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第六章 邪神デュアダロス
EP 5
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神々のヤンキー喧嘩 in 深夜のコンビニ(デザート選びを添えて)
【太郎国・深夜のコンビニエンスストア】
「……な、なんだこの異常な空間は」
自動ドア(結界)を抜け、店内に入ったデュアダロスは、絶句したまま冷や汗を流していた。
煌々と輝く天井の光(LED照明)。
そして、壁一面に設置された巨大なガラスケースの中には、色とりどりの液体が入ったボトルが、氷魔法でも使ったかのようにキンキンに冷やされている。
「チッ……飲み物を冷やすためだけに、これほどの持続魔法を張り巡らせているのか? 太郎国とやら、底知れねぇ魔力だ……!」
最強のインテリヤクザは、コンビニの冷蔵ショーケースを前に「軍事施設」だと勘違いし、完全にビビり散らかしていた。
一方のリアナは。
「わぁぁぁっ! デュアダロスさん見てください! これ、全部お菓子ですよ! こっちはパンです! 袋に入っててフワフワしてます!」
彼女はエプロン姿のまま、スナック菓子の棚の前で目をキラキラさせていた。
『ポテトチップス・コンソメパンチ』に『チョコパイ』。ポポロ国の厨房にはなかった未知の食材(ジャンクフード)の山に、料理オタクの血が騒いでいる。
「おい小娘、油断するな。それは毒が入った暗殺用の……ん?」
デュアダロスの視線が、レジカウンターの奥にある棚に釘付けになった。
そこには、四角い箱(タバコ)がズラリと並び、その横には黄金色の液体が入ったボトル(ウイスキーやワイン)が置かれている。
「……酒と、煙草か! ハッ、なんだ、ただのシマ(酒場)じゃねぇか」
デュアダロスは途端に強気になり、インテリヤクザ特有の肩で風を切る歩き方でレジへと向かった。
三百年ぶりの酒。そして、映画で憧れた葉巻。ついにそれが手に入るのだ。
しかし、レジには先客がいた。
「だーかーらー! 『マイルド・セブンスター』の8ミリだって言ってんでしょ! あと『ストロング・果実チューハイ』のロング缶3本ね!」
ダルダルのピンク色のジャージをだらしなく着こなし、足元は健康サンダル。
寝癖のついた金髪をボサボサに揺らしながら、レジの店員(オーク族)にダル絡みをしている女がいた。
オークの店員は慣れた手付きで商品をスキャンしながら、「はいはい、年齢確認ボタン押してくだせぇ」と作業をこなしている。
デュアダロスはそのジャージ女の背中を見て、ピタリと足を止めた。
……間違いない。
何億年も前に宇宙の始まりを共にし、世界の覇権を巡って争った「光と創造」の神気。
「……おい。なんだその情けない姿は」
デュアダロスが低い声で呼びかけた。
ジャージの女――創造神ルチアナは、「あぁん?」と柄悪く振り返り……デュアダロスの顔を見た瞬間、持っていたストロング缶を床に落としそうになった。
「げぇぇぇぇっ!? デュアダロスじゃん!!」
ルチアナがコンビニ中に響き渡る声で叫んだ。
「なんで生きてんの!? あんた、魔大陸の最終ダンジョンで一生反省してなさいって封印されたはずでしょ!!」
「フン……。三百年も放置しやがって。俺が自力で出てこれないと思っていたのか?」
(※本当は弁当待ちだったが、そこは見栄を張る)
デュアダロスは銀縁眼鏡を中指で押し上げ、ルチアナを頭の先からつま先まで見下ろした。
「相変わらず下品な女だ。そして化粧濃いぞルチアナ。だからてめぇは、男に捨てられるブスなのだ」
ピキィィィィンッ……!!
ルチアナの額に、巨大な青筋が浮かんだ。
「あんだとごらぁ……!? 誰がブスだコラ! 表出ろや!! 神罰下してやるからそこに直れや!!」
「上等だ。俺の『次元斬』で、てめぇのジャージごと三枚に下ろしてやる!!」
ルチアナから強烈な『光のオーラ』が、デュアダロスから禍々しい『闇のオーラ』が立ち上る。
かつて世界を二分した双子の神。あるいは愛憎入り混じる元恋人同士。
宇宙を崩壊させかねない二つの神気が、深夜のコンビニエンスストアの中で激突しようとしていた。
「ヒィィィッ!? ま、また神様同士の喧嘩だァァ! 本部に連絡だァ!」
オークの店員がレジの下に隠れて頭を抱える。
「死ねェ、デュアダロス!!」
「てめぇから塵になれ、ルチアナ!!」
二人が互いの必殺魔法を放とうと、拳を振り上げた、その瞬間だった。
「あの、店員さーん!」
明るく、そして場の空気を完全に無視した声が、神々の殺気を切り裂いた。
「はいっ!? な、なんでしょうかお客様ァ!?」
震えるオーク店員が、恐る恐る顔を上げる。
そこには、巨大な『いちごのショートケーキ』と『とろける窯出しプリン』を両手に持ったリアナが、満面の笑みで立っていた。
「これ、すっごく美味しそうなんですけど、店員さんのオススメのデザートって他に有りますぅ?」
「えっ」
「は?」
ルチアナとデュアダロスは、拳を振り上げたマヌケなポーズのまま固まった。
「あ、それと、この『からあげクン』っていうのも揚げたてなら欲しいです! デュアダロスさん、お腹空いてるって言ってましたし!」
リアナは、宇宙が崩壊しそうな神々の喧嘩など「全く視界に入っていない」様子で、ショーケースのホットスナックを指差した。
「……おい小娘。てめぇ、俺たちのこの『殺気』が感じ取れねぇのか……?」
デュアダロスが引きつった顔で尋ねる。
「殺気? ああ、お腹が空いてイライラしてるんですよね! 分かります!」
リアナはニコッと笑い、ルチアナに向かってペコリと頭を下げた。
「ごめんなさい、お姉さん。うちのデュアダロスさん、ご飯の時間が遅れるとすぐ不機嫌になっちゃうんです。これ、お詫びに……私が焼いた『肉椎茸入りクッキー』、もしよかったら食べてください」
「え? あ、うん……ありがとう……(なんだこの子、めっちゃいい匂いするし可愛い……)」
ルチアナは毒気を抜かれ、思わずクッキーを受け取ってしまった。
「あ、そうだデュアダロスさん! 頭痛くなりたくなかったら、お店の中では静かにしてくださいね?(ニコッ)」
「…………ッス。すいやせんした」
リアナが笑顔で頭上の『服従の輪』をチラつかせた瞬間、最強のインテリヤクザは直立不動になり、深々と頭を下げた。
「は……? え? あのデュアダロスが、人間の女の子に怒られて敬語……?」
ルチアナはストロング缶を握りしめたまま、その信じられない光景に目を丸くするしかなかった。
深夜のコンビニ。
そこは神々の戦場ではなく、ポポロ国から来たエプロン姿のお姫様が「天下を取った」記念すべき場所となったのである。
「店員さん、お会計お願いしまーす!」
リアナの弾むような声だけが、静まった店内に響き渡っていた。
【太郎国・深夜のコンビニエンスストア】
「……な、なんだこの異常な空間は」
自動ドア(結界)を抜け、店内に入ったデュアダロスは、絶句したまま冷や汗を流していた。
煌々と輝く天井の光(LED照明)。
そして、壁一面に設置された巨大なガラスケースの中には、色とりどりの液体が入ったボトルが、氷魔法でも使ったかのようにキンキンに冷やされている。
「チッ……飲み物を冷やすためだけに、これほどの持続魔法を張り巡らせているのか? 太郎国とやら、底知れねぇ魔力だ……!」
最強のインテリヤクザは、コンビニの冷蔵ショーケースを前に「軍事施設」だと勘違いし、完全にビビり散らかしていた。
一方のリアナは。
「わぁぁぁっ! デュアダロスさん見てください! これ、全部お菓子ですよ! こっちはパンです! 袋に入っててフワフワしてます!」
彼女はエプロン姿のまま、スナック菓子の棚の前で目をキラキラさせていた。
『ポテトチップス・コンソメパンチ』に『チョコパイ』。ポポロ国の厨房にはなかった未知の食材(ジャンクフード)の山に、料理オタクの血が騒いでいる。
「おい小娘、油断するな。それは毒が入った暗殺用の……ん?」
デュアダロスの視線が、レジカウンターの奥にある棚に釘付けになった。
そこには、四角い箱(タバコ)がズラリと並び、その横には黄金色の液体が入ったボトル(ウイスキーやワイン)が置かれている。
「……酒と、煙草か! ハッ、なんだ、ただのシマ(酒場)じゃねぇか」
デュアダロスは途端に強気になり、インテリヤクザ特有の肩で風を切る歩き方でレジへと向かった。
三百年ぶりの酒。そして、映画で憧れた葉巻。ついにそれが手に入るのだ。
しかし、レジには先客がいた。
「だーかーらー! 『マイルド・セブンスター』の8ミリだって言ってんでしょ! あと『ストロング・果実チューハイ』のロング缶3本ね!」
ダルダルのピンク色のジャージをだらしなく着こなし、足元は健康サンダル。
寝癖のついた金髪をボサボサに揺らしながら、レジの店員(オーク族)にダル絡みをしている女がいた。
オークの店員は慣れた手付きで商品をスキャンしながら、「はいはい、年齢確認ボタン押してくだせぇ」と作業をこなしている。
デュアダロスはそのジャージ女の背中を見て、ピタリと足を止めた。
……間違いない。
何億年も前に宇宙の始まりを共にし、世界の覇権を巡って争った「光と創造」の神気。
「……おい。なんだその情けない姿は」
デュアダロスが低い声で呼びかけた。
ジャージの女――創造神ルチアナは、「あぁん?」と柄悪く振り返り……デュアダロスの顔を見た瞬間、持っていたストロング缶を床に落としそうになった。
「げぇぇぇぇっ!? デュアダロスじゃん!!」
ルチアナがコンビニ中に響き渡る声で叫んだ。
「なんで生きてんの!? あんた、魔大陸の最終ダンジョンで一生反省してなさいって封印されたはずでしょ!!」
「フン……。三百年も放置しやがって。俺が自力で出てこれないと思っていたのか?」
(※本当は弁当待ちだったが、そこは見栄を張る)
デュアダロスは銀縁眼鏡を中指で押し上げ、ルチアナを頭の先からつま先まで見下ろした。
「相変わらず下品な女だ。そして化粧濃いぞルチアナ。だからてめぇは、男に捨てられるブスなのだ」
ピキィィィィンッ……!!
ルチアナの額に、巨大な青筋が浮かんだ。
「あんだとごらぁ……!? 誰がブスだコラ! 表出ろや!! 神罰下してやるからそこに直れや!!」
「上等だ。俺の『次元斬』で、てめぇのジャージごと三枚に下ろしてやる!!」
ルチアナから強烈な『光のオーラ』が、デュアダロスから禍々しい『闇のオーラ』が立ち上る。
かつて世界を二分した双子の神。あるいは愛憎入り混じる元恋人同士。
宇宙を崩壊させかねない二つの神気が、深夜のコンビニエンスストアの中で激突しようとしていた。
「ヒィィィッ!? ま、また神様同士の喧嘩だァァ! 本部に連絡だァ!」
オークの店員がレジの下に隠れて頭を抱える。
「死ねェ、デュアダロス!!」
「てめぇから塵になれ、ルチアナ!!」
二人が互いの必殺魔法を放とうと、拳を振り上げた、その瞬間だった。
「あの、店員さーん!」
明るく、そして場の空気を完全に無視した声が、神々の殺気を切り裂いた。
「はいっ!? な、なんでしょうかお客様ァ!?」
震えるオーク店員が、恐る恐る顔を上げる。
そこには、巨大な『いちごのショートケーキ』と『とろける窯出しプリン』を両手に持ったリアナが、満面の笑みで立っていた。
「これ、すっごく美味しそうなんですけど、店員さんのオススメのデザートって他に有りますぅ?」
「えっ」
「は?」
ルチアナとデュアダロスは、拳を振り上げたマヌケなポーズのまま固まった。
「あ、それと、この『からあげクン』っていうのも揚げたてなら欲しいです! デュアダロスさん、お腹空いてるって言ってましたし!」
リアナは、宇宙が崩壊しそうな神々の喧嘩など「全く視界に入っていない」様子で、ショーケースのホットスナックを指差した。
「……おい小娘。てめぇ、俺たちのこの『殺気』が感じ取れねぇのか……?」
デュアダロスが引きつった顔で尋ねる。
「殺気? ああ、お腹が空いてイライラしてるんですよね! 分かります!」
リアナはニコッと笑い、ルチアナに向かってペコリと頭を下げた。
「ごめんなさい、お姉さん。うちのデュアダロスさん、ご飯の時間が遅れるとすぐ不機嫌になっちゃうんです。これ、お詫びに……私が焼いた『肉椎茸入りクッキー』、もしよかったら食べてください」
「え? あ、うん……ありがとう……(なんだこの子、めっちゃいい匂いするし可愛い……)」
ルチアナは毒気を抜かれ、思わずクッキーを受け取ってしまった。
「あ、そうだデュアダロスさん! 頭痛くなりたくなかったら、お店の中では静かにしてくださいね?(ニコッ)」
「…………ッス。すいやせんした」
リアナが笑顔で頭上の『服従の輪』をチラつかせた瞬間、最強のインテリヤクザは直立不動になり、深々と頭を下げた。
「は……? え? あのデュアダロスが、人間の女の子に怒られて敬語……?」
ルチアナはストロング缶を握りしめたまま、その信じられない光景に目を丸くするしかなかった。
深夜のコンビニ。
そこは神々の戦場ではなく、ポポロ国から来たエプロン姿のお姫様が「天下を取った」記念すべき場所となったのである。
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