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「異端」
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怪塚さんからの忠告を受け、俺は周囲に警戒を払いつつ二日が過ぎた。
だが、これといった変化はなく・・・。
ただ、いつも通りの日常が流れていくだけ。
改めて周囲を見渡せば、友達グループで固まるみんなの姿が目に映る。
『結局、高校でも俺の居場所は出来なかったか・・・。』
悲しい現実に、笑みが浮かぶ。
「お~っす。」
登校してきた一人の少女。
それを視認し、皆の空気が張り詰めた。
そこで初めて気づいた。
『あれ?鈴守・・・怖がられてる?』
いや違う。
周囲の目は恐怖や圧政による怯えた目ではない。
・・・知っている。
俺はこの目を知っている。
「よ、灯谷。」
「・・・鈴守・・・。」
「何しけたツラしてんのさ、朝から。」
「鈴守。お前・・・。」
「ん?」
喉元まで出かかった言葉は、その喉で詰まって出てこなかった。
認めたくない。というのが本音だろう。
だが、現実とは無情なものだ。
昼休み、再び余った時間で校内をうろついていると
聞こえてきたのだ、生徒たちの会話が。
「おい、知ってるか?山代さんの話。」
「何だよ?」
「山代さん、自殺に追い込まれたんじゃないかって話だよ。」
「はぁ?何それ。」
「ほら、彼女がいなくなる前、二組の鈴守と一緒にいたって。」
「あぁ~・・・何?あいつに恐喝でもされてたんかな。」
「あいつ、人の弱み探ってたらしいじゃん?
それで、追い込まれたんじゃないか?って話だよ。」
「うっは~、ありえそ~。そうでもなきゃ、あんなギャルとつるまないべ。」
一瞬、俺の中の時が止まった。
噂とは、恐ろしいものである。
妄想や希望的観測が、徐々に真実を蝕み・・・やがて原型がなくなる。
・・・俺の時もそうだった・・・。
ストレスからか、耳鳴りがする・・・。
急いでこの場を離れよう・・・。
人は、自分と違う視点も持つ者を「異端」と呼ぶ。
自分は持っていない物を持っている奴を「変人」と呼ぶ。
誰しもが持っている「個性」を「マイノリティ」と呼び、蔑む。
俺は、昔の鈴守の事しか知らない。
今の彼女が、どうしてあそこまで変わったか。
事情は察しているが、その実、本心など一欠けらも理解できていないのではないか?
だが、これだけは言える。
鈴守は「いい奴」だ。
それはきっと、今も昔も変わらない。
「・・・俺のせいか・・・。」
俺に構い、俺の秘密を知った。
すべては其処から始まった。
俺の秘密を知らなければ、鈴守が山代を連れてくることはなかった。
山代が来なければ、この一件はなかったはずだ。
そうすれば、山代が亡くなったとしても・・・鈴守に疑惑の目が向くことも無かった。
ほかでもない、鈴守自身が危険な目に合ったんだぞ!?
それを「恐喝」だなどと・・・。
「・・・っくそぉ・・・。」
校舎裏の隅で・・・俺は一人、握った拳に力を入れるのみだった・・・。
だが、これといった変化はなく・・・。
ただ、いつも通りの日常が流れていくだけ。
改めて周囲を見渡せば、友達グループで固まるみんなの姿が目に映る。
『結局、高校でも俺の居場所は出来なかったか・・・。』
悲しい現実に、笑みが浮かぶ。
「お~っす。」
登校してきた一人の少女。
それを視認し、皆の空気が張り詰めた。
そこで初めて気づいた。
『あれ?鈴守・・・怖がられてる?』
いや違う。
周囲の目は恐怖や圧政による怯えた目ではない。
・・・知っている。
俺はこの目を知っている。
「よ、灯谷。」
「・・・鈴守・・・。」
「何しけたツラしてんのさ、朝から。」
「鈴守。お前・・・。」
「ん?」
喉元まで出かかった言葉は、その喉で詰まって出てこなかった。
認めたくない。というのが本音だろう。
だが、現実とは無情なものだ。
昼休み、再び余った時間で校内をうろついていると
聞こえてきたのだ、生徒たちの会話が。
「おい、知ってるか?山代さんの話。」
「何だよ?」
「山代さん、自殺に追い込まれたんじゃないかって話だよ。」
「はぁ?何それ。」
「ほら、彼女がいなくなる前、二組の鈴守と一緒にいたって。」
「あぁ~・・・何?あいつに恐喝でもされてたんかな。」
「あいつ、人の弱み探ってたらしいじゃん?
それで、追い込まれたんじゃないか?って話だよ。」
「うっは~、ありえそ~。そうでもなきゃ、あんなギャルとつるまないべ。」
一瞬、俺の中の時が止まった。
噂とは、恐ろしいものである。
妄想や希望的観測が、徐々に真実を蝕み・・・やがて原型がなくなる。
・・・俺の時もそうだった・・・。
ストレスからか、耳鳴りがする・・・。
急いでこの場を離れよう・・・。
人は、自分と違う視点も持つ者を「異端」と呼ぶ。
自分は持っていない物を持っている奴を「変人」と呼ぶ。
誰しもが持っている「個性」を「マイノリティ」と呼び、蔑む。
俺は、昔の鈴守の事しか知らない。
今の彼女が、どうしてあそこまで変わったか。
事情は察しているが、その実、本心など一欠けらも理解できていないのではないか?
だが、これだけは言える。
鈴守は「いい奴」だ。
それはきっと、今も昔も変わらない。
「・・・俺のせいか・・・。」
俺に構い、俺の秘密を知った。
すべては其処から始まった。
俺の秘密を知らなければ、鈴守が山代を連れてくることはなかった。
山代が来なければ、この一件はなかったはずだ。
そうすれば、山代が亡くなったとしても・・・鈴守に疑惑の目が向くことも無かった。
ほかでもない、鈴守自身が危険な目に合ったんだぞ!?
それを「恐喝」だなどと・・・。
「・・・っくそぉ・・・。」
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