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EP 14
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迷惑妖精キュルリン登場! 街道がダンジョンに!?
泡だらけになった街『バルダー』から逃げ出して数時間。
優太たちは、なんとか追手を振り切り(というか、泡で追ってこられなかった)、隣国へと続く主要街道を歩いていた。
「はぁ……はぁ……。まさか、指名手配犯になるとは……」
優太は膝に手をつき、絶望的な顔で天を仰いだ。
一昨日は偽金詐欺(未遂)、今日は環境テロ。
善行を積んで英雄になるはずが、やっていることは完全にヴィラン(悪役)のムーブだ。
「気にすることはありませんわ優太様。あの泡は美容成分たっぷりですもの。街の女性たちは感謝しているはずです」
「街中がヌルヌルで転倒事故多発だろ! 絶対!」
「ガハハ! いい運動になったじゃねぇか! 腹減ったな!」
反省の色がないエルフと竜人。
キャルルだけが、「銀貨は守りましたから……」と、チャリンと音のする革袋を優太に渡してくれた。天使だ。
「……とりあえず、ほとぼりが冷めるまで隣国へ行こう。この平原を越えれば国境だ」
目の前には、見渡す限りの緑豊かな平原と、一本の長い街道が続いている。
平和な景色だ。魔物の気配もない。
優太が少し心を落ち着かせようとした、その時だった。
「ん~? なんかこの道、退屈だなぁ~」
頭上から、鈴を転がすような可愛らしい声が降ってきた。
「え?」
見上げると、そこには一人の小さな少女が浮いていた。
背中には透き通る羽。煌めく鱗粉。
絵本に出てくるような『妖精(ピクシー)』だ。だが、その瞳孔は少し開いており、危ない輝きを放っている。
「妖精……? 珍しいな」
「あら、可愛いお客様ですわね」
ルナが手を振る。
妖精はクルリと宙返りをして、優太たちの目の前に降り立った。
「やっほー! ボクはキュルリン! ねえねえ、お兄さんたち冒険者? この道、真っ直ぐすぎてつまんなくない?」
「いや、歩きやすくて最高だけど……」
優太が答えると、キュルリンは「ぶー!」と頬を膨らませた。
「ダメだよぉ。冒険には『ワクワク』と『ドキドキ』がなくっちゃ! こんな平坦な道じゃ、誰も遊びに来てくれないよ!」
「遊びに来なくていいんだよ、街道なんだから」
優太は嫌な予感がした。
この妖精、話が通じないタイプだ。ルナと同じ匂いがする。
「よし、ボクが決めた! ここを『超エキサイティングな観光名所』にリフォームしちゃうね!」
キュルリンが高らかに宣言し、小さな指をパチンと鳴らした。
「ユニークスキル発動――【ダンジョンクリエイト(迷宮創造)】ッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!
大地が悲鳴を上げた。
優太たちの足元の地面が、エレベーターのように急降下を始める。
「うわああああああッ!? なんだこれ!?」
「地面が! 地面が沈んでいきますわ~!?」
「おもしれぇぇぇ! ジェットコースターか!?」
平坦だった街道が、粘土細工のようにねじれ、隆起し、陥没していく。
青かった空は瞬時にドーム状の岩盤に覆われ、太陽の光が遮断された。
数秒後。
振動が収まった時、優太たちが立っていたのは「草原」ではなく――
薄暗く、松明の炎が揺らめく、石造りの『地下迷宮』の入り口だった。
「……は?」
優太は呆然と周囲を見渡した。
前後左右、どこを見ても壁。
そして目の前には、『ようこそ! 地獄の100階層ダンジョンへ♡』と書かれたふざけた看板が立っている。
「完成~! 名付けて『街道跡地ダンジョン・デス・ロード』だよ!」
キュルリンが楽しそうに飛び回る。
「ふざけんなぁぁぁッ!! 街道を返せ! 俺たちを帰せぇぇぇ!!」
優太が掴みかかろうとするが、キュルリンはヒラリと躱した。
「出口は最深部の100階にあるよ! クリアできたら外に出してあげる! ちなみに、罠とモンスターはいっぱい詰め込んどいたから頑張ってね♡ じゃあね~!」
シュンッ!
キュルリンは転移魔法で姿を消した。
残されたのは、絶望的な状況の四人だけ。
「……優太さん。入り口が……ありません」
キャルルが振り返る。入ってきたはずの道は、分厚い岩盤で完全に塞がれていた。
「……詰んだ」
本日二度目の絶望。
だが、イグニスだけは違った。彼は鼻をヒクヒクさせ、ニヤリと笑った。
「優太! 奥から美味そうな魔物の匂いがプンプンするぞ! ここは食料庫か!?」
「……はぁ。もういい、ヤケクソだ」
優太は【地球ショッピング】のウィンドウを開いた。
こうなったら、文明の利器を使って、この理不尽なダンジョンをピクニック気分で攻略してやる。
「行くぞお前ら! LEDランタン点灯! ダンジョン攻略(キャンプ)の始まりだ!!」
泡だらけになった街『バルダー』から逃げ出して数時間。
優太たちは、なんとか追手を振り切り(というか、泡で追ってこられなかった)、隣国へと続く主要街道を歩いていた。
「はぁ……はぁ……。まさか、指名手配犯になるとは……」
優太は膝に手をつき、絶望的な顔で天を仰いだ。
一昨日は偽金詐欺(未遂)、今日は環境テロ。
善行を積んで英雄になるはずが、やっていることは完全にヴィラン(悪役)のムーブだ。
「気にすることはありませんわ優太様。あの泡は美容成分たっぷりですもの。街の女性たちは感謝しているはずです」
「街中がヌルヌルで転倒事故多発だろ! 絶対!」
「ガハハ! いい運動になったじゃねぇか! 腹減ったな!」
反省の色がないエルフと竜人。
キャルルだけが、「銀貨は守りましたから……」と、チャリンと音のする革袋を優太に渡してくれた。天使だ。
「……とりあえず、ほとぼりが冷めるまで隣国へ行こう。この平原を越えれば国境だ」
目の前には、見渡す限りの緑豊かな平原と、一本の長い街道が続いている。
平和な景色だ。魔物の気配もない。
優太が少し心を落ち着かせようとした、その時だった。
「ん~? なんかこの道、退屈だなぁ~」
頭上から、鈴を転がすような可愛らしい声が降ってきた。
「え?」
見上げると、そこには一人の小さな少女が浮いていた。
背中には透き通る羽。煌めく鱗粉。
絵本に出てくるような『妖精(ピクシー)』だ。だが、その瞳孔は少し開いており、危ない輝きを放っている。
「妖精……? 珍しいな」
「あら、可愛いお客様ですわね」
ルナが手を振る。
妖精はクルリと宙返りをして、優太たちの目の前に降り立った。
「やっほー! ボクはキュルリン! ねえねえ、お兄さんたち冒険者? この道、真っ直ぐすぎてつまんなくない?」
「いや、歩きやすくて最高だけど……」
優太が答えると、キュルリンは「ぶー!」と頬を膨らませた。
「ダメだよぉ。冒険には『ワクワク』と『ドキドキ』がなくっちゃ! こんな平坦な道じゃ、誰も遊びに来てくれないよ!」
「遊びに来なくていいんだよ、街道なんだから」
優太は嫌な予感がした。
この妖精、話が通じないタイプだ。ルナと同じ匂いがする。
「よし、ボクが決めた! ここを『超エキサイティングな観光名所』にリフォームしちゃうね!」
キュルリンが高らかに宣言し、小さな指をパチンと鳴らした。
「ユニークスキル発動――【ダンジョンクリエイト(迷宮創造)】ッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!
大地が悲鳴を上げた。
優太たちの足元の地面が、エレベーターのように急降下を始める。
「うわああああああッ!? なんだこれ!?」
「地面が! 地面が沈んでいきますわ~!?」
「おもしれぇぇぇ! ジェットコースターか!?」
平坦だった街道が、粘土細工のようにねじれ、隆起し、陥没していく。
青かった空は瞬時にドーム状の岩盤に覆われ、太陽の光が遮断された。
数秒後。
振動が収まった時、優太たちが立っていたのは「草原」ではなく――
薄暗く、松明の炎が揺らめく、石造りの『地下迷宮』の入り口だった。
「……は?」
優太は呆然と周囲を見渡した。
前後左右、どこを見ても壁。
そして目の前には、『ようこそ! 地獄の100階層ダンジョンへ♡』と書かれたふざけた看板が立っている。
「完成~! 名付けて『街道跡地ダンジョン・デス・ロード』だよ!」
キュルリンが楽しそうに飛び回る。
「ふざけんなぁぁぁッ!! 街道を返せ! 俺たちを帰せぇぇぇ!!」
優太が掴みかかろうとするが、キュルリンはヒラリと躱した。
「出口は最深部の100階にあるよ! クリアできたら外に出してあげる! ちなみに、罠とモンスターはいっぱい詰め込んどいたから頑張ってね♡ じゃあね~!」
シュンッ!
キュルリンは転移魔法で姿を消した。
残されたのは、絶望的な状況の四人だけ。
「……優太さん。入り口が……ありません」
キャルルが振り返る。入ってきたはずの道は、分厚い岩盤で完全に塞がれていた。
「……詰んだ」
本日二度目の絶望。
だが、イグニスだけは違った。彼は鼻をヒクヒクさせ、ニヤリと笑った。
「優太! 奥から美味そうな魔物の匂いがプンプンするぞ! ここは食料庫か!?」
「……はぁ。もういい、ヤケクソだ」
優太は【地球ショッピング】のウィンドウを開いた。
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