スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第五章 月下の宴

EP 17

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所持金ゼロ、テント村への漂着
​【太郎国・外縁部 第3河川敷】
​日が暮れ、冷たい夜風が吹き抜ける河川敷。
対岸に見える王都の摩天楼は煌々と輝いているが、こちらの橋の下は街灯もなく、薄暗い闇に包まれている。
​イグニスはふらつく足取りで土手を降りた。
​「くそっ……腹が減った……。喉も乾いた……」
​最強の竜人も、エネルギーが切れればただのデカい男だ。
自慢のブレスを吐こうにも、燃料(カロリー)が足りない。
​目の前には、ブルーシートや段ボール、廃材を組み合わせて作られた、奇妙な「家」が乱立していた。
​「なんだここは……。スラムか? それにしては……」
​イグニスは鼻をひくつかせた。
腐敗臭や絶望の匂いはしない。むしろ、微かに焦げた醤油のような、生活の匂いが漂ってくる。
​「おい、そこ。新入りか?」
​突然、頭上から声をかけられた。
イグニスが見上げると、積み上げられた段ボールハウス(二階建て構造)の上から、ジャージ姿の少女が見下ろしていた。
青い髪に、少し擦り切れたヒレ耳。貧乏人魚姫・リーザである。
​「あぁ? 俺様はイグニス・ドラグーンだ。新入りなどではない、未来の……」
​グゥゥゥゥ~~~ッ(腹の音)
​イグニスの言葉を遮るように、腹の虫が盛大に鳴いた。
威厳もへったくれもない音だ。
​リーザは呆れたように溜息をつき、ひらりと段ボールから飛び降りた。
​「あらあら。顔は良いのに、残念なイケメンね」
​リーザは腕組みをして、イグニスを品定めした。
​「その様子だと、身分証がなくて宿も取れず、所持金も使えず、行き場を失った……ってとこかしら?」
​「な、なぜそれを……!?」
​「ここに来る奴はみんなそうだからよ」
リーザはふふんと笑った。
​「ここは**『テント村』**。太郎国の光に照らされすぎて、影になっちゃった人たちのシェアハウスよ」
​「てんと……村……?」
​「そう。貴方、今日から私の『後輩』ね。
黙って野垂れ死ぬか、プライドを捨てて生き延びるか。……どっちにする?」
​イグニスは唇を噛んだ。
竜人の誇りがある。人間(と人魚)如きに施しを受けるなど……。
だが、死んでしまえば英雄になれない。親父を見返すこともできない。
​「……死ぬのは、嫌だ」
​「素直でよろしい!」
​リーザはニカッと笑い、イグニスの背中をバシッと叩いた。
​「ついてらっしゃい、後輩! 太郎国での『正しい底辺の歩き方』を、このリーザ先輩が叩き込んであげるわ!」
​「……う、うむ」
​イグニスは促されるまま、リーザの後ろをついて歩き出した。
煌びやかな王都を背に、段ボールの迷宮へ。
そこは、アプリも身分証もいらない、裸一貫の実力(サバイバル能力)だけが物を言う世界だった。
​「まずは晩御飯の確保よ! 今夜はラッキーデーだからね!」
「め、飯だと!? 肉か!?」
​「ふふん、もっと温かくて、心に沁みるものよ」
​最強の竜人と、最強の貧乏人魚。
奇妙な師弟関係が、ここに結成された。
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