スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

文字の大きさ
101 / 251
第二章 新たな旅立ち

EP 24

しおりを挟む
竜王の躾(しつけ)と、妻たちの殺意(愛)
​翌朝。太郎城の大会議室にて、緊急御前会議が開かれた。
議題はただ一つ。『竜王デュークの処遇について』である。
​「……信じられませんわ」
​サリーがこめかみをピキピキと引きつらせながら発言した。
​「デューク様が豚骨ラーメン一杯で太郎様と契約って何ですの? 契約召喚獣といえば、命を削るような儀式を経て従えるものですのに!」
​「えぇ。それに相手は『竜王』です」
​ライザも深刻な表情で机を叩いた。
​「今は大人しくしていますが、その気になれば、くしゃみ一つでこの国を滅ぼせます! そんな時限爆弾を城に置いておくなんて、危険すぎます!」
​家令のマルスや騎士団長も青ざめて頷く。
しかし、当の太郎だけは「まぁまぁ」と呑気に茶を啜っていた。
​「大丈夫だよ。デュークさんは、美味しいものが食べたいだけの食いしん坊おじさんだから」
​「その油断が命取りなのです!」
​会議が紛糾し始めた、その時だった。
​ドォォォォン!!
​重厚な会議室の扉が、蹴破られたかのように豪快に開いた。
現れたのは、不機嫌そうな顔をした初老の紳士――デュークだ。
​「太郎よ! ここに居たのか!?」
​デュークはズカズカと部屋に入り込み、太郎の目の前に立った。
​「我は腹が減ったぞ! 昨晩のラーメンだけでは足りん! 早う次の馳走を用意せい!」
​その傲慢な態度に、会議室の空気が凍りついた。
そして次の瞬間、灼熱の空気に変わった。
​「――お待ちなさい」
「――ちょっと?」
​サリーとライザが立ち上がった。
その背後には、物理的な炎と闘気が立ち昇っている。ブチギレていた。
​「**太郎【様】**です! 太郎様はこの国の王であり、貴方の契約主ですよ! デューク様!」
​サリーがデュークを指差して一喝する。
​「主人にその様な無礼な態度は許しませんよ!? たかがトカゲ風情が、調子に乗るんじゃありませんわッ!!」
​ライザが剣の柄に手をかけ、殺気を放つ。
竜王に対して「トカゲ風情」と言い放つのは、世界広しといえど彼女くらいだろう。
その迫力には、さしもの竜王も一瞬たじろいだ。
​「む……。ぬ、主の妻たちは気が強いな……」
​デュークはバツが悪そうに視線を逸らした。
​「では……主(あるじ)よ。腹が減ったぞ。……馳走を用意せい」
​態度はあまり変わっていないが、一応「主」と呼んだ。
太郎は苦笑いしながら、ウィンドウを開いた。
​「はいはい。とりあえず、これで我慢してて」
​太郎が取り出したのは、100円ショップの『厚切りビーフジャーキー(黒胡椒味)』だ。
​「なんだこの干し肉は。こんな固いものが……」
​デュークは疑り深そうにジャーキーを口に放り込んだ。
​「むぐっ……むぐっ……」
​噛みしめるたびに、凝縮された牛肉の旨味と、ピリッとしたスパイスの刺激が溢れ出す。
​「……旨いなぁ」
​デュークの表情が蕩けた。
​「噛めば噛むほど味が染み出てくる……。これは酒が欲しくなる味だ」
​「そうかい。気に入ってくれて何より」
​太郎は適当に数袋渡して、デュークを大人しくさせた。
その様子を見ていたサリーとライザは、無言で目配せをした。
​((……駄目だわ。このままでは太郎様が舐められる))
((万が一の時、太郎様を守れるのは私達だけ))
​二人は静かに席を立ち、部屋を出て行った。
​ライザは足早に城の地下へ向かった。
そこには、太郎国が誇る兵器開発部、通称「ドワーフ工房」がある。
​「おい! ガンダフ!」
​ライザが怒鳴り込むと、作業をしていた頑固そうなドワーフの親方、ガンダフが顔を上げた。
​「へい、なんですかい? 王妃様」
​「今すぐ、最強の魔剣を打ち直しなさい」
​ライザは設計図(メモ書き)を叩きつけた。
​「相手は竜王。その鱗を紙のように切り裂き、魂ごと断ち切る『真・竜殺しの魔剣(ドラゴンスレイヤー)』が必要よ。素材ならアースドラゴンの牙と爪を全部使いなさい!」
​「りゅ、竜王相手ですかい!? 正気じゃねぇ……だが、職人の血が騒ぐぜ!」
​一方、サリーは城の最上階にある「王立魔術研究所」の扉を閉ざした。
山積みの禁書を広げ、杖を握りしめる。
​「ふふふ……。ナメられたままでは終われませんわ」
​サリーの瞳に危ない光が宿る。
​「あのトカゲを黒焦げにするには、通常の極大魔法では生ぬるい……。古代語魔法……いえ、神代の『対竜殲滅用・究極魔法(アルティメット・バースト)』を習得します!」
​彼女の周囲に、どす黒い魔力光が渦巻き始めた。
​ビーフジャーキーを呑気に齧る竜王。
それを手懐ける太郎。
その裏で、夫を守るため(と、竜王への制裁のため)に着々と最終兵器を準備する最強の妻たち。
​太郎国は今日も平和(?)である。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...