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第四章 新たな秩序
EP 51
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悪王の虚偽報告と、動き出す盟主
【マルシア王国・玉座の間】
「なんだと!? 我が精鋭の騎士団が、全滅しただと!?」
マルダ王の絶叫が広間に響いた。
報告に来た伝令兵は震え上がり、床に額を擦り付けている。
「は、はい……。相手は化け物です。海からは船を沈められ、空からは矢の雨、そして地上では巨大な獣たちが……。生存者はわずか数名、這う這うの体で逃げ帰って参りました」
「おのれぇぇ! 獣風情が! 家畜の分際でぇぇ!」
マルダ王は顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
侵略戦争を仕掛けたのは自分たちであることなど、彼の頭には微塵もない。あるのは、プライドを傷つけられた屈辱だけだ。
「陛下、このままでは我が民達に示しが付きません」
大臣が青ざめた顔で進言する。
「敗戦の噂が広まれば、民衆の不満が爆発し、近隣諸国にも舐められます。かといって、今の我が軍に再戦の余力は……」
「えぇい! どうすれば……」
マルダ王は爪を噛み、部屋の中を歩き回った。
あの獣の国の戦力は異常だ。まともに戦えば国が滅ぶ。
だが、復讐はしたい。あの生意気な獣王を跪かせたい。
その時、マルダ王の脳裏に、世界最強の国家の存在が浮かんだ。
「……そうだ」
マルダ王の顔に、粘着質な笑みが浮かぶ。
「『盟主・太郎国』にご報告せねば」
「太郎国……あの、神殺しの英雄が治める国ですか?」
「そうだ。太郎国は人間族の盟主的な立場にある。そこへ泣きつくのだ」
マルダ王は早口でまくし立てた。
「『蛮族の獣人族が、平和な我が国を一方的に侵略し、罪なき民を虐殺している』とな! 我々は被害者だ。助けを求めるのだ!」
「なるほど! さすがは陛下!」
大臣も悪知恵を働かせる。
「『人間の敵』というレッテルを貼れば、正義感の強い太郎様は動かざるを得ません。いかにあの獣王が強くとも、神すら倒す太郎様とその配下(最強種)が出てくれば……」
「クックック……。獣の国など消し飛ぶわ! すぐに使者を送れ! 最高級の土産を持たせてな!」
「御意!!」
【太郎国・執務室】
平和な午後。太郎はおやつのどら焼きを食べながら、新商品の開発案を眺めていた。
そこへ、宰相マルスが血相を変えて飛び込んできた。
「た、太郎様! 緊急の報告でございます!」
「どうしたの? マルス。またルチアナさんが何か壊した?」
太郎は呑気に尋ねたが、マルスの表情は深刻だった。
「いえ、違います。……北の『マルシア王国』より、救援要請が届きました」
マルスは震える手で書状を差し出した。
「北方の不毛の大地に突如現れた『レオンハート国』なる獣人の国が、マルシア領へ侵攻。……村を焼き払い、騎士団を虐殺し、人間を食い物にしていると……」
「なんだって……?」
太郎の表情から、瞬時に柔和さが消えた。
どら焼きを皿に置く。
「獣人の国……レオンハート?」
「はい。その王は『百獣の王』と名乗る、極めて凶暴な魔人だそうです。マルシア王からの書状には、『人類の危機』と書かれております」
太郎は書状に目を通した。そこにはマルダ王によって捏造された、獣人たちの残虐非道な行いが事細かに記されていた。
(もしこれが本当なら……見過ごすわけにはいかないな)
太郎は平和を愛する。
だが、その平和を理不尽な暴力で脅かす者がいるなら、盟主として剣を取る覚悟もある。
「マルシア王の言い分を鵜呑みにするわけにはいかないけど……」
太郎は立ち上がり、窓の外を見た。
「事実確認が必要だね。もし本当に、罪のない人々が虐げられているなら……僕が止めに行かないと」
運命の歯車が狂い始めた。
平和を望む二人の王。しかし、悪意ある嘘によって、彼らは「敵」として出会おうとしていた。
「デューク、フェリル、ライザ、サリーを呼んでくれ。……少し、遠征になるかもしれない」
第四章 完
【マルシア王国・玉座の間】
「なんだと!? 我が精鋭の騎士団が、全滅しただと!?」
マルダ王の絶叫が広間に響いた。
報告に来た伝令兵は震え上がり、床に額を擦り付けている。
「は、はい……。相手は化け物です。海からは船を沈められ、空からは矢の雨、そして地上では巨大な獣たちが……。生存者はわずか数名、這う這うの体で逃げ帰って参りました」
「おのれぇぇ! 獣風情が! 家畜の分際でぇぇ!」
マルダ王は顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
侵略戦争を仕掛けたのは自分たちであることなど、彼の頭には微塵もない。あるのは、プライドを傷つけられた屈辱だけだ。
「陛下、このままでは我が民達に示しが付きません」
大臣が青ざめた顔で進言する。
「敗戦の噂が広まれば、民衆の不満が爆発し、近隣諸国にも舐められます。かといって、今の我が軍に再戦の余力は……」
「えぇい! どうすれば……」
マルダ王は爪を噛み、部屋の中を歩き回った。
あの獣の国の戦力は異常だ。まともに戦えば国が滅ぶ。
だが、復讐はしたい。あの生意気な獣王を跪かせたい。
その時、マルダ王の脳裏に、世界最強の国家の存在が浮かんだ。
「……そうだ」
マルダ王の顔に、粘着質な笑みが浮かぶ。
「『盟主・太郎国』にご報告せねば」
「太郎国……あの、神殺しの英雄が治める国ですか?」
「そうだ。太郎国は人間族の盟主的な立場にある。そこへ泣きつくのだ」
マルダ王は早口でまくし立てた。
「『蛮族の獣人族が、平和な我が国を一方的に侵略し、罪なき民を虐殺している』とな! 我々は被害者だ。助けを求めるのだ!」
「なるほど! さすがは陛下!」
大臣も悪知恵を働かせる。
「『人間の敵』というレッテルを貼れば、正義感の強い太郎様は動かざるを得ません。いかにあの獣王が強くとも、神すら倒す太郎様とその配下(最強種)が出てくれば……」
「クックック……。獣の国など消し飛ぶわ! すぐに使者を送れ! 最高級の土産を持たせてな!」
「御意!!」
【太郎国・執務室】
平和な午後。太郎はおやつのどら焼きを食べながら、新商品の開発案を眺めていた。
そこへ、宰相マルスが血相を変えて飛び込んできた。
「た、太郎様! 緊急の報告でございます!」
「どうしたの? マルス。またルチアナさんが何か壊した?」
太郎は呑気に尋ねたが、マルスの表情は深刻だった。
「いえ、違います。……北の『マルシア王国』より、救援要請が届きました」
マルスは震える手で書状を差し出した。
「北方の不毛の大地に突如現れた『レオンハート国』なる獣人の国が、マルシア領へ侵攻。……村を焼き払い、騎士団を虐殺し、人間を食い物にしていると……」
「なんだって……?」
太郎の表情から、瞬時に柔和さが消えた。
どら焼きを皿に置く。
「獣人の国……レオンハート?」
「はい。その王は『百獣の王』と名乗る、極めて凶暴な魔人だそうです。マルシア王からの書状には、『人類の危機』と書かれております」
太郎は書状に目を通した。そこにはマルダ王によって捏造された、獣人たちの残虐非道な行いが事細かに記されていた。
(もしこれが本当なら……見過ごすわけにはいかないな)
太郎は平和を愛する。
だが、その平和を理不尽な暴力で脅かす者がいるなら、盟主として剣を取る覚悟もある。
「マルシア王の言い分を鵜呑みにするわけにはいかないけど……」
太郎は立ち上がり、窓の外を見た。
「事実確認が必要だね。もし本当に、罪のない人々が虐げられているなら……僕が止めに行かないと」
運命の歯車が狂い始めた。
平和を望む二人の王。しかし、悪意ある嘘によって、彼らは「敵」として出会おうとしていた。
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第四章 完
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