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第四章-⑵ ナサニエル墜落事件の真相
最強とは弱さを知ること
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「そうだよな……未来なんて、どうなるのか、わからないよな」
そろそろ、お開きにしようかなんて空気が流れていたにも関わらず、俺達はそこから大人になってからの夢を飽きるほど話し合った。
空島を動かす立場になりたいとか、早く結婚したいとか、平凡でいいから静かに暮らしたいなんてのもあって、どの話を聞いても夢しかなかった。
そんなに騒がしくしていたのに、ゾーイは奥で眠ったままだ……正直、君の未来が俺は一番気になるけどね?
ずっと先頭に立って、俺達を生かせてきてくれたゾーイ・エマーソン。
君なら、何を語る? 未来より今のことでしょうよとか言って、興味なさそうに吐き捨てるかな?
もし、君が未来というものを思い描くのだとすれば、それはどんなもので、そこに俺達はいるだろうか?
そんなことを考えていた時だ、普段とは想像できないほどの暗い声でサトルが呟いたのは……
「サトル? どうかしたか?」
「は……ええ!? 声に出してたか!?」
「ま、まあな……」
無意識だったのか? サトルは真っ青になって、珍しくアワアワと慌て出す。
そんな珍しい光景に、他のみんなも目ざとく気付き、何だ何だと寄ってくる始末で、さらにサトルはパニックだ。
何だか、申し訳ないことしたか……?
「ほ、本当に! 何でもないから!」
「待てって、そりゃねえよ。てか、何かあるから、そんな騒いでんだろ?」
「あたし達の仲じゃん? 吐いた方がスッキリするよ~?」
「あ、いや、本当にそんな面白いことではないから……」
「サトル。ここに来て、私達は面白い話を求めてるわけじゃないから。大丈夫だって、ねっ?」
ブンブンと大げさなほど手を振って話を逸らそうとするサトルだが、デルタとソニアがすかさず食い下がった。
それでも負けじと若干挙動不審に陥るサトルだが、菜々美が穏やかに諭す。
それにサトルは少し身じろいでいた。
「本当にあれだけど……僕、不安なんだよ。空島に帰った後って、どうなるのかとか、ずっと考えちゃってて……」
やがて、諦めたように、サトルは耳をよく済ませなきゃ聞こえないぐらいの声量で、俯きながら話し始めた。
「今は作戦に集中しなきゃって思ってるけど……すべてが終わっても、問題は山積みだよなとか考えてると、もうずっと胃が痛すぎて……」
そして、その内容はサトルからの弱音というものだった。
「それに、我ながら、こんなこと話すほどに弱ってるんだなとか……」
「サトル? それは違うよ」
終始、サトルは俯いて、時々自虐的に笑いながら話を進めた。
自分が情けなくてしょうがないと、呆れられやしないかと恐れているような目をしていた。
だから、俺はすぐ否定した……そんなことを思ってほしくなかったから。
「え、昴?」
サトルは俺の言葉に、驚いたような間抜けな声を出した……サトル、違うよ。
「お前は弱くなったんじゃないよ。お前はさ、今まで、人にほとんど頼らずに生きてきただろ? そんな人間が人を頼るってことだけでも、すごい勇気がいると思うんだ……」
どうやったら、目の前の親友に伝わるのか考えながら話してるけど、俺の言葉はまとまりがなくて……
それでも、サトル以外のみんなは俺の言わんとしてることを、わかっているようで、少しニヤついていた。
いやいや、わかってるなら、少しは助け舟出してくれよな?
まあ、目の前の肝心のサトルは、終始はてなマークを浮かべてるけどな?
お前は弱いわけじゃないよ、サトル。
「サトル、お前は俺達を頼った、寄り添ってほしいと弱音を吐いたんだよ。自分の弱い部分を見せた……それって、もうお前は強がりをやめたって証だよ」
雨野サトルと出会った時のことを、俺は昨日のことのように覚えている。
ああ、こういう奴が選ばれた人間って奴なんだなと……初対面にして、あっさりと敗北感を抱いた。
サトルは眉目秀麗という言葉が本当に似合う奴で、俺とは住む世界が違うんだろうなと思っていたのに、そんな俺の予想に反して、俺達はものすごく仲良くなった。
面倒見が良くて、飾らない性格で、常に輪の中心にいるようなサトル、一方で俺は、可もなく不可もなくなその他大勢の平凡な存在。
俺はサトルには絶対に敵わないんだろうなと、どこかで思っていたけど……それもそのはずだ。
サトルと俺とでは、人生におけるスタート地点ってものが違ったんだ。
一国の王子として、背負っている十字架やプレッシャーなんかは、とても俺には耐えられる気がしないもの……
サトルは常に完璧な人間に見えていたけど、そう周りに見せていただけで、愚痴や弱音を吐くこと、人を頼ることを許されない環境だったんだよな?
だから、不謹慎だけど、お前の弱音を聞けて、俺は……きっと、この場にいる他のみんなも、すごく嬉しいと思うぞ?
「そっ、か……あれ? 何でだ? どうして、僕は泣いて……!!」
俺の下手くそな言葉を理解したのかはわからないけど、サトルは無意識に涙が溢れていた。
「というか、嫌なことがあったら、また空から落ちておいでよ」
「まあ、これを言うと不謹慎なのかもだけど、私達はいつでも歓迎するわ」
そんな時、レオとモカは笑って、冗談めかして、俺達に確かにそう告げた。
「ここは、お前らの第二の家だからな」
それに続いて、コタロウはそっぽを向きながら、不器用に吐き捨てる。
火に浮かぶレオ、モカ、コタロウの顔は優しくて穏やかだった……つい、泣きそうになるほど。
ああ、あんなに帰りたかったのに、今この瞬間が、永遠に続けばいいと、俺は思ってしまった――
そろそろ、お開きにしようかなんて空気が流れていたにも関わらず、俺達はそこから大人になってからの夢を飽きるほど話し合った。
空島を動かす立場になりたいとか、早く結婚したいとか、平凡でいいから静かに暮らしたいなんてのもあって、どの話を聞いても夢しかなかった。
そんなに騒がしくしていたのに、ゾーイは奥で眠ったままだ……正直、君の未来が俺は一番気になるけどね?
ずっと先頭に立って、俺達を生かせてきてくれたゾーイ・エマーソン。
君なら、何を語る? 未来より今のことでしょうよとか言って、興味なさそうに吐き捨てるかな?
もし、君が未来というものを思い描くのだとすれば、それはどんなもので、そこに俺達はいるだろうか?
そんなことを考えていた時だ、普段とは想像できないほどの暗い声でサトルが呟いたのは……
「サトル? どうかしたか?」
「は……ええ!? 声に出してたか!?」
「ま、まあな……」
無意識だったのか? サトルは真っ青になって、珍しくアワアワと慌て出す。
そんな珍しい光景に、他のみんなも目ざとく気付き、何だ何だと寄ってくる始末で、さらにサトルはパニックだ。
何だか、申し訳ないことしたか……?
「ほ、本当に! 何でもないから!」
「待てって、そりゃねえよ。てか、何かあるから、そんな騒いでんだろ?」
「あたし達の仲じゃん? 吐いた方がスッキリするよ~?」
「あ、いや、本当にそんな面白いことではないから……」
「サトル。ここに来て、私達は面白い話を求めてるわけじゃないから。大丈夫だって、ねっ?」
ブンブンと大げさなほど手を振って話を逸らそうとするサトルだが、デルタとソニアがすかさず食い下がった。
それでも負けじと若干挙動不審に陥るサトルだが、菜々美が穏やかに諭す。
それにサトルは少し身じろいでいた。
「本当にあれだけど……僕、不安なんだよ。空島に帰った後って、どうなるのかとか、ずっと考えちゃってて……」
やがて、諦めたように、サトルは耳をよく済ませなきゃ聞こえないぐらいの声量で、俯きながら話し始めた。
「今は作戦に集中しなきゃって思ってるけど……すべてが終わっても、問題は山積みだよなとか考えてると、もうずっと胃が痛すぎて……」
そして、その内容はサトルからの弱音というものだった。
「それに、我ながら、こんなこと話すほどに弱ってるんだなとか……」
「サトル? それは違うよ」
終始、サトルは俯いて、時々自虐的に笑いながら話を進めた。
自分が情けなくてしょうがないと、呆れられやしないかと恐れているような目をしていた。
だから、俺はすぐ否定した……そんなことを思ってほしくなかったから。
「え、昴?」
サトルは俺の言葉に、驚いたような間抜けな声を出した……サトル、違うよ。
「お前は弱くなったんじゃないよ。お前はさ、今まで、人にほとんど頼らずに生きてきただろ? そんな人間が人を頼るってことだけでも、すごい勇気がいると思うんだ……」
どうやったら、目の前の親友に伝わるのか考えながら話してるけど、俺の言葉はまとまりがなくて……
それでも、サトル以外のみんなは俺の言わんとしてることを、わかっているようで、少しニヤついていた。
いやいや、わかってるなら、少しは助け舟出してくれよな?
まあ、目の前の肝心のサトルは、終始はてなマークを浮かべてるけどな?
お前は弱いわけじゃないよ、サトル。
「サトル、お前は俺達を頼った、寄り添ってほしいと弱音を吐いたんだよ。自分の弱い部分を見せた……それって、もうお前は強がりをやめたって証だよ」
雨野サトルと出会った時のことを、俺は昨日のことのように覚えている。
ああ、こういう奴が選ばれた人間って奴なんだなと……初対面にして、あっさりと敗北感を抱いた。
サトルは眉目秀麗という言葉が本当に似合う奴で、俺とは住む世界が違うんだろうなと思っていたのに、そんな俺の予想に反して、俺達はものすごく仲良くなった。
面倒見が良くて、飾らない性格で、常に輪の中心にいるようなサトル、一方で俺は、可もなく不可もなくなその他大勢の平凡な存在。
俺はサトルには絶対に敵わないんだろうなと、どこかで思っていたけど……それもそのはずだ。
サトルと俺とでは、人生におけるスタート地点ってものが違ったんだ。
一国の王子として、背負っている十字架やプレッシャーなんかは、とても俺には耐えられる気がしないもの……
サトルは常に完璧な人間に見えていたけど、そう周りに見せていただけで、愚痴や弱音を吐くこと、人を頼ることを許されない環境だったんだよな?
だから、不謹慎だけど、お前の弱音を聞けて、俺は……きっと、この場にいる他のみんなも、すごく嬉しいと思うぞ?
「そっ、か……あれ? 何でだ? どうして、僕は泣いて……!!」
俺の下手くそな言葉を理解したのかはわからないけど、サトルは無意識に涙が溢れていた。
「というか、嫌なことがあったら、また空から落ちておいでよ」
「まあ、これを言うと不謹慎なのかもだけど、私達はいつでも歓迎するわ」
そんな時、レオとモカは笑って、冗談めかして、俺達に確かにそう告げた。
「ここは、お前らの第二の家だからな」
それに続いて、コタロウはそっぽを向きながら、不器用に吐き捨てる。
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