつものことなのに何か無性に虚しくなる……
「あれ、望はどこ行ったのよ?」
「え? ああ……望は、ちょっと何かは忘れたけど、検査に行ってて……」
「そりゃ、ご苦労だね。まあ、ちょうど良かったわ。昴に話があったからさ」
どこのメディアを見ても、そんな見出しのニュースが飛び交うばかり……
「はあ……まあ、文字通り歴史的な大スクープだもんな」
そう感情もなく呟いて、俺はいまだに見慣れない天井を見上げた。
ゾーイがマイルズの罪を暴いた伝説の電波ジャックから、早いもので十日が経とうとしていた。
あれから、ゾーイを除いた俺達空島帰還組は、極度の緊張状態からの解放と安堵からなのか、丸二日もただただ眠り続けていたのだとか……
目覚めた時には、俺と望の手を握り締めて眠っている母がいた。
柄にもなく、十か月ぶりの再会を果たした俺達家族は、三人で抱き合って泣き続けた。
その時に抱き寄せた母の肩が、十か月前よりも明らかに痩せてしまっていたことに、またより一層泣いてしまった。
どれだけ心配をさせたか、どれだけ苦しい思いをさせたか……ずっと、母は信じていた、おかえりと、何度も何度も俺と望に繰り返した。
その時に、思った……ああ、ようやく俺は帰って来たのだと。
目まぐるしく時が過ぎて、ほとんどまともに覚えてはいないが、とにかく事態は進展ばかりだった。
あの後、ゾーイは駆け付けた警察にマイルズを引き渡し、そのままこれまでの諸々の事情と真実を説明するために、空島警察本部へと、同行して行った。
そして、俺が目覚めた時には、すでに空島総出で、地上へ残るナサニエルの生徒達の救出作戦が組まれていた。
ほどなくして、その大規模な救出作戦は実行され、続々と残りの生徒達の空島帰還の速報が飛び交った。
どうなっているのかと警察の人に事情を聞いたら、あまり口外できないと釘を刺されたのだが、関係者だからと特別に教えてくれた。
けど、俺はもう、その内容に絶句するしかなかった……簡単にまとめると、何とゾーイが救出作戦に関する航路や地上の地形関係に関して、全面的にバックアップしたと言う。
さらには、首相が不在の今の空島の最高責任者である官房長官に、地上へ必要以上の詮索はしないこと、両者にとって最高の選択が思いつかない限りは干渉を禁ずるという同意書に、どうやったのかは聞きたくもないが、判を押させたのだとか。
まあ、十日経った今も、地上に関するニュースは、俺が知る限りはなかったと思うから、犬族と猫族へのトラブルはなさそうだし……
おそらく、残りの生徒も全員が無事に救出されたことだろうが……
「本当にどこまで我らが女王様は、たくましいやら、頭が上がらないやら……」
執務室で十日前に見送ったその背中を思い出すだけで、俺に頭痛が襲った。
一方で、俺達は無事に保護され、そのまま全員が空島総合医療機関という、設備が一番整っている病院に搬送された。
俺や望、デルタやソニアといった身内以外は、基本的に個室があてがわれ、そして丸二日の睡眠を経て、待っていたのは長い事情聴取と検査の日々。
何なら、それに関しては、十日経った今でも続くもので、まだ家には帰れそうにはなかった。
けど、目が覚めた仲間達とは、全員同じ階に病室があるということもあり、無事に再会することができた。
またそこでも俺達は泣いた、よくやり遂げた、悪魔に勝ったぞと、ひたすら泣き続けていたと思う。
そして、落ち着いた頃に、俺と望で改めて執務室で何があったのかを詳しく説明したのだが……わかってはいたが、そこにローレンさんの姿はなかった。
警察の人の話では、ローレン一族は全員が更生施設に送られ、洗脳が解けたと判断されたら刑務所に入るのだとか。
しかし、シャノン・ローレンに関しては、ほとんど洗脳は解けていたとの専門家の見解もあり、近いうちに裁判が開かれるようだ。
「はあ……とにかく、終わったけど、これからが大変だよな……」
大人達は、俺達に今は心身ともに休めと言うが、その後には想像もできない現実が待つだけだ。
とにかく、十か月分の授業の遅れを取り戻さないとだし、卒業の時期も確実にズレるよな……
あとは、これだけ注目されてるし、各メディアに追い回される覚悟も、一応はしとかないとな……
今までの状況が特殊だっただけで、俺達にとっては学業が本業であり、それが現実だ。
わかっていても気が重いというのが本音だが、そんな時に思い出すのは、俺達をずっと導いてくれた君の背中だった。
ゾーイは……この先、どういう風に生きていくのだろうか?
何の気なしに、そう思った時だ……
「おっすー、元気してる?」
今まさに、頭の中に思い浮かべていた本人が、ケロッとした様子で俺の目の前に現れたのだ。
「ゾーイ!? え、は、何でいるの!?」
「まあ、一段落ついて、あたしも病人の仲間入りしたから、その挨拶?」
俺は突然の来訪と、実に十日ぶりの再会という二重の意味で驚き、病院ということも忘れて叫んでしまった。
慌てて口を塞ぐが、ゾーイは気にした様子もないし、いつものことなのに何か無性に虚しくなる……
「あれ、望はどこ行ったのよ?」
「え? ああ……望は、ちょっと何かは忘れたけど、検査に行ってて……」
「そりゃ、ご苦労だね。まあ、ちょうど良かったわ。昴に話があったからさ」
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