霊媒師、代行します。

メカ

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「チャットとDM」

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その日、駅前に出来たファストフード店で俺は山代と会う約束をしていた。

「灯谷・・・君。」

「あ・・・こ、こんにちは。」

「こんにちは・・・。」

実に気まずい。
正直、どういう会話の仕方をすれば良いか気を遣うレベルだ。

「・・・それで、今日の話って?」

「あぁ・・・えっと・・・・・鈴守さんからは何と説明されてたんですか?」

「え?」

「だ、だから・・・この間、屋上で・・・。」

「あぁ・・・私の悩み相談に打って付けの人がいるから。って。」

「そうなんだ・・・。」

『実に大味な説明で、よく付いて行こうと思ったな。山代さん。』

「で、その悩みっていうのは・・・?」

「うん、私ね。陸上部なんだけど・・・。」

すでに、鈴守からある程度の事情は聴いていた。
その反芻と、より細かな状況説明。
そして、新たな情報の獲得。

やはり、本人から直接話を聞くのが早い。

あの日、彼女に声をかける決心をして良かったと胸を撫で下ろす。

新たに分かった情報は以下の通りだ。

・彼女は、高校に上がってから「ライブチャット」を行っている。
・その「ライブチャット」では、同じく陸上経験者が多く情報交換を主に行っている。
・ある「視聴者」の出現と「ケガ」の期間が重なっている事。

「その怪しい視聴者って?」

「今年の4月ごろから現れたんだけどね、クレームとかがひどくて。」

「・・・クレーム?」

「情報交換してるって言ったでしょ?周りの人に対しても『その意見は違う』とか噛みつくの。」

「へぇ・・・。」

「でもその程度なら、ネットでもよくある事じゃ・・・。」

「違うの、その人・・・多分、陸上すらやってない素人なの。
それなのに、自分の意見が正しい。とか・・・場合によってはネットストーカーまでして
他人をたたくような人で・・・。」

『それ、誰だって経験あるだろうに・・・。』
なんて事を思っても、端にも出せない空気感。

結局、その日は彼女の愚痴大会で終わった。

が・・・。

俺はその日、自宅でパソコンを開き
オカルト掲示板を眺めた。

数多くの体験談が綴られている。
その中で、多くのコメントが寄せられる「投稿主」に目が行った。

「・・・ハンドルネーム・・・怪塚さん?」

怪塚さんの語る投稿は、俗世に出回っているような
いわゆる「ザ・フィクション」ではなく「妙なリアルさ」を持った怪談だった。
別段、恐ろしい幽霊が出てくるわけではないし
場合によっては、他人による怨嗟を語るものが多く

気付けば数時間、彼の作品を眺めていた。

そして・・・何を思ったか
私は怪塚さんに対して、ダイレクトメッセージを飛ばしていた・・・。
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