善行しないと死ぬ!?医学生が【地球ショッピング】で異世界へ。現代物資と外科手術で人助けしていたら、災害級エルフと同居することになった件

月神世一

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EP 6

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王国の味と、恐怖のミックスジュース
​「お待たせいたしました~♪ ハンバーグランチと、カキフライ定食、ロースとんかつ定食でございま~す!」
​猫耳ウェイトレスが器用にトレーを操り、料理を並べていく。
鉄板の上でジュージューと音を立てるデミグラスハンバーグ。
黄金色の衣を纏い、山盛りのタルタルソースが添えられた大粒のカキフライ。
そして、サクサクの衣と厚切り肉の断面が美しいロースとんかつ。
​「うわぁぁぁ……! いただきますっ!!」
​キャルルとリーザの声が重なり、二人は猛然と食らいついた。
​「ん~~っ! あぁ、美味しいぃぃ♡」
​キャルルがハンバーグを頬張り、とろけるような笑顔を見せる。半熟目玉焼きの黄身を崩し、肉汁と絡めて食べるその姿は、まさに至福そのものだ。
​「ほ、本当……本当に美味しいですわ……!」
​一方、リーザはカキフライを一口かじった瞬間、その目から大粒の涙がポロポロと溢れ出した。
​「サクサクで、中はジューシーで……タルタルが濃厚で……! 昨日までパンの耳と水道水で食いつないでいたのが嘘のようですわ……うぅっ、海の恵みに感謝……!」
​「(……アイドル大使、苦労しすぎだろ)」
​優太もまた、とんかつにソースをかけて一口食べた。
サクッという小気味よい音と共に、豚の脂の甘みが口いっぱいに広がる。
​「うん……美味い。衣の厚さも、揚げ加減も完璧だ。日本に負けない味だよ。この『太郎』って王様、食に対する執念が凄いな」
​異世界でこれほどのクオリティの日本食が食べられる奇跡。優太は白米をかき込みながら、同郷の先駆者に心の中で敬礼した。
​食事がひと段落し、優太がアイスコーヒーで一息ついていると、キャルルが何かを思いついたように耳をピーンと立てた。
​「そうだ! 優太さんに、私のとっておきのジュースを教えてあげる♡」
​「え? とっておき?」
​「うん! 待っててね!」
​キャルルは空になったグラスを持って、ドリンクバーのコーナーへ駆け出して行った。
数分後、彼女はなみなみと注がれたグラスを慎重に運んできた。
​中身は、鮮やかなオレンジ色と、毒々しい緑色がマーブル状に混ざり合い、なんとも言えない濁った茶色に変色しつつある液体だった。
​「はい、どうぞ! 私が見つけたスペシャルなミックスジュースですっ!」
​ドン、と優太の目の前に置かれる「それ」。
鼻を近づけると、強烈な青臭い野菜の匂いと、人工的な甘いメロンの香りが喧嘩をしながら漂ってくる。
​「……これ、中身は?」
​「『フレッシュ人参ジュース(果肉入り)』と、『メロンソーダ』を1:1で割ったの! 炭酸のシュワシュワと人参の甘みが最高なのよ!」
​「なるほど……(ドリンクバーの魔改造……どの世界でも子供がやる遊びは同じか)」
​優太は引きつった笑みを浮かべ、助けを求めるように隣のリーザを見た。
しかし、リーザはサッと視線をそらし、残ったキャベツの千切りを食べることに全集中している。
(……あ、こいつ知ってやがるな。この味が『地雷』だってことを)
​「さあさあ、飲んでみて! 優太さんのために作ってきたんだから!」
​キャルルの純真無垢な瞳が、期待に満ちて輝いている。その赤い瞳に「断る」という選択肢は映っていない。
優太は覚悟を決めた。戦場の泥水をすすることに比べれば、毒ではないだけマシだ。
​「い、いただきます……」
​優太はグラスを一気に傾け、液体を喉に流し込んだ。
​(……!!)
​口の中で炸裂する、生の人参特有の土臭さと繊維感。それを無理やりコーティングしようとして失敗したメロンシロップの甘み。そして喉越しを悪くする炭酸の刺激。
正直に言えば、「畑の泥に砂糖をぶちまけて炭酸水で割った味」だった。
​「どう? 美味しい? 優太さん♡」
​キャルルが顔を覗き込んでくる。
ここで「不味い」と言うのは簡単だ。だが、彼女は自分をもてなそうとしてくれたのだ。
優太は引きつりそうになる頬の筋肉を総動員して、精一杯の笑顔を作った。
​「う、うん……! (人参の味が濃厚で)美味しいよ!」
​「やったあああ♡ やっぱり優太さんとは味覚が合うのね!」
​キャルルは嬉しそうに手を叩いて喜んだ。
優太が安堵のため息をつきながら、急いで口直しのアイスコーヒーを飲もうとしたその時、視界の端にウィンドウが現れた。
​【ピロン!】
​システム通知
善行:少女の夢とプライドの保護(空気を読む大人の対応)
判定:精神的苦痛への耐性
獲得ポイント:50 P
​(……50ポイントか。安いのか高いのかわからんが、今の俺の舌のダメージ代としては妥当か……)
​優太は胃の中で暴れる「人参メロン」の主張を感じながら、異世界サバイバルの厳しさを(主に食卓で)噛み締めるのだった。
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