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EP 41
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英雄、家を買う。
ドラゴン討伐の祝賀ムードも一段落し、アルクスの街に日常が戻りつつあったある日。
太郎たちは、街で一番の商会『ゴルド商会』を訪れていた。
「へへっ、いらっしゃい! ドラゴンスレイヤーの太郎さんじゃありませんか!」
会長のゴルスが、満面の笑みで揉み手をしながら出迎えた。
今や太郎は、商会にとっても最重要顧客(VIP)だ。通されたのは、ふかふかのソファがある特別応接室だった。
「今日はどういったご用件で? 新しい素材の売却ですか? それとも珍しい『100均』アイテムの取り寄せで?」
「いや、今日は買い物に来たんだ」
太郎は出された高級茶を一口飲み、切り出した。
「いつまでも宿屋暮らしという訳にはいかないからね。これからの活動拠点として、家を探しているんだ。どこか良い物件はないかなと思って」
荷物も増えたし、何よりキッチンや風呂を自由に使いたい。プライバシーも確保したい。
懐にはドラゴン討伐の報奨金が唸っている。今こそマイホームの買い時だ。
「へぇ! 3人と一匹向けの住宅ね。任せて下さいよっ」
ゴルスはニヤリと笑い、分厚いファイルを広げた。
「アルクスの救世主に相応しい、とびきりの物件がありますぜ」
横からライザが身を乗り出す。
「希望としては、4LDK以上の広さが欲しいですね。それに、庭付きが良いです。朝の剣の鍛錬が出来るような、広い庭が」
「うんうん! 私は花壇が欲しいな! 綺麗な花とか、ポーションに使う薬草を育てたいの!」
サリーも目を輝かせてリクエストする。
「ふむふむ、鍛錬用の広い庭に、家庭菜園スペースですね。……でしたら、あそこしかありませんね」
ゴルスはポンと膝を叩いた。
「街を見渡せる高台に、お望みの条件を全て満たした『貴族用別荘』の空き物件がありますぜ。内見に行きますか?」
「うん、頼むよ」
『ピカリも! ピカリもたのしみー!』
ゴルスの案内で向かったのは、アルクスの北側にある小高い丘の上だった。
そこには、白い壁と赤い屋根が美しい、立派な2階建ての屋敷が建っていた。
「うわぁ……!」
門をくぐると、手入れの行き届いた芝生の庭が広がっている。
「広い! これなら全力で剣を振っても、誰にも迷惑をかけませんわ!」
ライザが早速、芝生の感触を確かめるように踏みしめる。
「日当たりも最高ね! ここなら薬草もぐんぐん育ちそう!」
サリーは庭の隅にある花壇スペースを見て歓声を上げた。
続いて、ゴルスが鍵を開け、屋内へと案内する。
「お邪魔しまーす……」
「綺麗な部屋~!」
玄関ホールは吹き抜けになっており、シャンデリアが輝いている。
1階には広々としたリビングとダイニング。
「ここがキッチンです。魔導コンロも最新式、調理スペースも広大ですよ」
「おおっ……!」
太郎はキッチンを見て目を輝かせた。
これなら、100円ショップの調理器具をフル活用できる。収納も多いし、本格的な料理作り放題だ。
「お風呂も見てください。石造りの大きな浴槽で、お湯張りも魔道具で自動です」
「最高じゃないか……」
日本人の魂を持つ太郎にとって、足の伸ばせる風呂は絶対条件だ。
2階には4つの個室があり、それぞれの部屋からアルクスの街並みが一望できる。
「どうです? 街を見下ろすこの絶景。夜景も綺麗ですぜ」
「文句なしだね」
太郎は窓から風を感じながら頷いた。
これ以上の物件はないだろう。
「で、お値段は?」
ゴルスは指を2本立てた。
「立地、広さ、設備、全て込みで……金貨200枚になります」
日本円にして約200万円。
庶民には高嶺の花だが、今の太郎には「出せる」金額だ。
「よし! 購入します!」
太郎は即決した。
アイテムボックスから、金貨が詰まった革袋を2つ取り出し、テーブルにドンと置く。
「まいどありっ!!」
ゴルスが満面の笑みで金貨を受け取る。
「これで、今日からここが僕たちの家だ!」
「やったー! 私の部屋、どっちにしよっかなー!」
「私は庭の手入れを始めないと!」
『ピカリは一番高いところー!』
はしゃぐ仲間たちを見ながら、太郎は感慨に浸った。
異世界に来て、命がけで戦って、ついに手に入れた安息の場所。
ここから、また新しい生活が始まるのだ。
ドラゴン討伐の祝賀ムードも一段落し、アルクスの街に日常が戻りつつあったある日。
太郎たちは、街で一番の商会『ゴルド商会』を訪れていた。
「へへっ、いらっしゃい! ドラゴンスレイヤーの太郎さんじゃありませんか!」
会長のゴルスが、満面の笑みで揉み手をしながら出迎えた。
今や太郎は、商会にとっても最重要顧客(VIP)だ。通されたのは、ふかふかのソファがある特別応接室だった。
「今日はどういったご用件で? 新しい素材の売却ですか? それとも珍しい『100均』アイテムの取り寄せで?」
「いや、今日は買い物に来たんだ」
太郎は出された高級茶を一口飲み、切り出した。
「いつまでも宿屋暮らしという訳にはいかないからね。これからの活動拠点として、家を探しているんだ。どこか良い物件はないかなと思って」
荷物も増えたし、何よりキッチンや風呂を自由に使いたい。プライバシーも確保したい。
懐にはドラゴン討伐の報奨金が唸っている。今こそマイホームの買い時だ。
「へぇ! 3人と一匹向けの住宅ね。任せて下さいよっ」
ゴルスはニヤリと笑い、分厚いファイルを広げた。
「アルクスの救世主に相応しい、とびきりの物件がありますぜ」
横からライザが身を乗り出す。
「希望としては、4LDK以上の広さが欲しいですね。それに、庭付きが良いです。朝の剣の鍛錬が出来るような、広い庭が」
「うんうん! 私は花壇が欲しいな! 綺麗な花とか、ポーションに使う薬草を育てたいの!」
サリーも目を輝かせてリクエストする。
「ふむふむ、鍛錬用の広い庭に、家庭菜園スペースですね。……でしたら、あそこしかありませんね」
ゴルスはポンと膝を叩いた。
「街を見渡せる高台に、お望みの条件を全て満たした『貴族用別荘』の空き物件がありますぜ。内見に行きますか?」
「うん、頼むよ」
『ピカリも! ピカリもたのしみー!』
ゴルスの案内で向かったのは、アルクスの北側にある小高い丘の上だった。
そこには、白い壁と赤い屋根が美しい、立派な2階建ての屋敷が建っていた。
「うわぁ……!」
門をくぐると、手入れの行き届いた芝生の庭が広がっている。
「広い! これなら全力で剣を振っても、誰にも迷惑をかけませんわ!」
ライザが早速、芝生の感触を確かめるように踏みしめる。
「日当たりも最高ね! ここなら薬草もぐんぐん育ちそう!」
サリーは庭の隅にある花壇スペースを見て歓声を上げた。
続いて、ゴルスが鍵を開け、屋内へと案内する。
「お邪魔しまーす……」
「綺麗な部屋~!」
玄関ホールは吹き抜けになっており、シャンデリアが輝いている。
1階には広々としたリビングとダイニング。
「ここがキッチンです。魔導コンロも最新式、調理スペースも広大ですよ」
「おおっ……!」
太郎はキッチンを見て目を輝かせた。
これなら、100円ショップの調理器具をフル活用できる。収納も多いし、本格的な料理作り放題だ。
「お風呂も見てください。石造りの大きな浴槽で、お湯張りも魔道具で自動です」
「最高じゃないか……」
日本人の魂を持つ太郎にとって、足の伸ばせる風呂は絶対条件だ。
2階には4つの個室があり、それぞれの部屋からアルクスの街並みが一望できる。
「どうです? 街を見下ろすこの絶景。夜景も綺麗ですぜ」
「文句なしだね」
太郎は窓から風を感じながら頷いた。
これ以上の物件はないだろう。
「で、お値段は?」
ゴルスは指を2本立てた。
「立地、広さ、設備、全て込みで……金貨200枚になります」
日本円にして約200万円。
庶民には高嶺の花だが、今の太郎には「出せる」金額だ。
「よし! 購入します!」
太郎は即決した。
アイテムボックスから、金貨が詰まった革袋を2つ取り出し、テーブルにドンと置く。
「まいどありっ!!」
ゴルスが満面の笑みで金貨を受け取る。
「これで、今日からここが僕たちの家だ!」
「やったー! 私の部屋、どっちにしよっかなー!」
「私は庭の手入れを始めないと!」
『ピカリは一番高いところー!』
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ここから、また新しい生活が始まるのだ。
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