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EP 14
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第三の証人、不死鳥フレア ~残業月500時間の美女を、薬膳スープとエステで救え~
北の氷河地帯で狼王フェンリル(プリン愛好家)を仲間に加えた私たち「世界変革・原告団」は、その足で大陸を縦断し、南の『焦熱火山帯』へとやってきた。
「暑っ!! さっきまでマイナス50度だったのに、今度はプラス50度ですの!? 私の肌を虐めるのもいい加減にしてください!」
私は龍魔呂さんのジャケットを脱ぎ、団扇でパタパタと顔を扇ぐ。温度差で風邪を引くどころか、身体が分解しそうだ。
「へっ、だらしねぇなリベラ! 俺なんかプリン食ったおかげで元気百倍だぜ!」
「我慢しろ。……それにしても、ここに来るのは数百年ぶりか」
フェンリルは氷の魔力で涼しげだし、デュークはそもそも炎属性なので平気な顔をしている。魔王ラスティア様も涼しい顔で日傘をさしている。人間(私)だけが瀕死だ。
火口付近。マグマがぐつぐつと煮えたぎる中、巨大な岩の上に一人の女性が立っていた。
燃えるような赤髪に、抜群のプロポーション。絶世の美女だが、その目は血走り、目の下には濃いクマができている。
最後の調停者、不死鳥フレアだ。
「……あぁ? 何しに来たのよ、役立たずの男共」
フレアの声は、地底のマグマよりも低く、ドスが効いていた。
「デ、デューク? フェンリル? ……アンタたちが遊んでる間、私がどれだけ働いてたか知ってる? 魔獣の間引き、邪神の封印チェック、地形の修復……先月の残業時間、500時間超えたわよ?」
ブチッ。
フレアの額で何かが切れる音がした。
「なのに! アンタたちはラーメン? プリン? ふざけんじゃないわよぉぉぉ!! 全員、燃え尽きなさい!!」
ドゴォォォォォン!!
フレアが翼を広げると、八つの炎龍が出現し、私たちに向かって襲いかかってきた。
問答無用の八つ当たりだ!
「うおっ! 危ねぇ! おいババア、更年期かよ!」
「誰がババアよ駄犬ンンン!!」
「フレア、落ち着け! 我らは女神を訴えに……あちちッ! 尻を燃やすな!」
フェンリルとデュークが応戦するが、怒り狂った不死鳥の火力は凄まじい。それに、二人は内心「仕事を押し付けていた負い目」があるのか、防戦一方だ。
このままでは全滅する。私は、龍魔呂さんの風呂敷包みを抱えて前に出た。
「異議あり!!」
私は炎龍の熱波に耐えながら、声を張り上げた。
「フレア様! 貴女のその労働環境、明らかに『労働基準法違反』です! ルミナス帝国の基準でも、過労死ラインを大幅に超えています!」
「……は?」
フレアの動きが止まった。
炎龍が霧散する。
「貴女に必要なのは、怒りを発散することではありません。……『有給休暇』と『極上のエステ』、そして『身体を労るご飯』ですわ!」
私は岩場に風呂敷を広げ、即席の「リベラ・エステサロン」を開店した。
まずは、妖精キュルリンのダンジョンから取り寄せた(以前レオにお土産で貰った)『美容スライム』の瓶を開ける。
「見てください、このプルプルのスライムを! これを顔に乗せれば、毛穴の汚れと古い角質をごっそり落とし、肌年齢を10歳若返らせます!」
「……! 10歳……若返る……?」
フレアの目が釘付けになる。
すかさず、私は龍魔呂さんの魔法瓶を取り出した。
「そして、内側からのケアにはこれ! 鬼神龍魔呂特製、『薬膳参鶏湯(サムゲタン)』です!」
蓋を開けた瞬間、生姜、高麗人参、ナツメ、そして鶏の濃厚な香りが辺りに漂った。火山地帯の硫黄臭すら消し飛ばす、優しくも力強い香り。
「徹夜続きの荒れた胃腸に染み渡る、コラーゲンたっぷりのスープ。……これを飲んで、スライムパックをして、一眠りすれば……貴女は世界一の美貌を取り戻せますわ」
ゴクリ。
フレアの喉が鳴った。
「……そ、そこまで言うなら……試してあげなくもないわよ」
彼女はツンとすました顔で降りてきたが、その足取りは急いでいた。
数分後。
顔に美容スライムを乗せ、熱々の参鶏湯を啜る不死鳥の姿があった。
「……はぁぁぁ……生き返るぅ……」
一口飲んだだけで、フレアの表情がとろけた。
龍魔呂さんのスープは、ただ美味いだけではない。食べる者の体調を完璧に見抜き、必要な栄養をピンポイントで送り込む「魔法の薬」なのだ。
「何これ、凄いわ……指先までポカポカする。それにこのスライム、気持ちいい……」
フレアの目から、ポロポロと涙がこぼれた。
「私、頑張ってたのよ……誰も手伝ってくれないし、肌はボロボロだし、合コンに行く暇もないし……うぅぅ……」
「よしよし、大変でしたわね」
私は彼女の背中をさすった。最強の調停者も、中身はただの働きすぎた女性なのだ。
魔王ラスティア様も、思うところがあるのか、珍しく優しく声をかけた。
「フレア、苦労をかけたな。……今回の訴訟が成功すれば、貴様にも『定休日』を作らせよう」
「ラスティア……うぇぇぇん! アンタだけが友達よぉぉ!」
号泣する不死鳥。
それを見ていたデュークとフェンリルは、「女って怖ぇ……」と縮こまっている。
一時間後。
エステとスープで完全にリフレッシュし、お肌がツヤツヤになったフレアは、スッキリとした笑顔で立ち上がった。
「ありがとう、リベラ。貴女のおかげで目が覚めたわ」
彼女はバサリと髪をかき上げ、宣言した。
「私、ルチアナ様を訴えるわ! 私の青春と有給を取り戻すために! 証言台でも何でも立ってやる!」
第三の証人、確保完了。
これで「三柱の調停者」が全員揃った。
「で、ルチアナ様の居場所はご存知ですの?」
「ええ、もちろんよ」
フレアは西の空を指差した。
「あの方は今、ルミナス帝国の下町にいるわ。人間の姿で、安酒を飲みながら焼き鳥を食べてるはずよ」
灯台下暗し。
神は天界にいるのではない。私たちの足元、しかも一番俗っぽい場所にいたのだ。
「よし! 原告団、出発です! 目指すは王都の焼き鳥屋! 神様に『召喚状』を叩きつけに行きますわよ!」
最強のメンバーを引き連れ、私は王都へとトンボ返りする。
待っていてください、龍魔呂さん。お土産話(と新たなトラブル)を持って帰りますから!
北の氷河地帯で狼王フェンリル(プリン愛好家)を仲間に加えた私たち「世界変革・原告団」は、その足で大陸を縦断し、南の『焦熱火山帯』へとやってきた。
「暑っ!! さっきまでマイナス50度だったのに、今度はプラス50度ですの!? 私の肌を虐めるのもいい加減にしてください!」
私は龍魔呂さんのジャケットを脱ぎ、団扇でパタパタと顔を扇ぐ。温度差で風邪を引くどころか、身体が分解しそうだ。
「へっ、だらしねぇなリベラ! 俺なんかプリン食ったおかげで元気百倍だぜ!」
「我慢しろ。……それにしても、ここに来るのは数百年ぶりか」
フェンリルは氷の魔力で涼しげだし、デュークはそもそも炎属性なので平気な顔をしている。魔王ラスティア様も涼しい顔で日傘をさしている。人間(私)だけが瀕死だ。
火口付近。マグマがぐつぐつと煮えたぎる中、巨大な岩の上に一人の女性が立っていた。
燃えるような赤髪に、抜群のプロポーション。絶世の美女だが、その目は血走り、目の下には濃いクマができている。
最後の調停者、不死鳥フレアだ。
「……あぁ? 何しに来たのよ、役立たずの男共」
フレアの声は、地底のマグマよりも低く、ドスが効いていた。
「デ、デューク? フェンリル? ……アンタたちが遊んでる間、私がどれだけ働いてたか知ってる? 魔獣の間引き、邪神の封印チェック、地形の修復……先月の残業時間、500時間超えたわよ?」
ブチッ。
フレアの額で何かが切れる音がした。
「なのに! アンタたちはラーメン? プリン? ふざけんじゃないわよぉぉぉ!! 全員、燃え尽きなさい!!」
ドゴォォォォォン!!
フレアが翼を広げると、八つの炎龍が出現し、私たちに向かって襲いかかってきた。
問答無用の八つ当たりだ!
「うおっ! 危ねぇ! おいババア、更年期かよ!」
「誰がババアよ駄犬ンンン!!」
「フレア、落ち着け! 我らは女神を訴えに……あちちッ! 尻を燃やすな!」
フェンリルとデュークが応戦するが、怒り狂った不死鳥の火力は凄まじい。それに、二人は内心「仕事を押し付けていた負い目」があるのか、防戦一方だ。
このままでは全滅する。私は、龍魔呂さんの風呂敷包みを抱えて前に出た。
「異議あり!!」
私は炎龍の熱波に耐えながら、声を張り上げた。
「フレア様! 貴女のその労働環境、明らかに『労働基準法違反』です! ルミナス帝国の基準でも、過労死ラインを大幅に超えています!」
「……は?」
フレアの動きが止まった。
炎龍が霧散する。
「貴女に必要なのは、怒りを発散することではありません。……『有給休暇』と『極上のエステ』、そして『身体を労るご飯』ですわ!」
私は岩場に風呂敷を広げ、即席の「リベラ・エステサロン」を開店した。
まずは、妖精キュルリンのダンジョンから取り寄せた(以前レオにお土産で貰った)『美容スライム』の瓶を開ける。
「見てください、このプルプルのスライムを! これを顔に乗せれば、毛穴の汚れと古い角質をごっそり落とし、肌年齢を10歳若返らせます!」
「……! 10歳……若返る……?」
フレアの目が釘付けになる。
すかさず、私は龍魔呂さんの魔法瓶を取り出した。
「そして、内側からのケアにはこれ! 鬼神龍魔呂特製、『薬膳参鶏湯(サムゲタン)』です!」
蓋を開けた瞬間、生姜、高麗人参、ナツメ、そして鶏の濃厚な香りが辺りに漂った。火山地帯の硫黄臭すら消し飛ばす、優しくも力強い香り。
「徹夜続きの荒れた胃腸に染み渡る、コラーゲンたっぷりのスープ。……これを飲んで、スライムパックをして、一眠りすれば……貴女は世界一の美貌を取り戻せますわ」
ゴクリ。
フレアの喉が鳴った。
「……そ、そこまで言うなら……試してあげなくもないわよ」
彼女はツンとすました顔で降りてきたが、その足取りは急いでいた。
数分後。
顔に美容スライムを乗せ、熱々の参鶏湯を啜る不死鳥の姿があった。
「……はぁぁぁ……生き返るぅ……」
一口飲んだだけで、フレアの表情がとろけた。
龍魔呂さんのスープは、ただ美味いだけではない。食べる者の体調を完璧に見抜き、必要な栄養をピンポイントで送り込む「魔法の薬」なのだ。
「何これ、凄いわ……指先までポカポカする。それにこのスライム、気持ちいい……」
フレアの目から、ポロポロと涙がこぼれた。
「私、頑張ってたのよ……誰も手伝ってくれないし、肌はボロボロだし、合コンに行く暇もないし……うぅぅ……」
「よしよし、大変でしたわね」
私は彼女の背中をさすった。最強の調停者も、中身はただの働きすぎた女性なのだ。
魔王ラスティア様も、思うところがあるのか、珍しく優しく声をかけた。
「フレア、苦労をかけたな。……今回の訴訟が成功すれば、貴様にも『定休日』を作らせよう」
「ラスティア……うぇぇぇん! アンタだけが友達よぉぉ!」
号泣する不死鳥。
それを見ていたデュークとフェンリルは、「女って怖ぇ……」と縮こまっている。
一時間後。
エステとスープで完全にリフレッシュし、お肌がツヤツヤになったフレアは、スッキリとした笑顔で立ち上がった。
「ありがとう、リベラ。貴女のおかげで目が覚めたわ」
彼女はバサリと髪をかき上げ、宣言した。
「私、ルチアナ様を訴えるわ! 私の青春と有給を取り戻すために! 証言台でも何でも立ってやる!」
第三の証人、確保完了。
これで「三柱の調停者」が全員揃った。
「で、ルチアナ様の居場所はご存知ですの?」
「ええ、もちろんよ」
フレアは西の空を指差した。
「あの方は今、ルミナス帝国の下町にいるわ。人間の姿で、安酒を飲みながら焼き鳥を食べてるはずよ」
灯台下暗し。
神は天界にいるのではない。私たちの足元、しかも一番俗っぽい場所にいたのだ。
「よし! 原告団、出発です! 目指すは王都の焼き鳥屋! 神様に『召喚状』を叩きつけに行きますわよ!」
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