11 / 251
EP 11
しおりを挟む
トライバードのパスタと、初めての装備
冒険者ギルドでの緊張する商談を終えた三人は、親睦会も兼ねて街のレストラン『大樹の梢亭』へと足を運んだ。
レンガ造りの洒落た内装で、お昼時ということもあり店内は賑わっている。
「はい、お待たせしました」
運ばれてきたのは、湯気を立てる皿料理。
「これ、トライバードのクリームパスタが美味しいんですよ。卵とお肉を両方使った親子パスタなんです」
ライザが慣れた手つきで勧めてくれた。
太郎はフォークでパスタを巻き取り、口に運ぶ。濃厚なクリームソースと、弾力のある鳥肉の旨味が口いっぱいに広がった。
「んんっ! 本当だ、美味しい!」
「でしょ? このお店は卵が新鮮だから、ソースが濃厚なの」
「いいなぁ……。アルクスはこんな美味しい物が食べれるんだから。村じゃ塩味の煮込みばっかりだったもん」
サリーがとろけるような顔でパスタを頬張る。
「ふふ、これからはいっぱい食べられるわよ、サリー」
ライザは微笑ましそうにサリーを見守り、それから真剣な表情で太郎に向き直った。
「ところで、太郎さん。これからの活動方針についてですが……太郎さんはどうしたいと思っていますか?」
太郎は水を一口飲み、考えていた計画を話した。
「うん。僕の『100円ショップ』のスキルを使うには、対価となる『素材』が必要なんだ。村ではゴミを回収していたけど、それだけじゃ限界がある」
太郎はフォークを置いた。
「だから、冒険者になって魔物を討伐して、素材を得てポイントに変える。そのポイントで100円ショップの便利な品を出して、ギルドを通じて商売をしようかと思ってる」
循環型のビジネスモデルだ。
素材回収 → ポイント化 → 商品購入 → 販売 → 利益。
そして自らの身を守る力もつく。
「なるほど。理にかなっていますね。素材はお金にもポイントにもなる。一石二鳥というわけですか」
ライザは感心したように頷いた。
「分かりました。では、まずは太郎さんの装備を整えることから始めましょう。今のパーカーとジーンズでは、魔物の爪ですぐに引き裂かれてしまいますから」
昼食を終えた一行は、レストランを出て、大通りの一角にある武具屋『鉄と革の店』へと向かった。
店内には鉄と油の匂いが立ち込め、所狭しと剣や鎧が並べられている。
「いらっしゃい!」
恰幅の良い店主が声をかけてくる。
ライザは商品棚を眺めながら、太郎に尋ねた。
「太郎さんは得意な武術等は有りますか? 剣や槍など」
「えっと……ポポロ村に居た時に、自警団の人から弓の基本だけは教わったんだ。まだ全然下手だけど、剣よりはマシかなって」
「太郎さん、毎日練習して頑張ってたものね! ゴブリンの時だって、スリングショットで見事に当てたし!」
サリーが横から援護射撃をしてくれる。
「ふむ、遠距離支援ですね。太郎さんの立ち位置を考えれば、前衛に出るより後衛で全体を見る方が合っているでしょう」
ライザは即座に判断を下した。
「店主。彼に合うサイズの『軽量革鎧(レザーアーマー)』と、初心者でも扱いやすい『短弓(ショートボウ)』を持って来て下さい。矢筒もセットで」
「かしこまりました。お連れさんは背が高いから、調整済みの良いやつがあるよ」
店主が奥から持ってきた革鎧を、太郎は試着室で身につけた。
パーカーの上から胸当てと肩当てを装着し、腰には矢筒を下げる。少し重いが、守られている安心感がある。
試着室のカーテンを開けると、二人が待っていた。
「どうかな……?」
「おぉ……!」
サリーが目を輝かせた。
「カッコ良いわ、太郎さん! なんか一気に『冒険者』って感じになった!」
「ええ、よく似合っていますよ。動きやすさを重視した作りですが、急所はしっかり守られています」
ライザも満足そうに頷き、微調整のために革ベルトをきゅっと締めてくれた。
「うっ、ちょっと苦しい……」
「これくらい締めておかないと、走った時にズレますよ。……うん、これで完璧です」
「ありがとう、サリー、ライザさん」
鏡に映る自分を見る。
そこにはもう、ただのコンビニ店員ではない、異世界を生き抜く覚悟を決めた一人の青年の姿があった。
「よし、行こう!」
装備を整えた太郎たちは、いよいよ最初のクエストを受けるべく、再び冒険者ギルドへと足を向けた。
冒険者ギルドでの緊張する商談を終えた三人は、親睦会も兼ねて街のレストラン『大樹の梢亭』へと足を運んだ。
レンガ造りの洒落た内装で、お昼時ということもあり店内は賑わっている。
「はい、お待たせしました」
運ばれてきたのは、湯気を立てる皿料理。
「これ、トライバードのクリームパスタが美味しいんですよ。卵とお肉を両方使った親子パスタなんです」
ライザが慣れた手つきで勧めてくれた。
太郎はフォークでパスタを巻き取り、口に運ぶ。濃厚なクリームソースと、弾力のある鳥肉の旨味が口いっぱいに広がった。
「んんっ! 本当だ、美味しい!」
「でしょ? このお店は卵が新鮮だから、ソースが濃厚なの」
「いいなぁ……。アルクスはこんな美味しい物が食べれるんだから。村じゃ塩味の煮込みばっかりだったもん」
サリーがとろけるような顔でパスタを頬張る。
「ふふ、これからはいっぱい食べられるわよ、サリー」
ライザは微笑ましそうにサリーを見守り、それから真剣な表情で太郎に向き直った。
「ところで、太郎さん。これからの活動方針についてですが……太郎さんはどうしたいと思っていますか?」
太郎は水を一口飲み、考えていた計画を話した。
「うん。僕の『100円ショップ』のスキルを使うには、対価となる『素材』が必要なんだ。村ではゴミを回収していたけど、それだけじゃ限界がある」
太郎はフォークを置いた。
「だから、冒険者になって魔物を討伐して、素材を得てポイントに変える。そのポイントで100円ショップの便利な品を出して、ギルドを通じて商売をしようかと思ってる」
循環型のビジネスモデルだ。
素材回収 → ポイント化 → 商品購入 → 販売 → 利益。
そして自らの身を守る力もつく。
「なるほど。理にかなっていますね。素材はお金にもポイントにもなる。一石二鳥というわけですか」
ライザは感心したように頷いた。
「分かりました。では、まずは太郎さんの装備を整えることから始めましょう。今のパーカーとジーンズでは、魔物の爪ですぐに引き裂かれてしまいますから」
昼食を終えた一行は、レストランを出て、大通りの一角にある武具屋『鉄と革の店』へと向かった。
店内には鉄と油の匂いが立ち込め、所狭しと剣や鎧が並べられている。
「いらっしゃい!」
恰幅の良い店主が声をかけてくる。
ライザは商品棚を眺めながら、太郎に尋ねた。
「太郎さんは得意な武術等は有りますか? 剣や槍など」
「えっと……ポポロ村に居た時に、自警団の人から弓の基本だけは教わったんだ。まだ全然下手だけど、剣よりはマシかなって」
「太郎さん、毎日練習して頑張ってたものね! ゴブリンの時だって、スリングショットで見事に当てたし!」
サリーが横から援護射撃をしてくれる。
「ふむ、遠距離支援ですね。太郎さんの立ち位置を考えれば、前衛に出るより後衛で全体を見る方が合っているでしょう」
ライザは即座に判断を下した。
「店主。彼に合うサイズの『軽量革鎧(レザーアーマー)』と、初心者でも扱いやすい『短弓(ショートボウ)』を持って来て下さい。矢筒もセットで」
「かしこまりました。お連れさんは背が高いから、調整済みの良いやつがあるよ」
店主が奥から持ってきた革鎧を、太郎は試着室で身につけた。
パーカーの上から胸当てと肩当てを装着し、腰には矢筒を下げる。少し重いが、守られている安心感がある。
試着室のカーテンを開けると、二人が待っていた。
「どうかな……?」
「おぉ……!」
サリーが目を輝かせた。
「カッコ良いわ、太郎さん! なんか一気に『冒険者』って感じになった!」
「ええ、よく似合っていますよ。動きやすさを重視した作りですが、急所はしっかり守られています」
ライザも満足そうに頷き、微調整のために革ベルトをきゅっと締めてくれた。
「うっ、ちょっと苦しい……」
「これくらい締めておかないと、走った時にズレますよ。……うん、これで完璧です」
「ありがとう、サリー、ライザさん」
鏡に映る自分を見る。
そこにはもう、ただのコンビニ店員ではない、異世界を生き抜く覚悟を決めた一人の青年の姿があった。
「よし、行こう!」
装備を整えた太郎たちは、いよいよ最初のクエストを受けるべく、再び冒険者ギルドへと足を向けた。
157
あなたにおすすめの小説
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる