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EP 7
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内閣府カチコミ(お迎え)
翌日、午後5時。
日本の政治中枢、東京・霞が関。
内閣府が入る合同庁舎の薄暗い会議室で、青田春太は胃を押さえながら立っていた。
「……で、青田君。昨夜、君の自宅周辺から『局地的な地震』と『謎の爆音』が観測されたという報告があるんだがね」
上司である対策室長が、ジロリと眼鏡越しに睨む。
春太は冷や汗をダラダラと流しながら、直立不動で嘘を重ねた。
「は、はい! えーと、あれです! 近所の猫が……ちょっと運動会をしていたようでして!」
「猫? 猫が震度3の揺れを起こすのかね?」
「最近の猫は栄養状態が良いものですから……あはは……」
(もう無理だ……限界だ……家に帰って寝たい……)
PCローンの借金。すき焼き事件。そして、昨夜帰宅したルナが着ていた、謎の「特攻服(刺繍入り)」。
春太のメンタルは、薄皮一枚で繋がっている状態だった。
その時である。
パラリラパラリラ~♪
ブォォォォン! バリバリバリバリ!!
重厚な防音ガラスを突き抜けて、下品極まりない爆音が会議室に響いてきた。
それも一台や二台ではない。数百台規模の轟音だ。
「な、なんだ!? 暴動か!?」
室長が慌てて窓に駆け寄る。
春太も嫌な予感――いや、確信を持って窓の外を覗き込んだ。
そこには、地獄絵図が広がっていた。
官庁街の広い道路を埋め尽くす、改造バイクの海。
その先頭を走るのは、異様な存在感を放つ『植物の怪物バイク(ネギオ)』と、その背に跨り、夕風に金髪と特攻服をなびかせる美女(ルナ)だった。
「ハルタ様ぁぁぁーーっ!!」
ルナが拡声器(トラメガ)を使って叫んだ。
その声は、霞が関のビル群に反響した。
「お仕事お疲れ様です! お迎えに上がりましたわーーっ!!」
「「は?」」
室長と春太の声が重なった。
庁舎の入り口では、警備員や警察官が慌てて阻止線を張ろうとしている。
「と、止まれ! ここは国の重要施設だぞ!」
「どきなさい」
ネギオ(ナイト形態)が、前輪を浮かせてウィリー走行しながら威圧した。
「我が主が、愛する下僕(ハルタ)を迎えに来ただけだ。……道を開けろ、公務員(雑草)ども」
「ひいいっ!?」
さらに、背後の暴走族たちも一斉にエンジンを空吹かしする。
「オラァ! ウチの総長(ルナ)のお通りだ!!」
「青田センパイを出せやコラァァ!!」
「夜露死苦ゥゥゥ!!」
室長が、震える手で春太を指差した。
「あ、青田君……? 『青田センパイ』と呼ばれているが……君はまさか、反社会的勢力と繋がりが……?」
「ち、ち、違います! 誤解です室長!!」
春太は顔面蒼白で否定するが、窓の外のルナがトドメを刺した。
「ハルタ様ー! 見てください、新しいお友達です! 皆さんとっても親切で、『これからカチコミだ』と張り切って送ってくれましたの!」
「カチコミの意味を教えろバカヤロー!!」
春太は窓を開け放ち、身を乗り出して絶叫した。
全職員の視線が、この窓際公務員に突き刺さる。
「ルナちゃん! 帰って! お願いだから帰って! 俺の社会的地位が更地になっちゃう!」
「あら、ハルタ様! 照れなくてもよろしいのに! さあ、ネギオの後ろに乗ってくださいな! 風になりましょう!」
「なりたくない! 俺は定年まで無風で過ごしたいんだ!」
その時、サイレンと共に機動隊の車両が到着し始めた。
ネギオが面白そうにマフラー(に見える排気管)から花粉を噴射する。
「ほう……。国家権力との全面戦争ですか。腕が鳴りますね。姫様、この一帯を『魔の森』に書き換えてもよろしいですか?」
「ダメに決まってるだろォォォ!!」
春太は悟った。
これ以上、ここで問答を続ければ、霞が関が物理的に消滅するか、自分がテロリストの首謀者として逮捕されるかの二択だ。
彼は涙目で叫んだ。
「わ、わかった! 行く! 今すぐ行くから攻撃しないで!!」
春太は上司の制止を振り切り、脱兎のごとく部屋を飛び出した。
背後で室長が「青田クゥン! 明日から来なくていいぞおおお!」と叫ぶのが聞こえたが、もう手遅れだ。
数分後。
春太はネギオの背中(ルナの後ろ)に無理やり乗せられ、数百台の族車に囲まれてパレードの中心にいた。
「ハルタ様、風が気持ちいいですね!」
「……うう、おうちに帰りたい……」
「ここが貴様の家(職場)だったのでは? まあいい、次はどこへ行きますか? 国会ですか?」
「直帰だ! 誰にも見つからないように裏道で帰ってくれぇぇぇ!!」
夕暮れの東京。
内閣府職員・青田春太の悲痛な叫びと共に、伝説の「霞が関カチコミ事件」は幕を閉じた。
なお、翌日のスポーツ新聞には『謎の金髪美女総長、政府を襲撃!?』という見出しが踊り、春太は有給休暇(という名の謹慎)を余儀なくされるのであった。
翌日、午後5時。
日本の政治中枢、東京・霞が関。
内閣府が入る合同庁舎の薄暗い会議室で、青田春太は胃を押さえながら立っていた。
「……で、青田君。昨夜、君の自宅周辺から『局地的な地震』と『謎の爆音』が観測されたという報告があるんだがね」
上司である対策室長が、ジロリと眼鏡越しに睨む。
春太は冷や汗をダラダラと流しながら、直立不動で嘘を重ねた。
「は、はい! えーと、あれです! 近所の猫が……ちょっと運動会をしていたようでして!」
「猫? 猫が震度3の揺れを起こすのかね?」
「最近の猫は栄養状態が良いものですから……あはは……」
(もう無理だ……限界だ……家に帰って寝たい……)
PCローンの借金。すき焼き事件。そして、昨夜帰宅したルナが着ていた、謎の「特攻服(刺繍入り)」。
春太のメンタルは、薄皮一枚で繋がっている状態だった。
その時である。
パラリラパラリラ~♪
ブォォォォン! バリバリバリバリ!!
重厚な防音ガラスを突き抜けて、下品極まりない爆音が会議室に響いてきた。
それも一台や二台ではない。数百台規模の轟音だ。
「な、なんだ!? 暴動か!?」
室長が慌てて窓に駆け寄る。
春太も嫌な予感――いや、確信を持って窓の外を覗き込んだ。
そこには、地獄絵図が広がっていた。
官庁街の広い道路を埋め尽くす、改造バイクの海。
その先頭を走るのは、異様な存在感を放つ『植物の怪物バイク(ネギオ)』と、その背に跨り、夕風に金髪と特攻服をなびかせる美女(ルナ)だった。
「ハルタ様ぁぁぁーーっ!!」
ルナが拡声器(トラメガ)を使って叫んだ。
その声は、霞が関のビル群に反響した。
「お仕事お疲れ様です! お迎えに上がりましたわーーっ!!」
「「は?」」
室長と春太の声が重なった。
庁舎の入り口では、警備員や警察官が慌てて阻止線を張ろうとしている。
「と、止まれ! ここは国の重要施設だぞ!」
「どきなさい」
ネギオ(ナイト形態)が、前輪を浮かせてウィリー走行しながら威圧した。
「我が主が、愛する下僕(ハルタ)を迎えに来ただけだ。……道を開けろ、公務員(雑草)ども」
「ひいいっ!?」
さらに、背後の暴走族たちも一斉にエンジンを空吹かしする。
「オラァ! ウチの総長(ルナ)のお通りだ!!」
「青田センパイを出せやコラァァ!!」
「夜露死苦ゥゥゥ!!」
室長が、震える手で春太を指差した。
「あ、青田君……? 『青田センパイ』と呼ばれているが……君はまさか、反社会的勢力と繋がりが……?」
「ち、ち、違います! 誤解です室長!!」
春太は顔面蒼白で否定するが、窓の外のルナがトドメを刺した。
「ハルタ様ー! 見てください、新しいお友達です! 皆さんとっても親切で、『これからカチコミだ』と張り切って送ってくれましたの!」
「カチコミの意味を教えろバカヤロー!!」
春太は窓を開け放ち、身を乗り出して絶叫した。
全職員の視線が、この窓際公務員に突き刺さる。
「ルナちゃん! 帰って! お願いだから帰って! 俺の社会的地位が更地になっちゃう!」
「あら、ハルタ様! 照れなくてもよろしいのに! さあ、ネギオの後ろに乗ってくださいな! 風になりましょう!」
「なりたくない! 俺は定年まで無風で過ごしたいんだ!」
その時、サイレンと共に機動隊の車両が到着し始めた。
ネギオが面白そうにマフラー(に見える排気管)から花粉を噴射する。
「ほう……。国家権力との全面戦争ですか。腕が鳴りますね。姫様、この一帯を『魔の森』に書き換えてもよろしいですか?」
「ダメに決まってるだろォォォ!!」
春太は悟った。
これ以上、ここで問答を続ければ、霞が関が物理的に消滅するか、自分がテロリストの首謀者として逮捕されるかの二択だ。
彼は涙目で叫んだ。
「わ、わかった! 行く! 今すぐ行くから攻撃しないで!!」
春太は上司の制止を振り切り、脱兎のごとく部屋を飛び出した。
背後で室長が「青田クゥン! 明日から来なくていいぞおおお!」と叫ぶのが聞こえたが、もう手遅れだ。
数分後。
春太はネギオの背中(ルナの後ろ)に無理やり乗せられ、数百台の族車に囲まれてパレードの中心にいた。
「ハルタ様、風が気持ちいいですね!」
「……うう、おうちに帰りたい……」
「ここが貴様の家(職場)だったのでは? まあいい、次はどこへ行きますか? 国会ですか?」
「直帰だ! 誰にも見つからないように裏道で帰ってくれぇぇぇ!!」
夕暮れの東京。
内閣府職員・青田春太の悲痛な叫びと共に、伝説の「霞が関カチコミ事件」は幕を閉じた。
なお、翌日のスポーツ新聞には『謎の金髪美女総長、政府を襲撃!?』という見出しが踊り、春太は有給休暇(という名の謹慎)を余儀なくされるのであった。
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