霊媒師、代行します。

メカ

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「シンジツ」

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その日、保険医の教諭が急遽休みとなった。

代わりの教師が、保健室の代理となり、業務を行っていたが・・・。
保険医の教諭は出勤時に事故に見舞われたという。

その日の学校は、釈然としない気持ちのまま終わった。

山代のケガ・失踪
鈴守の病気
保険医の事故

一連の流れは、俺たち「関係者」にしか分からない「必然」。
その他多数の「外部の人間」から言わせれば「ただの偶然」。

だが・・・こんな「偶然」がたった2~3か月の間に起こることが
果たして本当に「偶然」か?

だがそれは「裏側の事実」を知らなければたどり着かない答えだ。

その日、自問自答を繰り返す俺は怪塚さんへと連絡を取っていた。

「お忙しい中すみません。
本日、学校の保険医が事故に合い、休みとなっています。
怪塚さんが仰っていた『もう一人』が、その保険医だったのでしょうか?」

少し間をおいて、連絡が入る。

「こんにちは。
恐らくはその保険医が『もう一人』で間違いないでしょう。
・・・
ghost lighterさん、そろそろ貴方は事実に目を向けるべきですね・・・。

今晩、またメールを送ります。
その時にすべてをお話します。」

そして・・・。
その晩のことだ。

衝撃的な事実が、彼女のメールで発覚するのだ。


「こんばんは、ghost lighterさん。
早速ですが、今回
学校の保険医が事故に合ったのは・・・貴方のせいです。」

何を言っているのだ?この人は・・・。

「自分では気付いていないのかもしれない。
最初はお話しようか躊躇いもしましたが・・・
今後の為です、お話しましょう。

・・・貴方はもう・・・亡くなられている方ですね?」





・・・は?

メールを読み進める手が止まった。

一瞬の混乱。
その答えを求めて、再びメールに目を落とす。

「保険医が事故に合ったのは、貴方のせいだと言いましたが
厳密には、貴方が悪いわけではないんです。
きっと、保険医の先生には何かしら良くない予兆があった事と思います。
その証拠として、保険医の先生にも貴方の姿が見えていた・・・。

生命の危機が迫る人間には、時折、そちら側と波長の合う人間がいます。
恐らくは、そういう事だったのでしょう。」


ダメだ。
整理が追い付かない。
この人は何を言ってるんだろうか。
現に俺はこうして・・・話を・・・。

ふと過る嫌な記憶。

夏休み明け。
クラス替えの際、俺の机に置かれていた花瓶と花。

あれは、単なる嫌がらせではなかったのか?

思えば・・・俺は「鈴守」「山代」「保険医の先生」以外と口を利いた覚えがない。

極め付けは、最近気づいた
周囲の「鈴守」への視線。

仮に・・・。
仮にだ。
怪塚さんの言い分が正しいのなら・・・。

「何もない空間」に向かって「話しかける」鈴守を・・・。
周囲がどう見ていただろうか・・・。
しかも、それが「死んだクラスメート」の名を呼びながら・・・。

動悸が早くなり、呼吸も浅くなる。

嘘だ・・・。
嘘だ嘘だ嘘だ・・・。

ありえない。
ありえない!
アリエナイ!!

俺は大急ぎで、リビングまで駆け下り
母に何てことない質問を投げ掛けようとした。

「母さん!」

リビングの戸を開け放った瞬間
怯えた母が此方を見ている。

「な、何!?」

その母がいたのは、仏壇の前・・・。

あぁ、亡き祖父母へのお供えか?

「母さん・・・俺、俺の事視えてるよね?
お、お供え物?変えるなら、俺が・・・俺が代わりにやるぜ?」

仏壇に近づいていく俺を後目に、母が怯えた声で言う。

「・・・なんで戸が、いきなり・・・。」

その一言を聞いた後・・・頭が真っ白になった。

無理もない、祖父母の写真が飾られているはずの仏壇に
・・・俺の写真まで飾られていたのだから・・・。
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