真!異世界転生×ユニークスキル 【地球ショッピング】で無双する!?

月神世一

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EP 15

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ダンジョンはキャンプ場です
 地下迷宮の第1階層。
 じめじめとした石造りの回廊に、絶叫と轟音が響き渡っていた。
「オラァァァッ!! 邪魔だぁぁぁッ!!」
 イグニスが巨大な斧を振るい、壁を粉砕する。
 分厚い石壁が砕け散り、大穴が開く。
「へっ、見たか優太! こんな壁、俺様の敵じゃ……」
 だが、イグニスが得意げに振り返った瞬間、砕けた壁がドロドロと蠢き、一瞬で元通りに修復された。
 傷一つない、ツルツルの壁に戻っている。
「な、なんだとぉ!? 再生しやがった!」
「やっぱりな……。妖精の作るダンジョンだ、ショートカットは許さない仕様なんだろう」
 優太はLEDランタンを掲げながら、やれやれと肩をすくめた。
 松明の揺らめく薄暗い光ではなく、1000ルーメンの直視できないほどの爆光だ。
「それにしても優太様、その『光る箱』は凄いですわね。太陽を持ち歩いているようですわ」
「LEDランタンだ。煙も出ないし熱くもない。ダンジョン攻略の必需品だ」
 優太たちは、まるでハイキングに来たような軽装で、凶悪なダンジョンを進んでいた。
 ◇
 カチッ。
 先頭を歩いていたキャルルの足元で、乾いた音がした。
「あっ、罠(トラップ)です! 優太さん、下がって!」
 キャルルが叫ぶのと同時に、床がパカッと開き、巨大な落とし穴が口を開けた。
 底には鋭利な棘(スパイク)がびっしりと並んでいる。落ちれば串刺しだ。
「危ねぇ! 飛び越えるか?」
 イグニスが屈伸運動を始めた時、後方にいたルナが進み出た。
「あら、床に穴が開いていますわ。これでは歩きにくいですし、危険ですわね」
「ルナ? これは罠で……」
「埋めましょう。土の精霊よ、平らになぁれ――『グランド・フラット』」
 ルナが杖を振ると、穴の底から土砂が噴き出し、一瞬で落とし穴を埋め尽くした。
 さらに表面がコンクリートのように綺麗に舗装される。
「はい、これでバリアフリーですわ!」
「……罠の意味ねぇな」
 優太はダンジョンマスター(キュルリン)に少し同情した。
 その後も、壁から矢が飛んでくればイグニスが「爪楊枝か?」と口で受け止め、毒ガスが噴き出せばルナが「空気が淀んでいますわ」と暴風魔法で吹き飛ばした。
 攻略難易度など関係ない。彼らが通った後には、破壊されたギミックの残骸だけが残った。
 ◇
 数時間歩き、第5階層に到達した頃。
 少し開けた広場のような部屋に出た。
「よし、今日はここまでにしよう。もう夜だ(外の時間では)」
 優太が足を止める。
 本来なら、冷たい石床の上で、魔物に怯えながら交代で仮眠を取るのがダンジョンの常識だ。
 だが、優太は【地球ショッピング】を開いた。
「ポイント消費。『エアマット』4つ! 『封筒型シュラフ(寝袋)』4つ! 『ポータブル電源(大容量)』! 『電気ケトル』!」
 空間が裂け、文明の利器が次々と投下される。
 殺風景なダンジョンの一室が、一瞬で『高規格グランピング施設』へと変貌した。
「うわぁ……! この敷物、空気が入っててフカフカです!」
 キャルルがエアマットの上でぴょんぴょんと跳ねる。
 石床の冷たさも硬さも完全に遮断されている。
「優太、この箱は何だ? 雷が詰まってるのか?」
「ポータブル電源だ。これがあれば家電が動かせる」
 優太は電源に電気ケトルを繋ぎ、スイッチを入れた。
 数分後、ボコボコと湯が沸く音が静かな部屋に響く。
 そのお湯で、インスタントのコーンポタージュを作る。
「はい、温かいスープだ。パンと一緒に食べてくれ」
「はふっ……! 温かい……! ダンジョンの中でこんな温かいスープが飲めるなんて……!」
 キャルルが感動で涙ぐむ。
 ルナは優雅にシュラフに入り込み、みのむし状態になっていた。
「優太様、この『寝袋』という蓑(みの)、最高ですわ。母なる大地に抱かれているような安心感……おやすみなさいませ」
「まだ寝るな、歯を磨けよ」
 LEDの暖色モードの明かりの下、温かいスープとフカフカのベッド。
 そこには、命を懸けた迷宮探索の緊張感など微塵もなかった。
「……なんか、家にいるより快適じゃねぇか?」
 イグニスがポツリと呟く。
 優太はコーヒーを啜りながら、タブレット(電源に接続済み)でダウンロードしておいた電子書籍を開いた。
「まあな。文明の力があれば、地獄のダンジョンもただのキャンプ場さ」
 彼らは知らなかった。
 ダンジョンの監視モニターを見ていたキュルリンが、「くっそー! 全然苦しんでない! 次はモンスターハウスだ!」とハンカチを噛んで悔しがっていることを。
 優太たちの快適なダンジョンライフは、まだ始まったばかりである。
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