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第五章 月下の宴
EP 6
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戦場に歌姫を、貧乏人魚の強制召喚
【レオンハート王国・王城中庭(ブルーシート宴会場)】
ビールの空き缶が転がるブルーシートの上で、太郎はふと思い立ったように言った。
「デューク。……リーザを連れて来てくれ」
スルメを齧っていたデュークが、怪訝な顔で眉をひそめた。
「リーザ? ……あの『貧乏人魚姫』をか?」
「あぁ」
太郎は夜空を見上げ、ニヤリと笑った。
「マルシア王を懲らしめるだけじゃ、芸がない。……ギスギスした北の大地に、愛と平和を届けるにはアレしかないだろ?」
太郎は指をパチンと鳴らした。
「『歌』で世界を救ってやるのさ」
「……フン。相変わらず酔狂な男だ」
デュークは呆れつつも、口元を緩めた。
「だが、悪くない余興だ。殺し合いの悲鳴よりは、下手な歌声の方がまだマシだろう」
「リーザの歌は上手いよ? 多分」
「承知した」
デュークが空間に手をあてがう。
黄金の魔力が渦を巻き、空間転移ゲートが強制的に開かれた。
ヒュンッ!!
「へ? ……ひゃあああっ!?」
ゲートから飛び出してきたのは、ジャージ姿に「半額シール」が貼られたスーパーの袋を抱えた、青い髪の美少女――人魚姫リーザだった。
「と、ととっ!?」
リーザはブルーシートの上にドスンと着地した。
その手には、しっかりと『もやし(19円)』と『ちくわ(見切り品)』が握られている。
「こ、ここはどこですの!? 私、今夜のおかずの『ちくわの磯辺揚げ』を作ろうとしていたのに!」
リーザはキョロキョロと周囲を見回し、獣人たちに囲まれていることに気づいて青ざめた。
「ひぃっ!? け、獣!? 野獣の群れですわ!?」
「よぉ、リーザ。晩御飯の準備中に悪いね」
「た、太郎様!?」
リーザは太郎の顔を見ると、安堵でへなへなと座り込んだ。
「もぅ! 急に呼び出さないで下さいまし! 時給が発生しますわよ!?」
「あはは、ごめんごめん。特別手当は弾むから」
「と、特別手当!?」
リーザの目が『¥』マーク(キュルリンと同じ)に輝いた。
「なら話は別ですわ! で、何をすれば宜しいのですか? 皿洗い? 草むしり?」
「いや、本業の方だ」
太郎は立ち上がり、リーザの肩を抱いた。
「リーザ。君の歌で、戦争を止めるんだ」
「……は?」
リーザがポカンと口を開けた。
周囲のラオン、アヤネ、オルカも訳が分からないという顔をしている。
「歌……だと?」
レオが興味深そうに身を乗り出した。
「なるほど……。文化的な衝撃を与えて、戦意を喪失させる気か」
「そう言うこと。レオ、君の国には娯楽が足りない。だから心が荒むんだ」
太郎はレオに向かってウインクした。
「紹介するよ。彼女はリーザ。僕の国のトップアイドル(自称)だ」
「自称じゃありませんわ! メジャーデビュー目指して活動中ですの!」
リーザがムキになって訂正する。
「人魚……マーメイドか」
アヤネが感心したようにリーザを見た。
「砂漠の真ん中に海の歌姫……。確かに、インパクトは絶大ね」
「だろ? 作戦名は『プロジェクト・リーザ』だ」
太郎はリーザに向き直った。
「リーザ。ステージは北の戦場、もしくはマルシア王の寝室だ。……最高のライブ、頼めるかい?」
リーザはゴクリと喉を鳴らした。
もやしの袋を置き、ジャージの襟を正す。
「……観客は何人ですの?」
「数千人の兵士と、一人の悪い王様だ」
「不足ありませんわ」
リーザは不敵に微笑んだ。
貧乏生活で培った根性と、アイドルとしてのプライドが燃え上がる。
「太郎様のプロデュースなら、大船に乗ったつもりで歌いますわ! その代わり……ギャラは弾んでくださいまし!」
「交渉成立だ」
こうして、最強の竜、最強の獣王、そして最強(に貧乏)な歌姫を加えた、太郎一行の「戦争停止ツアー」の準備が整った。
【レオンハート王国・王城中庭(ブルーシート宴会場)】
ビールの空き缶が転がるブルーシートの上で、太郎はふと思い立ったように言った。
「デューク。……リーザを連れて来てくれ」
スルメを齧っていたデュークが、怪訝な顔で眉をひそめた。
「リーザ? ……あの『貧乏人魚姫』をか?」
「あぁ」
太郎は夜空を見上げ、ニヤリと笑った。
「マルシア王を懲らしめるだけじゃ、芸がない。……ギスギスした北の大地に、愛と平和を届けるにはアレしかないだろ?」
太郎は指をパチンと鳴らした。
「『歌』で世界を救ってやるのさ」
「……フン。相変わらず酔狂な男だ」
デュークは呆れつつも、口元を緩めた。
「だが、悪くない余興だ。殺し合いの悲鳴よりは、下手な歌声の方がまだマシだろう」
「リーザの歌は上手いよ? 多分」
「承知した」
デュークが空間に手をあてがう。
黄金の魔力が渦を巻き、空間転移ゲートが強制的に開かれた。
ヒュンッ!!
「へ? ……ひゃあああっ!?」
ゲートから飛び出してきたのは、ジャージ姿に「半額シール」が貼られたスーパーの袋を抱えた、青い髪の美少女――人魚姫リーザだった。
「と、ととっ!?」
リーザはブルーシートの上にドスンと着地した。
その手には、しっかりと『もやし(19円)』と『ちくわ(見切り品)』が握られている。
「こ、ここはどこですの!? 私、今夜のおかずの『ちくわの磯辺揚げ』を作ろうとしていたのに!」
リーザはキョロキョロと周囲を見回し、獣人たちに囲まれていることに気づいて青ざめた。
「ひぃっ!? け、獣!? 野獣の群れですわ!?」
「よぉ、リーザ。晩御飯の準備中に悪いね」
「た、太郎様!?」
リーザは太郎の顔を見ると、安堵でへなへなと座り込んだ。
「もぅ! 急に呼び出さないで下さいまし! 時給が発生しますわよ!?」
「あはは、ごめんごめん。特別手当は弾むから」
「と、特別手当!?」
リーザの目が『¥』マーク(キュルリンと同じ)に輝いた。
「なら話は別ですわ! で、何をすれば宜しいのですか? 皿洗い? 草むしり?」
「いや、本業の方だ」
太郎は立ち上がり、リーザの肩を抱いた。
「リーザ。君の歌で、戦争を止めるんだ」
「……は?」
リーザがポカンと口を開けた。
周囲のラオン、アヤネ、オルカも訳が分からないという顔をしている。
「歌……だと?」
レオが興味深そうに身を乗り出した。
「なるほど……。文化的な衝撃を与えて、戦意を喪失させる気か」
「そう言うこと。レオ、君の国には娯楽が足りない。だから心が荒むんだ」
太郎はレオに向かってウインクした。
「紹介するよ。彼女はリーザ。僕の国のトップアイドル(自称)だ」
「自称じゃありませんわ! メジャーデビュー目指して活動中ですの!」
リーザがムキになって訂正する。
「人魚……マーメイドか」
アヤネが感心したようにリーザを見た。
「砂漠の真ん中に海の歌姫……。確かに、インパクトは絶大ね」
「だろ? 作戦名は『プロジェクト・リーザ』だ」
太郎はリーザに向き直った。
「リーザ。ステージは北の戦場、もしくはマルシア王の寝室だ。……最高のライブ、頼めるかい?」
リーザはゴクリと喉を鳴らした。
もやしの袋を置き、ジャージの襟を正す。
「……観客は何人ですの?」
「数千人の兵士と、一人の悪い王様だ」
「不足ありませんわ」
リーザは不敵に微笑んだ。
貧乏生活で培った根性と、アイドルとしてのプライドが燃え上がる。
「太郎様のプロデュースなら、大船に乗ったつもりで歌いますわ! その代わり……ギャラは弾んでくださいまし!」
「交渉成立だ」
こうして、最強の竜、最強の獣王、そして最強(に貧乏)な歌姫を加えた、太郎一行の「戦争停止ツアー」の準備が整った。
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