スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第四章 新たな秩序

EP 50

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愚かなる侵攻と、獣たちの逆襲
【北の大国・マルシア王国 玉座の間】
「何!? 『百獣の王』だか何だか知らんが、レオンハート国だと?」
マルシア国の王、マルダはワイングラスを床に叩きつけた。
彼が激怒している理由は、国境付近の不毛地帯――今まで見向きもしなかった荒野――に、突如として巨大な都市国家が出現し、莫大な富を生み出しているという報告を受けたからだ。
「ふざけるな! あそこは元は我が領地ではないか! 勝手に住み着いた獣風情が、我が物顔で!」
「おっしゃる通りでございます、陛下」
大臣が揉み手をしながら追従する。
「あの地から産出されるレアメタル、そして高度な治水技術……全て本来は陛下のものです。獣ごときに管理など不可能です」
「うむ。略奪ではない、回収だ」
マルダ王は醜悪な笑みを浮かべた。
「すぐ様、兵を率いて攻め落とせ! 獣どもを鎖に繋ぎ、人間(マーシャたち)は側室にしてやる!」
「ハハッー!!」
欲望にまみれた号令が下された。それが、地獄の蓋を開ける行為だとも知らずに。
【レオンハート国・円卓の間】
「レオ様! 我が国の北側領土が、マルシア軍の焼き討ちに遭いました!」
陸将ラオンが、血相を変えて会議室に飛び込んできた。
その報告に、室内の空気が一瞬で沸騰する。
「……被害は?」
レオの声が震えている。
「国境警備の獣人隊が壊滅。近隣の集落も焼かれ、女子供が数名攫われました」
ラオンの拳から血が滲む。
「奴ら、降伏勧告もなしにいきなり火を放ちやがったのです!」
「レオ様、ご指示を」
空将アヤネが冷徹な声で求めた。その瞳は既に照準を合わせている猛禽類のそれだ。
「敵軍は総勢五千。我が国を完全に『狩り場』と認識しています」
「憎き人間達め……」
海将オルカがギリギリと歯ぎしりをする。
「獣人の恐ろしさを、その身に教えてくれる必要がある」
三将軍の殺気が膨れ上がる。
だが、レオは玉座の肘掛けを強く握りしめた。
「待て……待ってくれ」
レオの脳裏に、かつて自分が滅ぼした帝国の惨状がフラッシュバックする。
また殺すのか。また焼くのか。
報復は報復を呼び、血の連鎖は止まらなくなる。
「話し合いの余地は……」
「レオ様!!」
ラオンが叫んだ。
「我々の領土や民達が、理不尽に襲われたのですぞ!? 話し合いで死んだ者が帰って来るとでも!?」
「一線は超えました!」
アヤネも一歩も引かない。
「ここで弱腰を見せれば、マルシアだけでなく他の周辺国もハイエナのように群がってきます」
「……レオ様」
オルカが静かに、しかし決定的な言葉を突きつけた。
「レオンハート国は、反撃もしないのか? 仲間が殺されても黙っているのか? 国を守る気も無いのか!? ……そう、民達が失望し、恐れます。王への信頼が失墜すれば、この国は内側から崩壊する」
レオは息を飲んだ。
そうだ。自分はもう、一人の逃亡者ではない。「王」なのだ。
王の優しさが優柔不断になれば、守るべき民が死ぬ。
レオは目を閉じた。
そして、ゆっくりと開いた瞳には、覚悟という名の冷たい光が宿っていた。
「……分かった」
レオは立ち上がり、低く告げた。
「我等の力を……見せる時か。徹底的に叩け。二度と我が国に牙を向けぬよう、恐怖を刻み込め」
三将軍が、獰猛な笑みを浮かべて一斉に頭を下げた。
「「「ハハッー!!」」」
【レオンハート国・北洋沖】
マルシア海軍の船団が、海岸線を砲撃しようと展開していた。
だが、海面が不気味に静まり返る。
「なんだ? 海の色が……」
次の瞬間。
ドゴォォォォォン!!
巨大な軍船が、真下から何かに食い破られたように折れ曲がった。
「ヒャハハハハ! 海は俺の庭だぜぇ!!」
海将オルカ率いる「鯱(シャチ)部隊」だ。
彼らは船底に水中から槍を突き立て、あるいは怪力で舵を破壊し、船を次々と沈めていく。
海に投げ出された兵士たちは、海中の獣たちによって静かに深淵へと引きずり込まれていった。
【レオンハート国・上空】
「撃て」
空将アヤネの冷淡な号令と共に、雲の切れ間から「死の雨」が降り注いだ。
バード族の精鋭部隊が、上空数百メートルから高精度のボーガンを一斉発射したのだ。
ヒュルルルル……ドスドスドスッ!!
「ぎゃあああ!?」
「ど、どこからだ!? 上か!?」
地上のマルシア騎士団は、見えない敵からの攻撃にパニックに陥った。
盾を構えても無駄だ。アヤネの計算された射撃は、兜の隙間や鎧の継ぎ目を正確に貫いていく。
【レオンハート国・地上戦】
混乱する敵陣に、トドメの雷鳴が轟いた。
「蹂躙せよぉぉぉぉッ!!!」
陸将ラオンが咆哮し、巨大な戦斧を振り回して突撃した。
彼に続くのは、サイ、熊、虎などの重量級獣人部隊。
「ひ、ひいいい! 化け物だ!」
「剣が通じない!?」
人間の騎士が振るう剣など、彼らの鋼のような筋肉と毛皮の前では爪楊枝に等しい。
ラオンは馬ごと騎士をなぎ払い、戦車のように敵陣を踏み潰していった。
それは戦争ではなかった。
一方的な「駆除」だった。
城壁の上からその光景を見下ろすレオの背中には、悲哀と、王としての重圧がのしかかっていた。
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