スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第三章 世界の秩序

EP 45

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二つの悲鳴、分断される戦力
その日、太郎国の玉座の間には、いつになく張り詰めた空気が漂っていた。
ハンバーガーブームで平和そのものだった国に、激震が走ったのだ。
「太郎様! エルフの里から緊急の知らせです!」
バンッ! と扉を開け放ち、飛び込んできたのはエルフの槍使いヒブネだ。
普段は冷静沈着な彼女が、肩で息をし、顔面を蒼白にしている。
「ヒブネ!? どうした、そんなに慌てて」
「さ、里が……エルフの里が、魔族の大部隊から襲撃を受けました!」
「何だと!?」
太郎が玉座から立ち上がる。
「それで、被害は!?」
「ハッ! 里の防人達と、駐留していた太郎国軍の奮戦により、何とか第一波は撃退した……との事です! しかし、敵の規模が大きすぎます。次、また襲撃されたら、里は……!」
ヒブネが悔しげに拳を握りしめる。
エルフの里は、サクヤの故郷でもあり、太郎国にとって重要な技術提携国だ。
「分かった。エルフは太郎国の大切な友人だ。魔族がそこまで大規模に動くとなると、ただの略奪じゃない……嫌な予感がする!」
「太郎様……! 分かりました! このヒブネも一兵卒として前線へ! 同胞の危機、見過ごせません!」
太郎が即座に出兵の準備を命じようとした、その時だった。
「太郎様ぁぁぁーーッ!!」
今度は廊下の向こうから、悲鳴のような声が響いた。
転がるように入ってきたのは、アイドル衣装ではなく、簡素な平服をまとったリリーナだ。
「リリーナ!? 今度は何だ!?」
「た、太郎様! シーラン国から……リリカーナお母様から、魔法通信が入りました! 魔族です! 海底のシーラン国が、魔族の水中部隊に包囲されています!」
「何だと!? 海もか!?」
場が凍りついた。
陸のエルフの里。海の人魚の国。
種族の違う二つの同盟国が、示し合わせたように同時に狙われたのだ。
「シーランまで……?」
側近のサリーが地図を広げ、険しい顔をする。
「エルフの里は北の森、シーラン国は南の海……。完全に真逆の方向ですわ」
「二正面作戦ですか……。これは厄介です」
ライザが呻く。
「我が国の軍を二つに割れば、どちらも戦力不足になりかねない。かといって、片方を捨てれば同盟は崩壊します」
「お願いします! 太郎様! 母を……シーラン国を助けて下さい! あそこには、私のファンのみんなも、友達もいるんです!」
リリーナが涙ながらに懇願する。
太郎は唇を噛んだ。
(くそっ……! 魔族め、こちらの戦力を分散させる気か!? エルフも人魚も、どちらも見捨てるなんて選択肢、あるわけないだろ!)
「分かっている、リリーナ。シーラン国は太郎国の大切な同盟国だ。絶対に見捨てたりしない」
太郎が覚悟を決めて、無理やりにでも軍を分ける決断をしようとした時。
「主よ。無茶な采配をしようとしているな?」
重厚な声が響いた。
部屋の隅で、ふかふかのソファを占領していた竜王デュークだ。
彼と、狼王フェリル、不死鳥フレアの三柱が、ゆっくりと立ち上がった。
「主達人間はエルフの里に行くが良い。シーラン国は、我等三柱(最強種)が引き受ける」
「え?」
太郎が目を丸くした。
「デュークたちが……行ってくれるのか?」
「考えなくとも分かるだろう。貴様ら人間では、海中にあるシーラン国には行けまい? 魔法で潜れたとしても、水中での戦闘などまともに出来ん」
デュークの言う通りだった。
深海の水圧、呼吸の確保、水中での機動力。人間軍が万全の状態で戦うには、海というフィールドは過酷すぎる。
「それは……そうだが」
「それに、相手は魔族だ。雑魚ならともかく、幹部クラスが出れば人間の軍など紙切れ同然。……我等が行くのが最も合理的だ」
「僕も行くよ!」
フェリルが尻尾を振って進み出た。
「最近、身体が鈍ってたんだよね! 海の魔物って美味しいのかな? 踊り食いしてやる!」
頼もしい言葉だが、一つ問題があった。
この二柱(破壊神と食いしん坊)だけで行かせたら、魔族を倒した後、シーラン国まで壊滅しかねない。
「う~ん……」
フレアが扇子を口元に当て、悩ましげな声を上げた。
「私は旦那様と一緒に行動したいのですけど……。デュークとフェリルだけじゃ、リリカーナ女王との交渉なんて無理ですものね……」
フレアはチラリと二人を見た。
「戦闘はできても、繊細な外交や、怯える人魚達のケアなんて、この脳筋と野生児には不可能ですわ。……はぁ、仕方がありません」
フレアはバサリと髪を払った。
「私が行くしかありませんわね。この『最高の奥様』たる私が、完璧な外交と殲滅を見せて差し上げますわ!」
「決まったな」
デュークがニヤリと笑った。
太郎は胸が熱くなるのを感じた。
普段は勝手気ままで、食費ばかりかかる居候たち。
だが、ここ一番という時の彼らの頼もしさは、神話級だ。
「分かった……! 頼んだぞ、デューク! フェリル! フレア!」
太郎は彼らを真っ直ぐに見つめた。
「シーラン国を救ってくれ。……あと、国を壊さない程度にお願いな!」
「フン、善処しよう」
「任せてよ! お魚天国だー!」
「行って参りますわ、旦那様。帰ったらご褒美のキスを♡」
ヒュンッ!!
三柱の姿が転移魔法の光に包まれて消えた。
残された太郎は、すぐに表情を引き締めた。
「よし! 僕たちはエルフの里へ向かう! ヒブネ、案内を頼む! サリー、ライザ、ヴァルキュリア! 出撃だ!」
「「「了解!!」」」
太郎国軍、そして最強の別動隊。
二つの戦場に向け、反撃の狼煙が上がった。
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