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EP 34
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飛竜の群れ、アルクス防衛戦の幕開け
王宮での一件から数日が経った。
太郎の肩には、新しい相棒である光の妖精ピカリが定位置を確保していた。
『ねぇねぇタロウ! これはなに?』
「これは『ポテトチップス』だよ」
『ポテト! パリパリして美味しいのね! じゃあこっちは?』
「それは『コーラ』。シュワシュワする黒い水さ」
『シュワシュワ!? 魔法の水!?』
ピカリは元気いっぱい、何にでも興味津々だ。
太郎がウィンドウから出す現代のお菓子や道具に目を輝かせ、小さな体を弾ませて飛び回っている。
そんなピカリの姿に、サリーもライザも目を細めていた。
「ふふ、賑やかになりましたね」
「本当。ピカリちゃんがいると、こっちまで元気が出るわ」
平和な昼下がり。
太郎たちは冗談を言い合い、楽しくお喋りしながら街を歩いていた。
この穏やかな時間がずっと続く――誰もがそう思っていた。
その時だった。
カンカンカンカンカンカンッ!!!
けたたましい鐘の音が、アルクスの街中に響き渡った。
時報ではない。耳をつんざくような、不吉で切迫した連打音。
「これは……! 緊急事態の鐘です!」
ライザの顔色が一変した。
「非常事態!?」
「はい。ただ事ではありません。街の存亡に関わるレベルの警報です!」
「冒険者ギルドに行きましょう! 急いで!」
「分かったわ!」
三人と一匹は、人々の悲鳴と怒号が飛び交い始めた大通りを駆け抜けた。
冒険者ギルドの扉を開けると、そこは戦場のような騒ぎになっていた。
武装した冒険者たちが殺気立ち、職員たちが指示を飛ばしている。
「お父様! 何があったんですか!?」
ライザが人波をかき分け、指揮台にいるヴォルフの元へ駆け寄った。
「おぉ、ライザか! チーム・タロウも揃っているな」
ヴォルフは地図を広げ、険しい表情でアルクスの上空を指差した。
「斥候(せっこう)から報告が入った。ワイバーンの群れが、このアルクスに向かって居るんだ」
「ワ、ワイバーン……!?」
ワイバーン――飛竜。
グリフィンと並ぶ空の脅威だ。知能は低いが、その凶暴性と繁殖力は厄介極まりない。しかも、今回は単体ではない。
「数は……およそ100体。西の山脈から溢れ出したようだ」
「ひゃ、ひゃくたい!? す、スタンピード(魔物の大暴走)!?」
太郎の声が裏返った。
100体の飛竜が空から襲来すれば、都市防衛用のバリスタ(巨大弩弓)だけでは迎撃しきれない。街は火の海になる。
「そうだ。国王軍の援軍は間に合わん。アルクスに非常事態宣言を発令した。我々冒険者ギルドと、街の自警団だけでこれを迎え討つしかない」
ヴォルフは拳を握りしめ、ギルド全体に響く声で叫んだ。
「野郎共! 相手は空を飛ぶ蜥蜴(トカゲ)共だ! 楽な戦いじゃねぇ! だが、後ろには家族や恋人、俺たちの街がある! 一匹たりとも壁の内側に入れるな!!」
その檄に、冒険者たちが武器を高く掲げた。
「よっしゃあ! 俺達の街は俺達で守るんだ!」
「飛竜の焼き鳥にしてやるぜ!」
「稼ぎ時だオラァァァ!!」
恐怖よりも闘志。
彼らは血気盛んにギルドを飛び出し、城壁へと走っていく。
その背中を見て、太郎も覚悟を決めた。
かつてゴブリン一匹に震えていた自分はもういない。今はA級冒険者であり、この街を守る力を持っている。
「よし! 僕達も行くぞ!」
太郎が声を上げると、仲間たちが力強く応えた。
「えぇ! 焼き尽くしてやるわ!」
「承知! 私の剣で空を斬り裂きます!」
『ピカリも! ピカリも戦うもん!』
最強のパーティー「チーム・タロウ」、出撃。
空を覆う絶望の群れに対し、太郎たちは走り出した。
王宮での一件から数日が経った。
太郎の肩には、新しい相棒である光の妖精ピカリが定位置を確保していた。
『ねぇねぇタロウ! これはなに?』
「これは『ポテトチップス』だよ」
『ポテト! パリパリして美味しいのね! じゃあこっちは?』
「それは『コーラ』。シュワシュワする黒い水さ」
『シュワシュワ!? 魔法の水!?』
ピカリは元気いっぱい、何にでも興味津々だ。
太郎がウィンドウから出す現代のお菓子や道具に目を輝かせ、小さな体を弾ませて飛び回っている。
そんなピカリの姿に、サリーもライザも目を細めていた。
「ふふ、賑やかになりましたね」
「本当。ピカリちゃんがいると、こっちまで元気が出るわ」
平和な昼下がり。
太郎たちは冗談を言い合い、楽しくお喋りしながら街を歩いていた。
この穏やかな時間がずっと続く――誰もがそう思っていた。
その時だった。
カンカンカンカンカンカンッ!!!
けたたましい鐘の音が、アルクスの街中に響き渡った。
時報ではない。耳をつんざくような、不吉で切迫した連打音。
「これは……! 緊急事態の鐘です!」
ライザの顔色が一変した。
「非常事態!?」
「はい。ただ事ではありません。街の存亡に関わるレベルの警報です!」
「冒険者ギルドに行きましょう! 急いで!」
「分かったわ!」
三人と一匹は、人々の悲鳴と怒号が飛び交い始めた大通りを駆け抜けた。
冒険者ギルドの扉を開けると、そこは戦場のような騒ぎになっていた。
武装した冒険者たちが殺気立ち、職員たちが指示を飛ばしている。
「お父様! 何があったんですか!?」
ライザが人波をかき分け、指揮台にいるヴォルフの元へ駆け寄った。
「おぉ、ライザか! チーム・タロウも揃っているな」
ヴォルフは地図を広げ、険しい表情でアルクスの上空を指差した。
「斥候(せっこう)から報告が入った。ワイバーンの群れが、このアルクスに向かって居るんだ」
「ワ、ワイバーン……!?」
ワイバーン――飛竜。
グリフィンと並ぶ空の脅威だ。知能は低いが、その凶暴性と繁殖力は厄介極まりない。しかも、今回は単体ではない。
「数は……およそ100体。西の山脈から溢れ出したようだ」
「ひゃ、ひゃくたい!? す、スタンピード(魔物の大暴走)!?」
太郎の声が裏返った。
100体の飛竜が空から襲来すれば、都市防衛用のバリスタ(巨大弩弓)だけでは迎撃しきれない。街は火の海になる。
「そうだ。国王軍の援軍は間に合わん。アルクスに非常事態宣言を発令した。我々冒険者ギルドと、街の自警団だけでこれを迎え討つしかない」
ヴォルフは拳を握りしめ、ギルド全体に響く声で叫んだ。
「野郎共! 相手は空を飛ぶ蜥蜴(トカゲ)共だ! 楽な戦いじゃねぇ! だが、後ろには家族や恋人、俺たちの街がある! 一匹たりとも壁の内側に入れるな!!」
その檄に、冒険者たちが武器を高く掲げた。
「よっしゃあ! 俺達の街は俺達で守るんだ!」
「飛竜の焼き鳥にしてやるぜ!」
「稼ぎ時だオラァァァ!!」
恐怖よりも闘志。
彼らは血気盛んにギルドを飛び出し、城壁へと走っていく。
その背中を見て、太郎も覚悟を決めた。
かつてゴブリン一匹に震えていた自分はもういない。今はA級冒険者であり、この街を守る力を持っている。
「よし! 僕達も行くぞ!」
太郎が声を上げると、仲間たちが力強く応えた。
「えぇ! 焼き尽くしてやるわ!」
「承知! 私の剣で空を斬り裂きます!」
『ピカリも! ピカリも戦うもん!』
最強のパーティー「チーム・タロウ」、出撃。
空を覆う絶望の群れに対し、太郎たちは走り出した。
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