スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

文字の大きさ
246 / 251
第六章 邪神デュアダロス

EP 2

しおりを挟む
奈落の底と、封印されし極道
​【古代地下ダンジョン・最下層『奈落の底』】
​「ハァ、ハァ……行き止まり、ですか……っ?」
​リアナは息を切らし、巨大な石扉の奥――薄暗い祭壇の前で立ち止まった。
背後からは、オークと三匹のレッド・ウルフが涎を垂らしながら迫ってくる。
​祭壇の中央には、何百本もの輝く鎖に縛られた男が座っていた。
漆黒の髪をオールバックに撫でつけ、銀縁のインテリ眼鏡をかけた、危険な色気を放つスーツ姿の男。
伝説の邪神、デュアダロスである。
​『……おい、エプロン姿の小娘』
​地鳴りのような、しかしどこか甘く響く低い声。
​「えっ? わ、私ですか?」
​『……そうだ。お前しかいねぇだろうが』
​デュアダロスは気怠げに視線を動かした。
本当なら、看守であるフレアが持ってくるはずの『からあげ弁当』と『冷えた缶ビール』を三百年待っているのだが、来たのは美味そうな匂いのする弁当箱……ではなく、小娘だった。
​『……俺の額に貼ってある、その「封印の札」を剥がせ。そうすれば、そいつらを「塵」にしてやるぜ?』
​デュアダロスは口角を上げ、インテリヤクザのような凄みのある笑みを浮かべた。
​「ゲハハハ! 逃げ場はねぇぞォ! 諦めて俺たちの餌になりなァ!」
​オークが巨大な棍棒を振り上げ、レッド・ウルフたちが一斉に跳躍した。
もう、迷っている暇はない。
​「ええいっ! 失礼します!」
​リアナは祭壇に飛び乗り、男の額に貼られていた古びたお札を、勢いよく『ベリッ!』と剥がした。
​パァァァァァァンッ!!
​その瞬間、ダンジョン全体を揺るがすほどの圧倒的な闇の魔力が爆発した。
男を縛っていた何百本もの光の鎖が、ガラスのように砕け散る。
​「な、なんだァ!?」
オークが目を剥いた。
​土煙の中から、スーツのホコリを手で払いながら、デュアダロスがゆっくりと立ち上がった。
彼は銀縁眼鏡を中指でクイッと押し上げ、冷たい瞳で魔族たちを見下ろした。
​「……三百年ぶりのシャバの空気だ。てめぇらみたいな三下(サンシタ)の匂いで汚すんじゃねぇよ」
​「て、てめぇ! 何者だ! ぶっ殺して食ってやる!」
オークが怒り狂い、棍棒を振り下ろそうとした。
​しかし、デュアダロスはポケットに片手を入れたまま、もう片方の手でパチン、と指を鳴らした。
​『終焉の指先(デッド・エンド・スナップ)』
​カチッ、という小さな音が響いた直後。
​「あ……?」
​オークの巨大な身体と、三匹のレッド・ウルフが、まるで空間ごと圧縮されたかのように歪み――次の瞬間、音もなくサラサラの「塵」となって崩れ去った。
​血も、骨も、何も残らない。
ただの灰色の砂山が四つ、床にできただけだった。
​「……えっ?」
リアナは目をパチクリとさせた。
​「フハハハ……! ハーッハッハッハッハ!!」
​デュアダロスは両手を広げ、天井を見上げて高笑いした。
「力が……力が戻ってくる! 俺は自由だ! 忌々しいルチアナめ、見ていろ! 今度こそ世界を闇に沈めてやる!!」
​最恐の邪神、完全復活。
その圧倒的な力と邪悪なオーラに、普通の人間なら泡を吹いて気絶しているところだろう。
しかし、リアナはホッと胸を撫で下ろしてペコリとお辞儀をした。
​「あの、助けていただいてありがとうございます! ゴミのお掃除までしていただいて……」
​ピタリ、とデュアダロスの笑い声が止まった。
彼はゆっくりと首を回し、リアナを見下ろした。その瞳には、氷のような殺意が宿っていた。
​「……感謝は受け取っておくぜ、小娘」
​デュアダロスが一歩、リアナに近づく。
​「だがな、俺は神だ。そしててめぇは、俺を封印した憎き連中と同じ『人間』だ。……ケジメはつけさせてもらうぜ。次はお前が、塵になる番だ」
​「ええええっ!? そんな! 助けてくれたじゃないですか!」
​「極道(あくとう)の約束を信じたお前がバカなんだよ。……あばよ」
​デュアダロスが冷酷に指を鳴らそうとした、その瞬間。
​「……っ! や、やめてくださいぃぃぃ!」
​リアナはパニックになりながら、自身のユニークスキルを発動させた。
彼女の手のひらから、神々しく光り輝く**『天の輪(天使の輪)』が出現する。
彼女はそれをフリスビーのように投げつけ、デュアダロスの頭にスポッ**と被せた。
​「あァ? なんだこの光る輪っかは。こんなオモチャで俺の魔法が防げると……」
​「わ、私に歯向かえば! その『服従の輪』で頭痛を起こします!!」
​リアナが涙目で叫んだ。
​「ハッ! 神である俺に、そんな人間の呪いが効くわけが……っ!?」
​デュアダロスがリアナに向けて『デッド・エンド・スナップ』を放とうと殺意を向けた瞬間――。
​ピカァァァァァァァン!!
​デュアダロスの頭上の輪が激しく明滅し、ギリギリィッ! と彼の頭蓋骨を容赦なく締め付けた。
​「――っ!? ギッ……!!」
​デュアダロスの顔面から一瞬で血の気が引いた。
​「ギャァァァァァァアアアアッ!!!? 痛えぇぇぇ!! 頭ッ! 頭かち割れるゥゥゥ!!」
​先ほどまでのインテリヤクザの威厳はどこへやら。
最強の邪神は、頭を抱えて石畳の上をゴロゴロと転げ回った。
​「い、痛い痛い痛い!! スジが! 脳の血管が千切れる!! ストップ! ストォォォップ!!」
​「ひぃぃっ! ごめんなさい! だから私を殺そうとしないでください!」
リアナもパニックになって叫ぶ。
​「わ、分かった! 降参だ! ギブ! ギブアップ!! 殺意ゼロ! 今の俺、殺意ゼロだから!!」
​デュアダロスが土下座の姿勢で床に顔を擦り付けると、ピタリと輪の締め付けが止まった。
​「ハァ……ハァ……ッ……! な、なんだこの呪いは……! 俺の神気(オーラ)を完全に貫通しやがった……!」
​デュアダロスは息も絶え絶えに、震える手で眼鏡の位置を直した。
そして、目の前でオロオロしている小娘――エプロン姿のリアナを、信じられないものを見るような目で見上げた。
​「て、てめぇ……只者じゃねぇな……? どこの組(神族)のモンだ……?」
​「えと……ポポロ国の、リアナです。お料理が得意です」
​世界を滅ぼす最強の邪神(インテリヤクザ)が、最弱の家庭的お姫様(エプロン姿)の前に完全屈服した瞬間であった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...