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第二章 新たな旅立ち
EP 24
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竜王の躾(しつけ)と、妻たちの殺意(愛)
翌朝。太郎城の大会議室にて、緊急御前会議が開かれた。
議題はただ一つ。『竜王デュークの処遇について』である。
「……信じられませんわ」
サリーがこめかみをピキピキと引きつらせながら発言した。
「デューク様が豚骨ラーメン一杯で太郎様と契約って何ですの? 契約召喚獣といえば、命を削るような儀式を経て従えるものですのに!」
「えぇ。それに相手は『竜王』です」
ライザも深刻な表情で机を叩いた。
「今は大人しくしていますが、その気になれば、くしゃみ一つでこの国を滅ぼせます! そんな時限爆弾を城に置いておくなんて、危険すぎます!」
家令のマルスや騎士団長も青ざめて頷く。
しかし、当の太郎だけは「まぁまぁ」と呑気に茶を啜っていた。
「大丈夫だよ。デュークさんは、美味しいものが食べたいだけの食いしん坊おじさんだから」
「その油断が命取りなのです!」
会議が紛糾し始めた、その時だった。
ドォォォォン!!
重厚な会議室の扉が、蹴破られたかのように豪快に開いた。
現れたのは、不機嫌そうな顔をした初老の紳士――デュークだ。
「太郎よ! ここに居たのか!?」
デュークはズカズカと部屋に入り込み、太郎の目の前に立った。
「我は腹が減ったぞ! 昨晩のラーメンだけでは足りん! 早う次の馳走を用意せい!」
その傲慢な態度に、会議室の空気が凍りついた。
そして次の瞬間、灼熱の空気に変わった。
「――お待ちなさい」
「――ちょっと?」
サリーとライザが立ち上がった。
その背後には、物理的な炎と闘気が立ち昇っている。ブチギレていた。
「**太郎【様】**です! 太郎様はこの国の王であり、貴方の契約主ですよ! デューク様!」
サリーがデュークを指差して一喝する。
「主人にその様な無礼な態度は許しませんよ!? たかがトカゲ風情が、調子に乗るんじゃありませんわッ!!」
ライザが剣の柄に手をかけ、殺気を放つ。
竜王に対して「トカゲ風情」と言い放つのは、世界広しといえど彼女くらいだろう。
その迫力には、さしもの竜王も一瞬たじろいだ。
「む……。ぬ、主の妻たちは気が強いな……」
デュークはバツが悪そうに視線を逸らした。
「では……主(あるじ)よ。腹が減ったぞ。……馳走を用意せい」
態度はあまり変わっていないが、一応「主」と呼んだ。
太郎は苦笑いしながら、ウィンドウを開いた。
「はいはい。とりあえず、これで我慢してて」
太郎が取り出したのは、100円ショップの『厚切りビーフジャーキー(黒胡椒味)』だ。
「なんだこの干し肉は。こんな固いものが……」
デュークは疑り深そうにジャーキーを口に放り込んだ。
「むぐっ……むぐっ……」
噛みしめるたびに、凝縮された牛肉の旨味と、ピリッとしたスパイスの刺激が溢れ出す。
「……旨いなぁ」
デュークの表情が蕩けた。
「噛めば噛むほど味が染み出てくる……。これは酒が欲しくなる味だ」
「そうかい。気に入ってくれて何より」
太郎は適当に数袋渡して、デュークを大人しくさせた。
その様子を見ていたサリーとライザは、無言で目配せをした。
((……駄目だわ。このままでは太郎様が舐められる))
((万が一の時、太郎様を守れるのは私達だけ))
二人は静かに席を立ち、部屋を出て行った。
ライザは足早に城の地下へ向かった。
そこには、太郎国が誇る兵器開発部、通称「ドワーフ工房」がある。
「おい! ガンダフ!」
ライザが怒鳴り込むと、作業をしていた頑固そうなドワーフの親方、ガンダフが顔を上げた。
「へい、なんですかい? 王妃様」
「今すぐ、最強の魔剣を打ち直しなさい」
ライザは設計図(メモ書き)を叩きつけた。
「相手は竜王。その鱗を紙のように切り裂き、魂ごと断ち切る『真・竜殺しの魔剣(ドラゴンスレイヤー)』が必要よ。素材ならアースドラゴンの牙と爪を全部使いなさい!」
「りゅ、竜王相手ですかい!? 正気じゃねぇ……だが、職人の血が騒ぐぜ!」
一方、サリーは城の最上階にある「王立魔術研究所」の扉を閉ざした。
山積みの禁書を広げ、杖を握りしめる。
「ふふふ……。ナメられたままでは終われませんわ」
サリーの瞳に危ない光が宿る。
「あのトカゲを黒焦げにするには、通常の極大魔法では生ぬるい……。古代語魔法……いえ、神代の『対竜殲滅用・究極魔法(アルティメット・バースト)』を習得します!」
彼女の周囲に、どす黒い魔力光が渦巻き始めた。
ビーフジャーキーを呑気に齧る竜王。
それを手懐ける太郎。
その裏で、夫を守るため(と、竜王への制裁のため)に着々と最終兵器を準備する最強の妻たち。
太郎国は今日も平和(?)である。
翌朝。太郎城の大会議室にて、緊急御前会議が開かれた。
議題はただ一つ。『竜王デュークの処遇について』である。
「……信じられませんわ」
サリーがこめかみをピキピキと引きつらせながら発言した。
「デューク様が豚骨ラーメン一杯で太郎様と契約って何ですの? 契約召喚獣といえば、命を削るような儀式を経て従えるものですのに!」
「えぇ。それに相手は『竜王』です」
ライザも深刻な表情で机を叩いた。
「今は大人しくしていますが、その気になれば、くしゃみ一つでこの国を滅ぼせます! そんな時限爆弾を城に置いておくなんて、危険すぎます!」
家令のマルスや騎士団長も青ざめて頷く。
しかし、当の太郎だけは「まぁまぁ」と呑気に茶を啜っていた。
「大丈夫だよ。デュークさんは、美味しいものが食べたいだけの食いしん坊おじさんだから」
「その油断が命取りなのです!」
会議が紛糾し始めた、その時だった。
ドォォォォン!!
重厚な会議室の扉が、蹴破られたかのように豪快に開いた。
現れたのは、不機嫌そうな顔をした初老の紳士――デュークだ。
「太郎よ! ここに居たのか!?」
デュークはズカズカと部屋に入り込み、太郎の目の前に立った。
「我は腹が減ったぞ! 昨晩のラーメンだけでは足りん! 早う次の馳走を用意せい!」
その傲慢な態度に、会議室の空気が凍りついた。
そして次の瞬間、灼熱の空気に変わった。
「――お待ちなさい」
「――ちょっと?」
サリーとライザが立ち上がった。
その背後には、物理的な炎と闘気が立ち昇っている。ブチギレていた。
「**太郎【様】**です! 太郎様はこの国の王であり、貴方の契約主ですよ! デューク様!」
サリーがデュークを指差して一喝する。
「主人にその様な無礼な態度は許しませんよ!? たかがトカゲ風情が、調子に乗るんじゃありませんわッ!!」
ライザが剣の柄に手をかけ、殺気を放つ。
竜王に対して「トカゲ風情」と言い放つのは、世界広しといえど彼女くらいだろう。
その迫力には、さしもの竜王も一瞬たじろいだ。
「む……。ぬ、主の妻たちは気が強いな……」
デュークはバツが悪そうに視線を逸らした。
「では……主(あるじ)よ。腹が減ったぞ。……馳走を用意せい」
態度はあまり変わっていないが、一応「主」と呼んだ。
太郎は苦笑いしながら、ウィンドウを開いた。
「はいはい。とりあえず、これで我慢してて」
太郎が取り出したのは、100円ショップの『厚切りビーフジャーキー(黒胡椒味)』だ。
「なんだこの干し肉は。こんな固いものが……」
デュークは疑り深そうにジャーキーを口に放り込んだ。
「むぐっ……むぐっ……」
噛みしめるたびに、凝縮された牛肉の旨味と、ピリッとしたスパイスの刺激が溢れ出す。
「……旨いなぁ」
デュークの表情が蕩けた。
「噛めば噛むほど味が染み出てくる……。これは酒が欲しくなる味だ」
「そうかい。気に入ってくれて何より」
太郎は適当に数袋渡して、デュークを大人しくさせた。
その様子を見ていたサリーとライザは、無言で目配せをした。
((……駄目だわ。このままでは太郎様が舐められる))
((万が一の時、太郎様を守れるのは私達だけ))
二人は静かに席を立ち、部屋を出て行った。
ライザは足早に城の地下へ向かった。
そこには、太郎国が誇る兵器開発部、通称「ドワーフ工房」がある。
「おい! ガンダフ!」
ライザが怒鳴り込むと、作業をしていた頑固そうなドワーフの親方、ガンダフが顔を上げた。
「へい、なんですかい? 王妃様」
「今すぐ、最強の魔剣を打ち直しなさい」
ライザは設計図(メモ書き)を叩きつけた。
「相手は竜王。その鱗を紙のように切り裂き、魂ごと断ち切る『真・竜殺しの魔剣(ドラゴンスレイヤー)』が必要よ。素材ならアースドラゴンの牙と爪を全部使いなさい!」
「りゅ、竜王相手ですかい!? 正気じゃねぇ……だが、職人の血が騒ぐぜ!」
一方、サリーは城の最上階にある「王立魔術研究所」の扉を閉ざした。
山積みの禁書を広げ、杖を握りしめる。
「ふふふ……。ナメられたままでは終われませんわ」
サリーの瞳に危ない光が宿る。
「あのトカゲを黒焦げにするには、通常の極大魔法では生ぬるい……。古代語魔法……いえ、神代の『対竜殲滅用・究極魔法(アルティメット・バースト)』を習得します!」
彼女の周囲に、どす黒い魔力光が渦巻き始めた。
ビーフジャーキーを呑気に齧る竜王。
それを手懐ける太郎。
その裏で、夫を守るため(と、竜王への制裁のため)に着々と最終兵器を準備する最強の妻たち。
太郎国は今日も平和(?)である。
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